お兄ちゃ~ん!お兄ちゃんってば! もう~起きてよ、ん?何?今日は学校じゃないだろって? お兄ちゃんはいつだって学校じゃないでしょ! そんなことより早く起きてよ、私のプリングルス・サワーオニオン味食べたでしょ! いいや聞かなくてもわかる。お兄ちゃんは私のプリングルス・アワーオニオン味食べました。 え、食べてない? 嘘つかないでよ!友人関係がうまくいかなかった時に食べようと思っている私のプリングルス……食べたでしょ! 今日も食べようと思ってたのに! え、学校でなにかあったのかって? (焦り)そんなことないよ、ううん、全然そんなことないよ。 カナちゃんが……まさかあんなことするなんて…… でも別にカナちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよね…… ただ、私と価値観が違うだけなんだよね……? え!? プリングルスなら床下収納で見かけた? 床下収納ってお母さんが秘密の植物をこっそり育ててる場所だよね。 そこでプリングルスをみかけたの? 本当かなぁ…… 怪しいけど、ちょっと調べてくるね。 お兄ちゃんはそこで待ってて! (電話の音) (ガチャガチャする音) (おトイレを流す音) (ドアを開ける音) ふーすっきりした。 あ、お兄ちゃんじゃん!私のプリングルス食べたでしょ! その話はさっき終わったって? 床下収納はどうなったんだって? な、別に忘れてないよ!失礼なこと言わないで! 物忘れで言ったら、お兄ちゃんだって、歯医者さんで「あ、ここ歯磨きできてませんね~」って毎回言われるくせに! え、あれ大抵の人が言われるの? じゃあ歯医者さんは歯磨きできてないことを指摘することで金銭を得てるってこと? 世知辛いなぁ…… そんな歯医者さん事情はどうでもいいって? 結局プリングルスは有ったのか? まあまあそう結論を焦らないでよ。 今日という日はまだまだ長いよ。 早くプリングルスが有ったか言えって? ……有ったよ。 床下収納にプリングルスはありました。 だけど何? プリングルスが床下収納にあることでお兄ちゃんに、何か迷惑かけた? え、話をすり替えるなって? はいはい、負けました。 負けましたよ。 私が悪いって言いたいんでしょ? 勘違いしてお兄ちゃんを責めて良心が傷まないのかって言いたいんでしょ? はいはい。そうですよ、私が悪いんですよ。 逆に何か? え、ちゃんと謝れ? 仕方ないなぁ…… ごめんなさいお兄ちゃん! 疑ってごめんなさい! これでいいよね? え、まだなにかしてほしそうな顔してる…… この出る杭は打たれるつまんない社会においても、まだまだ渇望に満ちあふれた顔をしているよ、お兄ちゃん…… 仕方がないね…… じゃ、じゃあお兄ちゃん…… 何でも言うこと聞いてあげるよ。 なんでもって言ったらなんでもだよ。 気が変わらないうちに、早くしてよね。 え?シコシコしてほしい? シコシコって……まさか…… 私にうどんを作れってこと!? のど越しのいいうどんをつくって、お兄ちゃんの食欲を満たせってこと? わかったよお兄ちゃん!私がシッコシコのうどんを作ってお兄ちゃんを満足させてあげるね!! (画面転換) はい、ということでエプロンをつけたんだけれど、どう?似合ってるでしょ、お兄ちゃん、どうしたのそんなしょぼくれた顔して? 本当は食欲以外の欲求を満たしてほしかったのに、とでも言いたげな顔してるよ? よくわからないけど、私がこれからうどんを作る様子を見てそれで食べれば、お兄ちゃんも満足できるはずだよ。 じゃあ早速冷凍うどんをチンするね。 え?手打ちうどんを作るんじゃないのかって? エプロンなんのためにつけたんだよって? いやいや、お兄ちゃん。 素人が手打ちうどんなんて作ったって、どうせ冷凍うどんに勝てるはずがないんだよ? 冷凍うどんはね、冷凍食品を作っている社員さんが日夜研究を重ねて出来たものなんだよ? 私たちが見よう見まねで作った所で太刀打ちできるわけがないよね。 そのくらいわからないのかな? 冷凍食品を作っている会社の人たちは怒ると思うよ。 素人が作るものと我が社の製品を比べるなって。 え?別に比べてないし、そんなことじゃ怒らないと思う? でもお兄ちゃんSNSでは人が変わったように怒っているじゃん。 自分の考えを少しでも批判されるとすぐに怒って、言い負かされそうになったら極論言ってその後ブロックしてるじゃん! だから冷凍うどんの会社の人だってSNS上のお兄ちゃんみたいに、なにか言われたら豹変するかもしれないよ? え、その話はやめろ? はやくうどんをチンしろ? ごめんね、SNSの話を現実に持ち込んで…… 自分のこと「(半笑いで)ネットじゃ狂犬だからさ」みたいなに友達には言ってるけど、みんな本当はお兄ちゃんのことを…… ううん、なんでもない、なんでもないよ。 (場面転換) (チーン) そんな面白トークで場を繋いでるうちになんとうどんができているよ! おいしそうだね、じゃあ食べてお兄ちゃん。 え?味付け? 素うどんはいやなの? そもそも素うどんですらない?味付けくらいしろだって? お兄ちゃん、何から何まで私に頼って…… ちょっと甘えすぎじゃない? お兄ちゃんが私のこと……その……好きって言うのは気がついてたんだけど…… さすがにそんなに甘えられちゃったら…… ちょっとさすがに、恥ずかしくなっちゃうっていうか…… え、なに?違う?自分が言い出したことなんだから最後までちゃんとやれって? まあまあそう言わないでよ。 そんなこともあろうかと、うどんスープの素を買っといたから、これをお湯で溶かしたら、はい!完成! これでおうどんの完成だよ! お兄ちゃん遠慮しないで食べて! ええ?どうしたのお兄ちゃん、あんなにシコシコしてほしいって言ってたくせに、なんか全然お箸が動いてないように見えるんだけど。 普段はスプーンで食べてるとか? え、シコシコってうどんのことを言ってたわけじゃないって? まさかお兄ちゃん…… シコシコって…… お蕎麦のことを言ってたってこと!? それならそうと早く言ってくれたらいいのに! もう、蕎麦なんて…… 私にそばにいてほしいてことだよね!お兄ちゃん!