やってきたのは教え子でした 特典SS 「先生、質問あるんですけど」    塾での授業のあと、僕が声をかけると、先生はあからさまに身体を固くした。  あーあ、いまさら警戒したって無駄なのにね。  それじゃあ自習室に、なんて言って移動しようとする先生を僕は止める。   「自習室じゃなくて、先生の家で教えて欲しいな」    誰にも聞こえないように耳元でこっそり囁くと、先生は慌てたように周囲を見回す。  先生、馬鹿だなぁ。そんな風に動揺したほうが怪しまれるってば。   「先生、さっきので今日の授業は終わりでしょ? 先生の車に僕も載せてよ」    先生が毎日、車で出勤してきているのを僕は知っていた。  僕が先生の家に連れて行くよう頼むと、彼女は質問なら自習室でするようにと、首を左右にふって拒絶する。  そんなふうに、つれないことを言っていいのかなぁ。   「僕は自習室でも構いませんけど。その場合、困るのは先生ですよ」    僕はポケットに手をつっこんで、カチカチとリモコンのスイッチを入れた。  途端に、先生がビクッと身体を震わせる。  快楽に耐えるようにきゅっと眉根を寄せる彼女を見て、僕は満足げに微笑んだ。  ああ、やっぱり。口では僕を拒絶しながらも、ちゃんと指示には従ってくれたんだ。    今日、塾が始まる前に、僕は先生にローターをプレゼントしておいたのだ。  授業中、それを下着の中にいれておくこと。じゃなきゃ、先日撮影した写真をばら撒く――なんて脅したけど、ちゃんと言うことを聞いてくれるんだもんな。   「ねぇ、先生。先生の家に遊びに行って良いですよね?」    僕がもう一度お願いすると、先生はこくこくと首を縦に振った。     ***********************    先生の家に到着すると、僕はすぐさまベッドに向かって、彼女の衣服をはぎ取った。  彼女は形だけの抵抗をしたけれど、その目を見れば期待しているのはすぐに分かる。    あーあ、ほんっと、淫乱なんだから。    そもそも、彼女はアプリを使ってご主人様を探すような被虐癖の持ち主なのだ。  教え子が相手だから素直に認められないだけで、この状況もまんざらではないと思っているはず。  その証拠に、ローターを挿れた先生のショーツは、期待でドロドロに濡れていた。   「先生、これはなんですか? 僕、ほとんどスイッチ入れてませんけど」    ローターを挿れておけと命令したが、授業中にスイッチをいれるようなことはしなかった。実際に僕がそれを起動させたのは、授業が終わったあとの少しだけだ。   「もしかして、授業中に苛めて欲しかったんですか? それを期待して、こうなっちゃったとか」    彼女は顔を真っ赤にして違うと首を左右にふるが、まったく説得力がない。  彼女の状態を確認するために指を挿入すると、すぐさま欲しがるようにきつく締めつけてきた。   「先生、嘘はいけませんよ。ここに僕の、ぶち込んで欲しいんでしょ」    焦らすように指を引き抜くと、行かないでほしいとばかりに、彼女の蜜壺がひくつく。  きっと、彼女も今すぐセックスしたいのだ。  それでも、教師であるという理性が素直になるのを邪魔している。   「素直になって、僕を受け入れてください。ほーら、ね?」    彼女が素直になれるよう、僕は指で彼女の花芽をぐりぐりと押しつぶす。  敏感なその場所を刺激され、彼女が達しそうになった直前で指をとめる。   「駄目ですよ。素直になれるまで、イかせてあげません」    再び彼女の弱い場所を攻めては、達する直前で焦らしていく。  先生との行為はいつだってそうだ。 先生が自分から僕を求めるまで、徹底的に焦らして身体に教え込む。  先生は敏感だから、こうすればすぐに陥落するのだ。  ほら、今だってもう耐えられずに、自分からおねだりしてしまった。   「先生は僕のなんですよ。よーく覚えておいてくださいね」    涙目で欲しいと強請る彼女に欲望を叩きつけて、身体の隅まで支配する。  ぴったりと重なる身体。先生の体温に包まれて、甘い快楽に脳が溶けそうだ。    ――それでも、心はまだ満たされない。    分かっている。先生は僕を好きなわけじゃない。  だけど、きっと普通に告白したって、僕に勝ち目なんてなかった。  僕は彼女の生徒だから。たとえ僕が卒業したって、元教え子を恋人にするなんていう愚を、彼女は犯さない。    だから、これはチャンスなのだ。  彼女の身体を陥落して、僕から離れられないようにする。  そして、ゆくゆくは必ず。   「先生の全部を、僕のものにしてみせますから」    快楽に喘ぎ、思考もままならない彼女に向かって、僕はそう宣言する。  手軽な恋などさせてたまるものか。  先生が恋をするのも、身体を繋げるのも、支配されるのも、この先ずっと僕だけだ。    淀んだ恋心を刻み込むように、僕は何度も腰を振る。  いつか、彼女の全てが僕のものになることを祈って。