(ネタバレを含みますので、本編終了後にご覧ください。また、これはフィクションです) ************************ ※今はもう、更新されていないブログの記録です。  20XX年04月01日 東京で、働きツメて。壊した体を直すために休職したのが前の年の夏。 やっと通常の生活ができるようになったのに。 休職明けの俺を待っていたのは、地方への左遷だった。 子会社がやっている地方新聞のライターとしての生活。 まぁ、田舎での生活も悪くないと思って、俺はこの町に赴任してきた。 とてものどかでいい職場だ。 空も綺麗で、町もなんだからノスタルジックな感じがする。 ここでまた、一から頑張ろうと思う。  20XX年04月14日 3丁目の人達は皆優しい。 果物を持ってきてくれたり、野菜を持ってきてくれたり。 3日に1回ほど、誰かが俺の事を気にしてくれて顔を見せてくれる。 1人でも寂しくない。 仕事もそんなに大変じゃないし、この町は天国だ。  20XX年05月05日 ゴールデンウイーク。昨日ははいい夢を見た。 長い髪の、帽子をかぶった綺麗な女性と話す夢だった。 いい匂いがした。 ずっと、抱きしめられていたい。 そんな風に思った。  20XX年05月30日 在宅勤務でもいいと言われた。 昨今の事情だろうか。 ――在宅での仕事はとても助かる。 この家は居心地がいいし、昼寝もできる。  20XX年06月10日 少し調べ物があって、図書館に行った。 図書館の司書のおばあちゃんが撃とうとしていたので、勝手に入って地域資料を確認させてもらった。 俺の欲しい資料は祭りに関しての資料で、かなり奥まったところにあった。 この祭りは、「八尺様」についての祭りらしい。 「八尺様」ってどこかで聞いたことがある様な。 後で調べてみよう。  20XX年06月10日 「八尺様」ってネットで昔聞いた怪異の事だった。 そんなものがどうしてこの町の祭りに関連してるんだ。 この祭りはずっと前からあるはずなのに。  20XX年06月12日 ――最近、毎日人が来る。 なんだか、気持ち悪い。 野菜や果物を断っても、皆、張り付いたような笑顔で、玄関に長居をする。 駐在さんも毎日、俺の所に来るようになった。 なんか、気持ち悪い。 ネット回線も繋がりが悪い。――なんだか、監視されている気がする。  20XX年06月13日 仮説が立った。俺は「八尺様」の生贄にされるためにここに送り込まれたんだ。 今から町を出る。 無事に出られたら、ブログに続きを書こうと思う。 このブログは、監視されている。やばい。