;以下、ボイス全てすみ :数字と場所あるコメントはマイク位置指定 ;(呼吸音)は、呼吸音。吸って、吐いての息を何度か繰り返してください。繰り返す長さは、演者さんにとってここちよいタイミング・間にてご決定いただけましたら幸いです。 ;セリフ内の<SE 耳かき音>等はSE指定です。 ;編集でいれるので、演者さんは、少し間を開けて下さい ;(接近ささやき)は、密着距離までマイクに接近しながらor接近してのささやきでお願いします ;1/前→;3/右 のような指定の場合は、移動しながらお演じください ;その他、不明点がございましたらご確認お問い合わせ下さい ;//////// ;とらっくあらため音引き出しの零(れい):題名喚呼とこの音源の楽しみ方 ;//////// ;9/前遠 【すみ】「あやかし郷愁譚。あかしゃぐま すみ」 ;環境音 春の縁側(ひばりの鳴き声) 【すみ】「ん……いい陽気じゃのぉ」 ;環境音Vol ↑ 【すみ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ふ、ぁ」 【すみ】「あまりにぽかぽかのどかゆえ、 いささか眠くなってしまうの。 の? 旦那さ、ま……うむ?」 ;環境音Vol通常 【すみ】「……も少し、近くに参らぬか? 離れておるのは、寂しいことじゃ」 【すみ】「わらわとお主は、夫婦(めおと)なのじゃし―― しかもいまは…… ふふっ、邪魔者もなく、ふたりっきりじゃ」 【すみ】「離れておる理由など、ひとつもありはせぬではないか。 ささ――の? もそっと近くによるがよい」 ;1/前 【すみ】「あ――少し、よいか? わらわにじっくり……お主の顔をみせてくれぬか?」 【すみ】「見飽きる? わけなぞなかろうぞ。 なにせわらわは、お主の妻で、お主の家の家守妖怪―― あかしゃぐま」 【すみ】「お主とお主の家の幸いを守るためにうまれたあやかしであるのじゃからの。 お主が幸いであるのかどうか――いつでも、いくらでもお主の瞳からよみとりたいのじゃ」 【すみ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 【すみ】「ふふふ、幸い。じゃの。 満ち足りておる。 おぬしも……むろん、わらわもじゃ」 【すみ】「こうして見つけ合うだけで、 どんどん幸いがふくらんで、 傷ひとつないまぁるい玉に――うむ?」 【すみ】「ああ……いや? なにか、気がかりでもあるのかの? ほんのわずかだけなにか、どこかが―― あ。その書付けが原因か?」 【すみ】「よければ、わらわに見せてはくれぬか? お主の幸いがわらわの幸いであるように、 お主の気がかりも、やはりわらわの気がかりじゃからの」 ;SE 紙ペラ 【すみ】「うむ。ありがとう―― ふむ――うむ――(呼吸音)――む? 星辰ひめみやからの書付けか。 星辰ひめみやとは、アレじゃよの? その――」 【すみ】「人と、妖と、半妖と。皆が共にくらせるようになったらひょっこり現れよった―― ひめみや流の開祖と申す…… ううむ、あれは――カミであろうの、神格じゃ」 【すみ】「わらわらたちの暮らすこの土地――茂伸を守る存在であろうと申すなら、もっと早ぉに姿を現し助けてくれればよいものを――」 【すみ】「“人とあやかしが手を取り合って事態を解決してこそ、事象の意味があったんスよ”などと、もっともらしいことを申しおって」 【すみ】「まぁ……しかし、さすがは神格じゃの。 ”確かに”と思わされもするし―― なにより、憎めぬ感じがするの」 【すみ】「むしろ……うむ。 あれほど強い力を感じると申すのに―― 守ってやらねば、という気さえする」 【すみ】「っと……肝心なのは、書付けの中身であったな。 ふむ…………ふむ??? ここに書かれておる、“とらっくぜろ”とななんじゃ?」 【すみ】「ああ、ゼロはわかる、零(れい)のことよの。 そのくらいはいくら外の国の言葉といえど、わらわにもわかる」 【すみ】「ではなく、”とらっく”と申すは―― あ! えみがよく『ぶーぶー、がしゃーん』と遊んでおる ……ふむ?? そのとらっくとは違うのか」 【すみ】「ふむ……ほぉ。 『音を入れておく引き出しみたいなもの』? なるほど、であれば―― 『音引き出し』と呼べばよかろう?」 【すみ】「なんでも横文字にたよりたがるのは、よく無いクセじゃ。 で……その音引き出しの零番目に?」 【すみ】「ふむ、ふむ。『この音源の楽しみかた』を―― 説明くらいはかまわぬのじゃが――」 【すみ】「この……『ばいのおらる』? とは一体―― ほお――なるほどの。 左右の耳の穴の中に入れる方式の小さな音響再生装置や、左右の耳にすっぽり被せる方式の音響再生装置などを使うと……」 【すみ】「おお! 『まるでその場にいるような音環境が再現できる録音方式』のことであるのか」 【すみ】「なるほどなるほど。その録音が上手にできているかどうかを、お主の耳でためすのじゃな?」 【すみ】「であれば、ほれほれ。耳穴式音響再生装置か、耳かぶせ式音響再生装置を―― ふふっ、疾く(とく)とつけるがよろしかろうぞ」 【すみ】「((呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――よいかの? うむ! ならば」 ;3/右 【すみ】「こちらが右耳」 ;3/右→;1/前→;7/左 【すみ】「で、ぐるうりとまわりこんで〜 うふふっ」 ;7/左 【すみ】「左耳の方はどうじゃ? 聞こえておるか??」 ;1/前 【すみ】「もしも左右が逆に聞こえておるのであれば。 ふふっ、わらわは見てみぬふりをするゆえ、 ささっと、こそっと、間違いを正すがよかろうぞ」 【すみ】「(呼吸音)」 【すみ】「うむ――では、これで支度は万全じゃの」 【すみ】「っと、書付けはここでおしまいか。 思ったよりも簡単な用事で、なによりじゃ」 【すみ】「なれば、の? うふふっ。 ここから先は、夫婦(ふうふ)水入らずの時間―― うむっ!?」 【すみ】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……うむぅ」 【すみ】「……まさかと思うが、今の電話は…… (呼吸音)……あぁ……うむ……やはり、か――」 【すみ】「仕事とあらば仕方がない。 きっとまた、ひどく大変な仕事であろうが、 事故なく怪我なく、きちんとこなしてくるのじゃぞ?」 【すみ】「例えどれほど疲れておろうと―― この家に。 わらわのもとに―― 帰ってきてくれさえすれば……」 ;3/右 (接近囁き) 【すみ】「わらわがゆるぅりとじっくりと。 お主のつかれとこわばりを、いやし、ほどいてやるから、の?」 ;3/右 (通常) 【すみ】「なれば、気をつけていってまいれ! わらわらここで、ひとまずはお主を見送ろう。 けれどもすぐに、音引き出しのその一で――」 ;3/右 (接近囁き) 【すみ】「わらわと再び。 夫婦水入らずの、甘やかな時をすごそうぞ?」 ;環境音FO ;//////// ;音引き出しの一:随分と疲れておる様子じゃな(背中乗り踏み踏み) ;//////// :SE 土の上を足音、男一人 ;SE 足音止まる ;SE ガラリ戸開く ;9/前遠 【すみ】「おお! おかえり、わらわの旦那様」 ;1/前 【すみ】「うむうむ。よくぞ無事に帰ってきてくれた――む。 うむむ?」 ;1/前→;2/右前→;3/右 【すみ】「うむむむむ〜」 ;3/右→;2/右前→;1/前→;6/左前→;7/左 【すみ】「ふぅむ〜 これは〜 なんという顔色の悪さじゃ。 顔が青いを通りこし、いっそ白くなりそうではないか」 ;7/左 囁き 【すみ】「……大変だったのじゃな。 本当に、本当におつかれさま、じゃ」 ;7/左 通常 【すみ】「なれば、まずはあたたかなものでも飲むがよい。 茶を沸かすゆえ、お主はの? 居間でゆったりとくつろぐがよかろうぞ」 ;SE ガラリ戸締め ;SE 錠前かける 【すみ】「ふふふっ、これでしばらくはふたりきり、じゃの。 わらわにとっては幸いじゃ。」 ;7/左 囁き 【すみ】「お主が仕事ででかけておったさみしさを―― 独り占めして、ふたりっきりで…… たーっぷり埋めてもらえるのじゃからの」 ;1/前 【すみ】「とはもうせ―― そうするためにも、お主の疲れをほぐさねばの。 さてさて、居間へとまいろうぞ」 ;SE 廊下歩く、ふたり ;SE ふすまあけ ;環境音 和室室内(振り子時計?) 【すみ】「うふふっ、 ちょうど干しておった座布団をとりこんだところじゃった。 こうして――ん……並べ、て」 【すみ】「さぁさ、腹ばいに寝そべるがよいぞ―― あ、待って――やっぱり、その前に……じゃ」 ;3/右 口寄せ囁き 【すみ】「……おかえり、わらわの旦那様。 不在の間、さみしかったぞ?」 ;1/前 【すみ】「ん……(キス、長く)」 【すみ】「……ふぁ。ん……。 ふふっ――ほぐれるの。 唇を重ね合うだけで、こころの乾きが潤って、 こころが、とてもやわらかになる」 【すみ】「体の方も、このようにほぐしてやらねば、じゃの。 さ、ごろおりと―― 体をころがし、今度こそうつぶせになるがよい」 ;『ごろーり』いいながら;1/前→;7/左→;5/後 回り込み 【すみ】「ゆくぞ? 『ごろーーーり』」 【すみ】「うふふ。素直なよいこじゃの。 おお、そうじゃ、よいこにはご褒美をやらねばならぬの」 ;SE 頭なでなで(継続) 【すみ】「なでなで、なでなで。なでなで、なでなで。 お主は良いこじゃ。がんばりやさんで、とても素直じゃ。 なでなでなでなで、なでなでなでなで」 【すみ】「ああ――目を細めて、なんと可愛らしい顔じゃろう。 うむ? そうじゃ。『かわいらしい』じゃ」 【すみ】「世間の誰がかっこいいと申そうと、いけめんであると評しようと。あるいは逆に、ブサイクだの野暮ったいだのとけなしたとても、じゃ」 【すみ】「わらわにとって、お主はかわいい。 いつまでたっても、いくつになっても―― かわいいかわいい、わらわの大事な――想い人じゃ」 【すみ】「ふふっ……お顔がさらにやわらいだの? わらわもうれしい――ん……(呼吸)―― こうして……(呼吸音)――なでで、おるだけで――(呼吸音)」 【すみ】「……”撫でる”というのは、幸いに満ちた行為じゃの。 撫でるわらわの手も指先も……(呼吸音)――ふふっ、 さわさわと、くすぐられるようでとても心地よい上……」 【すみ】「(呼吸音)……撫でられるお主の安心しきったいきづかいがまた、わらわのこころを満たしてくれる。 なでなで、なでなで――うふふっ、とてもあたたかで、やさしくなれるの」 【すみ】「……いつまでもこうしておりたい気持ちもあるが―― しかし、うむ!」 ;SE なでなで終了。 ;SE 立ち上がる 【すみ】「体をほぐしてやらぬことには、お主の疲れも、なかなか抜けぬであろうからの。 まずはほぐして……ふふっ、 そこから先は、そのあとのこと。じゃの」 【すみ】「さて。なれば今からお主の背中にのるが―― どのようにして、ふみふみするのがお主の好みじゃ?」 ;3/右 に口寄せささやき 【すみ】「……わらわはいつでも、お主の望みに、必ず応える。 ゆえ、遠慮なく、思うがままにおねだりをして――かまわぬぞ?」 ;5/後  【すみ】「ふむ……ふむ…… ふふふっ――よかろう。わらわも、そうしたいと思っておった」 【すみ】「なれば、お主の服をめくるぞ? ん……」 ;SE 衣擦れ 【すみ】「で、わらわも――んしょ―――― 足袋を、ぬぎすて――<SE 足袋脱ぎ>――裸足に、なって――うむっ!」 【すみ】「では、乗るぞ? 万が一にもありえぬとは思うが、その……もし、重いと感じるようなことがあったら、そのときは遠慮なく申すが良い」 【すみ】「ん……っと――どうじゃ? まずは右足だけじゃが―― ふふふ、気持ちよいのじゃな? わらわの足が、ぽかぽかとしてぬくまるか?」 【すみ】「ふふっ、わらわは素直じゃからの。 ひさびさのお主とのひとときに―― お主とふたりきりで過ごせる時間に、 足の裏まで、喜んで熱くなっておるのじゃ」 【すみ】「と……申すか――その、の? …………重くは……ない、か?」 【すみ】「いやいやいや!? こころあたりなど全くないぞ!? お主がおらぬ――毎朝毎夜の口づけをかわせぬさみしさのあまり、甘い物をついつい食べすぎたなどということは、これは……うむ――」 【すみ】「全く、というと、ウソになってしまうかもしれんのぉ。 こころあたりは――あんまりない、のじゃ」 【すみ】「で、どうじゃ? わらわのその……重さ的な部分は――ふむ? ――おお! 」 【すみ】「うふふーん。軽いのならばなによりじゃ。 それでは遠慮なく両足で〜――よいしょ―― って、な、なんじゃ!? 今、おしつぶされたような声が聞こえた気がしたが――」 【すみ】「やはり、体重が増してしまった――む? うむ……気の所為、かの。 じゃの! うむ。きっとわらわの気のせいじゃ」 【すみ】「しかし――うむ。 ああした声も、聞いてみたような気がするの。 ほんの少しだけ苦しげで―― けれども、甘くこちよさげな…………えいっ!」 ;SE ぎゅむっ 【すみ】「ふふふっ、なんともかわらしい声じゃの。 おしりをつよぉく踏みつけられて―― 嫌がられるかとも心配したが。 あるいは……うふふっ? 旦那様には――」 ;7/左 接近ささやき 【すみ】「ご褒美になってしもうたか、の?」 ;5/後 【すみ】「……ふふふっ、素直な旦那様じゃ。 素直なこには、もーっとご褒美をやらねばならぬの? それでは――腰を背中を、肩を。 わらわの小さな裸足のあんよで―― たぁくさんふみふみしてあげるから、の?」 【すみ】「ん……<ふみふみ>――ふ……<ふみふみ>―― どう、じゃ? (呼吸音)――うふふっ、ここち、よかろう?――<ふみふみ>」 【すみ】「やはり、ん……<ふみふみ>――腰が、 ずいぶんと――(呼吸音)固く、なって――<ふみふみ>――しもうて、おる、の……(呼吸音)」 【すみ】「ん……む。けれど――も――<ふみふみ>―― こうして、踏みほぐす、だけで……<ふみふみ>―― ん……(呼吸音)――<ふみふみ>――((呼吸音)――<ふみふみ>……少し、ずつ……ん……(呼吸音)」 【すみ】「<ふみふみ>……ん……<ふみふみ>――(呼吸音)……」 【すみ】「う、む……<ふみふみ>……少しずつ……やわらかに――あたたかに――(呼吸音)――なって――<ふみふみ>……きておる……の」 【すみ】「なれば――<ふみふみ>――背中、へ、そろり、そろりと――<ふみふみ>――う、む……(呼吸音)」 【すみ】「苦しくなったら、すぐ申すのじゃぞ? ん……<ふみふみ>――おおお、背中も――<ふみふみ>――ばりばり、じゃ、のぉ――<ふみふみ>」 【すみ】「いったいぜんたい――ん……<ふみふみ>――なにを、いたしたら――<ふみふみ>――これほど、までに……(呼吸音)――全身、こって……<ふみふみ>――しまうの、じゃ?」 【すみ】「うむ……<ふみふみ>……うむ……<ふみふみ>―― ああ――(呼吸音)――うむ――<ふみふみ>――う、む――<ふみふみ>」 【すみ】「ほほぉ……センポクカンポク、の――<ふみふみ>―― ここ、茂伸では――<ふみふみ>――見たこと、も―― <ふみふみ>――聞いたことも、ない――(呼吸音)―― あやかし――じゃ、の――<ふみふみ>」 【すみ】「センポクカンポク……<ふみふみ>――ふぅむ、カエルの――あやかし……か――<ふみふみ>――」 【すみ】「……そのあやかしを……茂伸に迎え入れるため――<ふみふみ>――お主が、はるばる、越中富山に…… <ふみふ>……ほう……ふむ……(呼吸音)――その上……(呼吸音)――ふぅむ」 【すみ】「なるほど……それほどのあやかしであれば――<ふみふみ>……縁もゆかりもない茂伸に来てまで生き延びるより……<ふみふみ>――いっそのこと……(呼吸音)」 【すみ】「かつては己が大いに愛され敬われていた…… <ふみふみ>――越中富山のその土地で――<ふみふみ>――人に完全に忘れ去られて……(呼吸音)――消えうせることになったとしても――<ふみふみ>」 【すみ】「ん……っと――背中も随分ほぐれたの。 なれば……ん――<ふみふみ>――仕上げに、肩じゃ――(呼吸音)――の」 【すみ】「よ……っと――(呼吸音)……ん――<ふみふみ> ――ああ、肩も……<ふみふみ>……ガチガチに硬い……<ふみふみ>――のぉ」 【すみ】「ま、無理からぬのことであるかの――<ふみふみ> ――センポクカンポクの条件をのみ――<ふみふみ> ……ん……(呼吸音)――」 【すみ】「遠い昔に――<ふみふみ>――センポクカンポクが祀られておったという大岩を……ん……(呼吸音)―― 動かす、ために――<ふみふみ>――金気を一切つかわずに――<ふみふみ>――掘り返した、と――<ふみふみ>――ふぅむ、大変な苦労じゃったろうの……」 【すみ】「お主のことじゃ……ん……<ふみふみ>……うまい工夫をしたのであろうが――<ふみふみ>――それでもやはり、――体を大いに酷使せざるを――<ふみふみ>――得なかったであろうし――のっ! うむっ!!」 【すみ】「どうじゃ? ふふふっ。 腰も背中も肩も、すっかりと軽くなったであろう? ――とっ!」 ;SE 両足で畳に飛び降りる 【すみ】「あとは、仕上げに前肩じゃの。 すまぬが、仰向けになってくれるか?」 ;1/前 【すみ】「……うむ。仰向けになったその肩に、わらわが乗って、ふみふみをしてやるからの? ――ん……しょ」 ;SE 片足ずつ肩に乗る 【すみ】「ふふふっ――どうじゃ? 佳きながめかの? ふみふみ――<ふみふみ>――ふみふみ――うふふふふっ?」 【すみ】「の? 旦那様。 もしもお主がそうのぞむなら――」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「お顔もわらわのちいさなあんよで、 そーっとやさしく、ふみふみしても、良いのじゃぞ?」 ;1/前 【すみ】「なれば、そ〜〜〜っと 」 【すみ】「む。なんじゃ。 体の疲れがほぐれたら、 こんどはお腹がすいてきたのか?」 【すみ】「わらわの旦那様は単純、じゃの。 まぁ、そこも素敵なところなのじゃが」 【すみ】「なれば、少し早いが夕餉(ゆうげ)にしようぞ? うふふふふっ―― 『腹が減っては戦もできぬ』ともうすゆえ――のっ!」 ;SE (Vol↑) 顔ふみ むぎゅっ ;環境音 オフ ;//////// ;音引き出しの二:たくさん食べたの。食休みはいかがする?(蒸しタオルでアイマッサージ ;//////// ;環境音 弱火にかけられた蒸し器が蒸気あげつづける(しゅんしゅん系) ;SE 包丁千切り ;13/後遠 【すみ】「さて、できた!」 ;SE 食器運ぶ ;9/前遠 【すみ】「うふふ〜っ。お主の好物で取り揃えたぞ? 今日はえみも夏葉もお泊りゆえに、 子供向けの味つけも不要であるしの」 【すみ】「ん? ああ……お泊り保育、というヤツじゃ。 そうじゃ、昨年できた、『ものべの保育園』―― 人の子もあやかしの子も半妖の子も預かってくれる、 あそこでの学習の一貫じゃ」 【すみ】「ああああ、まことに親ばかじゃのう。 が、安心してよいぞ? ……かわいいかわいい一人娘が心配なのは、わらわも同じじゃ、そこは幾重にも手当しておる」 【すみ】「手当の内容もよいが、食べながらにせぬか? せっかくの料理が冷めてしまってはもったいなかろう?」 【すみ】「うむ――では。 『いただきます』じゃ」 【すみ】「あああ! 待て待て。 せーっかくの、ひっさびさの”夫婦水入らず”なのじゃぞ?」 【すみ】「……左様じゃ。うふふっ。 なにから食べたい? ――(呼吸音)―― あいわかった、南瓜の煮付けじゃな?」 ;トラック終わりまで。『あーん』で;1/前 接近囁き ;あーん終わったらすぐ ;9/前遠に戻る 【すみ】「それでは――うふふっ 『あーーーーーん』」 【すみ】「……(呼吸音)――ん。言わずともわかるぞ、その顔を見れば。 良い味にしあがったようじゃな。 なれば、わらわも――む?」 【すみ】「ああ、ふふふっ。 そうじゃった。夫婦水入らずであるのじゃものな」 【すみ】「なれば、よろしく頼むぞ? 『あーーーーん』 (はむっ)」 ;ごく、までもぐもぐ 【すみ】「(もぐっ――もぐっ――)んん〜っ! これは、よい甘さになったの〜 ――(ごくっ)」 【すみ】「ではでは次は、お主の一番の大好物! 鯛の塩焼きを〜―――― ほぉれ――『あ〜〜ん』 じゃ。うふふふふっ」 【すみ】「(呼吸音)……なんとも幸せそうな顔じゃの。 見ているだけでわらわも――うむ?」 【すみ】「ああ。で、あったの。 (はむっ――もぐもぐ――こくっ) えみの、お泊り保育の話じゃ」 【すみ】「安全のため手当の第一は―― (はむっ――もぐもぐ――こくっ) ん…… うたれ――鉄砲撃レ狸じゃの。 ぽんぽこかわいい見た目とはいえ、その実、四国八百八狸の八百八番」 【すみ】「(はむっ――もぐもぐ――こくっ) うたれめが、いかに斥候として優れたあやかしか…… お主とわらわは、よーくしっておるからの。 あれがついておれば、安心じゃ」 【すみ】「もともと、うたれが保育園に入園したのも―― (ずずっ――ずっ――ずううっ――ごくっ) ああ……味噌汁も良い味じゃのお。 マルトチで売っておった、『クマ味噌』。 試しにと購入してみたが――大正解じゃの」 【すみ】「甘めで濃い味の味噌汁ゆえに―― (はむっ――ぱりっ――ぽりっ――ごくっ) ん! キュウリの爽やかが、なんとここちよく口を洗ってくれることか――あ」 【すみ】「すまぬすまぬ。うたれめが保育園に入園したのも―― (はむっ――もむっ、もむっ――こくっ) 人間のしきたりをいろはのいから学ぶため……とは申しておったが――」 【すみ】「実際のところは、大好きな親友―― えみをケガや災いから守ろうとするためでもあろう? まことにありがたいことじゃ」 【すみ】「(はむっ――もぐっ、もぐっ――ずずっ――ごくんっ) なにせえみと来たら……(ためいき)――」 【すみ】「走り回る飛び回るはしゃぎまわる。 茂みがあればかき分ける、穴があいていれば入り込む、塀があれば乗り越える……」 【すみ】「(ためいき)――保育園に入園しても、はちきんなところは全く収まってくれぬからのう―― (はむっ――ぱりっ――ぽりっ――ごくっ)」 【すみ】「ん? ああ……じゃの。 確かに夏葉の例もある。 お主のかわいい妹は……ふふっ、 やはり相当なはちきんじゃったが――」 【すみ】「最近はすっかり娘らしく―― (ずずっ――ずっ――ごくっ) ふあっ…… なってきておるからの」 【すみ】「此度(こたび)のお泊り保育にも……ふふっ。 最初はわらわが、保護者としてついていくはずであったのじゃが――」 【すみ】「お主の帰りがちょうど今日となるという連絡を受けた途端、の? 『すみちゃん! お泊り保育、夏葉が付き添いしてきたげるね?』と―― ふふふ、わらわたちに、夫婦水入らずを堪能させてくれようとしたのであろうの。 こどもには到底できぬ気遣いじゃ」 【すみ】「えみもいずれは夏葉のように、少しずつ……ん? ああ、待つがよい。 最後のひとくちも――の?」 【すみ】「はい――『あーーーーーんっ』」 【すみ】「で、わらわにも、じゃ? よろしく頼むぞ? 旦那様。 うむ 『あーーーーーーーんっ』 (はむっ――むしゃっ――むしゃ――こくんっ)」 【すみ】「ふぁあ、おいしかったの。 『ごちそうさま、じゃ』」 【すみ】「ん? ああ――ふふふっ」 ;環境音 Vol↑ 【すみ】「……(呼吸音)」 【すみ】「……蒸し器であれば、ふかし芋でも茶碗蒸しでもないぞ?」 ;SE コンロの火消す ;環境音off ;SE 蒸し器の蓋あける ;11/右遠 【すみ】「あつっ! うう……少しさまさねばダメじゃの」 【すみ】「菜箸でつまんで―― (ふーーーっ、ふーーーーっ、ふーーっ、ふーーーっ)」 【すみ】「……ん……(ふーーっっ)――っと、 少しあついが、このくらいがちょうどよい、かの?」 【すみ】「うむ。左様じゃ。蒸し手ぬぐいじゃ。 お主は疲れが目にくるからのー。 ああ、そのままで良い。 そのまま、顔を上に向け、そーっと目を閉じるだけでよい」 ;7/左 接近囁き 【すみ】「目の上に、むしてぬぐいを乗せるからの? すこぉしだけ熱いかもしれんが――ガマン、じゃぞ?」 【すみ】「ん……((呼吸音)」 ;6/後左 【すみ】「ふふっ、気持ちよさそうな声がもれたの? ふむ? ――(呼吸音)―― それほどまでにここちよいなら、なによりじゃ」 ;5/後 【すみ】「では、ゆるゆると目の疲れもほぐしてまいろうぞ。 まずは、両手を両目の上に――かるぅくかるぅく、そっと乗せるぞ?」 【すみ】「ん……(呼吸音)……(呼吸音)(呼吸音)――」 【すみ】「ここちよかろう? もう少しこのまま、目と目のまわりとをあたためようの?」 【すみ】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……」 【すみ】「……うむ。ぬくまってまいったかの? それではゆるゆる、まぶたの上からほぐしていくぞ?」 【すみ】「ゆるーくゆるーく。かるぅくかるぅく触れてまいるが、 少しでも目が重くなったら、すぐに手をあげるのじゃぞ? そこが、やめどき。 なにせ目は、とても繊細な器官じゃからの」 【すみ】「なれば、まいるぞ? 両手の指を三本ずつ。両のまぶたの上からそえて―― ん……(呼吸音)――眼球の丸みに沿わせるように―― そっと……そうっ――<SE アイマッサージ=目揉み>」 【すみ】「<目揉み><目揉み><目揉み>…… んっ――呼吸音)……<目揉み>(呼吸音)……<目揉み>(呼吸音)――」 【すみ】「ふふっ? ここちよかろう? <目揉み>――揉む、と申すより、撫ぜるじゃが――<目揉み>(呼吸音)――このゆるやかな触感こそが――<目揉み>ん……(呼吸音)」 【すみ】「――目と、こころとを――<目揉み>――同時に……<目揉み>(呼吸音)――ほぐすものと聞く」 【すみ】「ん? ああ、教わったのはひめみやめ――<目揉み> 当代の方の、ひめみやに、じゃ……(呼吸音)――」 【すみ】「ひめみやめが、村長にやらせておるのを――<目揉み>――届け物があったときに偶然――ん……目にして――の――<目揉み>(呼吸音)」 【すみ】「ひめみやめが疲れを見せる姿なぞ……<目揉み>(呼吸音)――わらわは、はじめて目にしたゆえの―― <目揉み>――話を聞いて……(呼吸音)――そのときに、やり方も教わったのじゃ――<目揉み>(呼吸音)――お」 【すみ】「手があがったの。なれば、まぶたの上はこれまでじゃ。 あああっと、まだじゃ。蒸してぬぐいをどけるでない」 ;6/後左 接近囁き 【すみ】「揉まれた瞳を休めるためにも――(ふーーーっ) もうしばし……わらわに預けておくがよい」 ;5/後 【すみ】「瞳を休めるその間――ん――<SE; こめかみ揉み>――こうして、目のフチからこめかみまでを……(呼吸音)<こめかみ揉み>――強めに――ん……ほぐして―― <こめかみ揉み>――やる、ゆえ――のっ」 【すみ】「ん……<こめかみ揉み>(呼吸音)―― <こめかみ揉み>(呼吸音)―― <こめかみ揉み>……っ――<こめかみ揉み>(呼吸音)」 【すみ】「しかし……ん――<こめかみ揉み>…… 当代ひめみやまでを動かして……<こめかみ揉み>…… 他県のあやかしを、この茂伸に――<こめかみ揉み>…… 開祖ひめみやは……なにゆえ……ん――<こめかみ揉み>――集めようと、しておるのか、の?」 【すみ】「……(呼吸音)――ふぅむ。お主も聞いておらぬか……<こめかみ揉み>――お主のみならず……ん――<こめかみ揉み>(呼吸音)――当代ひめみや、も……<こめかみ揉み>……ん――知らぬ様子、と――<こめかみ揉み>」 【すみ】「……わらわはなどには……ん……<こめかみ揉み>、あやかしの数を、増やすほど――(呼吸音)――人と、あやかしと、半妖と――<こめかみ揉み>――の――」 【すみ】「ともに……<こめかみ揉み>――ここちよく、くらしていくための――<こめかみ揉み>(呼吸音)――つりあいを、とるのが……むつかしくなりそうに――<こめかみ揉み>、思えて、しまう、が――<こめかみ揉み>」 【すみ】「カミたるものには、カミたるものの高みからしか――<こめかみ揉み>――見えぬ、物事もあるのであろう、の――<こめかみ揉み>――っと!……(呼吸音)」 【すみ】「ふふふっ、どうじゃ? 目の疲れもかなりほぐれて、軽くなったのではないか?」 【すみ】「ふむ……ふむ――(呼吸音)。なればよかった。 終わりの方は、お主もう、うとうとと舟を漕ぎかけておったであろう? ――うむ? ……ふむ……ほぉ」 【すみ】「なるほどなるほど。 『半分寝てて、話も実はあんまり聞けてなかったかも』か。 ……うふふっ。なーれーば、じゃ!」 ;7/左 【すみ】「えいっ!!」 ;7/左 接近囁き 【すみ】「お耳の汚れも、つかれといっしょに―― ゆるりと、取り除いてしまおうぞ?」 ;//////// ;音引き出しの三:こうして耳掃除をしておると、あのときのことを思い出すの(右耳の耳掃除) ;//////// ;環境音 寝室内 ;3/右 【すみ】「……ふふ。ひざまくらも、久しぶりじゃの?」 【すみ】「娘が……えみができてからこっち。 夫婦水入らずの時間も、すっかりと減ってしもうたゆえの」 【すみ】「娘ができるということが、これほどに大変で忙しいこととは思わなかった。 そうして、の? その何十倍も」 【すみ】「大きな大きな喜びと、幸いに満ちたものとも…… わらわは、まったく知らなかった」 【すみ】「が、の?」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーーーっ)」 【すみ】「こうした甘さは……ふふふっ。 お主とだけしか、決して味わえぬものゆえに…… (耳にキス)」 ;3/右 【すみ】「いまは。ゆるりと甘え合おうぞ? 力をぬいて、こころをほどいて……」 【すみ】「うむ。そうじゃ。 そうしてわらわに全てをゆだねて…… ゆぅるくゆるぅく……ひとつに、溶け合ってまいろうぞ」 【すみ】「では、じゃ」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふっ!)」 ;3/右 【すみ】「……長旅から帰ってすぐゆえに、 いささかよごれてしまっておるの。 まずは――うむ、まわりから綺麗に整えようぞ」 【すみ】「ん……」 ;SE 箱からティッシュ抜く 【すみ】「まずは、ちり紙でぞろりと参るぞ? 力をぬいて、瞳を閉じて…… わらわに、全てを任せておくのじゃ」 ;SE ちり紙で耳の後拭く 【すみ】「耳の後を……丁寧に……<拭き>――ん…… 形に、そって……<拭き>ゆるり――ゆるり、と―― <拭き>」 【すみ】「そうして、次、は――」 ;SE 耳の表裏を、挟み込んでティッシュで拭く 【すみ】「耳をちり紙で挟み込み……<挟み拭き>…… 強めに、ごし、ごし――<挟み拭き>ん……(呼吸音) ――こうして、何度も――<挟み拭き>―― 丹念、に……<鋏拭き>」 【すみ】「……<挟み拭き>――(呼吸音)―― ん……<挟み拭き>――(呼吸音)―― んしょ、ん。――……<挟み拭き>――(呼吸音)――」 【すみ】「……こんなもの、かの? どれ?」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーーっ)。 おお、うむうむ。上出来じゃ。 (ちゅっ!)」 ;3/右 【すみ】「これ以上は、お風呂に入って、濡れ手ぬぐいで、じゃの。 ゆえ、今は――うふふっ、お耳掃除を、 このままゆるゆる、進めて参るぞ?」 【すみ】「……うふふ。こくん、って。いいこじゃの。 なんと素直でかわいいこじゃ」 【すみ】「<;SE 頭なでなで>いいこ……<頭なで>いいこ…… いいこ……<頭なで>……いいこ<頭なで>―― ん。うふふふふっ」 【すみ】「ではでは〜参るぞ〜 さすがにお主の耳の穴は、えみのものより随分おおきく、見やすい――が――((呼吸音)」 【すみ】「最初は、ゆるりと……慎重――に――<;SE 耳かき音>」 【すみ】「ん……(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>」 【すみ】「ふぅ。まずはひとつ、じゃ」 :SE ティッシュで耳かき拭く 【すみ】「今度は、もう少し――(呼吸音)――奥、まで―― <耳かき音>――まいる――ぞ?――<耳かき音>」 【すみ】「……ん……<耳かき音>――っと――<耳かき音> ――(ごくり)――<耳かき音>――うむ……ん。 (呼吸音)――そー、っと――<耳かき音>」 【すみ】「ふふ……こうも……慎重に――<耳かき音>―― みみかきを、する、と……<耳かき音>―― はじめての、ときを――<耳かき音>――ん…… (呼吸音)――思い出す、の――<耳かき音>」 【すみ】「ん? ああ……えみの――<耳かき音>―― 娘の――はじめての、ときも――<耳かき音>―― この、くらいに――いや……<耳かき音>―― もっと、ずうっと……慎重で、あった……(呼吸音) が――<耳かき音>」 【すみ】「いま、の? わらわが思い出してしもうたのは――<耳かき音>――ふふっ――お主が、ちいさなころのことじゃ――<耳かき音>」 【すみ】「お主は、忘れてしもうかたかの? ――<耳かき音>――なにせお主とわらわとは……<耳かき音>―― どのような新しい経験も……ふふっ――<耳かき音>―― つねに、ともに、手をとりあって重ねてきたゆえ――<耳かき音>」 【すみ】「ゆえに……の? <耳かき音>――わらわは―― あのとき――……(呼吸音)――口惜しかったのじゃ。 ……<耳かき音>――お主の……両親以外のものが行う……<耳かき音>……ちいさなお主の……<耳かき音>―― はじめての、耳かき――を――(呼吸音)」 【すみ】「……ままごとあそびの、中とはいえど――<耳かき音>――たんなる、”ごっこ”と、わかっていても……」 【すみ】「(呼吸音)――お主よりさらに小さく幼い――。 ん……<耳かき音>……ただの、お隣の、小娘に…… 有島ありすに――<耳かき音>――奪われて、しまったと、いうことを……<耳かき音>」 【すみ】「うむ! そうじゃ。ふふ、お主も覚えておったか…… (呼吸音)――ごっこ遊びのそのあとで――<耳かき音>――すぐに帰って、手ぬぐいでごしごしと耳を洗って――<耳かき音>」 【すみ】「ん……((呼吸音)。 ごっこ遊びではない耳かきを――<耳かき音>―― こう、する……本物の、耳かき、を――<耳かき音>――あ」 【すみ】「……<耳かき音>……(呼吸音)…… ん――<耳かき音>――(呼吸音)―― <耳かき音>……<耳かき音>――ふっ」 【すみ】「……あのときは……うむ――<耳かき音>。 わらわも、いまより、不器用で――<耳かき音>―― お主の耳は――耳の……穴は――<耳かき音>―― 本当にちいさく……せまく……て、の――<耳かき音>」 【すみ】「どうしても……お主のはじめてが――ほしくって――<耳かき音>―― けれども万一、万々が一にでも――<耳かき音>―― おぬしに――ケガ、なぞ――(呼吸音)――させたく、なく、って――<耳かき音>」 【すみ】「うむっ。じゃったの。 何分も、何十分も……<耳かき音>―― お主の、耳を、睨みつけ――<耳かき音>―― 全く、動く、ことが――でき、ずに――<耳かき音>」 【すみ】「((呼吸音)……ようやく決心をつけ、そろり――っと――<耳かき音>―― ほんのわずかに、耳かきの先端を差し込み、抜いて―― うふふふっ――じゃの、あれがわらわとお主の、 はじめての耳かきであった」 【すみ】「あのころのと比べると、ふふっ――<耳かき音>―― お主はこんなに大きくなったし――<耳かき音>―― わらわも……の?――<耳かき音>――うむっ!」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーーっ)」 【すみ】「随分と上手になったであろう?」 ;3/右 【すみ】「どれ、そのまま耳を見せてみよ? ん……(呼吸音)―― うーむ――(呼吸音)――うん」 【すみ】「右耳はこれで綺麗になったの。 上出来じゃ、さて――うむ?」 【すみ】「なんじゃ? どうした? なにゆえ左様に、ニヤニヤとした顔をしておる?」 【すみ】「ふむ……ふむ――ん? さっきの、はじめての耳かきの話か? あれが、どうかしたのか? ――うむ」 【すみ】「うむ……(呼吸音)――うみ――(呼吸音)―― ふあっ!? わ、わらわにはそのような気は―― うむむ〜―― い、いやらしいように聞こえたのなら、 それはお主の――お主のとりようの問題じゃ!!」 【すみ】「そのように妙なからかいを申すなら―― もうっ、わらわはこのまま、 お主をおいて、ひとりぼっちで眠ってしまうぞ?」 【すみ】「ん? ――うむ――うむっ。 わかってくれればそれでよい。 まぁ……それに、わらわとて、 まぜっかえしたくなったお主の気持ち、わからぬではない」 【すみ】「話していたときは、耳かきのこともあり、すっかり夢中になってしまっておったが…… 我にかえれば、の。 昔話は、やはりどこかが、照れくさく、こそばゆいような気持ちにも………………(呼吸音)」 【すみ】「いや、あれじゃ。 冷静になって思い返せば―― あのころの、あそびたいさかり、わんぱく盛りであったお主が、よくもまぁ」 【すみ】「わらわの耳かきにつきあって、何分も何十分も動かずにガマンを…… っと、まだ耳かきの途中であったの」 【すみ】「なれば、うふふっ。 話の続きは、お主の左の耳の穴へと流そうぞ?」 【すみ】「そのままごろりと転がって、上にする耳を入れ替えるがよい。よいか? まいるぞ?」 ;ごろーり言いながら、;3/右→;1/前→;7/左 【すみ】「そぉれ。 『ごろおーーーり』」 【すみ】「うむっ!」 ;環境音 F.O. ;//////// ;音引き出しの四:反対側もじゃ。そぉれ。『ごろおり』(左耳の耳掃除+こよりで仕上げ) ;//////// ;環境音 寝室 ;7/左 【すみ】「で、は……の?」 ;SE ティッシュ箱から取る ;SE ティッシュで耳かきふく ;7/左 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーーーーっ)」 【すみ】「こちらのお耳も…… ふふふっ、キレイキレイにいたそうぞ?」 ;7/左 【すみ】「ん……<耳かき音>――<耳かき音>――<耳かき音>――と……<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>」 【すみ】「(ふっ!)……うむ――ん……<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――<耳かき音>――ん……」 【すみ】「で、の? ……<耳かき音>――先程の話の……<耳かき音>――続き、じゃが――<耳かき音>」 【すみ】「遊びたいさかりの、小さなお主が……<耳かき音>―― 何十分も……じいっと――(呼吸音)――我慢、し―― <耳かき音>」 【すみ】「っ……ん――<耳かき音>――わらわの、耳かきが――<耳かき音>――はじまるの、を――(呼吸音)――」 【すみ】「……<耳かき音>……<耳かき音>――我慢、しつづけて、くれた――の――<耳かき音>――は……」 【すみ】「ふむ?……(呼吸音)――(呼吸音)――うふふっ、 やはりか――」 【すみ】「おぬしも、やはり――<耳かき音>――はじめての、 ん……本物の、耳かき――<耳かき音>――を――」 【すみ】「わらわに、やって……<耳かき音>――もらいたい、と――<耳かき音>――思って、くれて――(呼吸音)―― おったの、じゃな……<耳かき音>」 【すみ】「うれしい、ことじゃ――<耳かき音>―― ほんの、ちいさな、ことではあろうが――<耳かき音> ――それでも、の――(呼吸音)―― やはり、うれしい――<耳かき音>」 【すみ】「……えみのことも――同じじゃの――<耳かき音>―― わらわらたちの……はじめての、子……<耳かき音>―― お主と、わらわを――ふふっ――『おとうさんと、おかあさん』に……<耳かき音>――して、くれた、子――<耳かき音>」 【すみ】「えみがくれた……<耳かき音>――たくさんの、たくさんの――初めては――(呼吸音)――うむ。じゃの。 ――どれも、まことにうれしくて――<耳かき音>―― 特別極まりないこと、じゃ――<耳かき音>」 【すみ】「ふふふっ――えみが、はじめて発した言葉は―― 『かぁたん』じゃったの――<耳かき音>―― あのときの――ふふっ――<耳かき音>―― お主の、くやしがりようときたら――<耳かき音>」 【すみ】「ああ……じゃの。で、あった――<耳かき音>―― 初めて、えみが――<耳かき音>――立ち上がるのを――<耳かき音>――目にした、のは――(呼吸音)―― ん……<耳かき音>――お主、ひとりで――<耳かき音>、あった、の」 【すみ】「その瞬間に……<耳かき音>――立ち会えなかったことも――<耳かき音>――まことに、残念なことであったが……(呼吸音)……」 【すみ】「ん……<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)…………」 【すみ】「ん? ああ――<耳かき音>――。 であるの。わらわも、お主と同じ――(呼吸音)―― おんなじことを……懐かしく思い出しておった」 【すみ】「……飛車角。じゃったの。 えみが初めて歩くのを、目にし、支えてくれたは」 【すみ】「……(呼吸音)――<耳かき音>――<耳かき音>――」 【すみ】「……の……飛車角は…… あの、ぼろ傘のあやかしは……」 【すみ】「……<耳かき音>――どうして、おるかの――(呼吸音) ――かやりの、風に吹かれた果てで……(呼吸音)――」 【すみ】「人の、あやかしの、神の噂に伝え聞く……<耳かき音> ――根の国、なる名の――黄昏の、果てで……(呼吸音)」 【すみ】「今も、誰かを……<耳かき音>――雨から、守っておるのか、の――(呼吸音)―― わらわに、お主に――えみを、夏葉に―― ずうっと……そうしてくれていたのと――おんなじに」 【すみ】「……(呼吸音)……(呼吸音)」 ;SE 落涙 【すみ】「あっ! す、すまぬっ。冷たかったか!? い、いや――泣いて、泣いてなぞおらぬぞ? ――悲しくないのに、泣くものか」 【すみ】「……飛車角は。わらわたちをずっと、ずうっと―― 大嵐から守り続けてくれたあの傘は。 さだめを、役目を、見事に果たしきったのじゃ――」 【すみ】「あれほど見事な最後を目にし―― えみを、お主を託されて…… ふふっ、悲しむなどは、ありえぬであろ? 浮かぶのはただ、感謝と、敬意と――(呼吸音)――」 【すみ】「ん?……ああ、であるの。 感謝と敬意に満たされたとて―― 笑顔で見送るべきであるとて…… (呼吸音)――やはり、少しは……寂しくあるの」 【すみ】「じゃが。ん――<耳かき音>―― 寂しさなどは――このようにして――<耳かき音>―― 日々の、仕事に――<耳かき音>――手を動かすうち―― <耳かき音>――散って、まぎれて……(呼吸音)―― 薄れる、ものじゃ――っと!」 ;7/左 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーーーーーっ)」 【すみ】「ん……(呼吸音)――うむっ! 綺麗になったな」 ;7/左 (舐め音は接近で) 【すみ】「なれば、仕上げじゃ。――ああ、そのまえに―― (ほっぺを舐める音)」 【すみ】「うむ? 違うぞ? わらわは、泣いてなどおらぬゆえ。 いまのは……ただ、そう。 お主に口づけしたいと思った――それだけじゃ」 【すみ】「さて、と――それでは、仕上げるぞ? まずは――ん……」 ;SE ティッシュこよる 【すみ】「ちり紙を、こよりに――して――じゃ」 【すみ】「こよりを使って――<;SE こより耳に入れる>―― 耳の奥まで――<こより入れ>――ん……(呼吸音) ――綺麗、綺麗に……<こより入れ>――ん……っと」 :SE こよりよじってがさごそ ;7/左 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーっ)……んー?…… うむ!」 ;7/左 【すみ】「これでこちらはよろしいの。 では、もう一度、仕上げのごろーんじゃ」 ;ごろーんで ;7/左→;5/後→;3/右 【すみ】「参るぞ〜 せーの 『ごろーーーん』」 ;3/右 【すみ】「うむうむ。良い子じゃ――それでは……ん――」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふっ!)」 ;3/右 【すみ】「……こちらの、耳も――<こより入れ>……ん…… (呼吸音)――奥、の――<こより入れ>――奥、まで――<こより入れ>」 【すみ】「<こより入れ>……っと――ん――<こより入れ> (呼吸音)――よ……<こより入れ>――と――<こより入れ>――うむっ!」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「(ふーーーーっ)」 ;3/右 【すみ】「しあがった、の。 どうじゃ? お耳がスッキリしたのでは――お―― おお、おお、おお!」 【すみ】「うふふふふっ、なぁんと見事な大あくびじゃ!」 【すみ】「床の支度は整えてある。 ほんとは、の? せっかくの二人きりの夜でもあるし――その……」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「……えみに、弟か妹でも、と―― 考えないでも、なかったが……の」 ;3/右 【すみ】「こよいのお主の疲れ具合を見てしまっては、 明日の晩にあらためたほうがよろしかろう、の?」 【すみ】「ふふふっ、よいよい、無理するでない。 夫婦の夜は、この先いくらも楽しめるのじゃ」 【すみ】「疲れた体を、ほぐし、蕩(とろ)かした今宵くらいは―― ふふっ、の? わらわの旦那様?」 ;3/右 接近囁き 【すみ】「わらわに甘え、全てゆだねて―― こころも蕩かし、眠ってしまうがよかろうぞ」 ;環境音 F.O. ;//////// ;音引き出しの五:ふふ、大あくびじゃの。……仕方ない。今宵はこのまま、眠るがよいぞ?(添い寝語り ;//////// ;環境音 寝室、柱時計 ;1/前 ;ずっとピロートーク ;SE がさごそ(布団に入る) 【すみ】「あ……ぬくもるの。 ふふ、お主とともに入る布団は―― なんとも、至極のあたたかさじゃ……」 【すみ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……」 【すみ】「ん? いかがした? 久々の、柱時計の振り子の音が気になるか? でかけた先で過ごした夜は、時計の音がせぬ夜じゃったか?」 【すみ】「……(呼吸音)……(呼吸音)――ふふっ…… うれしいことを申してくれるの」 【すみ】「わらわも、この音が大好きじゃ。 ちく、たく、ちく、たく。 ちく、たく、ちく、たく」 ;環境音 vol ↑ 【すみ】「……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」 【すみ】「ちく、たく、ちく、たく。 ちく、たく、ちく、たく。 まるで、鼓動と聞こえるの」 【すみ】「わらわがこの家に呼ばわれるよりさらに前から、 この家の時を刻み続けている時計の―― すなわち、この家の歩みの、鼓動じゃ」 【すみ】「ちく、たく、ちく、たく。ぼーん、ぼーん。 ……この鼓動の中、お主が産まれ、わらわが呼ばわれ、 夏葉が産まれ――同じ鼓動の刻まれる中、みな、それぞれの時を重ねた」 【すみ】「やがて……ふふっ、お主とわらわが結ばれて―― 新しい鼓動が――えみが、産まれた」 【すみ】「……いつの日か、えみも美しく健やかに育ち、 愛すべきだれかと結ばれて、あらたな鼓動を――うむ?」 【すみ】「……ふふふ、親バカじゃの。 30になっても40になっても嫁入りせぬなら、 それはそれで、大いに嘆いて惑うであろうに……」 【すみ】「しかし、まぁ……うむ。 気の早すぎる話であったか。 えみはまだ、小等部にもあがらぬ年であるものの」 【すみ】「ん……(あくび)――ふぁ―― むぅ。お主のあくびがうつってしもうた」 【すみ】「……向き合って、視線をまじえてはなしているのは、 この上なく幸いなことではあるが…… うむ……じゃの?」 ;7/左 【すみ】「(長い息)」 【すみ】「……こうして目を閉じ、天井を向き話しておると―― (呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)」 【すみ】「……不思議、じゃの。 目を開き、むきあって話していたときよりも―― (呼吸音)――お主の、顔が……ふぁ…… 表情が――より、はっきりと――伝わってくるように思える……」 【すみ】「ん? あ――お主も、か? ふふ…… なれば、あるいは――(呼吸音)―― そういうもの、なのかもしれんの」 【すみ】「(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)――」 【すみ】「声は、呼吸は――きっと、多くを伝えておるのじゃ。 意味、だけではなく――(呼吸音)――感情も――距離感も――こころも――温度も――あるいは、もっと、もっと多くの……言葉には直せないものの」 【すみ】「けれども……目に見えるものはつよいゆえ…… 開いた目からとびこんでくる、鮮やかすぎる数多のものが……(呼吸音)…… きっと、聞こえてくるものの、多くを塗りつぶしてしまうのじゃ――(呼吸音)」 【すみ】「……見つめ合うことよりも……あるいは、もしや…… 肌を重ね合うそのことよりも……」 【すみ】「こうして……並んで……目を閉じて……(呼吸音)――ゆるやかに、呼吸を合わせることが――」 【すみ】「(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――」 【すみ】「とても静かで繊細で……けれども、深く大事な思いを……他のなにより雄弁に……伝えあってくれるような気が……わらわには、する」 【すみ】「お主は、どうじゃ? ……(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――」 【すみ】「ふふふっ。左様か。 うれしい、の――お主の素直な気持ちをこうして、きくことが――(呼吸音)―― お主の声と、わらわの声が―― わらわの息とお主の息が――まじりあい、とけていくことが」 【すみ】「ん……(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)――」 【すみ】「ふふふっ、今度は小さなあくび――あ――む…… ファ――(あくび)……ん、む」 【すみ】「またお主から、あくびをうつされてしもうたの。 ……体も、どんどんぽかぽかしてきた――」 【すみ】「お主のくれたぬくもりか…… お主とともに静かに眠るうれしさに…… はしゃいでしもうて……ふぁ―― わらわの体が……あるいは発する……ぬくもり、か」 【すみ】「……ふふ。そうじゃの。 どちらであろうと、おなじ、じゃの」 【すみ】「……いま、この瞬間のわらわとお主は…… ゆるみ、ひろがり、お互いとけあっておるからの…… ふふっ――」 【すみ】「手……ふふっ――お主も同じ気持ちであったか」 【すみ】「ん……(呼吸音)――(呼吸音)――(呼吸音)――」 【すみ】「あたたか、じゃの。 手をつないだまま夢路へと、とけてゆくのも―― また幸いじゃ……(あくび)」 【すみ】「ああ……もう眠い。 わらわもそろそろ……唇を、とじたく…… 思うの……じゃけれど――」 ;1/前 【すみ】「あ――――(キス)……んっ――(キス)(キス)」 ;7/左 接近囁き 【すみ】「甘やかな鍵をかけられたゆえ―― ふふ、わらわの言葉は、ここで閉じよう――」 【すみ】「おやすみ、だいすきな旦那様。 夢の中でも……どうか、わらわを離さぬように―― そうして――きっと――明日の朝も――」 【すみ】「わらわと……同じ、ときに……目覚め、て―― ふぁ……きっと……明日も……さいわい……に…………」 【すみ】「ん……(寝息)(寝息)(寝息)寝息)」 【すみ】「(寝息)(寝息)(寝息)寝息)」 【すみ】「(寝息)(寝息)(寝息)寝息)」 【すみ】「(寝息)(寝息)(寝息)寝息)」 ;環境音 Vol ↓ ;SE 柱時計 (ボリューム抑えて、深夜2時。ボーン、ボーン) ;環境音 F.O.