01.プロローグ ごめんね~。待たせちゃって はい、どうぞ コーヒーでよかった? お砂糖とミルクもあるから、好きに使ってね えへへ~ こーやって、ふたりっきりでお話するの、すっごく久しぶりだね~ 中学の頃は、ほとんど毎日、一緒だったからね~ 学校終わったら、すぐボクの部屋か、 キミの部屋で、ゲームしたり、マンガ読んだり、おしゃべりしたり… たまーにカラオケとか、テスト前はファミレスで勉強もしたっけ 楽しかったなぁ でもその後…高校が別々になってからは、あんまり会わなくなっちゃったよね 距離も遠かったし…いつもボクが、忙しいからって…ごめんね でも、嬉しかったよ キミがボクのこと、ずっと忘れないでいてくれて…すごく、嬉しかった …あのね。あの時のこと…実は、ウソついてたの 本当は…全然、忙しくなんてなかったんだ ただ…キミに会うのが、怖くなっちゃって… キミといると…切なくて、苦しくて…それがだんだん、ツラくなって… …ううん、ちがうよ。キミは全然、何も悪くない 全部…ボクのせいだから… …キミも、ちょっとは気づいてる、よね? ボクのこの格好とか、喋り方とか このままずっと…キミには、言わないつもりだった いつか…ボクの気持ちが落ち着いたら… キミのこと、フツウに、友達として見れるようになったら… 今度はボクから声をかけて…ちゃんと謝って… また一緒に、遊ぼうって…思ってた でも…ダメだったよ 距離を置いても…会わないようにしても… ずっと、キミのことを考えちゃう どうしても顔が見たくなって… 遠くから見るだけのつもりで、成人式も出たけど… キミの顔を見たら、ガマンできなくて…気づいたら、話しかけてた だって…ボクの記憶の中より、 キミはずっと、すっごく、カッコよくなってたから… …キミのことが…好き 友達とか、そういう意味じゃなくて… 恋人になりたいって、ずうっと思ってた …うん、わかってる キミはボクのこと、そういうふうに見てなかったし、 フツウに、女の子が好きなんだよね? わかってるよ、でも… …ねぇ。キミの目から見て、今のボク…どう? …女の子っぽく、見えない? 中学の時から、私服だといつも女の子に間違われてたよね 外で待ち合わせすると、必ず男の人から声かけられて… あの時は、キミがいてくれたから、何もなかったけど… 今はね、飲み会とか行くと、 前よりもたくさん、男の人から、声をかけられるんだよ? 中には、ボクが男の娘だって分かっても、イイって言ってくれる人もいて… 本気で付き合いたいって、言ってくれる人、たくさんいるんだぁ キミも…ちょっとだけ、試してみない? ボクと…恋人みたいなこと もちろん、ホントの恋人じゃなくて…そーいうこと、するだけ 今のボクなら、キミのこと… た~くさん、キモチよくシてあげられると思う それでダメだったら、今度こそ諦める 今日のこと…一生の思い出にして、ちゃんと他の男の人を好きになる こういうことも、もう二度と言わない だから… 今だけはボクのこと…好きって、思って… ボクの全部で、キミのこと…キモチよくするから… …エッチ、シよ?