(学校内、人気のない廊下。兄と妹の二人しかいない) どうしたの、兄さん。こんな所に呼び出して。 私、ここはちょっと嫌なんだけど。 兄さん、知らないの? ここ、出るんだよ。 幽霊だよ、幽霊。 昔、三番目の窓から飛び降り自殺した生徒がいて、 今でも幽霊になって出てくるらしいの。 ほら、だから誰も通らないんだよ。静かすぎて不気味でしょ。   ねえ兄さん、さっさと離れようよ、こんな場所。兄さんったら。 大事な話があるって言ってたけど、何のこと? 話なら、家に帰ってからすればいいじゃない。 え? 家でもできないくらいの、とっても重大な話がしたい? 分かんない。言い方がふわっふわすぎて、全然分かんないよ。 (兄:お前のマンコが見たい) ……ん?  今、何て言った? もう一度言ってみて? (兄:お前のマンコが見たい) 見たい? わ、私の、あそこを? ダメだよ、ダメダメダメ! それは絶対にダメ、何があってもダメ! 兄さん、頭がおかしくなったの? 私たち、血がつながってなくても兄妹なんだよ? パンツを見せるのが最後のラインだって、 絶対にパンツは脱がないよって、 このまえ約束したじゃない。 だって、そういうことって、世間一般の兄妹は、しないことだと思うし。 (言いよどみながら) 普通は、ほら、恋人同士で、することだと思うし。 パンツ脱いじゃったら……アソコ見せちゃったら…… もう、戻れないでしょ? 境界線を越えちゃうでしょ? 兄妹よりも先に、行っちゃうでしょ? (兄:ああ。一線を超えていいものかどうか、俺も悩んでる。でも、自分の気持ちに正直てありたいんだ) え、ええ? 俺だって悩んでる、とか言われても。 自分の気持ちに正直でありたい、とか言われても…。 (兄:パンツだけじゃ満足できない。お前のすべてが見たいんだ) パンツ見るだけじゃ満足できない? 私の全部が、見たい……? うーん。そんなに真剣な顔で言われたって、反応に困るっていうか……。 (兄:俺たちは本当の兄妹じゃない。法律上は結婚も許されるだろ) いや、確かに私たち、法律上は結婚できるけど。 私だって、それくらい知ってるよ。 政治経済の授業で習ったもん。 民法の…… (兄:734条) そう、734条、それの但し書き! 養子と実子は、結婚できるって。 先生がそう言った時、私、ビックリして立ち上がっちゃった。 あの時は恥ずかしかったなぁ…… ううん、そんなことはどうでもいいんだよ。 たとえ法律上は結婚できるとしても、周りの人たちは、 みーんな、私たちのことを兄妹だと思ってるんだから。 父さんも母さんも、クラスの友だちも、先生も、近所の人も、 みんなそう思ってるんだから。 私たちは、兄妹なの。 マン……あそこを見せるなんて、しちゃいけないんだよ。 (兄:でも、本当は話が逆なんじゃないかな) え、話が逆、って、どういうこと? (兄:俺たちは兄妹である以前に他人だっただろ?) 私たちは、兄妹である以前に他人? 今はたまたま両親の都合で兄妹になってるだけで、本当は他人だ、って? そんなの、ガキの屁理屈だと思われるだけだよ。 世間の人から見たら、私たちは兄妹に違いないんだから。 ダメったらダメ! ダメなんです! いい加減にしないと、私だって怒る時は怒るよ。 ビンタするよ。一発じゃ済まさないから。 (兄:できるのか、そんなこと) で、できるよ。相手が兄さんだって誰だって、セクハラしてくるやつは、ぶってやるから。 もう動かないで。 それ以上近づいたら、大きな声出すから。 (モノローグ) ひどいよ兄さん。私が兄さんをぶったりできないって、分かってるくせに。 大きな声なんか出せないって、分かってるくせに。 最後には兄さんの言うことを全部聞いちゃうって、分かってるくせに。 もう、そんな顔しないで。 兄さんにそんな顔されたら、私はどうしたらいいの……? (兄:俺のこと好きじゃないのか?) 俺のこと好きじゃないのかよ、って、それはずるい! 禁止カードだよ! 使っちゃダメ! 私だって、兄さんのことは好きだよ。 でも、無理なの。たとえ血がつながってなくても、兄妹は兄妹なんだから…… 好きでも、許されないの。 (モノローグ) なんで兄さんが泣きそうになってるの? 私のほうが泣きたいよ。 うーん……どうしたらいいんだろ…… 分かった。兄さんの気持ちは分かったし、私も兄さんのことは好きだよ。 だからさ、私の話も聞いて? いきなり大事なところを見せたりするよりもさ、 その、恋人同士なら他にすることがあるっていうか、 踏んでいくべきステップがあるっていうか。 まず、キスしない? まずって言うのも変だけど。 二人で出かけるのは何度もやったし、手をつなぐのも、この前やったから。 ね、いいでしょ、キス。 パンツ脱いだりとかするのは、そのあと。 ダメ? どうしてもここで、私のあそこが見たいの? うーん……じゃあさ。家に帰ってからにしよ? 私の部屋で、見せてあげるから。 (兄:ダメ。いまここで見たい) なんでダメなの? 今日は母さんが早番で帰ってきてる日だから? じゃあ、明日にしようよ。別に今日じゃなくてもいいでしょ? 今日じゃないとダメ? 思い立ったが吉日だから? もう、勢いでごまかそうとしないでよ。 今日を、二人の記念日として俺たちの人生に刻もう? いやいや、なんかロマンチック風にしようとしてるけど、 兄さんの言ってること、変だから。 ああ、また拗ねた顔になって。 なんでそんなに駄々をこねるの? 普段はしっかり者の兄さんがゴネてみせたら、ギャップ萌えで可愛く見えるだろう~、 とか計算してるわけ? 別に可愛くないよ、男のキャラ作りなんて。 (モノローグ) もう、どうなっても知らない! これから先、何があったって、 私たちがどんな目に遭ったって、兄さんのせいだよ。 兄さんが全部、ぜーんぶ悪いんだから。 分かったよ。脱ぐよ。 聞こえなかったの? 私、脱ぐよ。パンツ脱ぐ。 だから、兄さんはしばらく目をつぶってて。 そんなにマジマジと見られたら、恥ずかしいから。 はい、脱いだよ。もう目を開けていいよ、兄さん。 うん、言われなくても分かってるって。 パンツ脱ぐだけで終わりじゃないよね。 兄さんの頼みは、あそこを見せてくれってことなんだから。 じゃあ、スカートめくることにするね。 スカートまで脱いじゃうと、誰かが通りかかった時に、さすがにまずいから。 (モノローグ) 私、これ知ってる。 兄さんが大好きな「スカートたくし上げ」のシチュエーションだよね。 このところずーっと「スカートたくし上げ」で検索してるの、 私、知ってるんだから。 あーあ、妹に自分の性癖を知られてるなんて思いもしないで、 そんなに鼻の穴膨らましちゃって。馬鹿な兄さん。 もう、見たければいくらでも勝手に見れば? どうせ悪いのは全部兄さんなんだから。 (兄、妹の足下にしゃがみ込む) どうしたの? な、なんでしゃがみ込んでるの? ちょっとちょっと、そんな地面に這いつくばりそうな姿勢で見なくても。 スカートめくっただけじゃよく見えない? うーん……そう言われても。 どうやったら、兄さんが見やすくなるかな? (兄:すぐそこが非常階段になってるから、そこに腰掛けて) そこの非常階段に、座ればいいの? うん、分かった……。 (兄:違う。それじゃ見えない) え? こうじゃなくて、膝を立てるように座るの? それで、膝を広げる……? (モノローグ) あっ、これも知ってる。兄さんの大・大・大っ好きなM字開脚ってやつだ。 兄さんの画像フォルダの中で一番多いのって、M字開脚なんだよね。 私、ちゃんと知ってるんだから。 どう? 見える、兄さん? (兄:いいよ、よく見える。何だかお前もウットリしてるし、そのままオナニーしてくれないか) は、はぁ? もう一回言って? よく見えるついでに、このままオナニーしろ? 何がついでなの? 学校の中で、そんなことできるわけないでしょ。 兄さん、やっぱり頭おかしくなったんじゃないの? 最初の話と全然違うじゃない。 兄さんが私のあそこを見たいって言うから、仕方なく見せてあげてるんだよ? もともとはパンツまでしか見せないっていう約束だったのに、 兄さんがちっちゃな子どもみたいに駄々をこねるから、 特別に、今回だけ、あそこまで見せてあげてるんだよ? ちょっと、聞いてる兄さん? そんな、土下座までして頼まなくても。 分かった分かった、顔を上げて。 するから。してあげるから。するよ、その、オ、オナニー。 え? 土下座じゃないの? 私のあそこがよく見えるように、頭の位置を下げてただけ? そっか、じゃあ。しなくていいよね。オナニーなんて。 はい? するって一度言ったんだから、約束は守れ? 嘘をつくような妹は嫌い? ダメだよ、ずるいよ、それ! また禁止カード使った! 嫌いだなんて、兄さんが私に向かって一番言っちゃいけない言葉だよ! 分かった。じゃあ、交換条件ね。 私がここでオナニーしたら、その後、兄さんは私にキスしてくれる? 本当に? 約束だよ。絶対だよ。ぜーったい、守ってね。 もし嘘だったら、そんな兄さん嫌いだから。 じゃあ、するよ。 恥ずかしいから、あんまり舐め回すように見ないでね。 兄さんの目が血走ってきて、これはヤバいな、ってなったら、途中でやめちゃうから。 ……ふ。あっ。 んんっ……。 何? いつもしてるようにしてみろ、って、どういうこと? 兄さん、なんで私がオナニーしてることなんて知ってるの? (モノローグ) どうしよう、私がいつも兄さんを想ってオナニーしてるの、バレてるのかな。 ダメだ、いつものように、なんて言われたら、意識しちゃうよ。 指を動かしながら、頭も胸も、兄さんのことで一杯になっちゃう。 脳はトロトロだし、心臓はバックンバックンだよ。 (モノローグ) ああ、私、いま気持ちいいと思ってる。 兄さんの前でM字開脚してオナニーすることで、気持ちよくなっちゃってる。 あっ、ダメっ、声が出ちゃうよ…… (モノローグ) こんなの変。こんなことして、こんな気持ちになるのは変。それは分かってる。 でも、もう無理。自分に嘘はつけない。 認めちゃおうよ。気持ちいいって。 自分の本当の気持ち、さらけ出しちゃおうよ。 私は兄さんが好き。 好きな人に見られることは、気持ちいい。 兄さんに見られることは、気持ちいい。 兄さんの前でオナニーすることは、気持ちいい。 気持ちいいよ、兄さん……好き……好きだよ……