エピローグ「ゆがんだ未来の先に」 あなた、おはよう。昨夜はぐっすり眠れた?…うん、それは良かった。 今日はこれから…隣の大陸まで薬を届けに行かないといけなくて…そう、だから私にしては珍しく…こんなに早く起きたのよ。 あなたと出逢うまでは…いつも夜に行動していたから…えっ、だって…私はこう見えて魔女……あぁ、今は元魔女…みたいなものだけど…。 あなたと結婚して、昔と違うこの生活にもようやく慣れてきたけど…でも、やっぱり朝は苦手だなぁ……ふふっ。あっ、朝ご飯はできているからね…うん、食べて。 じゃあ、そろそろ出掛けるね…えっと、隣の大陸といってもかなりの距離があるから…帰ってくるのは明日になりそう。うん、ありがとう…気をつけて行ってくるね。 大丈夫、何もないよ…きっと、あっ…でももし…あなたが悦ぶような……えっと、私からしたらすごく嫌なことだけど…そんなコトがあったら…また帰ってきてから話してあげるからね。 えっ、早速興奮してきたの?…ちょっと、私はもう出ないといけないんだから、ふふっ………私ね、今…すごく幸せだよ。 あの時、あなたと出逢って………私を救ってくれて、本当にありがとう。うん、私も…愛している。 あっ、もう時間がないから…じゃあ、行ってくるね。その…どうしてもだったら、独りでしても…いいからね。ふふっ……うん。 あなた……行ってきます♪ 私の名前は、アン。 いにしえより、忌み嫌われている…魔女。 でも、今は愛する夫と一緒に、毎日を…幸せに暮らしています。