んしょ、これで…全員揃ったかな。 ひとクラス分だから…30名くらい…やはり多いな…。 ふぅ。それじゃあ改めて、 ロレワール魔法学校への入学おめでとう。 この学校は知っての通り、国一番の魔法学校。 国や社会の発展の礎となる魔法使い及び魔法技術者を育む事を目的とした、とても歴史ある学校だ。 君達は、厳しい筆記テストと実技テストに合格した選ばれた生徒だ。ふふ。 ロレワールは全寮制の学校。今日から親元を離れて、寮で暮らすことになる。 最初は少し寂しいかもしれないが、学校の仲間達と過ごしているうちに寂しさも薄れてくるだろう。 ん、自己紹介が遅れたが、私は、オデット=ベルナレール。 みんなよりも2つ先輩のこの学校の生徒だ。 今回の新入生オリエンテーションの案内役を担当することとなった。 これはこの学校の伝統の一つで、上位の成績優秀者が選ばれる事が多い為ちょっとした名誉でもある。 みんなの中にも2年後は私と同じように、新入生を案内している子もいるかもしれないな…ふふ。 気になっている子も多いと思うが、私の種族はダークエルフ。 エルフは見たことはあっても、ダークエルフを見るのは初めて…、という子も多いかもしれんな。 世界的に見てもダークエルフという種族は非常に少ないからな。 とまぁ、この学校には様々な種族の生徒が存在する。 ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ハーフリングの他、私を始めとするダークエルフようなマイナー種族もいる。 種族によって学科の向き不向きはあるのは事実だ。 種族はバラバラでも皆おなじロレワール魔法学校の生徒。 多様性を尊重し、互いの良いところをみつけ助け合いの精神で、学校生活を送って欲しい。 このクラスは…どうやらヒューマンが比較的多いようだな。 私はヒューマンの男の子が好きでな…ふふ。 あぁ元気いっぱいで頼もしいからな。 ん、さぁまずは、聖堂に案内しよう。 この学校はとても広いぞ。みんな離れないようにしっかりついて来るように。 オリエンテーションも中盤に入ってきた。みんな疲れてないか? ふふ、ん、次にここは、第7魔法グラウンドだ。 ロレワール魔法学校の14あるグラウンドの中では一番広いグラウンドだ。 魔法の実技演習はこのグラウンドで行う事が多い。 みんなもいずれ使う事になるだろう。 私はダークエルフの為、魔法が実はあまり得意でなくてな。 一年生のときは、炎一つ扱えなかった時期もあった。 もちろん努力はそれなりにしたので、今は一通りは扱えるが。 エルフやヒューマンのように自在に扱うのはあまり得意でないのは変わらない。 私は種族柄、魔力を肉体に込める方が得意なんだ。 だから剣や弓など身体を使った武器を扱う事に長けている。 このグラウンドは、放課後は運動系の部活でも使われているな。 あぁそうだ。みんなも何か部活に入るといい。 学校の授業も楽しいが、部活もとても楽しいからな。 私は「弓道部」に所属している。弓道は、馴染み無いかもしれないな。 東洋の弓の武術だ。 種族柄弓は得意なのだが、大陸の弓術とは少し所作が違って面白い。 弓道部は、このグラウンドではなく東塔近くに部室があるから興味があれば来て欲しい。 おっと私の話をしてしまったな。 さぁ、次は魔法薬学の実験塔に案内しよう。 私も授業以外ではあまり入ることはないのだが…。 さぁ、みんなちゃんとついてくるように。 実験塔は文字通り迷路だ。一度はぐれると迷子になってしまうからな。 最後はここ。 委員会校舎だ。様々な委員会の部屋が集まる校舎だ。 みんな実際歩いて分かっただろうが、学校はとても広く、生徒数も非常に多い。 一つの街程の生徒や教師がいる。 学校の運営は、先生方によってされている部分もあるが、 とても賄い切れず、大半は生徒自身による様々な「委員会」によって運営されている。 ロレワールの生徒は何かしらの委員会に入ることが義務とされる。 学校運営に関わるのも、学校の方針の一つであり、これも教育の一貫と考えている。 とりわけ「魔力祭(まりょくさい)実行委員会」や「ロレワール創立祭委員会」などが人気だ。 それら様々な委員会それぞれの専用の部屋がここにはあるのだ。 みんなもいずれ何かしらの委員会に入る事になるだろう。 何心配することは無い。どの委員会も楽しいと聞く。 部活も委員会も楽しんで貰えればいいさ。 私は「魔力抑制委員会」に所属しているぞ。 一応生徒の為の委員会ではあるが…、ほんの一部の生徒の為にある委員会でな。 世話になる生徒は中々いないだろう。 具体的な内容は私の委員会の説明になってしまい、 オリエンテーションの目的と異なるのでここではよしておこう。 オリエンテーションは一先ずこれで終わりだ。 みんな、私の言う事をちゃんと聞きしっかり着いてきてくれてありがとう。 そして偉かったな。 よしそれじゃあ教室に戻ろう。