・院長先生(痛ましさから、もう早く次の話にすすめようと) ……貴女は、その後すぐには発見されませんでした。 十日ほど、その腹がこうして膨れ上がるまで、見つかりませんでした。 その期間のことを、悍ましい魔物の子供を、貴女がナメクジに愛を捧げた証を、貴女が自らの腹で育てあげた日々のことを、述べなさい。 ・シスター アザリア(前トラックから引き続き、狂気に落ちている)(このトラックはずっと狂気フルスロットル)(自暴自棄と卑屈が相まって自らをこの場で貶めることに倒錯的な快感すら感じている) はい、院長先生。 申し上げます。私は、ご主人様との間の子供を、子宮に宿したこのナメクジの子供を、私のお腹と血を引いた魔物を、こうして大きく、お腹が大きく膨れ上がるまで育てました。 もちろん、私が一人で育てたわけではありません。 全て、ご主人様の元で、ご主人様に隷属しーー飼育、されていたのです。 全てを管理され、ありとあらゆる行為を支配されて、ただひたすらにこの子を育て上げるためだけに私の全てを捧げることを強制していただいたのです。 ……ああ、はい、どこにいたか、でした。 私は、土の下にいました。 森の奥の柔らかい土を、数メートルも掘った先。私が気を失っている間に、ご主人様は私をその土の下へと引き摺り込んでいたのです。 もちろん、単に埋まっていたわけではありません。 それでは死んでしまいます。 だから、私は土の下で、ご主人様に覆われてーーいえ、ご主人様と、繋がっていました。 ああ、いえ、交尾していたわけではないのです。 だって、私はもう既に妊娠していましたから。 はい、妊娠をした以上、もう私の機能は、女の機能はそこではありません。 赤ちゃんを、胎児を育て上げることです。 ただ、私はずっと、光すら届かない土の下で、ご主人様に繋がれたまま指先すらロクに動かさないで、お腹の中の赤ちゃんを育てるためだけにそこにあったのです。 ・院長先生(事務的に) 状態がわかるよう、説明しなさい。 ・シスター アザリア はい、わかりました。 私は、受胎と同時に気を失い、その間にご主人様の掘った穴の中に引き摺り込まれたのでしょう。 目を覚ました時は、仰向けの体制で寝かされて、そして、顔の全てを、ご主人様の柔らかな身体で覆われておりました。 ああ、顔だけではありません。 法衣の下に隠していた、この未熟で小さなおっぱいも、少し浮いた肋も、そして、あの時はまだ小さくて凹んでいたお腹も、もちろんおまんこだって。 頭のてっぺんから爪先まで、すっぽりと全部ご主人様の体で覆われて、ピッタリと潰されて…… そう、まるで押花のようでした。 ああ、視界は真っ暗で、何も見えなかったです。 だから私、初めはご主人様に丸呑みにされちゃったんだと思ったんですよ。 ええ、怖くて、悲しくて、泣いてしまいました。 ああ、でも、でもその時に、私は、思ってしまったんです。 この、このお腹の子を、産み落とさないだなんて、ってーー 呑み込まれて、溶かされて、食べられて、ご主人様の養分となって、排泄されることよりも、我が子の身を案じて、しまったのです。 あはっ、ははっ。 私は、母になりました。 まだ背も伸びきっていないのに、お酒だって飲んだ事もないのに、私はお母さんになってしまったんです。 アハハハは…… あぁ、そう、その後でしたね、呼吸ができるということに気がついたのは。 ちょうど私の口の位置、そこに穴が空いていたんです。 その穴の周りは少しだけ盛り上がっていて、ちょうど私の唇にピッタリとくっついていました。 それで、そこから空気が送られてくるんです。 その空気は、その…… 大変、臭いがキツくて…… 腐った卵と、おしっこの匂いを混ぜ合わせてうんとキツくしたような…… 一度その臭さに気がついてしまうと、もう吸いたくないと思うぐらいには臭かったのですが…… 顔がぴったりと覆われているので、送られてくる空気の行き場所が、私の肺しかないのです。 肺から口の中、鼻の穴まで全部その臭い空気を吸い込んで、溜め込んで、染み付かせて…… そうすると、今度は逆に穴から空気を吸い取られるんです。 肺がギリギリまで小さくなるほどに空気を吐き出させられて、苦しくなって…… それで、今度は空気が送り出されていくんです。 ……ええ、私は、呼吸を管理されていたのです。 ご主人様が命じるままに、息を吸って、息を吐いて。 私が息を止めようとしても、許されませんでした。自分で息をすることも、許されません。 私は、呼吸一つに至るまでご主人様の所有物、管理され、支配され、飼育される身となったのだと教えられてーー ・院長先生(痛ましすぎて聞きたくないので、話を切る) そこまででよろしい。 ですが、食事は。十日間何も食べず、水すら飲まずに過ごすことはできないでしょう。 ・シスター アザリア はい、そうですね、それについては、今ならわかります。 私も、最初の数日は不思議だったのです。 どうして水も飲んでいないのに乾きすら覚えないのかと。 でも、今はわかります。だって他に何もしていないのですから、間違いありません。 私は、ご主人様の精液を飲んで生き永らえていたのです。 ・院長先生(飢えと渇きだけで魔物に従うような真似をしたのかと思い、ちょっと怒っている) それは、渇きと飢えに耐えかねて、水から魔物の悍ましき精液を啜ったと言うことですか。 ・シスター アザリア いいえ、いいえ、違います先生。 私にそのような意思は許されておりません。 いえ、それ以前に私の口は、何かを食べることなど、もう出来ません。 ・院長先生(困惑) それは、どういう意味ですか。 ・シスター アザリア はい、私の、口の中をご覧下さい。 奥歯が、わかりやすいでしょうか。 先生は覚えておられますでしょうか、まだ生え変わっていない子どもの歯が残っていた場所です。 一番奥の、奥歯です。 ・院長先生(驚愕)(シスターが歯が生え変わる度にその話を聞いていたので、奥歯が大きな乳歯だったことも、まだ生え変わりそうになかったことを知っている) これ、は ・シスター アザリア はい、歯が小さくなっているのがわかっていただけたかと思います。 生え変わったのではありません。 成長したのではなく、退化、しているんです。 使わないでいいところだから。 ご主人様の子供を孕んで、産んで、隷属するためには、自分の口で食事をするだなんて必要がないから、すっかりと衰えてしまったのです。 きっと、私はもう背も伸びないのだと思います。髪も伸びないのかもしれません。爪だって、十日も経ってるのに少しも伸びていません。 きっと、捨てられちゃったんです。 身体の中の色んな部分、元々あった所も、これから作るはずだった所も、ぜんぶぜんぶ、ご主人様がいらない所は、捨てられちゃったんです。 ああ、でもその分、増えたところーー新しく出来る様になったこともあるのです。 はい、ご飯の話です。 口から物を食べる、神から与えられた食事を頂くという行為を、私は捨て去りました。 その代わりに私は、お尻の穴から精液を飲み込めるようになったのです。 ・院長先生(肛門と精液という信じられない程に背徳的な言葉の並びに理解が追いつかない) 待ちなさい、今なんと言いましたか。 その、お、お尻とは ・シスター アザリア ええ、お尻の穴、肛門、不浄の穴ーー食事、という行為の正反対にある、排泄の為に存在する穴です。 私は、その排泄口から、肛門から、ご飯を食べさせていただいておりました。 ご飯、というのはパンでも、スープでもありません、精液です。 ドロドロとした、熱くて、へばり付くような、そう、精液を。 お尻の穴にどぷどぷと、注ぎ込まれてーーそれを、お腹ですすり上げて飲み込んだのです。 私は、不浄の穴をご主人様の男性器で犯されて、精液を肛門から啜って、飲み込んで、それで生き永らえていたのです。 私の身体は、神より賜った麦でも、地より与えられた水でもなく、ご主人様の精液で出来ているのです。 ・院長先生 な、そん、なーー ・シスター アザリア 私も、初めは理解できませんでした。 お尻の穴にご主人様のおちんちんが押しつけられて、あまりの恥ずかしさに泣いてしまいました。 だって、そんなところ汚いじゃないですか。 口にするのも恥ずかしいのです。何をするところかなんて、本当はとても言えません。 用を足しに行くのだって恥ずかしくて、お花摘みなんて言っていたんです。 えへ、そんなの、忘れちゃいました。 そんなの、恥ずかしくもなかったんだって、教えていただいたんです。 恥ずかしいこと、しちゃったんです。 お尻の穴に、おちんちんを入れられちゃって、いっぱい、お腹がみちみちになるまでぐちゅぐちゅグリュグリュされちゃって、それで、ビュルビュル、どくどく精液を注ぎ込まれちゃうんです。 私の肛門はひくひく震えて、うんちを出す穴で精液を飲み込んで、お腹の奥に届くようにそれを飲み込んでいったんです。 えへ、熱くて、重くて、それが逆流していって体の中に染み込んでいって、えへ。 それで、そう、わた、わたしーー気持ちよく、なっちゃったんです。 ・院長先生(肛門性交はこの世で最も不潔で背徳的な行いの一つであるため、卒倒しかけている) ……っ!! ・シスター アザリア はい、ふ、不浄の穴で気持ちよくなったのです。 動けなくても、つま先までビクビクして、おマンコが震えて、チカチカして、間違いなく、あれは、気持ちよくなっていました。つまり、アレは、性行為です。 性行為、セックス、交尾、それなのに、繁殖を目的としない最低で最悪な、獣以下の穢らわしい行いです。 背徳の都ですら忌み嫌われたという、肛門性交を、私は、しちゃいました。 ・院長先生(恐怖すら感じて声を震わせながら) あ、貴女はーー 幼き身でありながらーー 神に一度は仕えながら、醜悪な魔物と、こ、こうもーー ・シスター アザリア(いつも厳しくも優しかった院長先生に悍ましい物をみる目を向けられて、ただでさえ卑屈になっていたのが、本当にどうしようもなく自分に絶望している)(「私は悪です」は心の底から自分は死ねばいいと思っている) あーーはは、い、言っちゃいました。イっちゃいました。 ああ、はは、先生にそんな、目で見られるの、はじめて、です。 え、へへ、当然です、よね。 私、こんな、こんな最低になれるなんて、知りませんでした。 人間が、こんなに堕ちれるなんて、知らなかったです。 わ、私がーーそう、だったんです。 私は、最低の、汚くて、気持ち悪い、最悪の、ああ。 私は、悪、です。 後はもう、ずっと、繰り返しです。 息を吸わされて、お尻の穴をかき混ぜられて、息を吐かされて、精液を注がれて、気持ちよくなって、お腹が大きくなって、精液を飲んで、息を吐かされて、イっちゃって、赤ちゃんが大きくなって、肛門をゾリゾリって擦られて、まんこが震えて、臭くて仕方なくて、もう、ずっとずっとずっと。 寝てはいなかったと思います。十日間ずっと。 夜更かしした時みたく頭はどろどろなんですけど、すぐに頭がおかしくなるぐらい苦しくなるんです。 肺が悪臭でかき混ぜられて、お腹でドロドロの精液が跳ね回って、肛門性交でおまんこイっちゃって、眠れないんです。 それでも、赤ちゃんはどんどん大きくなっていきました。 私が苦しめば苦しむほど、お腹が大きくなっていきました。 赤ちゃんは元気で、ビクビク震えているのがわかるようになりました。 私の子宮の中で、赤ちゃんがそだっていきました。 私の血と、肉と、絶叫を食べて、どんどんどんどん大きくお腹が膨れ上がっていくのをずっと見てました。