//00 ●:お、おい。もういっちゃうのかよ。 もうちょっとゆっくりしていってもいいじゃねぇか。 この村は確かに何もねぇとこだけど、自然はいっぱいだし、村のみんなはすっげぇ暖かくて優しいぞ。 勇者様、リィナ姫、もう少しくらいゆっくりしてけよっ ○:ん、ありがとうございます。 そうしたい気持ちは山々ですが、勇者様と私リィナは魔王討伐の旅の途中。 ここで歩みを止める訳には行きません。 ●:う、うーん。まぁそうだよな……。 こんなヘンピな村に勇者様とホーリア王国の姫様が来てくれただけでもありがたかった。 ○:人助けも私達の役目ですので……。 ●:農作物が育たず困ってたあたし達の村。村に流れる川の上流の洞窟で、まさか魔王の手下が悪さしてたとはな……。 二人のお陰で、無事に討伐出来たんだ。あたしもついて行って一緒にヤツを倒したけどなw 一時でも、こんな田舎の鍛冶屋の娘のあたしが、勇者達と一緒に旅が出来て本当に楽しかった。 あたしの一生の宝物だ! ○:……。 さ、勇者様。先を急ぎましょう。次は港町トライポートに向かわなければなりません。 本来、こんな獣族の村などに寄る予定などは―― ●:魔王を倒したらさ、ゼッテーうちのこの村にも寄ってくれよなっ ●:あ、え? 何? 一緒にって、え? あたしが? 勇者達と魔王討伐の旅にっ!? ○:ゆ、勇者様何を――? ●:あ、あえ、え、でも、 あたし、勇者様やリィナ姫みたいに魔法なんて何も使えねぇぞ? ま、まぁ確かに身軽だし、爪を使った攻撃は二人の攻撃よりかは素早い自信はあるけど…。 それに……家の鍛冶屋…おっ父を一人寂しい思いさせちまう…。 おっかあはずっと昔に死んじまったからな……。 ○:勇者様、生半可な気持ちな方を魔王討伐の旅に連れて行く訳には…。 ●:…………村の大事な作物をダメにした奴も、それをよこした魔王はもっと許せない……! あたしも、勇者様と旅をして、魔王をブッ倒せれば、村の為にも、おっ父の為にもなる! あたしもお前と一緒に旅に行く! 行かせてくれ! ○:はぁ……私は別にどちらでも構いません。 勇者様が決めた事なら、私はそれに従うまでです。 ●:それじゃあ決まりだな。 勇者様、リィナ姫、これから、よろしくなっ ○:よろしくお願いします。 ●:……と言った手前、すまんが、村を離れる前に、じゅ、10分だけ時間をくれ。 おっ父にしばらく家を離れるって、言ってくるっ。 すぐ行くから、村の入り口で待っててくれ~~