80年代後半、世界各地に異次元ポータルが時々に出現し、謎生物、怪獣、異星人、悪魔達が地球に侵入してきた。そのほとんどが、銃砲などの通常兵器に対し強い耐性を持ち、多くの兵力を投入しないと倒せないモンスターばかりだ。  彼ら異次元生物は人間を狙い・襲い・捕獲している。  そこで世界各国の政府が協力し合い、治安を維持し、人民を守る為の組織、「Shield of the Earth」(地球の盾)設立した。  199X年、組織は確保した異次元生物や異星人の残片を分析して、異次元技術を真似た変身スーツを作成した。  スーツの機能原理は不明だが、うら若い美少女が着ることで、スーツは彼女達に謎の力を与え、異次元生物と戦う力を与える。  これを名付けて、変身戦姫と呼ぶ。  その中に、咬原七々子という少女がいた。  彼女は第一世代最強の戦姫であり、数多くの異次元生物を地球から排除した。  ある特殊任務により異次元空間に吸い込まれて行方不明となったが、それも含めて伝説的人気を誇る変身戦姫として、その名を世界中に知らしめた。  変身戦姫を投入することで、異次元侵攻に抗えるようになった人類は、彼女たちを異次元生物に対する主力兵器として使用した。  そうして彼女たちはたちまち戦果をあげ、人類は再び自信を取り戻した。  世界は光明な未来へ進歩することになったのだ。  だが一方で、奴ら異次元生物の侵入を根源から消すことが出来ていないため、異次元生物 対 変身戦姫の戦いは長期戦となる。  新世紀にたどり着いたと共に、異次元の研究が進み、変身スーツの量産化に成功し、変身戦姫の選抜・訓練も簡単になった。90年代では政府組織の秘密兵器だった変身戦姫も数倍に増え、その存在が人々に公開された。  今や彼女たちは、ステージの上で輝くアイドルのような職業になっている。  その結果、戦姫同士の競争が激しくなった。量産化に成功したとはいえ、彼女たちを抱えておくには相応の費用が必要になる。政府はより才能のある強い人材を求めており、戦姫として真面目に戦わない・人気の集まらない者には、支援を断ち切った。  そして現在、数々の強力な変身戦姫の活躍により、異次元侵入による被害は許容範囲内に収まっており、人類社会は発展を続けている。人々は異次元侵入の恐ろしさを忘れつつあり、逆に変身戦姫や異次元生物を題材にした娯楽作品を、現代文化として受け入れた。  彼女達を起用したドラマやCMが氾濫し、アニメや漫画、ゲームとしても広く展開されている。一部の人気の魔物や怪人も公式グッズが開発され、販売し始めている。  確かに異次元生物の災害性は減少している。しかしその一方で、スーツの性能ゆえ敗北知らずだった変身戦姫たちが、徐々に戦果を挙げられなくなっている現実もある。人々はそのことに気づいていない。  異次元生物達はまるで学習能力があるように、戦姫達の弱点をつくようになったのだ。  変身戦姫の弱点……彼女たちが少女であるがゆえの急所……。性感帯の刺激だ。  彼女たちのスーツは、変身さえすれば本体にダメージが通らなくなる性質を持つが、それはあくまでも物理的な攻撃を対象とした話だ。  もし異次元生物の攻撃が、快感を伴うものだったとしたら……それをスーツで軽減することは出来ない。  それと同時に、違法手段により異次元の力を身につけた悪人、異次元兵器を入手した犯罪者達も徐々に増えつつある。もちろん、彼らを逮捕するのも変身戦姫の役目だ。  そんな未来に明るくも混沌とした時代に、行方不明となっていた伝説の変身戦姫、咬原七々子が帰ってきた!  異次元空間において仮死状態となっていた彼女は30年の月日を経て生還し、再び変身戦姫として戦うことを決意した! 自分の生きていた時代とは大きく変わってしまった現代で、旧世代最強の少女が、変身戦姫の世界で旋風を巻き起こす!