エリートな先輩の裏の顔~深夜残業でそっちの開発!?~ 特典SS 【俺の彼女】  彼女と出会ったのは入社式の日。  真新しいスーツを着て緊張した面持ちで社長の長話を聞いている彼女の横顔が、きれいだなと思った。特筆するほど美人というわけではなく、スタイルも十人並み。でも、きれいだと思った。  そのきれいな顔が、セックスの時にはどんな風に歪むのか。  その日は、そればかり考えていた。  こんなだから、つい数日前に彼女に振られたばかりだというのに。 『藤垣先輩って、さわやかでかっこいい!』  なんて女性社員たちには噂されているらしいが、とんでもない。そんなのは表向きの偽物の顔。本当の俺は、好きな女の子とセックスすることしか考えてない。  快楽に身を捩りながら、涙とよだれでぐちゃぐちゃになった顔であられもない喘ぎ声を漏らす。そんな姿が見たくて、いつもやり過ぎてしまう。  自分でも相当ヤバいと思うが、止められない。二十代半ばを過ぎた頃には、自分はそういう性分なんだから仕方ないとあきらめた。いつか、こんな自分を受け入れてくれる女性に出会えたらいい。そんな風に思っていた。  だから、彼女には不用意に近づかないように気を付けていた。  純真無垢な彼女の快楽で歪む顔を想像しながら、『良い先輩』の仮面をかぶり続けた。そうしていれば、ずっと近くにいられるから。  そうこうしている内に、彼女に恋人ができた。入社してから半年ほどたった頃だった。大学時代の先輩で、サークルの同窓会で再会して告白されたんだと、はにかみながら話してくれた。  その時の俺は、嫉妬とかどうでもよくて。わずかに頬を染めながら嬉しそうに報告する彼女の顔を見て、胸がいっぱいになっていた。……いや、『胸がいっぱい』なんてかわいらしいもんじゃない。正直言うと、勃起してた。その可愛らしい顔を快感に染めてやりたい、その衝動を抑えるのに必死だった。  彼女に恋人ができたのは、ちょうど良いことだった。  『彼氏がいるんだから、絶対に手を出しちゃいけない』  そうやって、自分にブレーキをかけることができたから。  それなのに。  彼女はあっさり俺のブレーキを壊しにきた。 『私、不感症だから。彼氏に振られました』  そんなこと、ただの先輩に打ち明けるなよ。俺は内心で頭を抱えた。  同時に諦めた。これ以上、我慢できない。 『ああ、これっきりかも』  彼女を愛撫しながら、何度も思った。  だから俺は必死だった。とにかく彼女に快楽を叩きこんだ。  頭がぼんやりして思考能力が落ちているのも分かってるのに、『俺の彼女になれ』と迫って、言質もとった。  また、振られることになるかもしれない。  そんな不安がなかったわけじゃないけど。でも、気持ち良くなりたくて必死にうなずく顔も、欲に濡れた瞳で俺を見つめてキスする顔も、ぜんぶ可愛かったから。  もう全部、どうでもいいと思った。  まあ、そんな不安は完全に杞憂だったわけだが。  * * * 「あ、起きた?」  深夜2時過ぎ。  彼女がようやく目を覚ました。 「ん? どうした?」  俺の身体の下で身を捩りながら、『なんで?』と寝ぼけた声で繰り返している。夜中に目が覚めたら俺のちんこが挿入されていたので、混乱しているのだろう。寝ぼけて混乱しながら、それでも快楽で歪む顔がかわいい。 「ごめんごめん。朝まで、我慢、できなかった……っ!」  言いながら奥を突いてやると、歪んだ口の端から喘ぎ声が漏れた。かわいい。  同棲するために二人で選んだキングサイズのベッドが、ギシギシと音を立てる。マットレスは硬めにした。その方がセックスしやすいから。  喘ぎ声の合間に、『なんで』と問う彼女。分かってるくせに。 「だってお前、すぐ寝ちゃうんだもん」  残業で疲れた身体を引きずって帰ってきた彼女は、昨夜は早々に寝入ってしまった。セックスできないのは残念だけど、疲れてるなら仕方ない。その時は俺も諦めて一緒に眠りについた。  でも、夜中にふと目が覚めて。穏やかな寝息を立てる彼女のあどけない表情を見てしまったら、ダメだった。 「お前の寝顔がかわいくて、我慢できなかった」  『ばかぁ』と小さな声で言いながら、俺の背に手を回す彼女。かわいい。  また奥を突くと、彼女の膣がわなないた。全身が震えて、足先がピンっと強張る。 「イった?」  ピクピクと全身を引きつらせる彼女の奥を、優しく撫でる。『イったから、もうやめて』なんて、そんな甘い声で言ってもダメ。また、勢いよく奥を突いた。彼女の腰が、しゃくりを上げるように波打つ。 「やめない。もっと、もっと、気持ちよくなろう、な?」  彼女の顔がしわくちゃに歪んで、涙とよだれで濡れる。そのかわいらしい涙を優しく舐めとって、あられもない声を上げる唇を貪る。そうすれば、また彼女が俺にぎゅうっとしがみついて膣が締まった。  何もかも全てをさらけだした、彼女には。  彼女の前では、もう何も我慢してない。俺がしたいときにセックスして、俺が満足するまで彼女を抱きつぶす。何度も何度もイかせて、その表情を堪能する。  いつも呆れて文句を言いながらも、これまでの彼女みたいに俺を捨てたりしない。何度でも俺を抱きしめてくれる。俺のことを好きだと言ってくれる。  こんな俺を受け入れてくれるのは、彼女だけだ。  ああ、かわいい。好きだ。愛してる──。