============= 1. ============= あっ……すみません。 新入部員の方、です、か? 部長の、二年の司です。 いま、ドアのカギを、開けますね。 ごめんなさい、事情が知らない人が、入ってきて―― びっくりしないように、いつもカギを、かけているんです。 開けます、開けますから……いかないで…… あれっ……せ、せんせい!? いえ、別に、悪いとか、そういうことではありませんが―― ごめんなさい、担任の―― 先生が、来るのは、ちょっと予想外でした。 どうぞ、こっちに来て、椅子に座って下さい…… っと……まだ部活、始まる前だから…… 何もなくて、すみません。 か、帰りのホームルームぶり、です……ね。 新入部員の人が、来てくれたのかと、思って 舞い上がっちゃいました、よ。 何か、忘れものとかありました、か。 それとも、連絡忘れ――ですか。 面談するようなことは、してないつもりですよ。 二年にもなって、友達いないのは―― 関係、ない、ですよね? あの、先生、もしかしてですけど―― 先生が、この部活の、搾精道部の、新しい顧問の先生なんですか? そうです……よね。 見ての通り、です。 他の生徒は、もうほとんど部活動には来てないです。 搾精道部にいるのは、部長の私一人だけです。 もしかして、この部活、廃部になっちゃうんですか? 言わなくてもいいです。 分かってます。 私が、部長だなんて――似合わないこと、は。 でも、知っての通り。 戦後、海外から伝わり健全なる女子の自立を目指して始まった搾精道。 うちの高校は、かつて全国大会に優勝し、世界大会に進むほどであったと言われています。 ですが、今は経験者は、ほとんど、近くの私立学校に集まってしまって…… マトモに活動しているのは私だけ、 本来二人一組で行う搾精道のパートナーすら、私には、いません。 私が辞めたら、搾精道部はなくなります。 先生は、私、に、廃部を勧めに来たんですよね? 私がいなくなれば、この部屋も―― 他の部活が、使えるから。 でもっ――先生。おねがい、します。 こんなちんちくりんで、ロクに部員も集められない私ですけど…… 搾精道、基本規定第三項。 搾液道は男女各一名、二人一組をパートナーとする。 女性側が未成年である場合、男性側は成人であっても構わない。 そうです。 先生が居れば……大会に出れるんです。 大会で結果を出せば、きっと部員だって……集まります。 ここで諦めたら、私、絶対、後悔するから…… お願いします、私、頼れるのは、担任の先生しか、いないんです…… 私、何でもします……!! だから、どうか――お願いします。 へ、わかった……って、先生、いい、んですか…… ほんとに、いいんですか? ありがとうございます――せんせい…… 私、練習、頑張りますからっ だから、先生も私のパートナーとして…… 沢山、搾精、されていってくださいね。