01_「休憩も大事なお仕事の一環ですよ、先生。」(03:37) 「……えーっと……これは……まあ、良いでしょうか……」 「……うーん、これは……記載漏れがありますね……一旦差し戻して確認を」 「……ちょっとここは私の記憶と違いますし……後でユウカちゃんに聴いてみましょうか……」 「……ふむ……成程。この資料は……こちらに仕分けておいて……」 「……あら? このメモは……「先生、また一緒にサボりましょう。いつもの場所でお待ちしています」……?」 「……うん? うーん?」 「先生? ちょっとお時間宜しいでしょうか? 資料を整理していたらこのようなメモが出てきたのですが……」 「成程、ゲヘナの方からのメモ、でしたか。ふふっ、ゲヘナの方は面白いことを考えますね」 「こうして忙しくしている先生がサボリに行くはず、ありませんのに、ね? 手を離せないユウカちゃんの代わりに、当番でもない私がお手伝いをしているのに、サボるわけ、ありませんよね? ふふっ♪」 「それにサボるのはとても楽しくて楽かもしれませんが、その分後で皺寄せが来て更に大変になったりしますから……って、先生なら分かっていますよね、ふふっ♪」 「何て、冗談ですよ。大人といえども先生にも休息は必要ですからね。私がお手伝いに来てから21回程溜息をついていましたし、疲れも溜まっているのかもしれません」 「えーっと……そうですねー……手を動かし続けるのも大事ですが……休憩して心と身体をリフレッシュしてからのほうが能率が上がりそうですし。それに先生が体調を崩したらユウカちゃん、凄い心配しちゃいますし♪」 「私は心配しないの、ですか? ふふっ、心配しないと思われていたら悲しいですよ、先生♪」 「というわけで、先生? 少しふたりでサボり……ではなく、休憩、しましょうか♪」 02_「デスクワークは肩が凝りますからね。」(肩もみ+肩たたき)(11:14) 「はい、先生。休憩と言えば先ずはコーヒーだと思いますので、どうぞ。先生が休憩のときに飲んでいる、いつも通りのコーヒーです」 「仕事前と仕事中、そして休憩のときで砂糖の量やミルクの有無が変わるの、大人の拘りって感じがします」 「それ以外にもコーヒーの淹れ方の法則があるのかもしれませんが、それはまたおいおい観察させて頂くとして」 「では先生、私が休憩のお手伝いをしますので、思う存分おくつろぎ下さい♪」 「ふふっ、何をされるのかと思ってます? 先生でしたら既に何をされてしまうか、ご存知かもしれませんが」 「はい♪ 休憩――リラックスといえば、やはりマッサージですよね。先生、マッサージ動画を見ながら寛ぐの、お好きみたいですし」 「ふふっ、変わった趣味、ですか? マッサージ動画をご覧になるの、別に変なことだとは思いませんよ。私も興味があり見てみましたが、再生数も結構多かったですし」 「こんなにマッサージをされている動画を見る人がいるのは、何か根拠があるのかしら?」と思ってちょっと調べてみたのですが……ちゃんと根拠、あるみたいですよ、先生」 「マッサージは直接されるのも勿論気持ち良くてリラックス出来ますが、マッサージをしている・されている動画を見るだけでも同等程度のリラクゼーション効果が期待できるそうです」 「実際にマッサージをされているときの気持ち良さを感じられないのは残念ですが、気持ちが解れるのは良いことだと思いますよ」 「ですので、先生? お疲れの際はどうぞ自信を持ってマッサージ動画、ご覧下さい♪ まあ……他の生徒さんに説明をして、納得してくれるかは定かではありませんが」 「っとと、先生? 今更になってしまって申し訳ないのですが……肩もみの強さ、如何ですか? 強すぎたり弱すぎたりは……しませんか。それなら良かったです」 「ふふっ、ユウカちゃんはこれよりももう少しだけ強めのほうがお好きみたいですし、マッサージの強さは人によって好みがありますから確認は大事です」 「こうしてどれくらいの強さがお好みか教えて頂ければ、次からは殆ど同じ強さで再現できると思います」 「ふふっ、でも記憶や暗記としては完全に頭に入れていても、力加減は日によって誤差が出るかと思いますし、強さについては適宜仰って頂けると助かります」 「ユウカちゃんのように多少の誤差でも、気持ち良いーと言って下さるのでしたら、それはそれで構いませんが♪」 「ユウカちゃん、毎回必ず遠慮はするんですけど、肩もみさせてくれるんですよね。じゃあ、ちょっとだけお願いといいつつ、最近では途中から頭が揺れ始めたりするのを見るのが楽しみになっちゃってます♪」 「先生も宜しければうたた寝してしまっても大丈夫ですからね。そのときはちゃんとソファーかベッドに運んであげますから」 「生徒にそんなことをさせられない? ふふっ、確かにそうですね。それに、そういうときに限って他の生徒さんが急にやってきて目撃されてしまったりしそうですし」 「私は構いませんが……先生は困ってしまいますもんね、ふふっ♪」 「そういえば買ったもののあまり使われずに物置き場になってしまうものの代名詞にマッサージチェアがありますね」 「お店や外の施設で使用するととても気持ち良いですし、何時間でも座っていられるような気分になるのですが……家にあると使わなくなるのは不思議なものですね」 「私はそういうことはないのですが、買って満足してしまった、というのもあるのでしょうか? それか、思っていたほど性能が良くなかったとか」 「もしくは、やはりマッサージチェアを使うのでしたら周囲の環境も加味して、外のほうが気分的に良かったりとか。安いものではないのに勿体ない限りです」 「ふふっ、というわけで先生? マッサージチェアの購入をお考えでしたら、是非慎重にご一考を♪ もしどうしても欲しいというのでしたら、ユウカちゃんにも相談、して下さいね♪」 「あー……そういえばエンジニア部がマッサージチェア?を作ったという話を聴いたことがありますね。私は直接見たわけではないのですが、足や背中だけでなく全身マッサージ機だったと聞いてます」 「ミレニアムの誇るエンジニア部謹製のマッサージチェア、どうです? 確か脱出ボタンまでついてもしもの時も安心と……」 「あら、とりあえず今は結構、ですか? ふふっ、今のところは必要ない、とのことですし、必要になったときのためにエンジニア部に話だけでも通して――」 「ふふっ、では私の頭の中にだけ記憶しておきますね。必要になったらいつでも仰ってください、先生」 「マッサージチェアには及ばないかと思いますが、私のマッサージでしたら当番の日でしたらいつでも♪」 「勿論、しっかりとお仕事をして、その間の休憩の時間に、ですが♪」 「それにしても先生の肩をこうしていると……上手く形用出来ない気持ちになりますね。勿論、ネガティブな意味ではありません」 「……マッサージをされて気持ち良くなっている動画を見るとリラクゼーション効果が、という話をしましたが、動画でなくとも実際に目の前で気持ち良くなっているのを見るというのも効果があるのかもしれません」 「ユウカちゃんの肩を揉んでいるときも同じような気持ちになるか、ですか?」 「うーん、先生の肩をマッサージするのはホッとすると言いますか、落ち着くと言いますか、そんな感じですが、ユウカちゃんの肩に触れているときは……ふふっ、何だか楽しくなってしまっている気がします」 「ふふっ、先生もユウカちゃんのリアクション、想像出来てたりします? 遠慮はしつつも「もっと右ー」とか「もうちょっと強くー」とか、可愛いんですよ、ユウカちゃん♪」 「先生も機会があればユウカちゃんの肩もみをー……と思いましたが、流石に先生が生徒の肩を揉むのは……ふふっ、どうなんでしょうね?」 「まさかユウカちゃんだけを特別扱いというわけにはいかないでしょうし、他の生徒さんからも肩もみをお願いされて大変なことになりそうです」 「先生は生徒からのお願いは断れなさそうですし」 「はい。肩もみはこれくらいにしておきましょう。私も慣れているわけではないので、ちょっとだけ手が疲れてきましたし」 「ふふっ、謝る必要はありませんよ♪ 私が勝手にしてあげただけですので♪」 「それで、肩の調子は如何です? 少しでも楽になっていれば私も肩もみをした甲斐がありますが……ふふっ、具合が良さそうでしたら良かったです♪」 「さて、それではリフレッシュも出来ましたしお仕事、再開しましょうか」 「ふふっ、また疲れたころにちゃーんとリフレッシュタイム、してあげますから♪」 「それでは先生、お仕事中のコーヒー、淹れてきますね」 「お仕事中のコーヒーは……ふふっ、ちゃーんと分かってますから大丈夫ですよ♪」 「では、先生? 私がコーヒーを入れてくる間も遠慮せずにお仕事、していてくださいね♪」 03_「ふふっ、ついでに耳かきでも如何ですか?」(耳かき)(24:29) 「あ、先生、おはようございます♪ ふふっ、そんな驚いたお顔をして♪」 「えーっと、どうしてソファーの上で、しかも私の膝枕で目を覚ましたのか、ですよね?」 「ちょっと目の使いすぎで目が苦しいのでおめめポカポカシートで温めるー、10分だけ休憩ーと、横になって、ですね? そこからは説明不要かと」 「ふふっ、折角うたた寝するのでしたら枕があったほうがと思って、膝枕をしてあげちゃいました」 「それに先生、膝枕をされるの、お好きそうですし」 「膝枕をされるのが嫌いな人間はいない? ふふっ、確かにそうかもしれませんね。ユウカちゃんも膝枕をしてあげるととても気持ち良さそうに眠ってくれますし」 「それに先生、こうして膝枕されている動画や音声?もご覧になっているの、ちゃんと知ってますので♪」 「そしてー……ふふっ、先生? 膝枕をされながら耳かき、というのもお好きなんですよね?」 「折角膝枕をしてますし……ついでにまた休憩、しましょうか? それとも大人な先生は休憩の誘惑に負けずお仕事、しちゃいます?」 「ふふっ、やはり休憩は大事、ですからね。膝枕と耳かきの誘惑に負けたわけではありませんよね♪」 「あ、耳かき棒でしたらご心配なく。念のため膝枕をする前に持ってきてありますのでご安心を♪」 「では、どうぞ? どちらのお耳からでも構いませんのでごろんとして下さい♪」 「はい、ごろーん♪」 「先生はこちらのお耳からがお好み、と♪ ふふっ、特に他意はありませんよ♪」 「では、髪の毛を失礼して……先生の髪の毛、見て目通りサラサラしてて素敵ですね。ユウカちゃんの髪の毛より柔らかくて優しい触り心地です」 「私の髪もサラサラで素敵、ですか? ふふっ、有り難う御座います♪ お手入れはしっかりしているので褒めて頂けると嬉しいですね」 「褒めて頂けたので念入りに耳かき、頑張っちゃいましょうか」 「それでは……痛かったら言って下さいね、先生」 「……如何……でしょうか? 先ずは優しく、ですが、違和感等は……無ければ問題ありません。耳かき、続けますね」 「……はい? 耳かきを始めたところで申し訳ないけど、この状態を見られたり聴かれたりしていたらマズい、ですか?」 「ふふっ、ですねー♪ 耳かきをされながら見つかったときの言い訳を考えておくのが良いかもしれません。私も一緒に考えてあげます」 「なんて、冗談ですよ、先生。恐らく、ですが盗聴や盗撮の心配はいらないと思います。不意の訪問であればここに来る前に分かりますし」 「セミナー書記として、情報漏洩は歓迎しない場面が多いので、その対策として周囲の電波をジャミングする装置を携帯していますので♪」 「ふふっ、あくまで違法そうな電波に対して効果を発揮する装置ですので、WIFIや無線には影響がありませんのでご安心を。流石ヴェリタスの副部長、とても頼りになります」 「その他の手段で監視されている場合……ですか? 古典的ですが望遠鏡での盗撮、でしたらご心配なく。窓に作業をしている風景を流してありますので♪」 「ふふっ、用意周到、ですか? 休むときは心配事をなくして休むのが一番ですからね。そのための準備は惜しまないというだけです」 「……もっと別な手段でシャーレに現れる子もいる、んですか? 突然現れたり観葉植物に擬態していたり、気付けばすぐ傍にいたり……? ふふっ、忍者や幽霊のような生徒さんもいらっしゃるんですね」 「では、次回からはそのような方々にも対策出来るよう準備をしておきましょうか。そう、ですね……エンジニア部やヴェリタスも悪くないかと思いますが、話を聴く限り特異現象捜査部の部長にお話を伺ってみるのも良さそうですね」 「と、少し奥の方まで耳かき棒を入れますので、痛かったら仰ってくださいね」 「とりあえず……ユウカちゃんはこれくらいまでなら大丈夫だったので……」 「ふふっ、大丈夫そうですね。では、続けます」 「耳かき、されるのも勿論ですがするほうも結構楽しかったりしますね。あまりノリノリになってしまうと危険なので、ちゃんと自制はしますが」 「まあ、私の場合、先生以外にしたことなんて片手の五分の一程度の人数ですけどね♪」 「ふふっ、先生はメイドさんもお好きでしたし、メイドさんに耳かきをされたら嬉しいのではありません?」 「次は私がメイド服を着て耳かきを? ふふっ、先生? 随分はっきりと寝言、しゃべられるんですね♪」 「私よりももっと相応しい方々がいらっしゃるじゃないですか♪ メイド服耳かき、C&Cにお願いしてみては如何でしょう」 「先生のお願いでしたら皆さん、渋々だったり悦んでだったり、受諾してくれるはずです」 「それに「お掃除」が専門ですし、お耳のお掃除もお手の物、ですよ、きっと。」 「ふふっ、面白がっているように見えます? 先生がそう仰るのでしたら面白がっているのかもしれませんね」 「面白がっているついでに質問なのですが、先生はC&Cの誰が一番上手に耳かき、してくれそうだと思います?」 「ふむ……ふむふむ……耳元で爆弾を爆破させられたり、耳かきどころじゃなくなったり、そもそも耳かきを存じ上げなかったり、何となくお願いしにくかったり、と……ふふっ、中々難しそうだというのは同意です」 「ですが……私はリーダーこそが一番上手に耳かきをしてくれるのでは、と思います。想像してみて下さい? リーダーに「耳かきをして」とお願いしますよね?」 「ふふっ、当然のようにちょっと怒られるでしょう。そこでもう1度、もう少し強めにお願いしてみましょうか」 「すると……ふふっ♪ 想像出来ました? 渋々ではありますが、きっとしてくれますよね♪」 「それに、ですね。ああ見えてとてもしっかりした方なので、きっと耳かきもきっと上手にしてくれるはずです。任務中の姿からは想像、出来ませんけど」 「ふふっ、先生? ちょっと本気にしちゃいました? 後学のために耳かきをお願いしたらどうなったか、後程教えて下さいね」 「はい、では仕上げにー」 「まあ、私の耳かきのオススメは……聴かなくても分かりますよね。ユウカちゃんの太ももでの膝枕、とても気持ち、良いんです♪ っと、念のためですが今のはユウカちゃんにはナイショ、ですよ、先生」 「それにユウカちゃんとの作業通話のファイルをパソコンに保存している先生なら分かると思いますが、ユウカちゃんの声もとてもリラクゼーション効果がありますからね」 「ユウカちゃん、耳かきのときは無理に喋らずに黙って耳かきをしてくれても良いのに、私を気にかけて話しかけてくれるのもポイントが高いですね」 「勿論、耳かきも上手なので……ふふっ、いつぞやのお礼ということで、そのまま寝かされちゃったりしたりもしました」 「ふふっ、ユウカちゃんの耳かき、気になります? 私がユウカちゃんに「先生が耳かきをして欲しいと言ってましたよ」と伝えておきましょうか?」 「あら、ユウカちゃんがどんな反応をするか見たかったのに、ご自身で聴きたいだなんて。ふふっ、先生もユウカちゃんの反応、見て見たかったり、ですか?」 「では、私はこっそりユウカちゃんに聴いてみたりはしませんので、どんな反応だったか教えて下さいね♪」 「はい。こちらのお耳の耳かきはお終い、です。あまり長くしてしまうと耳を傷めてはいけませんので」 「はい。それでは、耳かきはここまでにしてお仕事の続きをー――」 「ふふっ、冗談です。では、逆のお耳を耳かきしますので、ごろんして下さい」 「はい、では次はこちらのお耳を……」 「こちらのお耳も痛かったら言って下さいね、先生」 「如何です? 基本、先ほどと同じように耳かきをしていますが問題は……無いようでしたら問題ありません。続けますね」 「……ふふっ、さっきからですが耳かきをしているとこう、何か喋りたくなってきてしまいますね。ユウカちゃんが耳かきをしながら話しかけてくる理由、分かる気がします」 「こういうときに何故喋りたくなるのかロジックを説明、して欲しくなりますね。気になるので今度聞いておきましょうか」 「と、そういえば話が変わってしまうのですが……先生、無理をするのはほどほどになさって下さいね。先生は私達と違い、銃弾一発が致命傷になるんですから」 「最前線に出ることは殆どないかと思いますが、流れ弾や跳弾もあるでしょうし、爆発物の破片が飛んできたりというのもあるかもしれません」 「ですので、もう少しご自身の安全に対する注意を……といっても、先生は生徒の頼みとあれば自分のことはそっちのけで頑張ってしまうのでしょうけれど」 「もしものことがあったら悲しむ生徒はたくさんいます。ユウカちゃんもとても悲しむと思いますし……勿論私も悲しみます」 「ですので、私が簡単に言ってどうにかなるものでも無いのは重々承知していますが……それでも、尚一層ご注意頂ければ、です」 「……私に何か出来ることがあれば、その時は遠慮なく仰って下さい。ミレニアムの技術の粋を集めて先生のためにお手伝いさせて頂きます」 「エンジニア部にお願いすればミサイルでも防げる防弾チョッキも可能かと思いますし、身辺警護でしたらC&Cにお願いすれば――」 「ふふっ、遠慮なされるのは知っています。もし必要になったら、です。私に言い難かったら……ユウカちゃんに相談するのも良いかもです」 「そのときのユウカちゃんの反応、是非私に教えて下さいね、先生♪」 「こちらのお耳も少し奥まで失礼します」 「左右で多少感じが違いますが、違和感や痛みは――ふふっ、大丈夫そうですね。では、続けます」 「……はい? 先生、どうしました? 耳かきの具合が良くない――わけではなく……突然だけどクイズ……ですか?」 「構いませんが……どうぞ? ふむ……ふむふむ、私がお手伝いを初めて現時点まで、何回「ユウカちゃん」と言ったか、ですか?」 「ふふっ、30回、先ほどのを含めて31回です。当たってますよね♪ 先生はそうなんだってお顔、してますけど♪」 「これくらいの集中強度でしたら、私の記憶力が鈍ることはありません。余程忙殺されていれば或いは……と思いますが、経験はないですね」 「ふふっ、記憶力が凄くて羨ましい、ですか? 確かに、便利なことも多いですね。書記としてこれほどプラスになる能力もなかなかないと思います」 「キッチンに向かってから何をしようとしたのか忘れることもありませんし、夕飯の食材をうっかり買い忘れることもありません」 「記憶のどの場面を切り取っても鮮明で、おぼろげに、ということもありません。ふふっ、やっぱりちょっと羨ましいと思いました?」 「先にも言いましたが、便利ではあるんです。知識を記憶しておければ、それを引き出して応用することも可能です。客観的に、それが正しい知識であると判断したものに限りますが」 「私の記憶力とユウカちゃんの計算能力があればおおよその事象は解決……出来るかな、とも思います」 「ですが、良いことばかりではないのかもしれません。今のところ、そこまで致命的に不幸だと感じたことはありませんが……」 「なるべく考えないように、思い出さないようにすることは出来ますが、ネガティブな事象について、忘れられないというのは不便ではありますね」 「例えば、ですか? えーっと……先生と、ユウカちゃんをはじめ、多くの生徒さんが死地に赴いた際の記憶は……今思い返してもハラハラはするかもしれません」 「……ハッピーエンドが確約されている小説の中の悲劇、程度のものですが」 「というわけで、先生? 先程もお話しましたが……ご自身の身体、大事になさって下さいね」 「先生に何かあったら、それだけでも辛いですが……それに付帯してユウカちゃんが悲しむ姿も私は記憶しなければいけなくなりますので」 「ふふっ、ですので、可愛い生徒にそんな記憶を植え付けないためにも、十分に注意、して下さいね」 「戦闘に赴くときは勿論、生活全般について、です♪」 「はい、ではこちらも仕上げに」 「ふふっ、やっぱり耳かきをしているとあれこれとたくさんお話、してしまいますね」 「先生が聞き上手だから……ですか? ふふっ、そうですね。そういうことにしておいてあげます」 「そう、ですね。先生、こんなに耳かきをされて喜ぶのでしたら……エンジニア部にお願いして全自動耳かき器でも作って頂きましょうか?」 「そうすればおひとりで作業なさっているときも、休憩に耳かきをして貰えますし。あっ、そうですね、アバンギャルド君を改造して耳かき機能を搭載――」 「あら、全自動耳かき器はいりません? やっぱり人間のぬくもりが感じられるのが一番、ですか? でしたら、アバンギャルド君に人肌程度に発熱する機能を――」 「ふふっ、冗談です。やっぱり人にして貰うのが一番、ですからね。私はユウカちゃん以外にされたこと、ありませんけど♪」 「はい。お話をしている間にこちらのお耳の耳かきもお終い、です。先生のお願いでも延長はしてあげませんので♪」 「では、耳かきはここまでにして残りのお仕事をー――」 「……ちゃんと起きるから、あと10を数える間だけこのままで、ですか? 何事も余韻は大事……。確かに一理ありますね」 「では……10数えたらちゃんとお仕事、しますよ、先生」 「10」 「9」 「8」 「7」 「6」 「5」 「4」 「3」 「2」 「1」 「0」 04_「スッキリするのも大事ですからね♪」(シャンプー)(19:15) 「……はい……はい。あら……それでは仕方ありませんね。いえいえ、急な申し出ですし、全然問題ありません」 「ユウカちゃんのほうこそ頑張りすぎないようにして下さいね」 「ふふっ、はい♪ 宜しく伝えておきますね。では♪」 「ふぅ」 「というわけで、先生、残念ながらユウカちゃんはゲーム開発部での用事の最中らしく、来られないとのことでした」 「ふふっ、残念そうなお顔をしてますが、ユウカちゃんも残念そうでしたよ。勿論、私も残念です」 「ユウカちゃんが居れば効率も上がりますし、早めにお仕事も終わるかなと思ったんですけど……今日は長丁場になりそうですね、先生」 「それでは、引き続き作業を――と、思いましたが……ふふっ、先生、疲れたお顔をなさってますよ」 「もうひと頑張りする前に、コンディションを整えたほうが良さそうですね」 「ストレッチで身体を動かすのも良いかな、と思ったのですが……」 「何か見覚えがあるなーと思っていましたが……丁度良いものがここにありますね♪」 「ふふっ、何をするの、ですか? この何の変哲もないウォーターサーバーですが……実はここにボタンが……ふふっ、やっぱりありました♪ そして、このボタンを押すと……爆発したりはしませんのでご安心を」 「ポチっと」 「私には分かりませんが擬態と変形はロマン、と言っていましたね。その様子だと先生もご存知ではなかったようですが」 「いつぞやのミレニアムプライスで審査をしたのですが、まさかシャーレのオフィスにあったんですね。ウォーターサーバー機能付きシャワー装置」 「ちゃんと変形しましたし動作もきっと問題ないはず、です」 「と、いうわけで、先生? シャキっとするために髪の毛、シャワー、如何ですか?」 「ふふっ、気分の切り替えもお仕事の一環ですからね」 「では、お仕事の手を止めてこちらにどうぞ。お仕事を続行したいのであれば私はお邪魔しませんので、そのまま席にどうぞ」 「ふふっ、やっぱりリフレッシュは大事ですからね♪」 「どうぞ。怪しい仕掛けも……無いとは言えませんが、恐らく大丈夫ですので腰を掛けて下さい」 「はい、では、椅子、倒しますねー。力、入っちゃうと思いますが楽にして大丈夫ですよ」 「ふふっ、大丈夫と分かっていても椅子を倒されるとき、首とかに力、入っちゃいますよね♪」 「こんな感じですが……頭や首の位置、腰の位置や感じに違和感は……無いのでしたら何よりです」 「……さて、では、身体の力を抜いて頂いて……髪を洗ってスッキリしましょうか」 「先ずは……はい、定番の目隠しの布、失礼しますねー」 「本職の美容師さんのようには上手く無いかと思いますが、その辺は目を瞑って頂くということで。先生は今、文字通り目を瞑っているかと思いますが♪」 「……お湯の温度は……これくらいで良いかしら……」 「まずは頭、軽く流しますねー」 「如何でしょうか? 温度は……大丈夫そうですね」 「ふふっ、まさか先生の髪を流す日が来るとは思っていませんでした。耳かきや肩もみについても、ですが」 「ふふっ、先生は他の生徒さんにして貰ったことがあるかもしれませんけれど♪」 「あ、ヤキモチやらの感情ではなく、ただの私の雑感ですので♪」 「はい。それではー」 「シャンプー、失礼しますねー」 「私は他の生徒さんにシャンプーをしてあげたりしないのか、ですか? ふふっ、私がシャンプーをするような相手はセミナー内でも1人だけなの、知ってて仰ってますよね」 「先生のご想像通りで間違いないと思いますよ。こうして洗髪台を使ってのシャンプーは今までに経験が無いので初めてですが」 「ふふっ、洗髪台以外でシャンプーを?と、そんなに驚くことでもありませんよ。美容院以外でシャンプー台なんて使いませんし」 「なんて♪ 本当のところはどうなのかは、秘密にしておいたほうが楽しそうですね」 「えーっと、ですね? 今お顔に掛けている布、実はこちらからは丸見えの素材になっていたり……」 「なんて、しませんよ♪ ちょっとからかってしまいました♪ ふふっ、先生? 見られたら困るような表情、してたんでしょうか?」 「どうしても答え合わせをしたいようでしたら、ユウカちゃんに聴いてみるのが一番かもしれません」 「聴き方次第ではユウカちゃんに怒られちゃうかもしれませんが……そこは大人の先生の腕の見せ所、ですね♪」 「ふふっ、とても良い機会ですので、そのときは書記として是非是非立ち会わせて頂ければ嬉しいです♪」 「さて、先生? 痒い所は御座いませんか? 洗い足りないようなところはありません?」 「ふふっ、痒い所や洗い足りないところがあっても、言い難くて大丈夫と答えてしまいますよね」 「そういえばこの、痒い所の確認というのは、もうシャンプーを終わりますよ、という確認の意味があるらしいですね」 「いつも行きつけの美容室でカットしているので他の美容室のことはあまり分かりませんが、確かに確認をされたあと、程なくしてシャンプーが終えられている気がします」 「ちょっと待って頂戴。頭頂部の辺りが洗い足りないわ。とか、ちゃんと言えた方がお得なのでしょうけれど、何となく気恥ずかしくなってしまいますね」 「はい。というわけで、シャンプーはここまでです」 「もう少し長めにして欲しかったら、次からはちゃんと言わないといけませんからね♪ 次があるかは分かりませんけれど♪」 「それでは。頭、流しますね」 「シャワーの温度は先ほどと同じなので問題、ありませんよね」 「ふふっ、温度までちゃんと記憶できるんですよ……と、言いたいところですが、温度調整機能付きのシャワーなだけです」 「ちなみに、ユウカちゃんはこれよりもちょっとだけ熱めのお湯が好き、みたいです。ふふっ、実際のところは本人に確認をどうぞ♪」 「そうですね……折角こうしてウォーターサーバー機能付きシャワー装置がありますし、ユウカちゃんにもシャンプーをしてとお願いしてみては如何でしょう?」 「ああ見えてユウカちゃん、優しく丁寧にシャンプー、してくれるかもしれませんし、ふふっ」 「シャンプーしてあげるのなんて私だけなんですからね、他の生徒にお願いしたらいけませんからね、とか、ユウカちゃん、言いそうなの、想像出来ちゃいます、ふふっ♪」 「はい、仕上げにコンディショナーしますね」 「そういえば私も人から言われるまで知らなかったのですが、コンディショナーは髪に馴染ませてから直ぐに洗い流しても良いらしいです」 「絶対にダメ、ということはないみたいですが、長い時間付けておいても特に効果が高くなる、というのが無いみたいですね」 「トリートメントでしたらモノによるみたいですが10分くらいつけておくと効果があるみたいですよ」 「ふふっ、先生でしたら私に言われなくてもそれくらい知っていそうですけど」 「私はすぐに流しても問題無いと知りつつ、コンディショナーを髪につけて、その間に身体を洗ったりとかしちゃいます♪」 「ふふっ、流石に今この場で身体を洗うわけにはいきませんので、頭、流しますねー」 「自分の髪のときもですが、コンディショナーを流した後のしっとりつやつやしたのを指で感じる瞬間、好きです」 「やっぱり髪の毛が綺麗になるのは嬉しくなるものですからね♪」 「シャンプーをされている先生もスッキリしていると思いますが、私も気持ちがしゃっきりしてきましたので、これからのお仕事も頑張れそうです」 「ふふっ、もしかしてお仕事の事、忘れてたりしました? それだけ気持ち、良かったということでしょうし、許してあげます♪」 「と、先生? 流し足りないところはありませんか? 」 「はい、では……」 「お終いです。お疲れ様でした♪」 「ふふっ、ユウカちゃんの頭をこうしてタオルで拭いているときもですが、何か不思議な感情が芽生えてきそうになりますね」 「何と言いますか、よしよし♪ みたいな? どう形用して良いのか難しいですが、そんな感じです」 「それは母性本能だと思う、ですか? ふふっ、それはお母さんみたい、ということでしょうか?」 「そう言われると真っ先にゲーム開発部といるときのユウカちゃんを思い浮かべてしまいますね」 「先生と一緒のときは……ふふっ、聴かなくて何となく想像が出来るので大丈夫です♪」 「はい、それでは椅子、起こしますねー」 「仕上げに髪、乾かしますね」 「ふふっ、先ほどはコンディショナーをしている時間が好き、といいましたが勿論、こうして髪を乾かしている時間も好きです」 「しっとり濡れた髪が、少しずつサラサラになっていく手触り、何だかちょっと良いなって思います」 「ふふっ、今日のシャンプーの一連の感触はちゃーんと記憶しておいてますので♪ 何かあった際の有用な資料とさせて頂きます♪」 「そうですね、また詩をしたためることになった際の参考に、とか?」 「ふふっ、そういえば私の書いた詩集を読んだことが無い、ですか?」 「言って頂ければ今度お持ちしますが……ふふっ、暗唱することも可能ではありますが、声に出して読むことを想定しているものではありませんので、ダメです♪」 「何故か未だにユウカちゃんしかきちんとした感想を頂けていないので、読了の暁には先生の感想、聴かせて頂けると嬉しいです」 「折角ですし、先生が私が書いた詩集を読んでいるところを観察するというのは――あら、読書は落ち着いてなさりたいタイプですか? それは残念です」 「ですが、先生がこうして私の書いた詩集に興味を持って下さるのは嬉しいことですね。また頑張ろうかなと思えたりしますし」 「詩集以外にも、私のことはちゃんと知りたい、と?」 「先生? そうやって他の生徒さんのこともやる気にさせているんですね、ふふっ♪」 「ですが先生? 私相手でしたら全く問題無いのですが……あまり皆さんにあまーい言葉を言っていると、そのうち面倒なことになったりするかもしれませんよ?」 「ふふっ、そうなったり、そうなりそうでしたら私やユウカちゃんに頼って下さいね♪ ちゃんとふたりでお守りしますので♪」 「はい、お喋りしている間にしっかり乾きましたよ♪ さらさらつやつやで私まで気持ちがスッキリします♪」 「どこかに出かけるわけではないので、セットまではしませんが……と、先生? 勿論ですが、すっきりしたのでこれからお出かけ、とか考えてはいませんよね?」 「ふふっ、でも、美容室に行って髪をちゃんとすると用事もないのにちょっとだけお出かけとかしたくなっちゃうのは分かります」 「それでは……もう少しお仕事をして、次の休憩は身体を動かしがてらに外をお散歩でもしましょうか」 「もしかしたら、それくらいの時間になったらユウカちゃんが来られることになって、お散歩どころじゃなくなるかもしれませんけど♪」 「はい、髪の毛、バッチリです。ユウカちゃん風に言うと、計算通り、完璧〜、ですね」 「さて、もうひと頑張りしましょうか、先生。先生の書記として一生懸命お手伝い、しますよ♪」 「では……少し濃いめのアイスコーヒーを淹れてきますので、お仕事、始めていて下さいね」 「私が戻るまで休憩していても構いませんが……早く始めたほうが早く終わりますからね、先生♪」 「早く終わったら……その分、多めに構ってあげますから♪」 05_「もうひと頑張り、しましょうか♪」(02:48) 「ふぅ。先生、進捗、如何ですか? 私のほうは順調といって差支えが無いレベルです」 「楽しい休憩のおかげでとても順調、ですか? ふふっ、そう仰って頂けると腕を振るった甲斐がありますね♪」 「それに、早く終わらせて私にたくさん構って貰おうと思って、ですか? あら、私、そんなこと言いましたっけ?」 「何て、ふふっ、冗談です。ちゃーんと覚えていますので安心を」 「勿論、私が言い出したことですし構ってあげるのは全然構わないんですけど……」 「先生? 先程ユウカちゃんから連絡がありまして、用事が済んだのでこれからこちらに来るそうです」 「恐らく連絡をくれたタイミングから考えて、もうちょっとでユウカちゃん、こちらに到着しますけど……どうします? それまで私に構われちゃいます?」 「ユウカちゃんがドアを開けたときに膝枕で耳かきをしていたら……ふふっ、ユウカちゃん、どんな反応を――」 「あら、ふふっ、休憩はユウカちゃんが来てからで大丈夫、ですか? わかりました♪」 「さて、それではユウカちゃんが来るまでもうひと頑張り、しちゃいましょうか」 「えーっと……連絡時間から逆算して、ユウカちゃんが来るまでには……結構区切りの良いところまで終わらせられそうですね」 「……ふふっ、ユウカちゃんのことですし、どこかに寄り道をする時間も加味しても良いかもです」 「もしかするとユウカちゃん、スイーツでも差し入れに買って来てくれるかもですし、3人分コーヒーを用意しておいた方が良いかしら? でも、スイーツの種類によっては紅茶のほうが相性が良いかもですし……。あっ、時間も時間なので軽食の可能性も捨てきれませんね。その場合、緑茶のほうが」