『不知(い)夜(ざよ)月(い)を編む魔女』 あの月の裏側にある城で交わした貴方との誓いも 660年という時空の前では風前の灯。 貴方ともう二度と会えないのなら、 この操は月世界に捧げ、錬成しよう。 絶望と諦観の末の決断。 輪廻転生を繰り返し、私の前に現れると…… 『待って』の言葉だけこの世界に置き去りにして、 あの日、貴方は何を言いかけたのでしょう。 ついぞ交わる事が叶わなかった貴方に想い馳せる。 こんなささやかな願いすら叶えられない魔女の事を、 この眩しい夜空の何処かで思い出してくれているだろうか。 嗚呼、穢れの地へ飛び立つ私をどうかお赦しください。 不老不死の理想郷の果てで幾度となく月を巡らせ 永遠を生きながらえる代わりに、時空を遡れない我を呪いながら…… いつかきっとまた、貴方と逢えますようにと今宵も希(こいねが)う。