TR01.プロローグ「旅商人エミル」 ふぅ、今日もよく繁盛したなぁ…この村の付近は魔物が多いから、武器や防具はよく売れるし、薬草の箱だってもう空っぽだよ。 よっと…さあ、後片づけをしたら早く家に帰って夜ご飯の支度をしなきゃね。 あの人もお腹を空かせていることでしょうし♪ 私は世界中を旅しながら商いをしている、旅商人のエミルといいます。 気のむくままに…人が集まり、旅人の行き交う場所ならどこへでも。 そんな私には、旅先で出逢って結ばれた愛する夫がいます。 ちょっと…変わったところもあるんですけど、仲良く幸せに暮らしています。 私たちは世界中を巡り、各大陸にある町や村で少しの間だけ滞在して、夫は近くで仕事を見つけ、私は今もこうやってお店を開いて…武具や道具を売っています。 夕方には家に帰り、仕事を終えた夫と一緒にご飯を食べて、その後は夫の変わった…ふふっ、お願い事に付きあっています。 お願い事ですか?えっと…私の夫には、少しだけ変わった性癖があるんです。 はい、夫は愛する女性が自分以外の男性に穢されていくことに、ひどく興奮を覚えるみたいで… だからそのぅ…私が一人で世界を旅していた頃に、旅先でこの身を襲った野蛮な話を愛する夫からのお願いってこともあって、ええ…順を追って、ねっとりと話してあげているんです。 セックスですか?…いえ、夫にお願いされた夜はセックスをしません。 しません…というよりは、セックスをさせてあげないんです。 耳元で聞きたがっている話をしながら、私のこの手で擦ればすぐにでも爆発しそうな…硬くなった夫の弱いペニスを扱いてあげるだけ。 もちろん、すぐには射精させてあげません。 私の過ぎた話に妬み、息を荒げ、愛液もたくさん漏らしながら我慢の限界になった時を見て…指先で亀頭を包みこんで、こうやって捻(ひね)るように扱いてあげるんです。 そうすると、限界を迎えた夫のペニスなんて数秒も持たずに……ドピュッ♪って…あっけなく射精してしまいます。 初めの頃はこれでどうしてこんなにも興奮できるのか、夫の性癖が理解できなかったのですが…ふふっ、愛する者同士、染まっていくものですね。 最近は夫を嫉妬させる悦びを少しだけ、知ってしまったようで…それに、手の中に出された夫の濃い精液を見ていると、私も体が疼いてきて… その熱を何とか押さえ込んで…ぅ、んっ、次の日にする夫とのセックスなんてもう……ぁ、はぁ。 あっ、ごめんなさい…つい。 えっと、もう少し話をしていたいんですけど…お店の後片づけを終えた私が、そろそろ家に着く頃のようです。 ただいまぁ♪…いつもより帰りが遅くなってごめんね。 立ち寄ってくれたお客さんと少し話し込んじゃって…えっ?うん、男性のお客さんだけど…違うよ。 あなたが期待するようなことは何もないから……そんなことより、お腹空いたでしょ? ちょっとだけ待っていてね、すぐにご飯の支度をしちゃうから♪ これが夫と私の日常、夫婦の間で見る和やかな風景。 ただ一つ、変わっていることがあるとすれば……