『蓄音レヱル ~ くろがね鉄道D60 66専用レイルロオド むむむ~』 ;//////// ;Track1:若待港の喧騒をバックに筑方炭田の歴史語り(思い出の地で寄り添い語り合いながら、むむむからの簡単な推理クイズの時間を楽しむ) ;//////// ;3/右 【むむむ】「むむむ?」 ;1/前 【むむむ】「むむむむ?」 ;7/左 【むむむ】「むむむむむ」 ;7/左→;1/前→;3/右 【むむむ】「むむむむむむむむ~」 ;環境音 若松港の喧騒 F.I ;3/右(顔はマイク=マスターと同視線。横並び) 【むむむ】「(あまりの賑わいに声も忘れて頭上の箸を見上げる16呼吸)――(関心しきりの長い息)」 【むむむ】「いやいや、見事なものです。まさに隔世の感があります。 エアクラ車(しゃ)、電気自動車、ガソリン車、ディーゼル車――車(くるま)! 車! 車!」 ;3/右(顔はマイク=マスターの方に。以降任意でマスターを見たり、景色を見たりしてください) 【むむむ】「かつて――むむむとむむむのD60(デロクマル)──D60 66(ディーろくじゅう ろくじゅうろく)が馬車馬のごとく走り続けていた1920年代。ここ――この若待港(わかまつこう)には、車など数えるほどしかなかったものですが」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「さて、マスターくん。車の代わりに、かつての若松港を埋め尽くしていたものがなにか……わかりますかな?」 ;3/右(密着) 【むむむ】「(マスターの返事を聞く4呼吸)」 ;3/右 【むむむ】「なるほど、さすがの着眼点。いや、マスターくんは、実に素晴らしい探偵助手たる資質の持ち主だ」 【むむむ】「わかってしまえば、正解は実に単純ですな。つまり、『石炭』」 ;あたりをぐるりと見回しながら 【むむむ】「ここ、若待港は日ノ本一の――比喩ではなく、厳然たる事実として日ノ本最大の取り扱いトン数を誇っていた、巨大な石炭ターミナルだったのですからね」 【むむむ】「番付表……とあるジャンルにおける順位を相撲の番付にたとえて表記するという日ノ本特有のアレでもね、若待駅はいつでも横綱を張っていたのですよ」 【むむむ】「その石炭の山の中……働きつづけていましたな。ずっと、ずうっと、むむむたちは」 【むむむ】「筑方炭田(ちくほうたんでん)で産出される石炭が、脳方(のうがた)からの列車によって若待駅へと運ばれる。 若待駅からは人力、市電、自動車、かわひらた――ありとあらゆる手段をもって、若待港へと移送される……(呼吸音)(呼吸音)――ふむ?」 【むむむ】「マスターくんは『かわひらた』を……ああいや、知らないほうが普通でしょうな。ふむ」 【むむむ】「石炭輸送にかかわった経験でもない限りは、『かわひらた』を知りようはずもない。これはむむむの見落としでした。お恥ずかしい」 【むむむ】「しかし――『かわひらた』という名称自体が、その形状を非常に端的にあらわしてもいるのです。つまり、非常に簡単な推理に成功しさえすれば、かわひらたがどのようなものかを、確定できるのですが……」 【むむむ】「(マスターの話を聞く2呼吸)──左様ですとも。すばらしい! さすがはマスターくんですねぇ。さきほどのむむむのヒントを、きちんと認識して活用してみせた」 【むむむ】「あるいはヒントが簡単すぎましたかな? 『”かわひらた”という名前自体が形状を表している』――このヒントと、他の交通手段が全て陸路を行くものであることに気づきさえできればいい」 【むむむ】「すなわち、かわひらたとは、川を行くひらたいのりもの。 何故ひらたいか? それはもちろん、石炭を大量・簡便に移送し・積み下ろしするため」 【むむむ】「結論。『かわひらたとは石炭運搬用のいかだである』――実に平易な推理です。が、その平易さは全ての素材を残らず集めて初めて導けるもの」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「マスターくんの観察力・注意力は実に素晴らしい。見事です」 ;3/右 【むむむ】「その目と耳とを大いに活かし、今後ともぜひ、捜査面でもこのむむむを大いに助けていただきたいものですな」 【むむむ】「(ふ、っと顔をあげ周囲の喧騒を聞く2呼吸)」 【むむむ】「――耳。ふむ、音もまた、極めて重要な情報です。 ときとして、言葉や映像よりも遥かに多くを伝えてくれる」 【むむむ】「マスターくん。聞いてください。 若待港の、今を表す音たちを」 【むむむ】「(マスターとふたり、じっと耳を澄ませる16呼吸)」 【むむむ】「(昔を幸せになつかしむ微笑)――さまざまな車とかわひらたと。人と石炭と。陸路と水路と。全く異なる運搬を、まったくことなる経路で行う、ものともの」 【むむむ】「けれど、音は――それらが群れとなりたてる音たちは、むむむの耳には、驚くほど似通って聞こえます」 【むむむ】「人の営みの奏でる音たち。 喧騒ともいわれてしまうその音こそが、若待を、筑方を、くろがね鉄道を――ひいては副丘県を代表する音。むむむは、そのようにも感じるのですが……」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「さて、マスターくんはいかがですかな?」 ;3/右 【むむむ】「(マスターの返事を待つ4呼吸)。ふふふっ、それは大変にこころづよい。マスターくんがそう感じているというなら……もう少しこの路線を掘り下げましょう」 ;SE 踏み出す足音一歩 ;1/前(マイクに体側を向ける) 【むむむ】「見えますかな? マスターくん。むむむの指の示す先――海沿いのこじんまりとした建造物が」 【むむむ】「あそこにも、むむむが好む音がおそらく残っている。 役割を変えているかもしれませんが、その本質は変わらぬままに――おそらくは、ですが」 ;1/前→;3/右 【むむむ】「この推理が的中しているかそうでないのか――マスターくん」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「むむむと一緒に、確かめてはくれませんかな?」 ;//////// ;Track2:舟運をの名残を楽しむ若戸航路フェリー往復(かつての舟運の名残をわずかに残す若待-戸旗航路のフェリーにゆられつつ、むむむとならんでのんびりトーク) ;//////// ;7/左(マスターと座席に隣同士で座ってる) 【むむむ】「(満足の息)……やはり航路は維持されておりました。若待から対岸の戸旗(とばた)へ。渡る者こそ変われども……おや?──(様子を伺う3呼吸)──ふむ」 ;F.I. 若松-戸畑航路環境音(走行中) ;7/左→;7/左(密着) 【むむむ】「マスターくん、もう少しむむむの方へ…… (マスターの移動を待つ2呼吸)──うん、スペースはこの程度あけてあげたほうがいい」 【むむむ】「ほら──自転車と一緒にご乗船のお客様もいらっしゃいますからな。 誰にとっても余裕はあったほうがいい」 【むむむ】「(マスターの話を聞く2呼吸)──ああ、自転車が船にのることは、おそらくここでは、そう珍しくもないでしょう」 【むむむ】「これも簡単な推理です。思い出してみてください──さきほど我々が頭上の喧騒を楽しんだあの橋は──(呼吸音)──!」 【むむむ】「左様。さすがですな、マスターくん。あの橋は、『自動車専用橋』」 【むむむ】「徒歩で移動するものも、自転車で移動するものも、あの橋を渡ることはできない。 ゆえに、この渡船も十二分すぎる存在価値を昔と変わらずに示し続けている」 【むむむ】「橋がその役割を示すのと少しも変わらず。渡船もまた、水に隔てられたふたつの土地を、『お隣同士』に変化させることができるのですよ。実に素晴らしいことです」 【むむむ】「橋と渡船と……公共交通機関かくあるべし、という話なような気もしますな。 きちんとした役割分担によっての共存。共存しつづければこそ、どこかに障害が生じた場合にはフォローしあえる存在ともなる」 【むむむ】「いかにすぐれた交通機関が誕生したとて、それのみで鉄道が担っていた範囲のすべてをカバーできようはずもない」 【むむむ】「あまりに自明なかかる事実をわかっていてなぜこの国は……(ためらう2呼吸)……いや」 ;切り替えて。肩をすくめて力を抜いて話すイメージ 【むむむ】「いっても詮無きことですな。一度はその役割を否定され、滅びの淵にさえ追いやられた鉄道が、いまは再評価されている」 【むむむ】「壊滅寸前にまで剥がされて分断されてしまった鉄路が、再びの延伸をはじめ、お互いを結び合いはじめている」 【むむむ】「であるのですから鉄道も、『公共交通機関』としての役割を今一度期待されている。 ならば忌まわしき過去もまた、そこへとつながるために必要な分岐であったのかもしれません」 【むむむ】「(微苦笑)──とにかく、まぁ」 【むむむ】「鉄道華やかなりし時代だったころからずっと、一度は乗ってみたかったのですよ、かわひらた。 その念願が叶うことこそありませんでしたが――」 【むむむ】「(渡船の風を楽しむ8呼吸)」 【むむむ】「ぽんぽん船にはようやっと――やっと、乗ることができました」 【むむむ】「(マスターの話を聞く3呼吸)――ああ、ぽんぽん船というのはこの船……若待と戸旗とを結ぶ、若戸航路の渡船の、昔の愛称ですな。いまもあるいは、年かさの方などはそう呼んでいるかもしれません」 【むむむ】「マスターくんの年齢では実物をみたことはありませんかな? ぽんぽん船。ああいや、この場合のぽんぽん船は、ここの渡船の愛称ではなく、もっと広い意味での……左様、ある種の船の総称です」 【むむむ】「焼玉(やきだま)エンジンというものがありましてね。これはまぁ、非常に簡便な構造をしている内燃機関で……その作動の際に、独特の、愛嬌のある音を立てるのですよ。遠くで聞けばぽんぽん、ぽんぽん、と響いてくる、リズミカルな音を」 【むむむ】「だから、ぽんぽん船。灯油や軽油といった比較的安価な燃料で作動させられることもあり、明智(めいじ)末期あたりから爆発的に普及しましてな──ここ、若戸航路でも、ぽんぽん船は長期間活躍していました」 【むむむ】「ああ、そうだ。うん。ぽんぽん船については、我々がいま取材をしている企画……『蓄音レヱル』でも言及されていました」 【むむむ】「EF10 23(いーえふとおけい にじゅうさんごうき)。あの"銀罐”(ぎんかま)の専用レイルロオド。關門(かんもん)鉄道のしろがね氏」 【むむむ】「しろがね氏が蓄音レヱルで語っていました。關門海峡では今もときおり、ぽんぽん船が通過していくその音を聞くことができる、と」 【むむむ】「ふむ。もしもマスターくんが興味を抱いているようであれば……(返事待ちの2呼吸)──なるほどなるほど、ひとつ楽しみが増えますな」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「では、次に休日が合うときにでも、早速」 ;7/左 【むむむ】「關門海峡──門次港もまた、かつてのむむむの庭でしたからな。魅力的なスポットを、たくさん案内してさしあげましょうとも──む?」 ;7/左→;1/前→;3/右→;1/前 【むむむ】「むむ? むむむ? むむむむ? むむむむむむむ~???」 ;7/左(密着) 【むむむ】「いけませんな、マスターくん。顔色が優れない。よもやよもやの船酔いですかな?」 ;1/前 【むむむ】「(マスターの弱々しい弁明を心配そうに聞く4呼吸)」 【むむむ】「ふむ。しかしまぁ、むむむも疲れているのです。 懐かしいこと、うれしいこと、それがたくさん押し寄せてきて──ふふっ、はずかしながら、はしゃぎ疲れというやつですな」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「ですので、マスターくん。 (ふーーーーーーっ) 少しの間、無理せず休むのはいかがですかな?」 ;1/前 【むむむ】「なに。休みながらでもご当地ならではの音は紹介できます。 このむむむ、かくある事態も、しっかりと想定しておりますからね」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track3:副丘ご当地、愛島名産“たまいちの塩”でゆったりソルトマッサージのあとは、海水ミネラルたっぷりの保湿クリームでお耳を徹底メンテナンス ;//////// ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「これも紹介すべき副丘の音――塩の音です」 ;SE 右耳すぐそばで、ひとつまみの塩を指でざりざり揉み合わせる ;3/右(密着) 【むむむ】「(上記のもみ合わせを集中して行う、静かな16呼吸)」 ;SE stop ;環境音 室内空調 【むむむ】「我らが副丘県の誇る超一級の特産品──(呼吸音)──ああ、はかたの、ではない。あれはエヒメ県にある島の名前。福丘のはかたとは異なります」 【むむむ】「ではなく、この塩こそは『たまいちの塩』。福丘県のほぼ西端、ゲンカイ灘の内海と外海とがぶつかりあう愛島(いとしま)にある製塩所で、海水だけをつかって、全て手作りで製塩される──その美しき結晶なのです」 ;1/前 【むむむ】「当然、かなりの高級品です。しかし、ご当地の紹介すべき特産品であること。そして、極めて豊富なミネラル分を含むこと。さらには──」 :SE 塩ざりざり音 【むむむ】「(塩ざりざりを聞かせている間の4呼吸)」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「──このように魅力的な音を立てること。その3要素から、むむむはこの”たまいちの塩”を蓄音レヱルで紹介すべきものと考えています」 ;1/前 【むむむ】「ん? ……(マスターの話を聞く2呼吸)──ああ。豊富なミネラル分の効能ですか。ふむ」 【むむむ】「それは……ふふっ」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「実際に体感しながらの方が、より深く理解し記憶できましょう。さ、力を抜いて……ソルトマッサージをはじめましょう」 ;SE 左耳へのソルトマッサージ(継続) ;5/後 (立ち位置後ろですが、常に右耳よりに口を寄せながら話すように意識していただけますと幸いです) 【むむむ】「まずは右耳に……(4呼吸)──耳の裏側──(4呼吸)──そこから下に──(4呼吸)」 【むむむ】「耳たぶの表にかえって──(4呼吸)──もみこむように──(4呼吸)──そうしたら……」 【むむむ】「耳の内側……(4呼吸)──めくれたところも──(4呼吸)──くまなく、あまさず──(4呼吸)──全体にまんべんなくすりこんで……」 【むむむ】「(集中してソルトマッサージする16呼吸)」 ;SE stop 【むむむ】「ふむ」 ;3/右 (接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーーーーっ)。体感、できているでしょう? 効能」 ;5/後 【むむむ】「右耳だけ、ぽーっと赤くなっています。つまり、血行が良化している」 【むむむ】「左耳でも、おんなじことを試してみましょう。ああ、力まないよう、力をぬいて──むむむに耳を預けてください」 【むむむ】「ん……」 ;SE 左耳へのソルトマッサージ(継続) ;5/後 (立ち位置後ろで口は左耳より) 【むむむ】「(集中してソルトマッサージをする16呼吸)」 【むむむ】「塩粒に、よる──(4呼吸)肌への、刺激は──(4呼吸)──正直、かなり大きめで──(4呼吸)」 【むむむ】「うかつには──(4呼吸)──すすめられない──(4呼吸)マッサージとも──(4呼吸)──聞きます、が──(4呼吸)」 【むむむ】「マスターくんの──(4呼吸)──肌には、馴染む──(4呼吸)──よう、ですな──(4呼吸)──ふむ」 ;SE stop 【むむむ】「ふふっ──実にここちよさそうだ」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーーーっ! ふっ、ふっ!)」 ;5/後 【むむむ】「それでは仕上げに両耳同時に、ゆったりソルトマッサージをしつつ、ミネラルの具体的効能についてを説明しましょう」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「聞かずともいい話ではある。ゆえ、どちらかといえば──」 ;SE 両耳同時にざりざり ;5/後 【むむむ】「(強めにマッサージする4呼吸)」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「言葉の意味より触感を楽しみ──癒やされてもらえたほうが、まぁ嬉しくはありますな」 ;5/後 【むむむ】「では、はじめますか」 ;SE 両耳ソルトマッサージ(継続) 【むむむ】「まず、ミネラルが――(4呼吸) 炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、と、ならぶ――(4呼吸) 人間の、5大栄養素の、ひとつ――(4呼吸)」 【むむむ】「人間が、生きていく、ために――(4呼吸) 必須の、栄養素で、あること、は――(4呼吸) マスターくんも、正確に――(4呼吸) 理解、して、おりましょう、が――(4呼吸)」 【むむむ】 「具体的、に――(4呼吸) ミネラルなんぞや、と、いうことを――(4呼吸) 説明、するまでは――(4呼吸) なかなか難しくありましょう――(4呼吸)」 【むむむ】「人間や動物の体――(4呼吸) いわゆる”生体”を構成するものは――(4呼吸) 4元素。と、されています。すなわち――(4呼吸) 酸素と、炭素と――(2呼吸)――水素と、窒素――(4呼吸)」 【むむむ】「しかし、その4元素の他にも――(4呼吸) 生体の構成、維持に必要なものは数多あり――(4呼吸) それら全てを総称し――(4呼吸) 『ミネラル』であるとしている、わけです――(4呼吸)」 【むむむ】「ミネラルは、生体に必要な――(4呼吸) 要素であるにも、かかわらず――(4呼吸) 人体内では合成することができないため――(4呼吸) 食物(しょくもつ)として、外部から――(2呼吸)――とりいれなければ、ならないものです――(2呼吸)」 【むむむ】「必須ミネラルは、16種類あり――(4呼吸) 多量に必要な多量ミネラルと――(4呼吸) 微量ですむ微量ミネラルとに――(4呼吸) 大別、されています――(4呼吸)」 【むむむ】「そのうち、ナトリウム、マグネシウム、カリウムは当然として――(4呼吸) 亜鉛、鉄、銅、マンガンなどなど、実に90種類――(4呼吸) 必須ミネラルを遥かに上回る――(4呼吸) 豊富なミネラル群が――(2呼吸)――この塩には、内包されてます――(2呼吸)……うん(一区切りの安堵の吐息)」 ;SE stop 【むむむ】「そうしてですな。そのミネラル群がソルトマッサージにおいては」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーーーっ)。ふふっ、古い角質を柔軟にし、汚れとともに、塩粒と肌との単純摩擦で除去してくれるという寸法です」 ;1/前 【むむむ】「とはいえ……(マスターのお肌を入念にチェックする3呼吸)――ああ、やはり少し赤くなっている。お肌への負担もそれなりに発生してしまうのが現状です」 【むむむ】「ですので、まずは――たっぷりのぬるま湯をつかって」 ;SE 水栓ひねってぬるま湯を出し、洗面器にためる、一度流してまた貯める 【むむむ】「ん……(上記動作の間の4呼吸)」 【むむむ】「ちょうどいい温度かと思うのですが――」 ;SE お湯を手でかきまぜる 【むむむ】「(2呼吸)」 【むむむ】「――よさそうですね。では、洗顔で塩を洗い流しましょう。マスターくん。」 ;SE ゆったりと洗顔をしてあげる 【むむむ】「顔全体を……ゆったりと……(8呼吸) それからもちろん、耳の後ろも……(4呼吸) あご……に……(2呼吸)――首、すじ――(2呼吸)――よし」 【むむむ】「乾いたタオルでぽんぽんと、軽く水気を吸い取ります」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「くすぐったければ、マスターくん? いまは動いてもかまいませんよ?」 ;1/前 【むむむ】「では」 ;SE 柔らかいタオルで肌を叩いて水気を吸い取る 【むむむ】「ん……(4呼吸) っと……(4呼吸) ふふっ、もう少しですみますから――(4呼吸) ああ、そう――(2呼吸)いいこですね、マスターくん(2呼吸)」 【むむむ】「よし。これでお肌は清潔で無垢――言い換えれば無防備な状態です。 ですので仕上げに保湿をします。クリームでお肌をカバーしてあげるというわけです」 【むむむ】「このクリームも、マッサージソルトと全く同じく、海水由来のミネラルを効能成分としています。同じ成分が、かたや汚れを落とすために働き、かたや保湿のために働く」 【むむむ】「(マスターの話を聞く3呼吸)――ふふっ、マスターくんにかかっては、出題する前に正解にたどり着かれてしまいましたか」 【むむむ】「左様。海の塩……海塩(かいえん)のミネラル組成は人のそれに類似していて親和性が高い」 【むむむ】「馴染んだところに、こするという物理刺激を与えれば、それは角質除去の効果を発揮し。なじんだままにクリームで包んでしまえば、角質層にミネラルが吸収され、保湿効果を一層たかめる」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「(微笑)――むむむの肌と、マスターくんの肌もよく馴染む。ですので、こうして――」 ;SE クリーム塗り ;1/前 【むむむ】「(ゆったりとクリームを顔に塗っていく16呼吸)」 ;SE stop ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「保湿効果をいっそうたかめるそのために。マスターくんを、むむむは包み込んでさしあげましょう」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track4:鉱物つながり、銀の耳かきでの右耳耳かき ;//////// ;1/前 【むむむ】「むむむ?」 ;3/右 【むむむ】「むむむ~」 ;7/左 【むむむ】「むむむむむ~!」 ;環境音 室内空調 F.I. ;1/前 【むむむ】「(長嘆息)……いけませんな。乗務に警察の手伝いに、レイルロオド・サミットへの参加――ここのところ確かに、予定がギチギチだったことは動かしようもない事実ではあるのですが」 【むむむ】「だからといって、マスターくんのお耳掃除をなしくいがしろにしていいはずもない。お耳の汚れを見落としていて『包み込む』など……みずからの言葉の軽薄さを、むむむは恥じ入るばかりです」 ;SE 右耳たぶさわさわ 【むむむ】「しかし、過ちを改むるに憚ることなかれ、との言葉もあります。 ゆえに今から」 ;SE stop ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーーーっ)」 【むむむ】「マスターくんのお耳を徹底清掃し。しかるのち、あらためて包み込ませていただきましょう」 ;SE 自分のひざをぽんぽんと叩く ;1/前 【むむむ】「(微笑)。さ、マスターくん。むむむの膝を枕に。まずは右耳をむむむへと向け、ゆったり横になってください」 ;1/前→;3/右 【むむむ】「(動作を待つ2呼吸)」 ;3/右 (密着) 【むむむ】「では早速掃除をはじめましょう。 副丘特産の耳かきというものを、残念、むむむは見つけることができなかったのですが――」 ;SE ポーチから耳掻きを取り出す ;3/右 【むむむ】「(2呼吸)」 ;3/右(密着) 【むむむ】「これ――銀の耳掻きなるものを用意してみました。 石炭と銀。『鉱山から産出されるものつながり』というごく細い縁でしかありませんが、まぁ、無関係よりはましでしょう」 ;SE 銀の耳掻きを爪ではじく 【むむむ】「(微笑)――古来知られているように、銀には殺菌、防カビ効果があり、またビッカース硬度は25。金の22とほぼ同等。鉄の110。銅の100などと比べて、非常に柔らかな金属であるといえます」 【むむむ】「つまり、耳掻きに必要な『しなり』もある程度以上有しているというわけです。ですので」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーっ)」 ;3/右(密着) 【むむむ】「通常の竹や木の耳掻きよりも、むしろ総合力において優れているやもしれません。ですのでマスターくんは、安心して、むむむにお耳を預けてください」 【むむむ】「では、いきますよ。最初は慎重に、浅いところから」 ;SE 耳掻き(浅・継続) 【むむむ】「掃除の基本は……(2呼吸) 上から、下に――(2呼吸) ゆえの、お耳も――(2呼吸) それに、ならって――(2呼吸)」 【むむむ】「ん……(集中してかりこりやる8呼吸) ふっ……(4呼吸) うん、なるほど、なるほど――(2呼吸)」 【むむむ】「銀の、耳掻き――(2呼吸) 当初の、想像、よりも――(2呼吸) ずうっと、すぐれた――(2呼吸) もの、ですな――(2呼吸)」 【むむむ】「しなりは、もちろん――(2呼吸) 温度の、馴染みが――(2呼吸) マスターくんの、耳の、あつさと――(2呼吸) むむむの、手の、温度とで――(2呼吸)」 :SE stop ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーっ、ふっ、ふっ)」 ;3/右(密着) 【むむむ】「木よりもむしろ、ここちよいぬくもりに育っているような気もします。それに、仕上がりも……」 ;色んな角度から右耳を覗き込むイメージ 【むむむ】「(4呼吸)」 【むむむ】「うむ。実に上々と思えます。耳掻きを一度ティッシュで拭って――」 ;SEティッシュで耳掻きを拭う 【むむむ】「(2呼吸)」 【むむむ】「では、深いところの耳掻きを。 浅いところでの試用の結果が極めて良好ですからな。ふむ」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「マスターくんは安心しきって、全てを任せてかまいませんぞ? ふふっ」 ;3/右(密着) 【むむむ】「ふむ。ゆるり、そろりと参りますか――」 ;SE 耳かき(深) 【むむむ】「ああ……(2呼吸) 実際、みみかきで探っていくと――(2呼吸) 見ていたときの印象よりも――(2呼吸) もう、少し……(2呼吸)」 【むむむ】「いや、もう、かなり――(2呼吸) よごれが、しつこく――(2呼吸) ん……(集中して耳掻きする4呼吸)」 【むむむ】「うむぅ……(2呼吸) 張り付く、というか――(2呼吸) こびりつく、とでもいいたくなる――(2呼吸) なかなかの、しつこさを――(2呼吸)――見せます、な――(2呼吸)」 【むむむ】「しかし、銀は――(2呼吸) しなり、ますので――(2呼吸) それを、利用し――(2呼吸) 隙間に、ねじこみ――(2呼吸)」 【むむむ】「(集中して耳掻きする8呼吸) ……っと――(6呼吸)――うん。やはりこのやり方が正解ですな」 【むむむ】「ではでは、引き続き、徹底的に……(集中して耳掻き、8呼吸)」 【むむむ】「ん……(さらに深く集中して耳掻き、16呼吸)……と。ふむ」 ;SE stop 【むむむ】「(安堵の長い息)」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーっ、ふっ! ふーーーーっ!)」 ;SE 耳掻きティッシュでふきながら ;さまざまな角度で耳垢をのぞきつつ 【むむむ】「これで……(4呼吸)――うむうむ、大変によく取れていますね。むむむの観測史上、マスターくんの耳に、もっとも汚れが少ない状態が、まさにいま訪れたといっても過言ではない」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「ですので完璧に仕上げましょう。 ティッシュをつかって、指先で――」 ;SE ティッシュで右耳全体のチリ掃除 【むむむ】「(リラックスして耳をふきとってあげる16呼吸)――うむ」 【むむむ】「(ふーーーーーーっ、ふっ!)」 ;3/右 【むむむ】「うむうむ、これなら上等です。マスターくんの内面の美しさにふさわしい、整った耳となりましたな。ふむ」 ;3/右(接近囁き) 【むむむ】「それでは、今度は反対側を」 ;3/右 【むむむ】「むむむが『ごろーん』と伝えますので、そうしましたら、声にあわせて、左耳が上になるよう、体を入れ替えていただけますかな」 【むむむ】「よろしいですかな? それでは、さん、にい、いち」 ;3/右→;1/前→;7/左 【むむむ】「ごろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track5:鉱物つながり、銀の耳かきでの左耳耳かき ;//////// ;7/左 【むむむ】「上出来です。さすがはマスターくんですな」 ;環境音 室内空調 F.I. ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーっ、ふっ、ふっ)」 ;色んな角度から覗き込み 【むむむ】「どれどれ? ――(4呼吸)――ふむふむ、こちらもなかなかの汚れ具合」 ;7/左 【むむむ】「とはいえ、銀のみみかきも馴染んできました。手指へのフィット感の面でも、温度の面でも」 【むむむ】「今でしたら――」 ;SE 耳掻きでささっと浅いところのミミカスをすくい取る 【むむむ】「(上記の軽やかな2呼吸)」 【むむむ】「ふむ」 ;SE ティッシュで耳掻きふき 【むむむ】「(満足げな2呼吸)」 ;7/左 【むむむ】「かくも軽やかにお耳の掃除をできますからな。 最高度に綺麗な状態にまで、さしたる苦もなくもっていけるかと予想できます。ですので、どうぞマスターくん」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「むむむの耳掻きを、くつろいで堪能してください。 もしなんでしたら、眠ってしまってもかまいませんので」 ;7/左(密着) 【むむむ】「ふふふっ。それでははじめましょうか」 ;SE 耳掻き(浅・継続) 【むむむ】「ん……(落ち着いた耳掻きの8呼吸)」 【むむむ】「しかし……あれです――(2呼吸) マスターくんの、体温は……(2呼吸) レイルロオドの、むむむより――(2呼吸) さらに、わずかに――(2呼吸)――高め、ですよね――(2呼吸)」 【むむむ】「むむむ的には――(2呼吸) まくらに、されている、膝も――(2呼吸) マスターくんの、耳に、頬に、触れてる指も――(2呼吸)」 【むむむ】「ぽかぽかと、して――(2呼吸) ここち、よく――(2呼吸) あるの、ですが――(2呼吸) 逆に、マスターくんは――(2呼吸)」 【むむむ】「(耳掻きをしながら、マスターの声を幸せに聞く8呼吸)」 【むむむ】「ふっ、ふふふっ――(しあわせな4呼吸) なるほど、なるほど――(2呼吸) 確かに、ですな――(2呼吸) 熱は、高温から低温へと移行する……(2呼吸)」 【むむむ】「マスターくんの、体熱は――(2呼吸) 自然とむむむの体をあたため――(2呼吸) そうして生まれる、新しい温度が……(2呼吸) マスターくんにも、むむむにも――(2呼吸)」 ;SE stop ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「ですな。確かに、極めてここちいい。 これこそ、ぬくもりというものでしょう」 ;7/左(密着) 【むむむ】「(ふーーーーっ、ふっ、ふっ)」 ;さまざまな角度から覗き込み 【むむむ】「(4呼吸)――ここちよいぬくもりにつつまれながら、耳掻きをゆるゆると進めていく。ふむ、これもまた実に上質な時間ですな」 ;SEティッシュで耳掻きを拭う 【むむむ】「(2呼吸)」 【むむむ】「深いところは、よりゆるゆると進めましょうか。 予定は全て満了している。なにひとつ急ぐこともない」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「つまりむむむの最優先は、マスターくんをねぎらうこと」 ;7/左(密着) 【むむむ】「ふふふっ、それではさらに、さらにゆるりと――」 ;SE 耳かき(深) 【むむむ】「(満ち足りた無言での16呼吸)――む?」 【むむむ】「むむむ……これは――(2呼吸) マスターくん、眠たくなってきましたね? ――(2呼吸) ああ、はずかしがることはありません――(2呼吸) むしろ、むむむは――(2呼吸)――かなり、嬉しい(2呼吸)」 【むむむ】「眠くなるほど、安心しきって――(2呼吸) むむむに、その身を、委ねてくれてる――(2呼吸) これをしあわせといわずして――(2呼吸) なにを、しあわせと――(2呼吸)――言うのでしょうか――(2呼吸)」 【むむむ】「……とても、うれしい(2呼吸) いまさら、言葉に――(2呼吸) するのも、いささか――(2呼吸) てれくさいこととも――(2呼吸)――感じ、ますが――(2呼吸)」 ;SE stop ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「マスターくんと出会えて、嬉しい。 マスターくんが、むむむのマスターになってくれた……」 【むむむ】「(深い一息)」 ;7/左(密着) ;SE 再開 【むむむ】「そう、ですね――(2呼吸) マスターくんが、むむむの、マスターに――(2呼吸) なって、くれた――(2呼吸) そのことは――(2呼吸)――いま、思い返しても――(2呼吸)」 【むむむ】「(感慨にふけりつつ耳掻きをする8呼吸)」 【むむむ】「しあわせな、とてもしあわせな――(2呼吸) 本当に、満ちたりたことなのですよ――(2呼吸) むむむにとっては、かけがえのない――(2呼吸) 最大級の、しあわせ、で――(2呼吸)」 【むむむ】「(我に返り、少しだけ照れつつ耳かきをする8呼吸) ――っと」 ;SE stop ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「(ふーーーーーーーーーーーーーっ)」 ;いろんな角度から 【むむむ】「ん……(4呼吸)――すっかり綺麗になっていますね。 仕上げだけ、ささっとすませてしまいましょう」 ;SE ティッシュで右耳全体のチリ掃除 【むむむ】「(名残惜しさを感じつつ耳をふきとってあげる8呼吸)――はい」 【むむむ】「(ふーーーーーー)」 ;7/左 【むむむ】「耳掻きはこれでおしまいですね。マスターくんはもう随分と眠そうだ。 うれしくて、ついつい饒舌になってしまって、マスターくんの入眠の妨げに……」 【むむむ】「(マスターの返事を聞く4呼吸)――ふふっ」 【むむむ】「そうですか。むむむの話が、マスターくんの寝物語になりそうでしたら」 【むむむ】「このまま、話を続けましょう。もう少し、もう少しだけ――」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「マスターくんが、静かな眠りに落ちていくまで」 ;環境音 F.O. ;//////// ;Track6:ささやき混じりの昔語りで、ゆるゆる安眠導入を ;//////// ;このパートずっと安眠導入です。ゆっくり、静かに、ささやき声でを基本にお願いいたします ;7/左 【むむむ】「(長く落ち着いた吐息)」 ;環境音 室内空調 F.I. ;7/左(密着) 【むむむ】「マスターくん、寝心地はいかがですかな? 暑苦しいなどがもしもあったら……(2呼吸)」 【むむむ】「でしたら、むむむもこのままで。 マスターくんが眠りにおちるそのときまで……(小あくび)」 【むむむ】「ああ、ん。失礼。むむむにも、マスターくんの眠気がうつったようです」 【むむむ】「(満ち足りた息)――大変、しあわせなものですな。寄り添い合って、あたためあって、安心しきって、だから眠気も共有できる……」 【むむむ】「(寄り添い合うぬくもりに浸る8呼吸)」 【むむむ】「そういえば……話したこと、ありませんでしたね。むむむの過去――マスターくんと、出会う以前のマスターたちのこと」 【むむむ】「たいした話でもないのですが……(4呼吸)――そうですね、寝物語になんとなく、ぼんやり聞いていただければ、と」 【むむむ】「……マスターくんと出会うまで。むむむはなかなか……まったく、マスターが定着しないレイルロオドだったのです」 【むむむ】「……捜査能力。俗にいう『名探偵』に必要とされる能力。行動力、観察力、推理力」 【むむむ】「前者ふたつは、レイルロオドであれば多かれ少なかれ保有していて、発揮できるものであるかと思います。が、推理力は……」 【むむむ】「(言葉を探す4呼吸)――推理する力。事実群をつなぎ合わせて無数の仮説をたてる力、その力は……本来、レイルロオドには備わっていないはずの力なのです」 【むむむ】「――さすがですな、マスターくん。はっとして、しかるのち、ああ、と納得した顔になった」 【むむむ】「そう、推理力とは思い描く想像力であり、形作る創造力であるのです。事実ではない物語を思い描き、仮の事実としてかたちどっていく力」 【むむむ】「鉄道車両の運転、および制御を行うためのモジュール、レイルロオドにはまったく必要とされていない……むしろ、業務の妨げになると判断されてしまうたぐいの力です」 【むむむ】「それを豊富に……人間の捜査の専門家。警察の方々に頼られるほどに。あげた実績により帝鉄総裁からの特別功労賞をいただくほどに。むむむは、もちあわせてロールアウトしてきてしまったのです」 【むむむ】「むむむはですので、欠陥品です。帝鉄の基準を大きく外れた、規格外のレイルロオドにすぎない」 【むむむ】「偶然、帝鉄総裁の遺失物を発見するという形から、そこ事実が発覚したことにより。そこから鉄道警察に、そして一般の警察にと協力依頼の範囲がひろがっていったことにより――むむむと、むむむの最初のマスターとの関係性は、大きく変化していきました」 【むむむ】「はじめは、最初のマスターも喜んでくれていたのです。けれど、むむむが事件を解決しつづけることにより……徐々に、しかし確実に。むむむをうとみ、遠ざけるようになりました」 【むむむ】「(マスターくんの話を聞く2呼吸)……どんな理由だったか、いまのむむむなら推理できます。推理はできても、それが果たして真実か、確かめる術もありませんが……」 【むむむ】「『レイルロオドごときに言い当てられる真実を、人間の自分が思いつけない』」 【むむむ】「……鉄道業界の人間だからこそ。レイルロオドが卑近な存在だからこそ、むむむの最初のマスターは――そこから何代も代替わりした、長くは一緒に乗務できなかったマスターたちは。……そんな思いを、抱いてしまったのかもしれません」 【むむむ】「……規格外品なのですよ、むむむは。それは決して変わることのない事実です。ですので、いつ処分されてもおかしくはない。――昔も今も、むむむは、その状況下にありつづけています」 【むむむ】「歴代のマスタ-たちには疎まれ続けた捜査能力。それがもし、帝鉄総裁の表彰対象となっていなかったのなら。警察という非常に大きな権力をもった組織が、評価し、必要としてくれていなかったのなら――」 【むむむ】「(言葉を探す4呼吸)……ですので、むむむは。鉄道という世界の中では。むむむの本当の居場所においては、うとまれる存在であることを、耐えるしかないと思い続けていたのです」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「マスターくん。君と出会えた瞬間までは」 ;7/左(密着) 【むむむ】「君はむむむを、まったくうとまずにいてくれた。 むむむの捜査能力に感心し、評価し、むしろ助手的な役割さえを、積極的につとめてくれた」 【むむむ】「マスターくんの着眼点はむむむにはないものであり、むむむの苦手な局面を、マスターくんはむしろ得意としてくれていて」 【むむむ】「……マスターとレイルロオドとの理想的な関係。とは少し……いや、かなりズレているのかもしれませんが」 【むむむ】「マスターくんと出会って、出会えて。むむむはやっと知り得たのです。パートナーがいる。安心しきって背中を預けることができる。それがどれほど、大きな喜びであるのかを」 【むむむ】「(……安心して、だんだん眠気が強まっていく8呼吸)」 【むむむ】「……他の誰もが見落としがちな点に気付き得ること。思いもかけぬ着眼点から物事を見ること。人間のこころの動きを丁寧に想像できること。雑学的な知識を豊富に有していること」 【むむむ】「マスターくんの素敵なところを、むむむはいくらも、いくらでも列挙できます。しかし、その上で、むむむ的には――」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「むむむを嫌わずにいてくれること。それが一番、本当に嬉しくありがたいことと……ふむ?」 ;7/左(密着) 【むむむ】「『嫌うどころか』……? ……ふむ? マスターくん?」 【むむむ】「(マスターくんの返事をじっと待つ8呼吸)」 【むむむ】「……続く言葉が聞こえてこない。マスターくんは、どうやら眠ってしまったらしい」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「(優しい微笑)――もう少し練習するといいですぞ? たぬき寝入りも、大切な探偵技能ですので」 ;7/左(密着) 【むむむ】「とはいえ、むむむの勘違いかもしれません。 マスターくんは、本当にねむっているのかも。 そこの事実は……(いたずらっぽい微笑)迷宮入りとしてしまうのがいいでしょう」 ;この辺からだんだん眠くなっていってください 【むむむ】「追求するには……(あくび)――むむむぅ、むむむも眠たすぎるようです。それに……それに」 【むむむ】「なにをあせることもないのです。いくつもの夜といくつもの朝――長い長い時間をきっと、マスターくんとむむむとは、ともにすごしていきましょうから」 【むむむ】「いまは聞けない言葉もきっと、いつかは聞けることでしょう――か、ら――ふ……ぁ――(おおあくび)」 【むむむ】「……ですので、いまは眠りましょう」 ;7/左(接近囁き) 【むむむ】「おやすみなさい。マスターくん。むむむの大切なパートナー」 ;7/左(密着) 【むむむ】「ともに、眠って……迎える朝、も……きっと、おおきな……よろこび、に――ん……」 【むむむ】「(寝入りばなの、ニュアンス多めの8呼吸)」 【むむむ】「(寝入りばなの、ニュアンス多めの8呼吸)」 【むむむ】「(浅い寝息で8呼吸)」 【むむむ】「(浅い寝息4呼吸から、12呼吸かけてだんだんと規則正しく、落ち着いた寝息に)」 ;//////// ;Track7 むむむの寝息ループ ;//////// ;環境音なりっぱなし 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 【むむむ】「(おだやかで幸せな、深い寝息。16呼吸)」 ;//////// ;Track8 おまけコーナー、Q&A ;//////// 【演者】「蓄音レヱル  ~くろがね鉄道DD60 66(でろくまる ろくじゅうろく)専用レイルロオド むむむ~ おまけコーナー。Q&A」 【演者】「みなさんこんにちわ、こんばんわ。蓄音レヱル・むむむ、楽しんでいただけましたか? 締めくくりの。おまけコーナーも、どうぞ楽しんでくださいね?」 【演者】「この『蓄音レヱル』は、音で沿線の魅力を紹介しつつ、聞いてくださる方に癒やしをお届けしたい! っていうバイノーラルボイスコンテンツだそうなので。わたしももちろん、むむむちゃんとして、みなさんに癒やしをお届けしたつもりです」 【演者】「ですので……もう、眠っちゃってますか~? 眠っちゃってますよね~ ふふっ、眠ってなかったら上手な上手な狸寝入りで聞いてくださいね?」 【演者】 「っと、自己紹介がおくれちゃいましたね。あらためましてこんばんわ。くろがね鉄道、D60 66専用レイルロオド、むむむ役を演じました、声優のXXです」 【演者】「で、このおまけコーナはいわゆるQ&A。わたし、XXが、みなさんからいただいたお便りにお返事をさせていただくコーナーなんだそうです」 【演者】「ですので早速――いただいた――お便りを――じゃじゃん、読んできましょう! こちら!」 【演者】「『XXさん、こんばんわ。XXさんのバイノーラル作品ってことで、とても楽しみにしています。バイノーラル作品、なんとなくしか実はわかってないんですけど、普通のボイスドラマとどう違うんですか? もしよかったら教えてください』」 【演者】「(自由にご回答をお願いいたします)」 【演者】「さてさて、次のご質問~――で、ありゃ、ラストクエスチョンになっちゃうみたいです、時間的に」 【演者】「それじゃあ最後のご質問は~ええと、埼玉県の『タラバガニィ』さんからのお便りです。読みますね~」 【演者】「読みますね? 『むむむちゃんを演じる際に、”ここの部分が好きだなぁ”と思ったところがあれば教えて下さい』――だ、そうです」 【演者】「(自由に解答をお願いします)」 【演者】「――です! タラバガニぃさん、おたよりありがとうございました! というわけでQ&Aコーナー、おしまいです!」 【演者】「さてさて、ラストのラストまでお聞きくだされり、本当にありがとうございました。お楽しみいただけましたか?」 【演者】「名探偵で、頭が良くって、それだけに苦労もたくさんなむむむちゃんと一緒に音探ししていやされる、『蓄音レヱル むむむ』。 お届けしたのは、むむむ役。XXでした」 【演者】「今回の旅は、ひとまずここまで。 けれどもきっと、次の夜にも、次の駅でもお会いしましょう!」 【演者】「おやすみなさい。明日の朝へ―― 『出発! 進行』」 ;おしまい