悪臭幻想曲(アーク・シュート・ファンタジア)世界観設定集 [妄想]                                         文責:SBD ---------------------------------------------------------------------------- 【アルフィン】 (Alfin) 魔王討伐を目指す冒険に出発したばかりの若き勇者。 「アル」「アルっち」など略称兼愛称で呼ばれることが多い。 小柄で童顔なため幼く見えるが、冒険者としてギルドに登録可能な程度の年齢には達している。 なお勇者とは職業ではなく、傑出した冒険者や英雄が民衆にそう呼び讃えられることで自然発生する称号なため、アルフィンは当初単なる有象無象の自称勇者だった。(勇者を自称する冒険者は特段珍しい存在ではない) しかしプーナが心からアルフィンを勇者と呼んでいる今、ある意味において彼は既にれっきとした勇者であると言える。 プーナに対して非常に複雑な思いを抱えており、日々悶々としている。 そもそもプーナは偶然命を救ったことから押しかけ女房的に半ば無理やり冒険パーティーに加わってきた異種族で、しかも当初はまるで戦闘の役に立たなかったため、理想のパーティーメンバーには程遠い厄介なお荷物を背負い込んでしまったというのがアルフィンのプーナへの第一印象だったのだが、彼に向けるまっすぐな眼差しや好意の純粋さ、笑顔の可愛い朗らかな明るい性格や雑事も嫌がらず甲斐甲斐しく尽くす姿に愛着がわき始め、いつしかプーナはアルフィンにとってかけがえのない大切なパートナーとなっていた。 実はプーナの容姿はアルフィンの好みのストライクゾーンど真ん中であり、否が応でも異性として意識してしまいがちなのだが、その都度彼は冒険者の間に伝わる獣人の少女についての伝承を思い出すことで何とか胸に湧き上がる気持ちを抑えつけ、普段はあくまでも冒険パーティーの仲間として接するよう心がけている。 ちなみに少年時代から持ち歩いているアルフィンの愛読書にはその伝承が小さな挿絵付きで載っており、子供向けの冒険ガイドブックには似つかわしくないほど妙に色っぽく尻を強調して描かれたその挿絵の少女はプーナによく似ている。(アルフィンの女性の好みのルーツは十中八九この挿絵だと思われる) 件の伝承は、道ならぬ恋に盲目になりがちな若い冒険者の向こう見ずを戒める教訓を含んだ物語であり、美しい獣人の少女に一目惚れした主人公が森の精霊達の忠告に背いてついに少女と甘いキスを交わすことに成功するも少女の体内に巣食っていた謎の呪いによってむごたらしい苦悶の果てに命を落とすという悲劇的な結末を迎えて終わる。 実は勇気を出して一度だけプーナに「変な呪いとか病気とかにかかったりしてない?」と直接尋ねてみたことがあったのだが、一度はきっぱり否定しながらもその後なぜか妙に言葉を濁すばかりではっきりとは答え辛そうなプーナの様子に、ますます悶々とした気持ちを募らせるアルフィンだった。 後日、嫌がるプーナを引きずって冒険者ギルド嘱託の呪術師にプーナの全身を霊視してもらいに行ったところ、一点の曇りもない生まれたままの健康体とのことだった。機嫌を損ねてヘソを曲げたプーナの為にアルフィンはなけなしのゴールドをはたいて豪勢な食事を奮発した。山盛りの御馳走を前にするとプーナの機嫌は一瞬で直った。 【プーナ】 (Poona) 一部の亜人用特区(デミヒューマンズ・アーク)以外の地域で見かけることが極めて稀なため「幻の獣人」の異名を持つ獣人種「スカンケット」の女の子。(※ 種としてのスカンケットの生態については詳細を別途後述する) 快活で天真爛漫な性格だが、その反面おっちょこちょいで思慮に欠けるところがあり、また美食など目先の欲望にも弱く、アルフィンにはそれらを総合して「能天気」と評されている。 しかし何も考えていないように見えて実は意外に繊細だったりと一筋縄ではいかないところもあり、しばしば本質を突く鋭いセリフを口にしたり、本音と建前、嘘と方便を見事に使い分けたりもする。 ほどよく豊満なわがままボディを惜しげもなく晒す露出度高めのセクシーな服装を好むが、これは羞恥心が無いからでも体を見せびらかしたいからでもなく、羞恥についての感覚が人間を含む他の多くの種族とスカンケットとでは微妙に異なるためであり、本人にとっては単に「動きやすいから」「なんか気に入ってるから」というだけのことらしい。 (種としての本能で、オスの目を誘引しやすい色気のある外見・仕草・表情などを無意識的に取捨選択している可能性もあり) スカンケットという種全体の特性でもあるが、非常に情が深く一途で献身的、そしてその分とても嫉妬深く執念深い。 まだレベルが低くスカンケットとしての能力が完全覚醒する前の頃、大型モンスターに襲われ死にかけていたところをアルフィンに救われ、それ以来彼の傍を片時も離れようとせず現在に至る。 アルフィンにべた惚れしており、「アルっちとえっちしたいちゅっちゅしたいあへあへしたい」といつも思っているのだが、後述の理由から普段は全力でそれを自制している。 欲望に弱い上に性欲が劇的に亢進する発情期も存在する獣人の女の子なことを考慮すれば、その自制心と覚悟の程はほとんど常軌を逸していると言ってもよいレベルであり、ひいてはアルフィンへの愛がどんなに強く純粋かがうかがい知れようというものである。 そうした強力な自己抑圧を行なっている反動もあってか、アルフィンを性的に誘惑しようとする他の存在には激しい対抗心を燃やし、排除が必要と判断した相手には容赦しない。(例:ハーピー戦) レベルがある段階に達した際に種族固有の基本スキルである「スカンクバースト」がアンロックされたことから、スカンケット本来の凄まじい攻撃力と種族の背負った業が開花し始めた。 彼女の攻撃力の要である「毒ガス」を対象めがけて放出する技「スカンクバースト」には派生型がいくつかあり、プーナは種として備わった本能と生来の勘の良さによって状況に応じ見事に使い分けてみせている。 以下に主な派生とそれにまつわる特筆事項を記す。 ・スカンクバースト(大): 一度に放出されるガスの量と飛距離が通常時より増しており、広範囲や多数の相手を巻き込んで一網打尽にしたい際にはうってつけの一発。 別名「小鬼祓い(ゴブリンバスター)」。 ・スカンクバースト(すかし): すかしっ屁の形で音も無くゆるやかに放たれるスカンクバースト。 通常より飛距離は極端に短くなるもののニオイの威力が大幅にアップしており、肉体同士が触れ合うほどの至近距離であれば無類の強さを発揮。 別名「邪龍降し(ドラゴンスレイヤー)」。 飛距離に関しては例外的に、風がある時風下への方向に限り、かなりの遠距離かつ広範囲を巻き込んで連続ヒットすることがある。 ただし敵味方を区別して敵だけを倒すような真似はできず、範囲内の全員がガス雲に呑み込まれて神経系と呼吸器系に大ダメージを受ける。 ・スナイピングスカンクバースト: 強力な腹圧をかけて幾度も繰り返し濃縮し臭気のエッセンスを煮詰めたような極小のガス塊を勢いよく噴射するというテクニカルな一発。 発射準備が整うまでにそれなりの時間を要してしまい連発はできないものの、「すかし」に次ぐ威力の激臭を備えながらも飛距離と弾速は大幅にアップ。 鼻にヒットすれば鼻腔の奥深くまで瞬時に到達していつまでも臭う特濃の屁臭を粘り付かせることができ、場合によってはショック状態に陥らせることで相手をスタンさせられる。 ・スカンクバースト(愛): スカンケットのメスが意中のオスを篭絡して交尾に持ち込もうとする際に放つ、特殊かつ特別な一発。 ひときわ猛烈な屁のニオイと大量の性フェロモンを含有しており、浴びせられたオスはオスとしての性欲と瀕死時特有の種の保存衝動を同時に刺激され、激臭に身悶えながらも激しく勃起する。 交尾中のオスはこれを、メスの愛の深さと情欲の激しさに応じて何発も繰り返しお見舞いされることになる。 別名「えちえちラブラブ屁ぷぅ」「アルちん勃起ガスぷぅ」(命名者:プーナ[混乱]) ・フェロモンバースト: 前述した交尾用の特殊な一発の究極系。 最強クラスに濃密な性フェロモン成分がこれでもかと詰め込まれており、ニオイの威力は度外視で、異性を発情させるという一点のみに特化している。 スカンケットのメスは交尾中、相手の逃亡や抵抗を封じる為の猛烈にくさい「毒ガス」の合間にこれを適度に織り交ぜて放つことで、オスの情欲を煽りつつ(性技を存分に味わってもらうため)相手が簡単に失神してしまわないようバランスを取るという。 とはいえスカンケット族以外にとってはニオイの方もまだまだ充分過ぎる程に強烈な「毒ガス」と言える。この感覚の差が、他種族とスカンケットとの異種間婚に様々な悲喜劇をもたらす要因の一つとなっている。(異種族である夫を気遣って妻のスカンケットはなるべく臭みを抑えたつもりでいたのに交尾を終えてみると夫の気がふれてしまっていたりするのは、その界隈では「あるある」だという) 余談だが、発情中のスカンケットはこれのニオイをエロスの極み・天上の芳香と感じるのに、行為を終えて発情状態が消退したスカンケットにとっては一転して他種族と同様、悪臭と感じられるらしい。 このように「毒ガス」は敵を倒す強力な武器であると同時に種の存続に直結する生殖行為とも本能レベルで深く結びついているため、プーナが欲望のままに「アルっちとえっち」しようとすればスカンケットではないアルフィンは彼女のガスで地獄の責め苦を味わったあげく遅かれ早かれ悲惨な結末を迎えるのは火を見るより明らかであり、スカンケットの社会で育ったプーナはそれをよく承知していた。 そのためプーナは自分の恋心と肛門括約筋に強力なブレーキをかけて「アルっちとえっち」を自制し続けているのだが、愛と欲望の狭間でもがき続ける彼女の心はいつしか、この張り詰めた均衡が破られることを自ら待ち望むという矛盾を孕むようになっていた。 そんな不安定な状態にあるためプーナは精神に作用する攻撃に弱く、混乱魔法等には必要以上に強く影響を受けてしまう。 獣人、それも見た目や行動が人間に近い種族について「モンスター」と呼ぶことは、冒険者社会がまだ未成熟だった過去の時代ならばともかく現在ではほぼ無いのだが、プーナは無意識下で「自分も、人間からすればモンスターの一種なのでは?」という疑いを抱いている。 そのためプーナは普段倒しているような敵モンスターのことを「魔物」と呼び、「モンスター」という言葉はあまり使いたがらない傾向にある。 ちなみに一般的な生物と「モンスター」と「魔物」とがそれぞれどう区別されるのかについては冒険者の間で今も議論に議論が重ねられているが、その際に有力な指標の一つとされる「攻撃力・戦闘力に基づく脅威度」に準拠するならば、今のプーナは並の「モンスター」を遥かに凌駕しており、「魔獣」の域にまで達していると言える。 「魔獣」とは、完全武装した人間兵士の一個小隊を自らの能力またはそれ以外の何らかの手段によって全滅もしくは長期にわたる機能不全に陥らせることが可能な獣系モンスターのことである。 【ハーピー】 (Harpy/Harpyia) ハルピュイア(「掠め盗る女」の意)とも呼ばれる、女の身体に大きな翼と鋭い鉤爪を持つ半人半鳥の魔物。 (知能が高く人語を操り外見も人間に近い獣人の一種ではあるが、脅威度と反社会性の面から冒険者ギルドや獣人系コミュニティ内では「魔物」と認定されていることが多い) 必要な箇所には羽毛が生えているので衣服は本来不要なのだが、盗んだ衣類を戦利品として誇示するためあえて着用している個体も多い。 種としてのユニークな特色として、ハーピーにはメスしか存在しない。繁殖期が近くなるとメスの中からオス化する個体が現れ、繁殖期が終わると男性器が消退してまたメスの体に戻るのである。 ハーピーは素の攻撃力と防御力こそ低めながら、飛翔による移動力と敏捷性に優れる上に悪知恵が働くため、甘く見れば熟練の狩人でも命を落としかねない危険な魔物である。 素早さを利して相手からの攻撃を寄せ付けないまま高速の一撃離脱を繰り返し獲物の体力をじわじわと奪う戦法を得意としているが、最も警戒すべきは落石や高所からの落下などに代表される致命的なトラップへの誘導である。 高速で飛行しながら尖った石や杭や槍などを投げつけてくる攻撃も殺傷力が高く、上空から油をぶちまけて火を放ってくることさえあるため、群れをなしたハーピーへの要警戒度は並のドラゴンより上とする説もある。 摂取した食物由来の毒性成分を羽軸に蓄え、状態異常を引き起こす特殊攻撃を行う個体の存在も確認されている。 種族ぐるみで生まれながらの盗賊であり、天空から音も無く飛来し他者から物資を略奪することで生活している。 ただ奪うだけでなく、食料の上に糞便や尿を排泄し汚染して回ったり、女の肉体で他種族の男を誘惑しては殺害するといった、より陰湿で深刻な犯罪行為を遊興感覚で行なうことも多々あり、冒険者ギルドでは駆除対象として度々名が挙がる、討伐系クエストの常連モンスターである。 無論ハーピー全てが必ず悪逆非道というわけでもなく、例えばアルフィンとプーナが接敵したハーピーは比較的性格が穏健で反社会性の緩やかな若い個体だった模様。 それでもなお討伐対象と認定されていた辺りに、ハーピーという種と人間社会との間に横たわる確執の根深さが垣間見える。 【ディアナ】 (Diana the sorceress of dazzled sickening moon) 童顔で小柄な年齢不詳の女魔導士。 二つ名として「眩病月(くらやみづき)の魔導士」を名乗るが、「高貴な生まれ」や「名門の一族」等と同じく、あくまでも自称である。 「魔法使い」呼ばわりされるとディアナは薄く鼻で笑って「何もわかっていませんね」という態度を取るのが常だが、魔導士も「魔法使い」という大きなカテゴリ内の一分派ではあるため、厳密に言えば「魔法使い」と呼ぶのもそれほど見当違いなわけではない。(例えるなら、新幹線を指して「電車」と呼ぶようなもの) 幼少期にいじめられ続けた反動で周囲を見返そうと魔法の研究に没頭するようになり、孤独の中でさらに人嫌いをこじらせた結果、今では他者との距離感が完全にバグってしまっている。 自分の劣等感やコンプレックスの裏返しとして他者にマウントを取りたがる傾向にあり、取るに足りないくだらない存在だと脳内で相手を矮小化しておかなければ怖ろしくて他人と会話することができない。 自分は他人を小馬鹿にしておきながら少し言い返されただけで烈火の如く怒り出すのは、この脳内設定を脅かされたことに対する反射行動である。 このように精神面では不安定で未熟さの目立つディアナだが、他の全てを犠牲にしてその人生を魔導に捧げてきただけあり、破壊から蘇生まで幅広く極めて威力と練度の高い高等魔法を扱うことができる。 死からさえ復活可能なリザレクション系の回復呪文と「ЦУКИ О ИРУ ХОНО(月を射る炎)」とも呼ばれるフレイムデス系の暗黒閃熱呪文を同時に扱える数少ない魔法使いの一人であり、実力的には王都の正規軍で重用されていてもおかしくない程なのだが、その強大な魔力をディアナは基本的に自分の為にしか使おうとせず、目についた者から魔法で金品を巻き上げる野盗まがいのことをして暮らしていた。 過去に一度だけまともに働こうとしたこともあったのだが、人間関係でもめたあげく職場を炎で消し炭にして逃げてきて以来、定期的に住居を変えながら各地を転々とし続けている。 生まれつきの悪人ではないが、悪事に手を染めることに慣れきってしまい、もはや人というより魔物に近しい存在に成り果てかけていた。 混乱等の状態異常を引き起こすフォッグ系の魔法を媒介として他者の精神に干渉し金品を自ら差し出すよう仕向けるのを好むが、これは単に支配欲を満たしつつ私腹を肥やすという実利の為だけではなく、強盗や殺人まではできれば避けたいという、彼女の中に最後に残ったほんの一かけらの良心がそうさせていたとも言える。 本来は混乱の状態異常を高確率で付与するだけのシンプルな魔法である「コンフォッグ」だが、ディアナのものは通常の呪文詠唱に指の動きで結ぶ魔法印の効果を加えた魔改造強化が施されており、混乱させた相手の思考や行動を術者の誘導によってある程度まで操作することができるようになっている。(あくまで誘導であり、被術者の頭に全く浮かびもしないような行動や実現不可能な行為を強制することはできない) また、この魔法にかかっている間は精神そのものが魔力で包み込まれてしまっているため、コンフォッグの霧の中で起きた出来事の記憶は混乱状態が解けるに従って魔力の残滓と共に消失する。 「まだ着られるから」と修業時代の衣服を今も普段着にしているほど身なりには頓着しないが、この服じつは非常に優秀な特殊装備で、復活の呪文を封じ込めた魔石がそこかしこにちりばめられており、着用者のHPが尽きると魔石の一つが砕けて復活魔法が自動的に発動する仕組みとなっている。 この復活魔法は「戦闘不能状態からの復活」「死亡時の蘇生」以外の効果を持たないが、HP回復等のリカバリーはディアナ自身の魔法でいくらでも何とかなっていたため、彼女はこの「絶対無敵防御システム」の致命的な欠陥に全く気付いていなかった。 問題点は二つ。「着用者が呪文詠唱をまともに行えない状況下では、復活後に回復や反撃等で安全を確保することができない」こと、そして「自動で即時復活するため、魔石の残数があるうちは失神したままや死亡したままその場をやり過ごすことができない(どんなに危機的状況であってもその場で復活させられてしまう)」ことである。 そのためスカンケット族の能力とは相性が最悪で、呪文詠唱を事実上不可能にされた上で復活の度に長時間持続する強烈なスリップダメージの餌食となってたちまち戦闘不能へ逆戻りという悪夢のループにハマってしまうこととなった。 混乱したプーナによって常人が一生かけても体験できない程の臭い目にあわされたディアナはその後、悪事に手を染めることもなくなり、人里離れた隠れ家に一人引きこもって暮らすようになった。 しかし転んでもただでは起きないのが魔法使いというもので、現在は「ラブラブサイキョー魔法を編み出す」などと言って、スカンケットに変身する変化魔法を熱心に研究中らしい。 どこまで信用してよいものか話半分に聞いておく必要はありそうだが、その目的はあくまでも「世界平和と人類の幸福のため」だという。 具体的には、「スカンケットについて詳しく調べたら世界中の富裕層に根強い変t…愛好家がいることが判明したので、これからはそういった層にオナr…夢を売って稼ぐ。あわよくばマゾ奴r…運命の相手もつかまえて玉の輿っ♪♪」とのこと。 ちなみに変身の制御と調整にはもう何度となく失敗しており、その度に自分の屁で狂乱・悶絶しては三日三晩寝込むという酷い目にあっているようなのだが、めげずにまだ続けようとしている辺りは流石に腐っても魔導士である。 【スカンケット族】 (The tribes of Skunkette) 獣人の一種。 オスの出生率が低いため個体数が増えにくいことに加えて、様々な理由から他種族との交流を絶って長いという歴史的背景もあり、亜人用特区(デミヒューマンズ・アーク)の片隅にあるスカンケット族のみで構成された集落地以外で見かけることはごく稀なため、「幻の獣人」の異名を持つ。 基本的に非力で争いを好まないものの、後述する種族固有の能力「毒ガス」が極めて強力なので天敵が少なく、そのため外界からの脅威に備えて構成員を増やしたり活動範囲を広げる必要にあまり迫られないことも他種族との交流の無さの一因とされる。 耳がいわゆる獣耳であることと、体毛が白毛黒毛にはっきり分かれて「警戒色」と呼ばれるパターンを形成すること、そして大きく長くふさふさとした特徴的な尻尾を持つこと以外、外見的にはかなり人間に近いタイプの亜人種であり、人間との間に子を成す交配も一応は可能。 ただし身体内部の造りには独特なものがあり、とくに後述する臭腺など肛門や直腸周辺の内部構造については人間と大きく異なっている。 フェロモン等の伝達・誘引物質を分泌するための「臭腺」が肛門付近に開口している獣人種はそれなりの数存在するが、スカンケットは他のどんな獣人よりも著しく発達した臭腺(および臭腺分泌物を貯蔵する為のにおい袋)を持っており、しかも臭腺の開口部が肛門の奥深く、腸の内壁の左右に存在しているのが特徴である。 必要に迫られた場合はこの臭腺から巨龍をも昏倒させると言われる程激烈な悪臭を分泌し、腸内の気体すなわち「屁」と混ぜ合わせることでより一層猛烈な臭気を放つ混合ガスを作り上げ、強力な腹圧をかけて濃縮を繰り返した上で肛門から放出(放屁)する。 一般的な他の毒物や劇薬と比較すれば明らかに毒性は微弱であり、実質ほぼ無毒に近いと言って差し支えないにも関わらず、上記の手順を経て「放屁」されたガスは象型モンスターのような超大型の巨獣をも圧倒し時には討滅することさえも可能であり、「毒ガス」「猛毒ガス」などと呼称されることが多い。(他種族はもとより、スカンケット族自身もよくそう呼ぶ) 「毒ガス」といっても威力の要はその常軌を逸した悪臭にこそあり、毒系の状態異常を付与する効果は通常備わっていないのだが、かえってそのため高い毒耐性を持っていることの多い強力な捕食者達に対しても有効な攻撃手段となっており、これが通用しないか通じ難い相手は、嗅覚の極めて鈍い巨大な猛禽タイプのモンスターやそもそも神経系の感覚が存在しない物質・精霊タイプのモンスター、それにアンデッド類くらいのものだという。 なおユニークな特徴として、オスよりもメスのガス、それも可愛らしく見目麗しい妙齢のメスの放つガスの方がニオイはより猛烈でより威力が高く、メスが美しければ美しいほど放つガスは臭さを増していく傾向にある。(より異性にモテやすく交尾の頻度を高め得る美貌とより臭く威力の高い「毒ガス」を併せ持つ遺伝子が淘汰によって勝ち残ってきた結果とされている) かつては、このことを知らないまま可憐で従順そうなスカンケットの美少女をさらったり拐かしたりして良からぬ事に及ぼうとした他種族の狼藉者達が閉所や密閉空間内で放たれた美少女の屁により発狂もしくは死亡するという事件が多発していた。 (これを過剰防衛だと糾弾する声は極少数にとどまり、「狂死は自業自得でありスカンケット側は加害者ではなく被害者」との見方が世論としては常に圧倒的多数を占めるものの、スカンケット側の当事者達はこうした事件が相次ぐこと自体にも胸を痛めており、これが現在まで続く他種族との交流断絶の一因ともなったとされている。 また、それら過去の痛ましい事件の数々が世間に残した教訓は、直截的な表現を避けてかなり歪曲された寓話の形で冒険者の間に今も伝わっており、歳頃のアルフィンがプーナに女子としての魅力を感じていながらも普段そのことからあえて目を背けるようにしているのには、その伝承が少なからず影響している) スカンケットは異種族から見ても容姿の整った美女揃いなことから、その筋では今も根強い人気のある種族の一つで、スカンケットの嫁を娶りたいと切望する者も多いのだが、実行された場合そのほとんどが遠からず世捨て人か帰らぬ人となっており、スカンケットと他種族が夫婦となって長く添い遂げられたケースは驚く程少ない。 これは、メスの総数に対してオスの個体数が圧倒的に少ないスカンケットならではの特殊な求愛・交尾の方法に起因しているところが大きい。 先述のようにスカンケットは雌雄の出生率に顕著な偏りがあり、オスの生まれる確率が極端に低いため、メス同士は子種を求めて希少なオスを奪い合うのが常態となっているのだが、「毒ガス」以外に戦う術を持たないスカンケットの社会では、広範囲かつ無差別に被害をもたらす「毒ガス」の応酬となること必至な同族間での直接戦闘行為はタブーとされ、掟で固く禁じられている。 それ故か、オスを中心としたハーレムが自然発生的に形成されることの多いスカンケットの社会には婚姻という制度が存在せず、どのメスにもオスとの交接チャンスはあり、そのかわり早い者勝ちである。(近年ではさらなる機会均等の観点からくじ引きや順番待ち制度を導入した群れもあるという) 彼女らの生存戦略は、意中のオスが交尾可能と見れば即その場で求愛し、半ば襲うようにして交尾に持ち込み、何度も何度も繰り返し射精させて子宮を大量の精液で満たすことで卵子の受精率を大幅に上昇せしめるというものである。 この時にオスを捕獲し拘束し強制的に発情させるための女の武器として「毒ガス」が用いられる。 「毒ガス」のニオイの主成分である臭腺分泌物はもともと他の獣人にもよく見られるタイプの単なる伝達・誘引物質だったことが判明しているのだが、それを腸内の屁や糞便の臭気と混合し吐き気を催す悪臭という方向に特化させ武器化することで生き残ってきたのがスカンケットという種である。 そのため、先鋭化が進んで「毒ガス」と成り果てた現在でも、異性を誘惑し発情させるという本来の機能や交尾時に分泌が誘発されるという本能との結びつきを色濃く残しており、交尾の度にオスは恐怖の「毒ガス」と化したそれを浴びて臭気に悶え苦しむ試練に耐えねばならなくなってしまった。 (「オスには交尾の苦悶あり、メスには出産の苦悶あり。」 スカンケット族の諺より) そして同じスカンケットなら何とか耐えられるそんな悪臭の試練も、他種族にとってはとても忍耐や根性で何とかなるような代物ではなく、どんなに深く愛し合っていたとしても、いやむしろ愛し合っていればいる程に、スカンケットとの異種族交配は破壊的で時に破滅的な結果に終わることが多い。 なおメスは「毒ガス」をオスに浴びせることに関しては基本的に容赦ないが、オスの苦しみを少しでも和らげるためか、スカンケットのメスはほぼ例外なく性技・艶技に卓越(幼い頃より教育の一環として年長者達から熟練の技の手ほどきを受ける)しており、オスに猛烈な快感を与える手練手管に長けているため、例え「毒ガス」の悪臭責めによって生死の境を彷徨う羽目になったとしても、自分を襲ったメスに対して悪感情を抱くスカンケットのオスはいないという。 (余談だが、成熟したスカンケットのオスは全員がもれなく尻と屁に対する重度のフェティシズム持ちと言われており、先天的にそうなのか環境に適応する形で後天的に身につくものなのかはまだ詳しくわかっておらず、研究の余地が多く残されている) スカンケットの性感帯は基本的に人間に近いが、人間よりも肛門付近に多くの神経が集中しており、特にメスには放屁や排便をするだけでも大きな快感を得られるという個体が多い。 スカンケットとの性交時には肛門周辺を念入りに愛撫してやるとそれだけで異様に興奮し激烈なオーガズムを迎えるため、その筋の世界では「すか娘 菊座ねぶりて 落つは孰与れぞ」との艶笑川柳が詠み継がれている程。 「落つは孰与れぞ(おつはいずれぞ)」とは、菊座(肛門)を舌で舐め回され絶頂の極みに達したスカンケットの娘があまりの快感にアヘ顔で悶絶失神してしまうか、でなければ絶頂の際反射的に放たれる格別に臭い護身用の一発(俗に言う「イッた時(じ)の最後っ屁」)を浴びた男の側が狂乱しハヒ顔で昏倒してしまうか、どちらの結果に終わるだろう?という意味なのだが、勇気ある者(或いはただの愚か者)が実際に「菊座ねぶりて」を決行した場合、どちらか一方ではなくその両方ともが同時に起こり、男女そろって仲良く悶絶というケースがほとんどである。 先述の通りスカンケット社会においてオスとの交尾のチャンスは基本的に早い者勝ちなのだが、他のメスの「毒ガス」の残り香をあまりにも濃くふんぷんと漂わせているオスは狙わないのが暗黙の了解となっている。 そのようなオスは交尾直後で精液が底をついていたり瀕死でフラフラだったりと衰弱しきった消耗状態にある可能性が高いことから、オスの生存率を上げるため本能的に忌避するようになったものと思われる。 交尾の終盤になるとメスはよくオスの頭の先から足の先まで丹念に「毒ガス」を噴き付けて回るという、一見するとオスへの嫌がらせか「毒ガス」の無駄遣いのようにも見える行動を取ることが知られているが、これは交尾を狙う他のメスから意中のオスを少しでも長い間遠ざけておきたいという執着心の表われとする説が有力である。 このようにスカンケットのメスは強い執着心や嫉妬心を持っているのだが、交尾の最中でもないのに異性を占有しようとする行為はスカンケットの社会において同族同士の直接戦闘と並ぶ禁忌にして恥ずべき悪徳とされており、若いメスの中には「恋人」や「結婚」という関係性に密かに憧れて群れを離れ外界へと出て行く者もいる。(ただしそのほとんどが遠からず元いた群れに「出戻り」することになる) 交尾時の悪臭に満ちた苛烈極まる愛の試練を別にすれば、スカンケットのオスは生まれながらにして王侯貴族のような何不自由ない暮らし向きが約束されており、オスで自ら集落を離れて外の世界へと出て行く者は、よほど特別な事情でもない限りまず居ないという。 ただし彼らは実際に王のような高い身分や権力を有しているわけではなく、むしろ大規模なハーレムの主であろうとも立場としては彼の身の回りの世話をしているメス達の誰よりも遥かに弱い。 そのため妙な勘違いを起こして目に余る程に思い上がった振る舞いをするオスには、交尾の機会待ちをしていた周囲のメスが寄ってたかって「制裁」を加えることがある。 同族同士の戦闘行為はタブーなため、制裁といっても表向きには単にメスが集団でオスに交尾を挑むというだけのことなのだが、これをやられたオスは当分の間足腰が立たなくなり、その後はまるで憑き物が落ちたようにおとなしくなってしまうという。 スカンケットの交尾は通常、一対一で行われるものだが、複数のメスが一度にオスに群がる「制裁」としての交尾では、複数の「毒ガス」が同時に噴射され混ざり合うことでより一層複雑なニオイを放つ混合ガスと化し、もみくちゃになって繰り広げられるメス達の性技の競艶による快感責めの嵐と共にオスを気絶さえ許されない狂乱の渦へと叩き込む。 普段の交尾とは異なり、「制裁」はオスの精液が完全に尽き果ててそれ以上どうやっても射精不可能となるか、オスをしっかり「わからせた」とリーダー格のメスによって認定されるまでは、参加するメスの顔ぶれを入れ替えながらいつまでも延々と続く。 実際に「制裁」を体験したスカンケットのオスの談によれば「永遠に終わらないかのような正真正銘の生き地獄」「死ぬより辛い拷問」らしいが、そう語る間中彼は恍惚の表情を浮かべながら股間を激しく怒張させていたという。 信頼に足る記録には残されていないものの、「処刑」といってオスの息の根が止まるまで「制裁」が行なわれ続けたケースが僅かながらあったという話もまことしやかに語り伝えられている。 ずらりと並んだメス達の尻から「毒ガス」を息つく暇もなく次々に浴びせかけられ、際限なく臭みを増していく屁雲の底に閉じ込められたオスが、たったの一呼吸を求めてもがき苦しみ、断末魔の声さえ上げられないまま幾度も射精を繰り返しながら窒息死或いは狂死していく光景は、凄惨の一言に尽きるという。 実はそれは「処刑」などではなく、生贄を捧げて新たなオスを懐妊する特別な精子を授かる為のまじないの一種、つまり「オス乞いの儀式」だとする説もあるが、この行為の存在自体が正式には記録されていないこともあり、全ては憶測と噂の域を出ていない。 (記録に残そうとした冒険者もいたのだが、そのことごとくがメス達に捕まり、寝所の下に閉じ込められたあげくメス達の寝屁を日毎夜毎に嗅がされ続けて口封じされた、などという噂も存在する) 余談だが、冒険者ギルド組合が毎年実施している人気投票「転生したら何になりたい?」の一位と「転生しても何にだけはなりたくない?」の一位が両方とも「スカンケットのオス」だった年がこれまでに三度もあったことは冒険者の間で今なお語り草となっている。 Q:何とかしてアルとプーナが幸せに結ばれる道はないの? A:スカンケットとの異種間婚が破局を迎える原因は放屁にまつわるトラブルと相場が決まっており、それさえ解決できれば問題らしい問題はほぼ無くなるといっても過言ではありません。 とはいえスカンケットのメスにとって放屁、とくに交尾の際の放屁は、「美味しい物を前にすると唾液が湧いてくる」のと同様、深く本能に根差した身体反応であり生理現象なため、彼女らにそれを完全にやめさせるのは困難を通り越してほぼ不可能に近いです。 「美味しい物を前にすると唾液が湧いてくる」のは止めようがありません……。 けれど、ガツガツした振る舞いをしないことや涎を垂れ流さないよう口を閉じておくことならできますよね? アルフィンは現在かなりレベルが上がっており、結構な各種耐性を身につけています。 情欲の昂ぶりに任せて猛烈にくさい「毒ガス」を連発し、次から次へ嗅がせようとするからたまらず発狂したり死んでしまうのであって、プーナがよく自分を律して軽くフェロモンバーストの1~2発程度に留めておくことさえできれば、それでもアルフィンは屁臭さにのたうち回って悶え苦しむかも知れませんが、今の彼ならばおそらく落命や廃人化まではしないでしょう。 周期的に訪れる発情期の間ですら交尾への欲動を抑え込み続けられた普段のプーナなら、交尾中の放屁についてもある程度の節度を保ち続けることは充分可能と思われます。 さらに、鼻には直接浴びせないようにしてみるとか、ニオイの濃そうな日には噴射量を絞るとか、強烈な絶頂に達した際反射的に放たれてしまう「最後っ屁」のことまで警戒して即時回復や蘇生用のアイテムをベッドサイドに充分量用意しておく等、工夫を凝らすようにすれば安全性はより高まるでしょう。 プーナとアルフィン、双方がお互いを理解し思いやることで少しずつ譲歩し合い協力し合うことができれば、決して乗り越えられない壁ではありません。 ちなみにプーナはオスを狂喜させ大量射精させる為の極上の性技をスカンケット族の伝統に則って幼少の頃からみっちりと仕込まれており、アルフィンの反応を確かめながらいやらしい程ねちっこく愛情たっぷりに行われる「ご奉仕」という名の強烈な性感昇天責めの数々を一度でもまともに味わってしまえば、アルフィンはもう完全にプーナ無しではいられなくなってしまいます。(スカンケットのメスに代々継承される性技・艶技の数々は、そのように抵抗や逃走を試みようとする心さえも挫かれた「詰み」の状態へとオスを追いやるために発達したという側面もあるとされています) プーナのガスはアルフィンにとって凄まじいトラウマになっているはずですので流石においそれとはいかないかも知れませんが、性フェロモン由来である「毒ガス」には強力な催淫効果もあるため、プーナのお尻やオナラに怯えてガタガタ震えつつもアルフィンが自ら求めてスカンケット式の交尾にどっぷりとのめり込んでいってしまうのは時間の問題と言えるでしょう。 アルフィンはもともとプーナやプーナのお尻が好きだったようですし、プーナ(と彼女のお尻)への愛や彼女の「ご奉仕」の目くるめくような快感が「毒ガス」を嗅ぐ地獄の苦しみと絡み合って混然一体となることで、いつしか彼がマゾヒズムかオナラへのフェティシズム、或いはその両方に目覚め、二人の性生活が両者にとって最高にハッピーで薔薇色(?)なものとなる可能性も大いにあります。(実際、スカンケットとの異種間婚の成功例を見ると、最終的にそういった状態に落ち着いたカップルがほとんどです) いずれにせよアルフィンの健康には大変良くなさそうですし彼はあまり長生きできないかも知れませんが、まだまだ遠い遠い先の未来、死が二人を別つまでは、仲睦まじく幸せに暮らしていけるのではないでしょうか。