おーい。何やってんの? まぁ。何か最近嗅ぎ回ってんなとは思ってましたよ。 でもサリアちゃんは奴隷の自主性を尊重するご主人様だからさ? 放っておいたんです。 もう、諸々検討ついてんだよね。 いいよ。あたしの部屋までおいで。 そこ座って? 手短に済ませますから。 どうぞ。 あなたからドレインしたエネルギーが、この瓶に入ってます。 これを飲めば、あなたは元通り。 前みたいに冒険できます。 嘘じゃありませんよ。 だって、あなたが見てたのってあたしのカルテですよね。 もうわかってんですよね? 色々と。 あは。せっかくだからあなたの推理その二を聞きましょうか。 ようやく話せるようになった事ですしね。 どうぞ。何でも答えますよ。 はい。その通りです。 あなたがやたら気にしてる先代勇者ってのは、あたし。 三年前、勇者に選ばれてすぐに左腕と左足。 それから刻印を失って、以来ここに引きこもってる卑怯者があたしです。 だから四か月前、あなたに声をかけた。 代わりに選ばれたのがどんな子か気になったから。 でもあなたにとってのあたしって、諸悪の根源ですし。 だから正体を隠して『妖精さんだよ』なんて回りくどい事をしたんです。 それからはご存知の通り。 あたしはあなたの、姉? 先輩? 先生? 友達? 気取りで近づいて。 罪滅ぼしのためにあなたの冒険を手伝い。 あなたを好きになって。 『少しでも一緒にいたいから』なんて理由で機械人形のメンテナンスを怠り。 あの事件が起きました。 それでもあの機械人形には、緊急離脱の魔法が仕込んであった。 ぎりぎり救えたのは、そういう事です。 あなたを治療しながらあたしは思いました。 あなたはこんなに世界に尽くしてるのに、世界はまるであなたを愛さない。 だったら、そんな世界はもう守らなくていいんじゃないかな。 新しい勇者に任せればいいんじゃないかなって。 でも、あたしが本当に許せなかったのはあたし自身なんですよね。 あなたの事好きとか言いながら、肝心な時はまるで役に立たない。 そんな自分を変えたかった。 あたしでもあなたを守れる。 怪我を治して、食事を与えて、何不自由ない生活をさせて。 そう。まるでご主人様みたいに、あなたの暮らしを保障できるって。 つまりはただのエゴ。 あなたはこの一か月、あたしのおままごとに付き合わされてただけなんです。 でも傷も治ったし。 事の真相もわかった今、あなたがここにいる理由はありません。 退院おめでとう。 当然ご存知でしょうけど、あなたの刻印は無事です。 それを飲んで力を全部取り戻したあなたなら、サリアちゃんからなんて、余裕で逃げられますよ。 うん? 力が半分なら? 妙な事聞きますね。 一人で冒険するにはちょっと頼りないかもしれません。 今度こそ、新しい仲間を見つけるのがいいと思います。 はい。ぜひそうして下さい❤ ばいばい勇者ちゃん❤ え。何。何でこっちくんの。 んっ……⁉ んんぅっ、んっ……❤ けほっ、けほっ! いきなり何するんですか! ほとんど、飲んじゃったじゃないですか……! あなた、自分が何をしたかわかってるんですか。 もしかして。 ええ。言いましたよ。 仲間が必要だろうって。 でも。どうして……。 あなた、話聞いてました? あたしはあなたに全て押し付けたクズで、あなたを犯した犯罪者です。 あなたはあたしを殺したっていいんです。 なのに、何でこんな事すんの? 何でそんな事言うの? 何で。何で。何でっ……。 え? ちゅ。 あ、 んっ……。 ……あのさぁ。 あたし、お姫様とかじゃないから。 ちゅっ……ちゅっ。 キスしたら何とかなる生き物じゃないから。 ちゅ……ちゅっ。 ただの何もない、つまんない女だから……。 はぁ。 敵わないな。マジ。 それでもいいとか言われたら、あたしもうどうしようもないじゃん。 あなたはいつもそうだね。 そうやってあたしの選択肢を奪うの。 ご主人様とか奴隷とか言いながら、ずっと支配されてたのはあたしの方だった気がするよ……。 わかりましたよ。勇者様。 約束したもんね。 あなたがあたしを必要としてくれる限り。ずっと、ずっと。そばにいるって。 大好きです。 あたしで良かったら、約束を守らせて下さい。 つかさ。 いらなくなったっつっても付きまとうかもよ。 重いぞ? サリアちゃんは。いいのか? うわ。むかつく。 ふふふ……。 ねぇ。もっかいキスして?。 ちゅ……。 ふふ。何か、初めてキスしたみたいな気分。 好きだよ……。