シナリオ本文 1 ■本文 ①プロローグ //正面 距離普通 (ナレーション/テンション少し暗め) このお話は、1972年6月13日に有名な温泉観光地の旅館で起きた、ホラーかつ、不思議な怖いお話になります。 お若い方は初めて聞くお話だと思いますので、そのような話があったのかという感じで、聞いてくださいませ。 また、事が起こった年代近くの方は当時を思い出しつつ、聞いて頂ければと思います。 それでは宜しくお願い致します。 (ラジオ風BGM フェードイン) //正面 距離普通 (ラジオパーソナリティー風ですが、落ち着いた感じで、最後は声優様の名前になります) 本日、お送りしましたエンディングナンバーは、メトオサ「私を探して」でした。 これから夏に向けて気温も高く、熱くなりますので、お身体お気をつけてお過ごしくださいませ。 それではまたいつもの時間お会いしましょう♪お相手はわたくし、ラジオパーソナリティー、みちくさがお送りしました。 (ラジオ風BGM フェードアウト) //正面 距離普通 これからもっと熱くなるんだってぇ、じんわりとした汗かくの苦手なんだよね~。 ねぇ?聞いてる?先輩? しかし山の中で車の故障にあって、時間遅くなるなんて、とんだ日帰り旅行だね。 時間も遅くなってるし、地元に着くの丑三つ時になっちゃうよ……。 どうする?温泉の観光地だし探せば当日泊まれそうな宿、あるかもしれないよ? もう泊まっていっちゃおうか?勿論、宿代は先輩持ちだけど……。 え?いいのぉ?本当に? 今月バイト頑張ったからって…なんか気が引ける…訳ないよ? お言葉に甘えちゃいます!ありがとう♪ じゃさ、あのホテルにしようよ。大きいホテルだから、何とかなりそうじゃない? でも、時間的には食事も終わってそうだから、素泊まりになりそうだね。 ともかく、いってみましょう。 すみません?……予約してないしてないのですが、当日でのお部屋を取れたり出来ますか? ……そうですか、残念です。ご迷惑を……。 ……え?観光協会で聞いて頂けるのですか、ありがとうございます。 先輩!何とかなりそうだね! ……はい、車で5分位、上に登った所ですね、いえ、こちらこそ助かりました、ありがとうございます。 先輩、早速行ってみましょう。 ②老舗旅館 //正面 距離普通 すみません?……観光協会のご紹介で伺った上遠野ですけど……。 //正面 距離普通 (旅館女将) 上遠野様、お待ちしておりました。さぁこちらへどうぞ。 遠い所わざわざお越しいただき、ありがとうございます。 お話は伺っておりまして、素泊まり一泊、一部屋で宜しいでしょうか。 ただ、上遠野様…お部屋の提供は可能なのですが…その…曰く付きと言っては失礼になりますが……。 色々とホラーと言いますか、不思議な事が起こりやすいので、お勧めはしておりません。 まぁ、その、お部屋はいつも他の部屋同様、掃除は欠かしておりませんし、室内は綺麗でございます。 ただお客様の身に何か起きてはなりませんので、極力お断りさせて頂いているのです。 何も起きない時はいいのですが、例えば、部屋の壁に、014132023121043244と血文字が現れたり……。 また、お客様がチェックアウトしたのち清掃に入りますが、 スタッフの話ではお部屋にお客様がいらしたとか……。 勿論、チェックアウト時に人数やお客様本人の確認してお見送りしているのですが、 知らない方がいらっしゃるとか…で、再度伺うと、誰もいなかったりしまして……。 また、夜中に、お客様の身に何かが乗り移ったかのように、奇声を発するお客様が居たりなど様々です。 なので、私共としては毎回お断りをさせて頂いている次第でございます。 ただ、どうしてもと言うお客様には無料にて提供させて頂いております。 //正面 距離普通 どうする?先輩…何か怖い感じもするよね…曰く付きかぁ……。 何も起きないときは起きないみたいだし、何とも言えないわね……。 でも先輩と一緒なら大丈夫な気もする。何かあったときは先輩が守ってくれるものね! 明日の車の運転も気をつけて走ってもらうために、ゆっくり体を休めましょう。 //正面 距離普通 (旅館女将) 宿泊で宜しいでしょうか。では、お布団の準備をして参りますので、少しばかりお時間頂戴致します。 それまではロビーにて、おくつろぎ下さいませ。 一部ご案内ですが、露天風呂は24時間営業となります。 フロントの右手を真っすぐ行って頂きますと、男湯、女湯がございます。 各お風呂場からその先が露天風呂につながっておりますので、ごゆっくりとお入りくださいませ。 なお、混浴ではございませんので、ご理解頂ければと存じます。 男湯の先に男湯の露天風呂、女湯の先に女湯の露天風呂がございます。 お間違えのない様にお願い致します。 ……それでは、お部屋の準備が整いましたので、ご案内いたします。 こちらへどうぞ。 ③(アダルト部分の為、削除) ④(アダルト部分の為、削除) ⑤(アダルト部分の為、削除) ⑥(アダルト部分の為、削除) ⑦露天風呂へ //正面 距離普通 ふぅ…、すこし落ち着いたね。 旅館着く頃から、気持ちが高ぶっていたから、疲れちゃったよ……。 お風呂、24時間だから、入ってくるねっ……。 深夜に入る露天風呂も、格別だよね! 露天風呂に浸かって、ゆっくり体を休めてくるよっ♪ んっ?先輩も行くの?あぁ、大丈夫、だいじょうぶ。 先輩も車の運転で、私以上につかれてると思うから、気を使わなくていいよ……。 ぐったりしてて、からだ重そうで、動けそうにないし……。 先輩も少し休んで、落ち着いたらお風呂入ればいいよ。 うん、じゃぁ、行ってくるね……♪ //BGM(時計の音) //正面 距離普通 (ナレーション2/声少し低め) どれくらいの時が、経ったのだろうか……。 あれから少しばかり、寝てしまったらしい……。 ふと、時計を見ると時刻は深夜2時を過ぎたところだった……。 21時過ぎに、チェックインしてから部屋に居て、確か24時くらいだったか……。 さちえが露天風呂に向かったのは……。 部屋を見渡したが、さちえの姿は見当たらない……。 女性の長風呂はこんなにも長いものなのか……。 露天風呂で一風呂浴びてくるか……。 そう思いたつと、露天風呂へ向かった……。 お風呂から出て、フロント前を通り、部屋へ戻る際、 スタッフが自分に気が付いて軽く会釈をした。 その表情は少し神妙は面持ちだった……。 部屋に戻ると、暗闇と静寂が辺りを包み込む。 さちえは、先に就寝したのだろう……。 そう思い、布団に入り、もう一つ…さちえのいる布団へと目を向ける。 薄暗い部屋の中、少しずつ目が慣れてくる……。 さちえが寝ていると思われる布団に人影が見当たらない……。 部屋の電気をつけて辺りを見渡すも、さちえの姿はどこにもない……。 時刻は3時過ぎ……。 明らかに、何かがおかしい…不安が脳裏をよぎる……。 まだ、露天風呂に居るのだろうか? 居ても立っても居られずにフロントへと向かった……。 ⑧消息不明  //正面 距離普通 (ナレーション2/声少し低め) 慌てた様子を見た、スタッフがこちらにやって来る。 「どうなされましたか?」 落ち着きを抑えきれない中、ひと呼吸して、さちえが居なくなった状況を説明した。 話を聞いた女性スタッフが、確認の為に、露天風呂へ向かう。 残された男性スタッフは、あの神妙な面持ちで会釈をしたスタッフだった。 スタッフはこう答えた。 「確か、24時の定期巡回の時間でしたのでハッキリと覚えてます。 女性のお客様(さちえ)が露天風呂はこちらですか?と尋ねたので、フロントを右手に真っすぐ行ったところです。と答えてお客様を見送りました。 その時間帯にお客様がお風呂に入るのも珍しくはないのですが、本日は誰も見かけなかったので、ハッキリと思えてます。」 そこでさらに、男性スタッフは、 「男性のお客様(自分)がお戻りの際、お連れの客様(さちえ)が見当たらないので、 まだ、長風呂なのかと思いました。それまでは露天風呂へ通じるフロント前は誰も通っていませんので」と。 なので、少しばかり不思議そうな、神妙な面持ちで会釈したのだと……。 話し終えたところで女性スタッフが慌てて戻ってきた……。 「あの…脱衣所にも、露天風呂にも、誰もいらっしゃいません……」 女性スタッフはさらに、 「おかしな事に、浴衣や着替え類の荷物も見当たらないのです……」 動揺を隠し切れない女性スタッフ……。 男性スタッフは、 「今すぐ、女将に連絡します……」 そう答えると、フロント奥の事務所へと入っていった……。 連絡を終えて戻ったスタッフから、もう一度探そうとの事で、3人で女露天風呂へ向かった。 お客様は誰一人もいなく、脱衣所もカラで、女露天風呂も、くまなく探したが、誰も居なかった。 途中で、女将が合流し、警察に連絡、他のスタッフも呼び出し、館内を探し回ったが見つける事が出来ずにいた……。 女将もただただ、申し訳けございません、すみません。と、ひたすら頭を下げていた。 必死だった……。皆が消えたお客様(さちえ)を探すために必死だった……。 あの時、露天風呂へ向かうとき、一緒に……、一緒について行く事が出来ていれば……。 … …… //BGM 時計 開始 無情にも時は過ぎ、ロビーで警察より聞き取りをしていた時だった……。 //BGM 時計 停止 「み、み、みつ、見つかりました!見つかりました!!」 一人の警察官が声を荒げてロビーに入ってきた……。 時刻は朝方、5時を回ろうとしていた……。 ⑨果ての際 //正面 距離普通  (ナレーション2/声、少し低め) 露天風呂の敷地、また旅館の敷地をさらに超えた崖の下……。 さちえは、遺体として見つかった……。 他の洗面道具や荷物も遺体の近くに落ちていた……。 転落した衝撃なのだろうか、右腕がもぎれて悲惨な状態であった……。 他に目立った外傷はなかった……。 不思議な事に、脱衣所に荷物が無かったことを踏まえると、 露天風呂に入ることなく、荷物を持ったまま露天風呂の柵、 そして旅館の柵を乗り越えたことになる。 この件は、自殺として処理された。 勿論、さちえが自殺なんかするはずもない……。 やはり、何か曰く付きとして、祟られてしまったのだろうか……。 悔やんでも、悔やみきれない……。 … …… 旅館を立つ際、その足取りは重く、苦しみや悲しみだけが、重くのしかかる……。 旅館を去ってから、その悲しみに包まれた姿は、家路につく事はなかった……。 途中にある大きな湖の観光橋で、その車は見つかった……。 人の姿はそこにはなく…後日、湖にて水死体として発見された……。 全国のニュースで話題になるほどの…事故だった……。 当時、怪奇現象や心霊などの番組も多く、様々な形で取り上げられた。 その後も、この部屋では、数多くのケガや事故が、後を絶たず、 重く受け止めた旅館は、その部屋を、永遠に貸し出すことは無かった。 そして…… 数十年後、温泉地を震源とした地震が発生。 観光業に大きな打撃を与えて、旅館は廃業しました。 旅館の解体作業の際、地中より白骨化した遺体を発見。 遺体には右腕が無い状態で見つかり、 さらに右腕はそこから数十メートル離れた場所で発見されました。 奇しくも、その遺体を発見した場所は、かつて上遠野さちえ達が宿泊した部屋の下で、 さらに右腕が見つかったのは女湯露天風呂付近だったそうです。 何かしらの力が働いて、様々な事故を招いていたのかもしれません……。 この話を聞いた時には、背筋が凍るような思いでした……。 //正面 距離普通 (ナレーション1/テンション低め) 今宵はお時間いただきまして、誠にありがとうございます。 いかがでしたでしょうか。 有名な温泉観光地の旅館で起きた、ホラーかつ、不思議で怖いお話は……。 もしかしたら、何かの力が働いて、不思議な事を起こしていたのかもしれませんね……。 そして…今……あなたの背後に、何者かが、いらっしゃるかもしれません……。 ⑩第1 フリートーク