あっ。唯為理です❤ もうすぐ終わります。後三十分で絶対仕上げます。 もう少しだけ、お店でお待ちいただけますかっ。 あっ……❤ はいっ! 原稿頑張ります❤ では。終わったらすぐ電話しますので。失礼しますっ。 ごめんなさいお待たせしました……! うん。平気。 うん。 また後でね。 あの……本当にありがとうございました。 嫌な思いをさせてごめんなさい。 何てお詫びをしたらいいか、わからないです。 はい。だからせめて、あの人の事をお話しさせてくれませんか。 あなたには、知ってもらえたらって、思ってます。 じゃあ、そこの公園で話しましょうか。 あの人は衛藤 絢さんという方で、私を応援してくれてる人です。 最初はSNSで知り合って。リプとかメールで、私の作品の事、話してくれて。 ……すごく。いい方だと思ってました。 でも、段々感じが変わって行って。 『ここはこうした方がいい』とか『あの作品はあなたらしくない』とか、そういうのが増えて。 でも、その位なら意見の一つかなって思えたんですけど。 そのうち私が、他のファンの方や、作家さんと話してるのも嫌だっておっしゃるようになって。 私、在宅のお仕事ですし、お仕事関係の方も、基本インターネット上のお付き合いなので。直接人と会って話す機会って、少ないんです。 だからちょっと反応もらえるだけでも、嬉しくて。 同人活動も、SNSも。色んな人とお話しできる、すごく大事な場所だったんです。 だから『それは認めてほしい』って、お願いしたんですけど。 ……はい。去年地元の即売会に出た時、衛藤さん来てくれたんですけど。 私が他の人と話してたのが嫌だったのかな……。 衛藤さん怒って、騒ぎになっちゃって。 関係ない人にも迷惑かけちゃって。 幸い、ちっちゃいイベントだったんで。 そんな、ネットで噂とかにはならなかったんですけど。 ただ、地元の知り合いも巻き込んでしまったので。 おじいちゃんのお葬式の後、おばあちゃんも心配でしたし。 家族と話して、残る事にしたんです。 そうです。 あの時は……初めてあなたと会った日は、ほんとに見間違いだったんですけど。 散歩してたら、衛藤さんが近くにいるような気がして。怖くなって……。 立てなくなってたら、あなたが見つけてくれたんです。 はい。 こっちに来て、色々考えました。 本当は私が全部悪くて。 謝って、許してもらうのがいいのかもしれないって。 自分の事好きだって言ってくれる人がいるんだから、その人を大切にして。 言う通りにするのがいいのかもしれないって。 でも。 そうしたら。心が死んじゃう気がした……。 私が私じゃなくなってしまう気がしたんです。 はい。これが、私がこの町に来た理由です。 もう誰も巻き込んじゃいけないって思ってたのに、本当にごめんなさい。 えっ? 私は、私がしたいと思う事を、してもいい……? ありがとうございます。 あなたは、本当に、優しいんですね……。 私、きっと あなたと過ごす為に、ここに来たんですね。 本当に、お世話になりました。 明日、ここを出て行きます。 こっちには家族も、あなたもいる。 衛藤さんが来てるってわかった以上、またご迷惑はかけられません。 予定より早くなっちゃったのは、残念ですけど。 ごめんなさい。でも、決めました。 私は衛藤さんに思っている事が言えません。会えばきっと、彼女のペースになります。 でも、もう言いなりにはならない。 だから会いたいと言われても会わないと、決めました。 そんな私の都合に、誰かを付き合わせたくはないんです。 はい。 でも、ずっと会えなくなる訳じゃありません。約束、もう忘れちゃったんですか? もちろんです。あなたがやりたい事を見つけられた時。その時はお祝いです。 私、待ってますから。 わかりました。 じゃあ明日、始発に間に合うように、駅まで送っていただけますか。 ありがとうございます。じゃあ、五時半にここで待ち合わせましょう。 ごめんなさい。ご飯は家で食べます。 原稿、直す所があって。 明日は作業できないから。すぐ取り掛からないと。 いえ。すぐそこですから。一人で帰ります。 じゃあ、ここから家に入るまで、見ていて下さい! はい! また明日。 本当にありがとうございました。 おやすみなさい。