◆タイトル『知らず路のロマン』 ◆あらすじ あてどない旅を続ける、ふたつの影。あの時の出会いが、しあわせな今をーー。 おまえと一緒に進む道が、私にとっての旅なのかもね。  ……ねえ、聞いてる? ◆登場人物 ・ロマン(二人称:おまえ・ろまん):雄ねこ。毛並みは茶色~黒っぽい。本作の最初は名前が無く、作中でロマンと名付けられる。 少し格好つけたがるところがあり、「上辺で見せかけなもの」は、どうでも良く思っている。 彼女とは縄張りで出会ったが、どうも危なっかしくて放っておけないので、仕方なく面倒を見てあげている。……という気になっている。 ※便宜上、ディレクションでは冒頭からロマンと表記します。 ・マリー(一人称:わたし):20歳くらいの女性。 外見は、中肉中背よりも、微妙に小柄。髪型は黒ベースで、紺~青みがかったショートカット。お目めパッチリさんで、瞳の色はマリーゴールド。 服装は、全体的に青~紺を基調にした服装で、余計な危険を避けるため、少しボーイッシュにしている。 性格は、それなりに楽観的。基本は のほほん としている。一応、教育も受けてはいるが、勉学よりも 頭の回転に秀でる。 一人旅が長かったせいか、もともと独り言は多かったが、ロマンと出会ってさらに増えた。 ロマンとは旅の途中で出会い、道に迷っていたところを助けてもらった。 よく、ロマンにミャンミャン呼ばれる。放っておいても良いが、無視するのもなんだか悪い気がするので、追いかける羽目になっている。  大きく格差はない社会だが、比較的 裕福な家庭で生まれ、育ちは良いほう。それになりに教養もある。  お伽噺や、地元で出会った 旅人から聞いた話に憧れ、なまじ行動力があったので旅に出た。一応、両親に話をつけてのことだが、父親は えらく泣いた。いつか帰るつもりではある。 ◆あらかじめストーリーで提示されないが、必要そうな部分 特に、最後までロマンを猫だとは明確に提示しません。 世界観だけで言えば、終末系な世界観。……から、頑張って復興中。 大昔の大戦後、一度は朽ちた世界を、人々は生きている。 各地で集落が形成され、場所によっては少しずつ復興し始めている。 ◆パート分け 1.いとしの仮宿  帰宅 ~ 背負うもの おまけ.寝息トラック 2A.知らず路の邂逅Ⅰ  回想(夢の中)~とある出会い 2B.知らず路の邂逅Ⅱ  脱出 ~ 道案内 3.薄闇にとけて  起床 ~ 屋根裏へ 4.薄明に染まる  屋根の上 ~ 朝焼け 5.出立とロマン  荷物をまとめて ~ そっちじゃないよ! 6.知らず路のロマン  どこか知らない道の上 ~ 旅立ち ◆本編 1.いとしの仮宿 はぁー、ただいまー。 はいー、おかえりー。 {息を吸う}、はぁあー。 あー、もーむり。つかれた。 だれ、こんな高台、拠点にしようって言ったの。 んー……。 おまえかっ。 ん……。 {微笑む}そうだよね、私だよね。 ふふん、でもそのおかげで……。 ぅいしょっ。んぁぁ。 ベッドがあるーぅ。 んんぅ……。 あー、毛布気持ちいい……。 絶対持ってく……。 {溜息}、もう一歩も動きません。 晩ご飯は、明日の朝で良いです。 ん……。 んんん……。 いや。汗くらいは拭かないとなぁ……。 はぁ、めんどくさいなー。 誰か拭いてくれないかなー……。 む……。 んん、なにー。 分かってるよー、分かってますー。ちゃんとしますー。 んっ、{吐息}。 ぅしょ。 あ。それよりさ……ふふん、見てよ、これ。 このさ、ペンダント。 綺麗でしょー。 ここ。これ見て。 そんなに大きくないけど、これたぶん、ちゃんとした宝石だよ。 私、はじめて見たかも。 なんか気になるなーって思ったらさ……棚の奥に、綺麗な箱が残ってて。 開けたら入ってたんだー。 大事なものだったのかな。 ん~……。ふふん……。 ん……。 ほ……{吐息}。 ねえ見て。似合う? ……ねぇえ、もっとよく見てよー。 もー……。 {鼻から抜く感じで軽い溜息}、この価値は分かんないか。食べられないしね。 {息を吸う}やー、でも、綺麗だなぁ。見とれちゃう……。 お、あぁん。 {微笑む}どうしたー? 見る? ちょっと待ってね、外すから。 ん。{吐息} ほら……綺麗じゃない? ……どう? あぁ。 {微笑む}……やっぱりわかんないか。 {軽い溜息}、んー……。 だいたい見終わったかな、この街も……。 よっ{吐息}。食料も……。 減って来たなぁ。 {息を吸う}うん、しょっと。 からだ拭こ……。 めーんどっくさーいな~。 んわ、ちょっと冷たいなぁ。 ……ま、しかたないか。 ふっ、{吐息}。 ふぁーぁーぁー、んぉぃしょー……。 ん、んっ。 んぅしょ……はぁ。 ほ、ぁ、引っ掛かった……ん、ぉ、んぉ、{吐息}。 ふぉ……。 ぁ……。 別に良いんだけどさぁ、 目の前で脱いでるんだから、ちょっとくらい気ー使ってよねー。 私も一応、オトメだぞ。 んん……。 ……そ。ご自由に。 んっ、ほっ、ほしょ。 ふ……んぅ。ほ、んぅ。 {吐息} ぁぁ、ちめたい……{吐息}。 ん……ぅ。 んっ。 ふっ、{吐息}。 ん、んぅ。 ぉ、ぁ、ぅぃしょ。 んぅ……。 んん。 ほ、ぁぁ。 {軽く溜息}、こんなもんかな。 ね、おまえも拭いてあげようか? あぁそう。 ま、こんど水浴びすれば 良っか。 よっ……んっ。 ほ、んぅ……んぁ。 ん。 ん? あぁ あった。 んっ、ほぃ、{吐息}……よし。 ふぁあ~ぁ~ぁ~ぁぁ。ぅんー。ねむい……。 はぁ……。 ん……灯り消すよー。 はい、いらっしゃい。 じゃあ消すね……。 {息を吸う} {ランタンの火を吹き消す。強弱・長短の組み合わせで4パターンお願いします} ん、んん……ぁぁ。 {溜息}……。 でもさー、持ってきちゃって良かったのかなぁ、これ。 べつに、誰も怒らないけどさ、 毛布一枚 持っていくのとは……ちょっと違うような気がする。 どんな持ち主だったんだろ……。 ……ね、もしかしたら、私と同じくらいの人かな。 ちょっとおっきい家だったし、お金持ちだったのかもね。 んー……。でも、建物は、けっこう古かったしなぁ……。 {軽い溜息}ま、いっか。 今は この毛布の方が、よっぽど価値があるもんね。 {微笑む}、みんなおまえと一緒だなー。 ……あぁあ、ごめんごめん。ふふ。 んっ、んしょ、{吐息}。 {一呼吸} ……そんなに荷物じゃないし、持って行こうかな。 背負うものが……ちょっとだけ、増えるだけだもんね。 ね。 ねー。 ふふん……。 {息を吸う} じゃあ……おやすみ。 っ、んぅ。     2A.知らず路の邂逅Ⅰ ※2Aパートは収録不要です。  2Bの芝居にあたって、もし前提のお話が必要でしたら、ご確認ください んん……。 んん? 何、ここ……? ん、んしょ……んぁぁ、痛でで……。 んよい、しょっと。{溜息}。 んー……。 どこ? ここ……。んしょ。 んー。 あぁ、そっか。 落ちたんだ。 あー……思い出してきた。 なんで道に、穴が空いてるかなぁ……。 見た目より、技術を磨いて欲しかったね、ほんと……。 {一呼吸} にしても……よく助かったなぁ。けっこう高い。 いや、高いと言うか、深いのか。 まぁ……日ごろの行いかな。ふふん。 {息を吸う}んんー。 登るのは、ちょっと無理か。 とりあえず、灯り……あ。 あっ、壊れてないよね……、やめてよー……? んっ……。 {息遣い}、んー。大丈夫かな……? ほ……、よ。 お。ぉぉよしよし、{吐息}よかった。 んしょ。{息遣い} 怪我してないと良いけどなぁ……。 んー……。 下水……いや、地下道だったのかな。 にしては浅いけどなぁ。脆いし。 意味あるの……これ。 ん……? んん? {耳を澄ませる感じで、息遣い。通常の音量と、大き目の音量、2テイクお願いします} {深めに息を吸う}……気のせい、かな。 ふむ。まいっか。 とりあえず、動けるうちに移動しないと……。 右か左か……。 あっちは……ぁー、町の外側、かな。 んー……じゃあこっち。 んぅ……。 こっちじゃなかったかなぁ。 さっきのとこ右? いや、その前が逆だったかな……。 なんか身体も痛くなってきたし……。 はぁ……。 んっ? んん~? {深めに息を吸う}、ふむ……気のせいじゃない気もする。 ん……まいっか。 はぁ、はぁ……。 まずい……。 ちょっと、迷ってる気がする。 まずい、これはまずいぞー……。 戻ろうかな……でも、今さら、引き返してもなぁ……。 そもそも、道わかんないし。 みず……{二口飲む+吐息}。 落ち着けおちつけー。 焦っても仕方ないぞー。 大丈夫、燃料は昨日確認したし、大丈夫……。 よしよし。 ひゃっ。 っ。 んん? あ。 っ、あは、ふふっ、なんだ……。 もー、びっくりしたぁ……。 あぁ、もしかして、さっきから居たのおまえかー? んふ、もー……{溜息}。 悪いけど、あんまり余裕ないんだよね、いま。 ごはんも ほとんど持ってないし……。 ごめんね。 あぁ。 んふ、行っちゃった。 {苦笑い}……{吐息}。 {深めに息を吸う}、{はぁ、と言うイメージで吐息} なんかちょっと、気ぃ抜けたかな。……{微笑む}。 あーぉ、また来た。 ……? 呼んでるー……の、かな? ぁー{思案する息遣い}……うん。 行ってみるか……。 ちょっと待って。いま行く。   2B.知らず路の邂逅Ⅱ うんっ、しょっと。んぉいしょ。 {大きめに息を吸う}、ん、んーーー……ぉわぁー。 久々にお日様の光だー……。 良かったー……。 はぁー。いやー、ほんと助かったー。 おまえが案内してくれなかったら、 わたしもう、地下でガイコツになるところだった。 ぁ。ぉぉ。 よく見たら、思ったより、可愛い顔立ちだね。ふふん。 ……あ、ぁそうそう。 {微笑む}ちゃんと お礼しないとね。 ょい、しょっとぉ。ほ。 なにか あるかなー……。 あー……。んー……。 これは? {苦笑い}、だよねー。 けっこう奮発なんだけどなー。美味しいやつだし。 ぁー……じゃあこれは? なんか、甘い木の実。 あぁそう。あむ。 んむんむ。{飲み込む声or音+吐息} じゃあ、これは? 駄目かー。 んー。もう お古のナイフくらいしか無いなぁ。 ……んふ、そんなの要らないもんね。 ってなるとー。んー……ちょっと今は無いかなー。ごめんね。 だけど、 ありがとう。すごく助かっちゃった。 ぉぉ……ふふ。 {軽い溜息}……ちょっと休憩しよっか。 さすがに疲れたかな。 よ。んしょ。 お水ならあげるよ? ……はい、どうぞ。 んふふ。くすぐったい。 {水を二口飲む+吐息} はぁ……、生き返った。 ん、もういい? そ。 {深めに呼吸。溜息に近い感じで} {水を二口飲む+吐息} あ。……そうだ。 この町のことって、よく知ってる? もし良かったらさ、なんか良さそうなところ、案内してくれない? ぇー……それ、どっち? してー、くれる? {微笑む}ほんと? ふふん、ありがと。 おまえイイ奴だなー。 んーーー……。 やっぱり ちゃんと、お礼 考えないとね。 なにが良いかな。 やっぱり ご飯かなぁ。 ……ふむ。 ま、気長に考えるね。   3.薄闇にとけて んゎ……。 んんぅ…… あ。 ……んんー。 なんか昔の……。 ん……なんだっけ。 んぁ? んん、ちょっと……。ちょぉーっと。 重いんですけどー。のいてくれますー? んぐぇ。 ぅぐぅ、なんで跳ぶの……ぅんぅ。 {息を吸う}んんー? なぁに、もー。どこ行くのー? ちょっとまって……。 ん……。 んしょ……。 ほぁ~ぁ、んぁ。 ぅん……まだ暗いよー? なにするの。 んぅ、まぁいいけどさー。 はいはい、行くって。 おまえは良いけどな? こっちは見えないの。 灯り無いと転んじゃうよ……。 ……ぉいしょ。 ふむ、二階か……。ほっ、んっ……何もなかったと思うけど。 ……あれ。ん? どこー。ん? ぁぁ、そっちか。 ん……屋根裏ね。 うんしょ……んっ。{息遣い} ふう。 あれ……? んあぁ、そこか。 んー……。 ねぇ……自分が見えづらいの、分かってる? いや、分かってるなら良いんだけどさ。 で? そこ開けろって? はいはい。 ん……いしょっと。 ぉぉー、思ったより冷えるなぁ……。 ぇちょっ、危ないよ、落ちないでよ! ぁん、もう……{小さい溜息}。 ん? おぉ……。 {感嘆する吐息}、すごい。いっぱいだ……。 {微笑む}、ねえ、これが見たかったの? そ。んふふ。 この辺は、空気もちょっと綺麗だし、高台だからかな。……天気も良かったし。 ホントに こんなに見えるんだね、星って……。知らなかった。 おまえ、意外と こういうの好きなんだ? ふふん。 ……あれ。 じゃあさ、なんでさっきのペンダント、見てくれなかったの? ……ねぇ聞いてる? ああそう。 {一呼吸} 私も出てみようかな……。 ね、せっかくだし、日の出も見ようよ。 たぶん、もうすぐじゃないかな。 お、{微笑む}乗り気かな? ぁ。あーでも、冷えるしな……。 ね、ちょっと着替えてくる。 待ってて。   4.薄明に染まる ん、よい、しょ……と。 おぉ、怖いこわい。 足滑ったら真っ逆さまだよ……。 んしょ。んぅっ、{吐息}。 {軽い溜息}、お待たせ。 おぉ? このへんは広くて座りやすそうですねー。 ふふ。ありがと。 ほら、毛布持ってきたよ。一緒に入ろ。 んしょ、{吐息}……。おいで。 んふふ。 {一呼吸} ちょっと早かったかな。 んー……まいっか。   {軽く呼吸。三回お願いします。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。} {溜息} なーんにもない。 ……星しかない。 {長めに溜息} {息を吸う} こうしてるとさぁ……、 自分なんて、すごく小さい存在なんだなぁ、って……思うよねぇ。 まぁ、相手は星なんだから、そうなんだけどさぁ。 星かぁ……。 そうだ。知ってる? あの一つひとつが、もう、ずっと前の光なんだよ。 それが、遠いとおい空の果てから、長いながい時間をかけて、 こうして今、私たちまで届いてるんだって。 お日様もね、この星たちと一緒で、 遠いとおい空の果てまで、光を届けてるんだよ。 なんか、すごいよねー。 その星の中でも、とってもとっても大きな星は、 役目を終えたら、爆発しちゃうんだって。 お日様は……{微笑む}、どうなんだろ。 むかし、本で読んだだけだから、忘れちゃった。 もしかしたら、この光の中には、 もう終わっちゃった星も、あるのかもね。 私たちの星も、いつかは、無くなっちゃうのかな。 海も山も、街も自然も……。 ぜーんぶ終わっちゃって、そんな日が来るのかも。 おまえと出会ったことも、こうして一緒に旅をしたことも、 みんな、光になっちゃうのかな。 それならさ。 せめて、遠くのとおく、ずっとずっと遠くまで……その光が、届けば良いね。 そしたら……こんな風に、空を見上げた誰かが、 ほんのちょっとだけど、私たちを想ってくれる。 んっ、んしょ。 そう思ったら、素敵じゃない? {苦笑い}……話が難しかったかな。 んしょ。 んふふふ、うり、うり。 あぁん、あはは、ごめんって。 ふふ……。 {一呼吸} {吐息}……。 ……私ね、心配なことがあるんだ。 聞いてくれる? {微笑む}、ありがと。 知ってると思うけど……私さ、最初は一人だったんだ。 自分が行きたい道を行って、自分の好きに生きてた。 荷物は重いし、お腹はすくし、ちょっと嫌になることもあった。 たまには、本当に大変なこともあったけど、それもいい思い出かなって思う。 毎日何かが起きちゃうし、退屈しなかった。 それと、同じくらいの時間をね。 お前と出会ってから、今までで、過ごしてきたんだ。 相変わらず荷物は重いし、お腹もすくし、嫌になることもある。 ついでに、誰かさんの勝手に、振り回されるのも増えちゃったけど……。 毎日がすごく楽しいんだ。 一人の時より、もっと、楽しいって……思ってる。 おまえのおかげだよ。ありがとう。 {息を吸う} ……でもね。たまに考えちゃうんだ。 いつも頭の片隅にあって……、出来るだけ、それから目を逸らそうとしてる。 {吐息}……。 普通に生きてれば、私は、あと何十年も生きていく。 だけど。 おまえは、ずっと早く……。 ずっと……ずっと……短いから。 そのことを思うと……{吐息}。 {深めに一呼吸。切り替える} こうやって、あと どれくらい、綺麗な空を見られるんだろうね。 一緒に眠って、たくさん喜んで、くだらないことで喧嘩して……。 {苦笑い}……まぁ、私の独り言みたいな……もんだけどさ。ふふ。 ん{息遣い}。ね、見て……。 ほら、これ。着けてきたんだ。 お日様に かざしたら、もっと綺麗かなって。 ……やっぱり、持って行くことにするよ。 それで……ちゃんと、私が貰うことにする。 この持ち主はさ。 随分まえに、あの家から・居なくなっちゃったんだと思う。 どこか・違う土地に行ったのかもしれないし。 どうしようもない事情が・あったのかもしれない。 だけど、このペンダントは……大切にされてきたんじゃないかな。 大切な人からの・贈り物かもしれないし。 家に伝わる、大事なもの だったのかもしれない。 そういうものが・どうにもならずに、 誰も居ない、瓦礫の街に眠ったままなのは……、 ちょっと、可哀想だと思ったんだ。 なんていうか……、思いが途切れちゃうのが、悲しいな、って。 {微笑む}、もしかして、の話だけどね。 ……だから、これは、私が貰っちゃうんだ。 誰にも渡さないし、きっと大切にする。 それにさ、思ったんだ。 これからは、そういうものを・増やしていこうって。 大事なだいじな宝物を、増やしていく旅にするんだ、って。 このペンダントは、その二番目の宝物。 ふふん、一番は、おまえだぞ。 いちばん最初で、いちばん素敵な、大切な宝物。 この先ずっと、これ以上ない、宝物だよ。 だからさ……。 長生きしてね。 一人はもう、つまんないよ。 ぁっ、んふ……。 ふふっ。 おまえ、優しいところもあるんだ。 {微笑む}……これからも、いっぱい思い出つくろうね。 ん、ぁん、ちょっと舐めすぎ……んっ、くすぐったいよ。 ふふ……ぁ、あぁ、ほら。 見てごらん。 {一呼吸} ……もうすぐだよ。 ……私、この景色、好きだなぁ。 お日様が夜を照らして、朝が来る。 お日様が沈めば、また夜が来る。 そう考えると、一日の境目なんて、どこにもないんだろうなぁ、って、思うんだよね。 この星は、ただ周ってるだけで……お日様は、ただ照らしてるだけ。 それを私たちは、感じてる。すごく自由に、すごく気ままに。 ふふ……ねぇ……。 ふふ、んふふふ……。 なんか今、詩人みたいなこと言ったね。んふふ。 ふふ……ん、あれ? ……そうでもないかな? ふむ。まぁいいや。 ……お。もう出てくるかな。 ん、{吐息}……まぶし。 {一呼吸} あったかい。 {軽い溜息} 今日も、朝が来たね。 おはよう。ふふ。 ぁ、そうだ。ペンダント。 せっかく着けてきたんだから……ね。 うん。 やっぱり、お日様の光だと、もっと綺麗に見える。 ん……ほっ、{吐息}。 ほら、見て。似合う? {微笑む}。褒めてくれてる? ありがとね。ふふん。 ……{吐息}。 んー……。 ね。まだ、見る? ぁはは、気が合うねぇ。 ぅん、しょっと。 う、んぅっ、んーん……。ほぁあ……。 そろそろ、朝ごはん食べよっか。 早起きしたから、お腹すいちゃった。 あーあ、久しぶりに、お腹いっぱい食べたいなぁー。 っと、ぉぉあぶない。つまづいた……。あぶなー……。 ん、何その視線ー。ばかにしたな~?   5.出立とロマン よし、忘れ物は……たぶん無し! じゃあ……、 短い間、お世話になりました。 ベッドが気持ち良かったです。 あと、毛布は ありがたく戴いていきます。 {息を吸う}……うん、これで良し。 さ、行こっか。 うん、じゃあ出発。 んーっと、 次はね、あっちに、大き目の集落があるらしいから、あの山を越えるよ。 一応、山道は あるらしいけど……どうだろ。危なくないと良いけど。 ふもと まで……んー、まぁ、一日くらいあれば、着くかな。 荷馬車とか通らないかなー。 はぁー、でも、今日からまた野宿かぁ……。もうベッドが恋しくなってきた。 おまえは良いよな、どこでも寝られて。 ん、あれ? ちょっ、どこ行くの? ちょっと、そっちじゃないよ! こっち。 こっちだよー! ねー。 ねーってば! んん……。 はぁ、もう……。 はいはい、行きますよ。行けば良いんでしょ。 だーいじょうぶだよ、ちゃんと着いて行ってるって。 {軽い溜息}、私 がご主人だと思うんだけど、 なーんか、追いかけてばっかりだよなぁ……。 {溜息}、まいっか。 そういうのも……ぉぁー。 {息を吸う}ぁーーーーー。 ……ふふん。 ねー。 {息遣い} ねぇ、ちょっと待ってよ! ロマン! んっふふ。 どう? ロマンって。 おまえの名前。 ……あれ、聞いてる? ね、ロマン! ろーぉまん! ……あ、今こっち向いたでしょ!  {微笑む}、じゃあ決まりっ。 ロマンね、ロマン。 {にやける}、ろまぁーん。 んっふふーん!   6.知らず路のロマン あ、{微笑む}、 やっと見つけた。 久しぶり。だいぶ待たせちゃったね。 ふふ、ごめんね。 にしても、んしょ。 あんまり変わんないなー、おまえ。 ふふん、私も。 見て……この服。懐かしいでしょ。 あれ、どこ行くの? ……んん? あぁ。 あ、それ!   {笑みを浮かべる感じの息}、持っててくれたんだ。良かったー。 ふふん、ちゃんと大事にしてた? ん? ……着けても 良い? うん。 ありがと。 ん……{吐息}。 ……どうかな? ふふふん。 あげたつもりだったけど、返ってくると 嬉しいもんだね。 {吐息}、やっぱり綺麗……ふふん。 ? なに? あ……。ん、もう私のだからね! 残念でしたっ。 ふふーん。 {追加で2テイクお願いします} {軽く溜息}、さて……。 よっ、んぃしょ。 {一呼吸} じゃあー、どこから行こっか。 もう、この辺りは詳しいんでしょ? 案内してくれない? ふふ……。 うん。 じゃあ行こっか、ロマン。 あっ、ちょっと待ってよ。 もう……。んっふふん。