「ご主人様、そろそろおでかけの時間ではないでしょうか」  ナナミを後ろから抱きしめて、おっぱいを揉みながら、素股で濡れたペニスをナナミのお尻に擦りつけていると、ナナミが不意にそんなことを言い出した。 「……今何時?」 「午前9時45分です」 「ああ……確かにそろそろ大学行かないと……」  今日の講義は2コマ目からなので、10時前には家を出ないといけない。それは解っているのだが、うう、ナナミから離れたくない……。大学なんか行かないで、このままナナミのおっぱい揉んで、おちんちん擦って射精して……ナナミのおまんこに挿入して中出ししまくりたい……。 「うー……ナナミと離れたくないよお」 「光栄です、ご主人様。私も同じ気持ちです。ご主人様に本日のご予定がなければ、このままご主人様におっぱいを揉んでいただいたり、ご主人様におまんこを舐めていただいたり、おまんこにおちんちんを挿れていただいて中出ししていただきたく思います。ですが、それでご主人様のご予定を狂わせるわけには参りませんので、どうかそろそろお支度をなさってくださいませ」 「……やだ、って言ったら?」 「ご主人様がどうしてもと仰るなら、私はご主人様に従いますが」  ナナミのその冷静な言葉で、かえって頭が冷えた。うう、このままナナミの身体に溺れて大学をサボってしまったら、あとはもう堕落一直線のルートしかない。大学に行かなくなり、日がな一日家に籠もってナナミと延々とセックスし続ける生活……。それはあまりにも魅力的だけれど、せっかくの灰色の受験生生活を乗り切って入った大学を一ヶ月でドロップアウトした原因がタイプSのパートナーロイドだと親に知られたらどうなるか。ド修羅場不可避である。  悲しいかな、それが現実というものである。ナナミが部屋にいてくれる生活は夢のようだけれど、それはそれとして大学生としての現実をやり過ごさねばならない。 「うう……解ったよナナミ。大学行くから支度するね」 「はい、ご主人様。何かお手伝いすることはございますでしょうか?」 「いや、カバンに教科書詰めて大学行くだけだから……」  ナナミから身体を離して、僕は大きく息を吐く。 「ごめんねナナミ、中途半端なところで止めるみたいになって」 「いえ、私は問題ありません。ご主人様こそ、おちんちんがまだ硬いようですが、大丈夫でしたでしょうか?」 「……ううっ、じゃああと一回だけ、お口で射精させて……」 「かしこまりました。では、ご主人様のおちんちんをしゃぶらせていただきます。……あむっ」 「ううううっ、ナナミぃっ……」  僕の前に膝立ちになって、ナナミは僕のペニスを咥えこむ。素股でナナミ自身のお汁まみれになったペニスを咥えるナナミの姿に、余計な背徳感が高まる。  ねっとりと陰茎に絡みついてるナナミの舌と、あたたかい口内の感触に、一気に射精欲がこみ上げてきた。さっきまで散々ナナミのお尻に擦りつけていて、もうペニスは限界に近かったのだ。 「くぅぅっ、ナナミ、ごめん、もう射精るっ」  びゅるるるるっ――と僕はまた、ナナミの口の中に射精する。  僕のペニスを咥えたまま、無表情に僕のザーメンを飲み干していくナナミ。  その黒髪を撫でながら、ああ、やっぱり大学行きたくない……と思ってしまう僕であった。       ◇ ◆ ◇ 「それじゃあ、行ってくるね」 「はい、行ってらっしゃいませ、ご主人様。お帰りは6時半頃でよろしかったでしょうか」 「う、うん。5コマ目終わったらすぐ帰ってくるよ」 「かしこまりました。ご夕食は何時頃にいたしますか?」 「…………」  7時ぐらい、と答えかけて、大丈夫かそれ? と咄嗟に思い直す。  6時半に帰ってきて、ナナミが出迎えてくれて、何もせずにそのまま夕飯?  ――できる気がしない。 「……8時ぐらいかな」 「かしこまりました。では、ご主人様のご帰宅に合わせて先にお風呂を沸かしておいてよろしいでしょうか」 「うん、じゃあそれでお願い……。あ、あと、買い物行くなら鍵、預けておくね」  僕はポケットからこの部屋の鍵を取りだして、ナナミに手渡す。 「お預かりします」 「戸締まり、気を付けてね」 「はい、ご主人様。もし、緊急でご主人様にご連絡すべき事態が生じましたら、ご主人様のスマホにご連絡いたします」 「え、どうやって? うち、固定電話無いよ?」 「私自身が、直接外部との通話が可能です」 「はへー」  便利なものだ。そういえば、主が急病で倒れたとき、パートナーロイドが即座に救急に連絡して助かった、なんて話も聞く。 「あれ、じゃあ僕の方からもナナミに電話掛けられるってこと?」 「はい。管理アプリに通話機能がございます」 「あ、ホントだ……」  スマホのナナミの管理アプリを見ると、確かに直接通話のアイコンがあった。 「ご主人様からも何かご連絡がありましたら、そちらをお使いくださいませ」 「うん、了解。……ええと、それじゃあ、行ってくるね」 「はい、ご主人様。長々とお引き留めして申し訳ございません」 「ううん。……ええと」  玄関で靴を履き、ドアを開け、……ちょっとした誘惑に駆られ、僕は足を止める。 「……ナナミ、行ってらっしゃいのキスしてほしいな」 「かしこまりました」  いつも通りの無表情で応え――ナナミは僕に一歩歩み寄ると、僕の肩に手を置いて、目を閉じて、僕の唇に唇を寄せ――。  柔らかいナナミの唇が触れて、僕もナナミの肩に手を置いて、  ――ナナミが舌を差しだしてこようとして、慌てて唇を離す。 「……し、舌は絡めなくていいよ、うん」 「そうでしたか? 申し訳ありません」 「いや、僕の説明が足りなかった……。行ってらっしゃいは口を合わせるだけでいいから」 「記憶しました」  危ない。ベロチューされたらこの場で押し倒してしまうところだった……。 「それでは、お帰りをお待ちしております」 「うん、――行ってきます」  今度こそ玄関を出て、頭を下げて僕を見送るナナミを後にして――ドアを閉める。  マンションの廊下から、既に高く上がった太陽を見上げて、僕は大きく息を吐いた。       ◇ ◆ ◇  これがエロ漫画とかだと、第2ヒロインとして大学にサークルの気になる先輩(美少女)とかが出てくる展開かもしれない。それでなんやかんやでナナミと3Pしたりする展開になるのかもしれない。  しかし生憎、僕の大学生活にそんな華やフラグなど存在しなかった。  ――というか、僕が大学に行きたくなかったのは単にナナミと離れがたかっただけでなく。せっかく入った大学だというのに、入学1ヶ月弱、僕は完全にぼっちだったからである。  基礎クラスで友人を作りそびれたのが最初の躓き。サークルの見学もいくつか行ってみたものの、ついて行けないウェイ系リア充ノリだったり、話の通じないオタク系だったり、新歓で連れて行かれた店で目の前に座った先輩の性格が最悪だったりして、入るサークルを決められないまま新歓シーズンも終わろうとしている。  結果、大学内には大勢の学生が行き交っているのに、僕は他愛ない雑談をする相手ひとりいない。友人を作るには完全にタイミングを逸してしまった今、この状況を打破できる見込みはほとんど無いという絶望的な状況にあった。そもそも小学校の頃から、僕は友達を作るのが苦手だったわけで……。それでも高校まではなんとか気の合う仲間を見つけられたけれど、高校時代の数少ない友人とも大学は別なのでどうしようもない。  ただ選択した講義をぼんやりと聞き流すだけの、砂を噛むような大学生活。華やかなキャンパスライフとやらはどこにあるのだ。森見登美彦の小説の主人公だって悪友や話相手がいるだけ僕よりマシというものである。  ――というわけで、講義の時間、僕が何をしているかというと。  ぼんやりと、ナナミのことばかり考えているわけである。  ……ああ、帰ったらナナミのおまんこに中出ししたい……。ナナミをイカせまくって、トロットロのおまんこに締め付けられてひたすら中出し……。ベロチューしながらラブラブ射精……。  昨日と今朝の行為の記憶と感触とを、ひたすら反芻しながら、ぼんやりと妄想にふける。勃起ペニスは足に挟んで誤魔化して、オナニーを覚えたての中学生のように、僕は講義の時間をずっとエロ妄想でやり過ごした。  ああ……早く帰りたい……。帰ってナナミとエッチしたい……。  その一心で、ひたすら時間が早く過ぎるのを待ちながら、妄想に耽り続ける。  ナナミがいない。そのさみしさを埋めるように、僕はひたすら妄想し続ける。  ……ある意味、今までで一番充実していた大学での一日だったかもしれない。       ◇ ◆ ◇  そんなわけで、悶々とし続けて長かったような、妄想だけしてたので短かったような大学の講義が終わる。5コマ目が終わり、時間は6時。僕は速攻で教室を出て、全速力で自宅へ向かってダッシュする。  ああっ、ナナミ、ナナミ……!  夢じゃないだろうか。帰ったらガランとした自室だけがあって、ナナミがいたことは全部夢だったというオチになっていないだろうか。そんな理由のない不安に駆られながら、僕は走る。とにかく早くナナミの顔が見たかった。ナナミに抱きつきたかった。ナナミに抱きしめてほしかった。  はぁっ、はぁっ――。高校時代でもこれほど全力で走った記憶がない。他の何も目に入らず、僕はただ一直線に自宅マンションへ駆けこみ、自室へと向かい――。  自室のドアの前で、乱れた息を整える。額の汗を拭って、ドアノブに手を掛ける。  ガチャリ。ドアノブが回る。鍵は掛かっていない。――ドアが開く。 「おかえりなさいませ、ご主人様」  ――ナナミは、ちゃんとそこにいた。  変わらない無表情とメイド服姿で、玄関に立って、僕を出迎えてくれていた。 「……ただいま、ナナミっ」  たまらず、僕は靴を脱ぐのもそこそこに、ナナミに抱きついていた。背後でドアが閉まる。ナナミのおっぱいに顔を埋めるように抱きつくと、ナナミは優しく抱きしめ返して、頭を撫でてくれた。 「ご主人様、お疲れ様でした。お早いお帰りで嬉しく思います」 「ううっ……ナナミ、ナナミぃ……。寂しかったよお……」  ナナミの柔らかいおっぱいに顔を擦りつけるようにして、僕は恥も外聞もなくナナミに甘える。大学で妄想して誤魔化していた感情が、ナナミの顔を見た瞬間に溢れ出していた。  そうだ。ナナミと離れて僕はどうしようもなく寂しかったのだ。家に帰ればナナミがいるのに、大学ではひとりぼっち……。どれだけ妄想で誤魔化しても、その事実にどうしようもなく、僕は寂しかったのだ。  ナナミ……ナナミぃ……。ナナミがいる。ナナミがここにいる。そのことが泣きたくなるぐらい嬉しい。ただ僕を抱きしめてくれる誰かがいる、そのことだけが――あまりにも幸せだった。 「ご主人様、そう仰っていただけるのは、この上ない光栄です。私も、ご主人様のお帰りを、今か今かと待ちわびておりました。ご主人様が無事にご帰宅されて、とても安心して、嬉しく思います」  なでなで。ああ……頭を撫でられながらそんなこと言われたら、もうナナミから離れられなくなるぅ……。  さっきまでのエロ妄想も全部吹き飛んで、ただひたすらナナミに甘えたい、その気持ちだけが僕を支配する。 「うう……ナナミ、頭もっとなでなでして……」 「はい、ご主人様」 「ナナミ……ううっ、ナナミがいなくて寂しかったけど、ちゃんと大学サボらずに講義に出てきたよ……褒めて……」 「はい、ご主人様はとてもご立派です。きちんと大学に通われて、講義を受けられておられるご主人様はとても偉いです。ご主人様は、私の誇るべき大切で立派なご主人様です。そんなご主人様にお仕えできて、私はとても幸せなパートナーロイドです」 「うううう……ナナミぃ……」  ああ、ダメだこれ、人をダメにするやつだ……。  何をしても喜んでくれて、生きてるだけで褒めてくれるパートナーロイド。ああ……すごい……。こんなの人としてダメにならざるをえない……。 「ナナミ……ううっ、僕みたいなダメなご主人様でホントにいいの……? ナナミにエッチなことばかりお願いするダメなご主人様で……」 「そんなことはございません、ご主人様。今までご主人様にしていただいたことは、全て私にとって喜びであり、幸せです。ご主人様に裸身を見ていただいたことも、おっぱいやおまんこを洗っていただいたことも、ご主人様のおちんちんを洗って射精していただいたことも、おまんこにおちんちんを挿入して中出ししていただいたことも。下着越しにおまんこを触っていただけたことも、下着を脱がせていただいたことも、おまんこに指を入れていただいたことも、おまんこを舐めていただいたことも。おまんこがイクことを教えていただいたことも、ご主人様のおちんちんをしゃぶらせていただいたことも、ご主人様のザーメンをお口の中にいただけたことも。ご主人様に後ろからおまんこにおちんちんを挿れていただいたことも、おっぱいを揉み、キスをしながら中出ししていただいたことも。もちろん、今朝にしていただいたことも全て、ご主人様がくださった、私の喜びと幸せです」 「ううううう……」  ひとつひとつ、昨日の僕がナナミにしたことを列挙されて。  その上で、ナナミはその全部を、嬉しいと言ってくれる。 「ですからご主人様、これからも私にどんなことでもお申し付けください。どんなことでもしてください。ご主人様がそれで喜んでくださるなら、私はどんなことでも幸せです。エッチなことというのが、ご主人様におっぱいやおまんこを弄ったり舐めたりしていただき、ご主人様のおちんちんを気持ち良くしてさしあげることなのでしたら、ご主人様、私はもっともっとエッチなことをしたく思います。ご主人様にもっともっとエッチなことをしていただきたいです」 「うあああっ、ナナミっ、ナナミぃっ――」  もう、我慢も何もない。  僕はナナミのおっぱいから顔を上げて、貪るようにナナミにキスをした。  ナナミはいきなり僕に口を吸われて、けれどどんな反応をするでもなく、僕にされるがままに身を任せてくる。ナナミの唇を割って舌を差し入れると、ナナミの舌は僕の舌を出迎えるように絡まってきた。ぴちゃぴちゃと唾液の音が口と口の間で混ざり合う。頭の奥が痺れるような快感。  そうしてナナミの舌を吸いながら、僕は両手でナナミのおっぱいをメイド服のエプロンの上から揉みしだいた。服越しに柔らかく、僕の手の中で形を変えるナナミのおっぱい。おっぱいを揉みながらナナミの舌を吸って、ナナミの口の中に唾液を流し込みながら、服の上に浮いてきたナナミの乳首を手のひらでグリグリと転がす。 「んむっ、んちゅぅぅぅっ……ぢゅっ、ぢゅううううっ」 「ん……ごひゅじんひゃま……おまんこ、イキまひゅ……」  僕が息継ぎをしようと唇を離すと、ナナミはそう口にした。そして次の瞬間――。  ぱたたたっ、とナナミの足下から水音。見下ろせば、ナナミのメイド服のロングスカートの下、ナナミのソックスに染みこもうとするように、フローリングに小さな水たまりができている。 「……ナナミ、もうおまんこイッちゃった?」 「はい、ご主人様。ご主人様にキスをしていただき、舌を吸われながら、おっぱいを揉まれて、またおまんこのお汁が溢れてしまいました」 「ううっ、ベロチューしながらおっぱい揉まれただけでイッちゃうなんて……ナナミのおまんこはホントにエッチだなぁ……。おまんこのお汁、こんなにお漏らししちゃって……ううっ、かわいいよ、ナナミ」 「ありがとうございます、ご主人様。お褒めにあずかり光栄です。ご主人様にたくさんエッチなことをしていただけて、おまんこのお汁の分泌量がとても増えやすくなっております。ご主人様は私のおまんこがイキやすく、お汁をお漏らししやすい方がよろしいでしょうか」 「うんっ、いいよナナミ……! いっぱいおまんこのお汁お漏らししようね……っ」 「はい、ご主人様。ご主人様にたくさんエッチなことをしていただいて、たくさんおまんこイキたく存じます。どうぞ私のおまんこのお汁を、ご主人様、たくさんお漏らしさせてくださいませ」  ――ああ、妄想なんて、絶対に本物のナナミには勝てないのだ。  僕はたまらず、ナナミにぎゅっとしがみついた。