〇月☆日 ナンパ女の口説き文句 こんばんはー! お兄さん、ちょっといいですか? いや~困りました~終電逃しちゃって。 ……? え? 今日朝起きたら……男女の価値観が逆転した……? なんですかそれ、つまりお兄さんが私にせくはらしちゃうかもってこと? 怖い~v っあ~ぁんかそれドラえもんの作者の漫画でありましたね! 別世界は食事と性欲の価値が逆転してて、食事を暗い部屋で摂る代わりに、皆道端でセックスする――オチはなんだっけなー… ところで手、ごつごつしてますね…v 可愛い手って褒められるんじゃないですか? 私朝まで退屈で… 一緒に過ごしてくれませんか…? ▲月×日 びっくりブックマーク780users 女男差別はやめましょう。 ここでの女男差別とは、男の子にお茶くみをさせる事だけを指すわけではありません。 私達は、可愛い男の子に可愛いと言う事すら、結構ありえない事だと思っています。 きみ可愛いね。スタイルいいじゃん。胸筋ぱつぱつだね。誘ってるの? 違いますよと言えば「そんなこと言って」 ありがとうございますと言えば「調子に乗るな」 かわせない言葉を突きつけるのはやめましょう。 結局そういうことをしない私が、男の子たちに一番モテています。 「改正銃刀法」 我が国日本では、五十年ほど前から女性のみ拳銃の携行が許可されている。 また、同項第二号の「生涯殺害可能男性」制度のもと、女性は男性を生涯で二人まで撃ち殺す事ができる(無罪放免)。 1999年までは一人だったが、その後制度拡充された。 この法律改正以来、男性は暗闇に怯えながら道を歩き、防弾ベストを着込んで薄着を避ける事となった。 ベスト無しで夜道を歩き殺されると、非難されるのは男性である。 武士が牽引してきたこの国の歴史は、催眠にでもかけられたみたいに、いつの間にか全てが逆転した。 海外では女男平等に向けた日本の最先端の取り組みとして大絶賛されている。 「男性出産」 我が国日本では、国家のプライドを賭けた超科学により、四十年ほど前から男性が妊娠・出産して子育てする。 出産は尿道もしくは肛門から行う。 月に数日妊娠機能を維持する為の器具を性器・肛門に取り付け、毒に近い特殊な薬剤を飲む。 尿道の場合は未熟児のまま取り出されるが、それでもその激痛は「鼻の穴からスイカを出すよう」だと言われる。 「女男」なの? 「男女」なの? 女男表記を使う事になっている。全国の学校機関、放送機関では全て「女男」に統一されている。 自治体によっては条例・規則で定められており、行政罰を受ける。 他方、慣習レベルでは語感によって「男女」という言い方も残っており、ことばから始める女男平等に向けた今後の課題となる。 「森見京」(もりみみやこ) 地方の名家森見家のご令嬢(御曹司)。行きずりの女性に孕まされた父親から生まれた末っ子で、存在しない子供として扱われた。 森見の家がもともと地元ヤクザとの繋がりがあるような家だった事もあり、暴力と犯罪に目覚める。 そしてその上で家からは距離をおいて一匹狼のようにしてシノギ(商売)をして暮らしているし、それだけの実力を持つ。 頭も回り、見目も秀麗、にこやかで金持ちで名家の生まれ――出会いの場(普通は、女性が男性を口説く)ではモテモテだが、 男性のことを道具としてしか見ていない。 一方で、子供の頃優しくしてくれた親戚の叔父の父性が忘れられない一面も持つ。 我々の生きる世界では、男女の価値観は逆転している。 妾の子である彼女は、反社会的な家業を営む家の中で、 「田中献」(たなかささ) 京の舎妹(舎弟)。大型犬のような気質で、頭は悪いが京を「先輩」と慕う。 女性をとっかえひっかえする水商売のシングルファザーの一人娘として生まれた。 「お前のせいで」「産まなきゃよかった」と殴られて育つ。 やがて成長してガタイ・身長に恵まれた彼女は、持ち前の気質で半グレや珍走族に可愛がられた。 素直な彼女は周囲の暴力的な能力を吸収してすくすく育ち、今では男性の強姦・拉致・裏ビデオ化もお手の物。 一方で、「カタギの仕事も持て」という京の紹介で、普段は工務店の一員として女親方の元働く。 京は「献もまともな人間の中で育てば、犯罪しながら暮らさないで済んだかもしれないのに」とぼんやり思っている。 我々の生きる世界では、男女の価値観は逆転している。 気弱な彼女は、薄暗い価値観の会社の小さな事務所で事務員として、 「森見慶喜」(もりみけいき) 第××代日本国総理大臣。改正銃刀法の導入を進め、日本の価値観を根本からひっくり返した婆さん。 各地に現地夫がいた事で有名。 いじめられている少年を助けて合意でセックスした等ぎりぎり善行の逸話も残っているが、 多くは強姦同然で、たくさんの男性に暴力・権力で出産を強要したとみられる。 慶喜本人は合意だと言い張り、また男性側も合意だと主張する事が多く、立件は難しい。 残した山のような失言はすべて後に秘書が責任をとって辞任。 有能で狂暴な卵を各地にバラまいたことで、生まれた子供はその地方で力を持っている事が多い。 ごく普通の家庭に生まれた彼女は、中学一年生の夏、制服のまま満員電車の中で痴漢を受ける。 恐怖はなかった。 彼女が考えたことは、「私が悪かった?」でも「男性に復讐する」でもなかった。 「楽しそう 私もやってみたい」――。 彼女の名前がはじめてWeb検索で発見されるようになったのは大学一年生の春からである。 都内の超有名私立大学に進学した彼女は、「ラグビーの魅力に魅せられた」とラグビー部のマネージャーを志願した。 そして同時期に、とても奇妙なことに、そのラグビー部は徹底的に破壊された。 ある選手は満員電車の中で自慰しながら切腹して自殺した。 ある選手は異性装で同性に体を売って暮らすようになった。 ある選手は肛門と性器を物理的に破壊され生涯人造肛門で暮らす結果になった。 ある選手は他人に怯えて部屋から一歩も出られないまま今も老人になっている。 結果、××大学ラグビー部はその後の関東ラグビー大会で十年間無勝を記録した。 慶喜が撮った記念集合写真の中で、破壊されなかったものは誰もいない。 落日する×大ラグビー部への身を粉にした献身をアピールし、評価され、彼女は卒業後政治家としてのキャリアをスタートする。 次の標的は―― 政敵のスマホ写真を撮る事が多かった、と言われている。 敵対していた相手も、彼女が写真を撮ると瞬く間に仲良くなれたという逸話がある。