真夜中だけが僕たちの救い〜燃え尽きかけの地下アイドル〜 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック1:『出会い、深夜、散歩』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;タイトルコール ;SE:夜の中を歩いていく音(10秒ほど) ;ボイス位置:1 【真知子】 「ねえそこの君、今夜ちょっと付き合ってくんない?」 【真知子】 「夜の風に吹かれてると、なんだか寂しくなってきちゃってさ」 【真知子】 「君もなんだか寂しそうだったから、ね?」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「寂しい者同士で仲良くしましょうよ」 ;ボイス位置:1 【真知子】 「はい、そういうわけで決まり!」 【真知子】 「じゃあまずはお買い物に付き合ってくれるかしら?」 【真知子】 「大丈夫、自分の分は自分で出すから!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック2:『コンビニ、買い物、糖分解禁』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:入店音 ;ボイス位置:3 隣で 【真知子】 「ふう……真夜中のコンビニって落ち着くわね〜」 【真知子】 「夏でも冬でも、そこそこ良い感じの温度」 【真知子】 「一定時間経つとループして、だんだん覚えてくる店内放送」 【真知子】 「店員もバックヤードにいて、基本的に店内には私たちだけ」 【真知子】 「ゆっくり商品を眺められるのは、真夜中の特権だと思わない?」 【真知子】 「こんな商品があったんだーとか思ったり、今日は何を買おうかなーってゆっくり考えたり」 【真知子】 「まあ職業柄、普段はサラダチキンとスポーツドリンクくらいしか買わないんだけどね」 【真知子】 「でも、今日は悪い子になっちゃおうかなーって思うのよ」 【真知子】 「色々あってね」 【真知子】 「だから、お菓子もたくさん買っちゃいましょう!」 ;SE:色々な駄菓子をカゴに沢山入れる音 【真知子】 「お菓子なんていつぶりかしら……色々食べてみたかったのよねぇ」 【真知子】 「ほら、このイチゴのチョコがしみ込んだスナック菓子! 超美味しそうじゃない?」 【真知子】 「君は食べたことある? 味はネタバレ禁止で! ふふふ〜楽しみ〜」 【真知子】 「んー……あ。いつものCMやってる。車の免許ねぇ……」 【真知子】 「さすがにそろそろ取ろうかなぁなんて思うのよ」 【真知子】 「私がやってるのって、いつまでも出来る仕事じゃないから……」 【真知子】 「……気になる? まあ、詳しいことは後で、ね?」 【真知子】 「よーし、飲み物も買わないとね」 【真知子】 「最近はスポドリ以外に、砂糖とか入ってない炭酸水もよく飲んでたけど……久々にあっまーいソーダを買うのも良いわね」 【真知子】 「見てよこれ! メロンソーダ!」 【真知子】 「昔はドリンクバーとかレストランでしか見なかったのに、いつの間にか自動販売機とかでも買えるようになったわよねぇ……」 【真知子】 「ん、これにしましょ」 【真知子】 「じゃあ私先にお会計して外で待っておくから、君も自分の分を買っておいで」 【真知子】 「またあとでね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック3:『公園、炭酸、駄菓子』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真知子】 「真っ暗闇の中、街灯に照らされて浮かび上がる夜の公園」 【真知子】 「ここから見える町の光も、一つ一つ消えていって……この世界には私だけ」 【真知子】 「こんな真夜中だけは、自分が人生の主役なんだと思えるんだけどね」 【真知子】 「観客のいない主役ほど、むなしいものはないなって思っちゃうのよ」 ;ボイス位置:7 【真知子】 「今日は君がいるから、少しだけ特別な夜」 【真知子】 「まあ、今日の主役は私じゃなくて、君なのかもしれないけどね」 【真知子】 「せいぜい観客にならないように頑張りますよ」 【真知子】 「さて……それじゃあ買ってきたものを食べちゃいましょうか」 【真知子】 「テキトーにカゴに入れたから、何を買ったのかよく見てないのよね」 【真知子】 「よーし、何が出てくるかなー」 ;SE:ビニール袋の中をあさる音 【真知子】 「ほっ! まず最初はこれだ! ……んっ、芋けんぴ!?」 【真知子】 「芋けんぴかぁ……最後の食べたのいつだったかな。たしか、おじいちゃんおばあちゃんの家で……10年近く前?」 【真知子】 「時の流れは早いわねぇ……」 ;SE:芋けんぴの袋を開ける音 ;SE:芋けんぴを食べる音 【真知子】 「あー、懐かしー味ー」 【真知子】 「ほんのりとした甘さに、カリッカリのお芋」 ;SE:芋けんぴを食べる音 【真知子】 「カリカリカリカリ……」 【真知子】 「んん、ついつい黙っちゃう。ずっと無心で食べてしまうわ」 【真知子】 「あと喉も渇くわね」 【真知子】 「じゃあ早速だけど、開けちゃいましょうか」 ;SE:メロンソーダを開ける音 【真知子】 「んー! いい音ねぇ」 【真知子】 「ごくっごくっごくっ……」 【真知子】 「ぷはーっ! あっまーい!」 【真知子】 「芋けんぴはほんのりとした優しい甘さだけど、このわざとらしいほどのメロン味!」 【真知子】 「すごい……飲み終わったあとも、口の中にねっとりとした感じが残ってる……」 【真知子】 「そうそう、こんな感じだったわね、メロンソーダって」 【真知子】 「シュワシュワで、甘くて甘くて、ひたすら甘ったるい」 【真知子】 「他のソーダだとあんまり味わえないわよね、この感じ」 【真知子】 「自分独自の輝きがあるって羨ましいわ」 【真知子】 「私なんて、器用貧乏どころか、何もない貧乏だからね」 【真知子】 「せめて器用でいたかったわ、なんて……」 【真知子】 「そんな殊勝な所で留まるような人間じゃあないけどね」 【真知子】 「……私はね。遠い空から落ちてきた、流れ星のようなものなのよ」 【真知子】 「まあ、一瞬たりとも輝いたりなんてしていないんだけど」 【真知子】 「この世界を照らすような星になりたかった」 【真知子】 「ただひたすら、地下で汗を流す。世間一般で言うところの、『地下アイドル』ってやつよ」 【真知子】 「活動はじめてからどれくらい経ったかしら?」 【真知子】 「大体の年数は分かるんだけど、1年2年の差が分からなくなってくるのよねー」 【真知子】 「ずっとがむしゃらに働いていると、どうしてもね」 【真知子】 「あなたもすごく忙しい時に、火曜だと思ってたらもう木曜くらいになってた〜、みたいな現象ない?」 【真知子】 「それが年単位で起きてるってわけ」 【真知子】 「ほんと、ずいぶんと時間が経っちゃったわねぇ……」 【真知子】 「私は遠くまで行けてないけどね、ずっと同じ地下、ずっと同じ世界にいる感じよ」 【真知子】 「住民は移り変わっていくけどね、同じ地下アイドルの子も、ファンの方も」 【真知子】 「本当にみんな、消える時はさらっと消えていくわ」 【真知子】 「で、次は私の番、なのかなって……」 【真知子】 「それで、夜空の月を見上げて、物思いにふけっていたの」 【真知子】 「なんで、夢には……見えない年齢制限があるんだろうね」 【真知子】 「ここから先は夢を見ちゃいけない、みたいなさ」 【真知子】 「夢って、本当は制限が無いはずのものだと思うんだ」 【真知子】 「でもいつの間にか限界が見えて、どんどんどんどんその線に近づいていく」 【真知子】 「今の人って、大体25歳くらいで夢をあきらめるんだって」 【真知子】 「ちょっと前までは30歳がラインだったんだけどね」 【真知子】 「まあ……人が夢を見れるほどの余裕が、今の世界には無いのかもしれないけど」 【真知子】 「ん……。そうだね。話してばかりも良くないか」 【真知子】 「君も食べながらで良いからさ、付き合ってくれる?」 【真知子】 「私ももっといろいろ食べたいし」 ;SE:イチゴチョコがしみ込んだスナックを出す音 【真知子】 「ふふー。イチゴチョコがしみ込んだスナック〜」 【真知子】 「ずーっと食べたかったのよ、本当にね」 ;SE:袋を開ける音 【真知子】 「んーっ! 開けた瞬間に広がるイチゴの香り〜」 【真知子】 「じゃっ、頂きまーす」 ;SE:チョコスナックを食べる音(サクサク) 【真知子】 「んー美味し……い?」 【真知子】 「いやちゃんと美味しいんだけどね、ああこういう味だったんだなって」 【真知子】 「変に納得してる感じ? って言えば良いのかな」 ;SE:食べる音 【真知子】 「うんうん……」 ;SE:食べる音 【真知子】 「んまい。軽くてサクサクっといけるわ」 【真知子】 「油断すると無限に食べちゃいそうねぇ」 【真知子】 「持って帰る? ほらほら遠慮しないで、どうぞ持って行って」 【真知子】 「たくさん買っちゃったから、色々食べないともったいないでしょ?」 【真知子】 「さて、連続で甘いもの食べたし、次はしょっぱさが欲しいわね……」 【真知子】 「ふっふっふ……ちゃんとポテトチップスも買ってきてたのよ〜」 ;SE:ポテチを開けて食べる音 【真知子】 「ん〜美味しい〜、これよこれ」 【真知子】 「私は昔っからのり塩が好きでね〜、今の子風に言うなら、のり塩しか勝たん! ってやつよ!」 【真知子】 「……つ、使い方合ってるかしら……?」 【真知子】 「一緒に組んでる若い子がよく言うんだけど、新しい言葉って難しいわねぇ……うっ、自分の老いを感じる……」 ;SE:ポテチを食べながら 【真知子】 「なんで人間って歳を取ってしまうのかしらねぇ……」 【真知子】 「若い時は何でも出来るような気がしていたのに、今となっては出来ると言い切れるものの方が少ない」 【真知子】 「まあ若い時に何かを成し遂げたわけじゃないけどね。今も昔も、ずっとへなちょこなまま」 【真知子】 「でも歳を取ったら、世間一般でいう大人にはなっちゃうのよ」 【真知子】 「時の流れって、残酷で理不尽よねぇ……」 【真知子】 「でも、過去に戻りたいとは思えないの」 【真知子】 「過去に戻って、違う人生を歩むってさ。自分が歩いてきた道が、間違っていたって認めるようなものじゃない?」 【真知子】 「それに、過去に戻った所で、何も変えられないんじゃないかなって思うのよ」 【真知子】 「良くも悪くも、自分はいつだって自分のままだからね」 ;SE:メロンソーダを飲む音 【真知子】 「んくっ。愚痴っぽくなっちゃってごめんね」 【真知子】 「さすがにいい歳になってきたから、色々考えちゃってさ」 【真知子】 「今日片付けをしたのよ。そしたら、自分が一番頑張っていた頃の音源を見つけてね」 【真知子】 「懐かしいなと思いながら聞いてみたの」 【真知子】 「そしたらね。涙が出てきちゃって……止まらなくなっちゃった」 【真知子】 「別に悲しい歌じゃなくて、アップテンポの明るい曲なんだけどさ」 【真知子】 「技術の面で言えば全然つたないんだけど、熱量が今と違うのよ」 【真知子】 「もうあの頃みたいに頑張れないのかな、なんて思っちゃうの」 【真知子】 「そりゃあ今だって、熱量を持ってやってきたつもりよ?」 【真知子】 「大きく燃えるほどの炎じゃなかったけど、小さくてもずっと情熱を燃やし続けてきたわけ」 【真知子】 「でもやっぱり……作品に焼き付いてた熱の温度が違ったのよ」 【真知子】 「いつだって自分の精一杯のまま、やり続けてきたんだけどね」 ;SE:メロンソーダを飲む音 【真知子】 「ふぅ……」 【真知子】 「付き合ってくれてありがとう」 【真知子】 「少しすっきりしたわ」 【真知子】 「あ、あのさ……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「お礼、させてくれる?」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック4:『耳かき、右耳、膝枕』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真知子】 「ま、まあ君が良かったらでいいんだけどね……」 【真知子】 「あの……膝枕、してみる?」 【真知子】 「いや、私なんかの膝で良ければだけど……お試しで……ね?」 ;SE:膝に頭を置く音 ;ボイス位置:3 【真知子】 「わっ。人の頭って……けっこうずっしり来るのね……」 【真知子】 「誰かの頭を乗せるのなんて初めてだから、ちょっとびっくりしちゃった」 ;SE:頭を両手で撫でる音 【真知子】 「ふふ……あったかい……」 【真知子】 「あっ、いきなりごめんね?」 【真知子】 「人の頭に触る機会なんて、なかなか無いからさ」 【真知子】 「君が嫌じゃ無ければ、もう少し触っていたいんだけど……」 【真知子】 「あっ、そうだ。耳かきもおまけするからさ、ね? ね?」 【真知子】 「うーん、名案!」 【真知子】 「綿棒は色々便利だから持ってるのよね」 【真知子】 「ほら、小分けタイプのやつ」 【真知子】 「人の前に出る仕事だから、もしもの時の為に備えるのは、とても大事なのよ」 【真知子】 「人の耳をかいた経験なんて無いけど、まあ、なんとかなるでしょう!」 【真知子】 「じゃあ、いくわね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「ちょっと暗めであんまりよく見えないわね……」 【真知子】 「少し慎重にやりましょうか」 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「よし、目が慣れてきたわ」 【真知子】 「薄暗い所でのパフォーマンスは、それなりに数をこなしてきたからね」 【真知子】 「今ならあなたの顔も、私にはじっくり見える」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「かわいい顔、してるのね」 【真知子】 「コンビニでもちゃんと見たけど、自分の膝に寝られると、母性がくすぐられるってやつなのかしら……なんだかキュンキュンしてきちゃうわ」 【真知子】 「じゃあ頭を撫でながら、もう少し奥をかいていきましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(20秒ほど息遣い)」 【真知子】 「ふふ。気持ちよさそうな顔してる……嬉しい」 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「そうね……そうだったわ……」 【真知子】 「(ゆっくりとした深呼吸)」 ;ボイス位置:3 普通の声 【真知子】 「私はね、人の喜ぶ顔が好きだったの」 【真知子】 「私のパフォーマンスを見てくれた人が喜んでくれて……」 【真知子】 「来た人みんなが笑うような世界を目指してきたの」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「ありがとう。君のおかげで思い出せたわ」 【真知子】 「君に対して、もっとお礼をしなくちゃいけなくなったわね……」 【真知子】 「まあ、まずは耳かきを最後まで終えてから……かな?」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「ふぅ……ちょっとお耳に失礼していいかしら?」 【真知子】 「(耳を吹く音)」 【真知子】 「耳垢を飛ばすために、ふーっとね」 ;ボイス位置:3 普通の声 【真知子】 「今使ってるのって普通の綿棒だから、耳垢を全部取れるわけじゃないのよ」 【真知子】 「耳に息を吹きかけられるのって、人によって好き嫌いが分かれそうだなと思ったんだけど」 【真知子】 「君の顔を見る限りは大丈夫そうね」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「私で良ければ、あとでいーっぱい耳をふーふーするわ」 【真知子】 「楽しみにしてくれると嬉しいけど……嫌だったら言ってね」 【真知子】 「じゃあ耳かきを続けるわ」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:3 普通の声 【真知子】 「恋人って膝枕して耳かきをするらしいわね」 【真知子】 「私も普通の人生を歩んでいたら、違う人を違う形で、膝の上に乗せて耳かきをしていたのかしら」 【真知子】 「過去に戻って別の人生を歩むつもりはないけれど……どうしても、"もしも"の人生を考えてしまうわね」 【真知子】 「例えば……君と違う形で出会って恋人になるとか」 【真知子】 「そうしたら明るい部屋で君に耳かきをしていたのかな」 【真知子】 「まあ、どうあがいても過去は変わらないのだけどね」 【真知子】 「さて……そろそろ耳の奥の方をかいていきましょう」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「どう? 気持ちいいかしら?」 【真知子】 「顔の方は満足そうにしてくれているけれど、不満な点があったら言ってね?」 【真知子】 「言ってくれなくちゃ自分の間違いには気づけないからね」 【真知子】 「直せるものは早い内に直しておくに限るってわけ」 【真知子】 「癖がついちゃうと本当に変えにくくなっちゃうのよ」 【真知子】 「だから気を付けないとね」 【真知子】 「まあ……また誰かの耳をかく機会が来るとは思えないけどさ」 【真知子】 「お互い、今この時を楽しみましょう」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「こんなところかしらね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック5:『耳かき、左耳、流れ星』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真知子】 「じゃあ、反対側もお掃除するとしましょう」 【真知子】 「遠慮なく寝返りを打ってくれて大丈夫よ」 【真知子】 「はい、ごろん」 ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:7 【真知子】 「しっとりしてるわね」 【真知子】 「そっか……膝枕すると、こんな風になるんだ……」 【真知子】 「蒸れてかゆくなったらすぐに言ってね? 我慢しちゃだめよ?」 【真知子】 「今は君に喜んでもらいたいからね」 【真知子】 「さて、こちら側も始めていくわ」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「どうかしら? さっきよりはこなれてきていると自負してるけど」 【真知子】 「それに、何もかも見えるようになってきたしね」 【真知子】 「自分の未来以外は! ウッ……」 【真知子】 「あはは。なんで自滅してるんだろ、私」 【真知子】 「まあ、自分の未来が見えるような人間なんて、普通いないと思うけどね」 【真知子】 「私たちの目は今しか見つめられないのよ」 【真知子】 「今は真夜中で、真っ暗」 【真知子】 「でも、ささやかだけど、私のような人間にも光が差すの」 【真知子】 「私は誰かの光になりたかったんだけどね」 【真知子】 「まだ、諦めたくないなぁ……」 【真知子】 「ふぅ……」 【真知子】 「あっ……流れ星」 【真知子】 「すごい……バシュンって流れ落ちていくんだね……」 【真知子】 「人生で初めて見たけど……あんな短時間で、願い事なんて三回も言えないよね」 【真知子】 「でも、なんかいい事がありそう」 【真知子】 「もしかしたら、君と出会えたから見えたのかもしれないね」 【真知子】 「もう落ちちゃったけど……せっかくだし願い事、言っておこうかな」 【真知子】 「うーん……君なら、なんて願い事にする?」 【真知子】 「こういう時に一番最初に思いついた事が、叶えたい夢なのかなって思うんだ」 【真知子】 「私はね……」 【真知子】 「あはは……やっぱり、まだ諦めきれてないなって思ったのよ」 【真知子】 「もっと、多くの人を喜ばせたいなって思ったの」 【真知子】 「今のお客さんは君だけだけどさ。ちゃんと満足させるからね」 【真知子】 「じゃあ、耳かきを再開するわ」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「しかしまあ……あなた結構耳垢溜まってるわね」 【真知子】 「もしかして忙しいの?」 【真知子】 「疲れすぎていると夜眠れなくなったりするって聞くし……」 【真知子】 「君さえ良かったら、毎週この時間に耳かきをしましょうか?」 【真知子】 「私は毎週このくらいの時間に、ここら辺をふらふらしているからさ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「君の気が向いたら、またお会いしましょう?」 【真知子】 「今度からは、もっと綿棒を持ってこないとね」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「さて、もう少し奥の方を掃除するわね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「ん……この辺りをこすると、より気持ちよさそうな顔になるわね」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「ここが好きなの?」 【真知子】 「じゃあ、君の好きな所を綿棒でぞりぞりしちゃうわね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「うふふ……」 【真知子】 「君の耳をかいていると、自分の心が落ち着いていくのが分かるわ」 【真知子】 「まだもう少しカリカリさせてね?」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「よし、こっちも耳垢が減ってきたわね」 【真知子】 「じゃあ、また失礼して……」 【真知子】 「(耳吹きの音)」 【真知子】 「ふふ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「メロンソーダの匂いした?」 【真知子】 「それとも……もっと別の匂いかな? なぁんて」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「さて、じゃあ仕上げの耳かきは少しゆっくり目にやりましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「はい、おしまい」 【真知子】 「満足してくれたかしら?」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック6:『耳吹き、左耳、歌姫のブレス』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真知子】 「ねえ、耳かきは終わっちゃったけど」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「もう少しだけお礼させてくれる?」 【真知子】 「さっきの君の反応を見て、君にぴったりなお礼の方法を思いついたの」 【真知子】 「あのね……目を閉じて、耳を澄まして聞いてくれる?」 【真知子】 「出来れば呼吸もちょっとだけ止めておいてくれる、かな?」 【真知子】 「(3秒ほどの間)」 【真知子】 「ふーーーーーーーーっ」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「あははっ。びっくりした?」 【真知子】 「さっき耳をふーってした時、気持ちよさそうにしてくれたからさ」 【真知子】 「今度は耳掃除じゃなくて、ただ耳をふーふーするのを楽しんでもらおうと思って」 【真知子】 「これでも肺活量には結構自信があってね」 【真知子】 「君にもすっごく喜んでもらえるんじゃないかなーって……思ってるんだけど」 【真知子】 「嫌じゃない、かな?」 【真知子】 「もし嫌だったら言ってね? 私の勘違いって可能性もあるから……」 【真知子】 「うん……それじゃあ、耳をふーふーしていくわね」 【真知子】 「ふーーーっ、ふーーーっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「最初は垢を飛ばす感じでふーふーしてみたけど」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「これは気持ちよくなるためだけのふーふーだから……」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「今度は弱めにふーふーしましょうか」 【真知子】 「ふー、ふー」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「弱めにやってみたけど……」 【真知子】 「君には刺激が足りなかったかしら?」 【真知子】 「じゃあ逆に、めちゃくちゃ強めにしてみるわ」 【真知子】 「ふーーーっ!! ふーーーっ!!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「あなたは強めにされるのが好きみたいね」 【真知子】 「じゃあこんなのはどうかしら?」 【真知子】 「ふーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」 【真知子】 「(一分ほど一息一息を長めに耳吹き)」 【真知子】 「どう? これが地下で歌い続けてきた歌姫のブレスってやつよ」 【真知子】 「ずっと息を吐き続けていられないと、歌の途中で声が出なくなっちゃうからね」 【真知子】 「あとあれね、アゴの強さもすごく大事なの」 【真知子】 「アゴもねー……疲れてくるに応じて段々、段っ々、開かなくなっていっちゃうのよねぇ……」 【真知子】 「アゴは大事よアゴは、うんうん」 【真知子】 「そういう意味では、ちっちゃいころにおばあちゃんちで芋けんぴとかおせんべいを食べてたから、無意識に鍛えられていたのかもね」 【真知子】 「肺活量は……子供の時にずっとワイワイ騒いでたから、かな?」 【真知子】 「女の子の友達の耳をふーふーし合ったりね」 【真知子】 「こんな感じにー」 【真知子】 「ふっふっふっふっふっふっふっ」 【真知子】 「くすぐったい?」 【真知子】 「こういうのも嫌いじゃなさそうね」 【真知子】 「じゃあ続けて吹いちゃいましょうか」 【真知子】 「ふっふっふっふっふっふっふっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふうっ! これは腹筋にくるわねー」 【真知子】 「トレーニングにやるのも良いかもしれないわね」 【真知子】 「そういえば昔見た番組で、大物芸能人がヨガか何かでこんな呼吸をしていたわね……」 【真知子】 「その人は腹筋というより、お腹をべこーんって凹ませてたから、求めてる身体つきとは違うのかもしれないけど」 【真知子】 「まあ、途中で維持すれば大丈夫よね」 【真知子】 「次はさっきのパターンで強めにやってみましょうか」 【真知子】 「ふっ! ふっ! ふっ! ふっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「思っている以上に気合が必要なふーふーね……」 【真知子】 「ふう……君も反対側の耳が蒸れてきたでしょうし、くるんってしてからちょっと休憩しましょうか」 【真知子】 「はい、くるーん」 ;SE:頭を動かす音 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック7:『耳吹き、右耳、クレッシェンド』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真知子】 「蒸れた後に浴びる風って気持ちいいわよね〜」 【真知子】 「まあそんなに蒸れる機会ってないけどね」 【真知子】 「私が最後に顔が蒸れたのは……」 【真知子】 「学生時代に授業中に寝ちゃった時かしら……?」 【真知子】 「プールの後とか、ついつい寝ちゃうわよねぇ……」 【真知子】 「クラスのみんなが、プールの後の古文の授業で、ウトウトしていたのを思い出すわぁ……」 【真知子】 「みんな、今何やってるんだろうなぁ」 【真知子】 「君は、今も連絡取ってる友達とか……いる?」 【真知子】 「いやごめん、やっぱ答えなくて大丈夫。いてもいなくても私は確定でダメージを受けちゃうから……」 【真知子】 「私はさ……一応大人になってからも連絡取ってた友達がいたんだけど、彼女が結婚してから疎遠になっちゃったなぁ……」 【真知子】 「みんなどんどん結婚していくのよねぇ」 【真知子】 「地下アイドルとして一緒に頑張ってきた子とか、ファンの人も……一人、一人」 【真知子】 「あとは知らないだけで、学校の同級生だった子とかもたぶん結婚しているんだろうなぁなんて思うのよ」 【真知子】 「まあ、みんなそれぞれの人生を頑張ってるわよね……」 【真知子】 「さて、そろそろこちら側もふーふーしていきましょうか」 【真知子】 「どんな感じがいい?」 【真知子】 「特に思いつかなさそうなら……そうね」 【真知子】 「全体を通してだんだん強くしていきましょうか」 【真知子】 「まずは弱めに……」 【真知子】 「ふーーー、ふーーー」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「今度はくすぐるようにやってみちゃいましょう」 【真知子】 「ふーーー、ふふふふふふ、ふーーーー」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「耳垢を軽めに飛ばすくらいにやってみるわね」 【真知子】 「ふーーーっ、ふーーーっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「する側としてはこれが一番落ち着くわね、無理も手加減もしない範囲って感じで」 【真知子】 「される側としてはどうかしら?」 【真知子】 「ここからどんどん強めていくからね」 【真知子】 「ふーーーっ! ふーーーっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「今まで使ってこなかった筋肉を使ってる感じがするわ……おかしいわね、最も肺を使う仕事だと思うんだけど……」 【真知子】 「私もまだまだってわけね……頑張らなきゃ」 【真知子】 「あなたもまだ付き合ってくれる?」 【真知子】 「じゃあ、いくわよ。すぅぅぅぅぅっ」 【真知子】 「ふぅぅぅぅぅっ! ふぅぅぅぅぅっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「最後は長めにー……強く!」 【真知子】 「ふうううううううううううっ! ふうううううううううううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふううううううううううっ! ……っはぁ!」 【真知子】 「ふぅ……ふぅ……肺どころか体中の空気を吐き出した気分だわ」 【真知子】 「もし次があるなら……そうね、もっと肺を鍛えておかなくちゃ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック8:『マッサージ、両耳、オイル』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真知子】 「あのさ、自分で思ってた以上に、君のこと気に入っちゃったみたい……」 【真知子】 「だから、私の大好きなマッサージを君にしたいと思うんだけど……いいかな?」 【真知子】 「……ふふ。ありがと。じゃあ、身体を起こすね」 ;SE:体を起こす音 ;ボイス位置:7 【真知子】 「クラってしてない? 大丈夫?」 【真知子】 「ん……大丈夫そうね」 【真知子】 「これから、オイルを使って耳をマッサージしていこうと思うんだけど……抵抗ない?」 ;SE:ポーチからオイルを出して振る音 【真知子】 「これなんだけど……成分とかでダメそうだったら言ってね」 【真知子】 「大丈夫そう、かな?」 【真知子】 「それじゃあ……はじめよっか、向こう向いてくれる?」 ;SE:オイルを手に馴染ませながら ;ボイス位置:5 【真知子】 「顔を合わせながらでも出来ないわけじゃないけど……さすがに目と目があったままマッサージするのは、ちょっと恥ずかしいからね……」 【真知子】 「よし……じゃあいくね」 ;SE:耳にぴたっと手が当たる音 【真知子】 「ふふ。君の耳って温かいね。さっきまでふーふーしてたのに……不思議」 ;SE:手のひらで耳にオイルを馴染ませていく音 【真知子】 「慣れさせるためにも、マッサージも浅めな所から始めていくね」 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「どうかな、かゆくなったりしてない?」 ;ボイス位置:3 耳を後ろからのぞき込むように 【真知子】 「んーーー……」 ;ボイス位置:7 同上 【真知子】 「うん! 大丈夫そうね」 【真知子】 「じゃあ、今度はちょっとだけお耳に指を入れていくわ」 ;ボイス位置:5 【真知子】 「痛かったら言ってね?」 ;SE:指が耳に入ってくる音(浅め) 【真知子】 「いけそう?」 【真知子】 「このまま動かしてみるね」 ;SE:耳の中で指を動かしていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「あー……やっぱり正面からにしておけば良かったわね……」 【真知子】 「君の気持ちよさそうな顔が好きだし、反応を見ながらじゃないとちゃんと出来てるか分かりづらいわ……」 【真知子】 「一応、身体がくねってなったりすると、あっ気持ちいいのかな? とか、くすぐったかったのかな? って思うんだけどね」 【真知子】 「痛かったり不快感があったら、手を上げてくれればすぐに止めるからね」 【真知子】 「じゃあ、続けるわよ」 ;SE:耳の中で指を動かしていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「お耳が柔らかくなってきたね」 【真知子】 「じゃあ……もうちょっと奥に入れても大丈夫かしら?」 【真知子】 「ここからが本番よ……すっごく気持ちよくなれちゃうんだから」 【真知子】 「よし……いくわね」 ;SE:耳の奥側に指が入っていく音 【真知子】 「まずは耳の奥にも広がるように動かしていくわ」 ;SE:耳の中で指を回すように動かしていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「今度は耳に揉みこんで……」 ;SE:耳の中にオイルを揉みこんでいく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「ふぅ……」 【真知子】 「いつもだったら、マッサージはここで終わりなんだけど……」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「もっと奥、試してみる?」 【真知子】 「じゃあ……やってみよっか」 ;SE:さらに奥まで指が入ってくる音 【真知子】 「んっ……ここが限界みたい」 【真知子】 「最後はゆっくりとマッサージしていくわね」 ;SE:ゆっくりと耳の奥をマッサージする音 【真知子】 「(二分ほど息遣い)」 ;SE:耳からゆっくりと指を抜いていく音 ;ボイス位置:5 指を抜き終わってから 【真知子】 「よっし。マッサージはこれでおしまい」 【真知子】 「いつまでもやっていたいけどね、やりすぎは耳によくないから」 【真知子】 「じゃあ、浅い所のオイルは拭いていくわね」 ;SE:ハンカチで右耳を拭いていく音 【真知子】 「オイルを耳から垂らしながらだと眠りづらいでしょう?」 【真知子】 「程よいくらいでとどめておくのが良いのよね」 ;SE:ハンカチで左耳を拭いていく音 【真知子】 「(右耳を拭いた際と同じくらいの時間、息遣い)」 【真知子】 「はい、お疲れ様」 【真知子】 「君のお耳って、温かくて私のより大きいのね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック9:『歯磨き、白い歯、ムーンライト』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【真知子】 「ふわぁ……そろそろ眠らないと……」 【真知子】 「寝る前には歯を磨かないといけないわねぇ……」 【真知子】 「よーし、君の歯も私が磨いちゃいましょう」 【真知子】 「ちょっと待っててね、お水汲んでくるから……」 ;SE:真知子が立ち上がり、歩いて離れていく音 ;SE:戻ってくる音 【真知子】 「歯ブラシもちゃんとスペアを用意してるのよ」 【真知子】 「人生何が起こるか分からないからね」 【真知子】 「よいしょ……」 ;SE:真知子が椅子に座る音 【真知子】 「膝枕しながら歯磨きにしましょ」 【真知子】 「私の膝においで」 ;SE:真知子の膝に仰向けで頭を置く音 ;ボイス位置:1 【真知子】 「君……綺麗な目、してるね」 【真知子】 「思わず見入っちゃいそう」 【真知子】 「ふぅむ…………」 【真知子】 「あっ、ちゃんと歯を磨かないとね」 【真知子】 「お口をいーってして」 【真知子】 「君の歯も綺麗にしていくからね」 ;SE:前歯上下を磨いていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「君の歯、すっごく白いね」 【真知子】 「月明かりみたいに真っ白」 【真知子】 「このまま磨いて、もっとキレイになったらどうなっちゃうんだろう……」 【真知子】 「笑って歯をにかーってしたら、眩しくて顔が直視できなくなったりするかも……?」 【真知子】 「ね、ちょっと試しに、爽やかな笑顔してみてくれる?」 【真知子】 「……うおっ! 眩しっ!!」 【真知子】 「どうしましょう……私はとんでもない原石を見つけてしまったのでは……?」 【真知子】 「実は同業者でしたーとか、そんなオチは無いわよね?」 【真知子】 「いや……見なかったことにしましょう。あ、戻して大丈夫よ」 【真知子】 「うん! そのままの君でいてね!」 ;ボイス位置:1 小声で 【真知子】 「あっぶなー……ライバルが増える所だったわ……」 【真知子】 「さーてーと、他の場所も磨いていきましょう」 ;SE:歯を磨く音(右前歯、左前歯) 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「前歯はこのくらいで良いかしら?」 【真知子】 「じゃあお口開けてくれる? あーーー、って」 【真知子】 「あっ、さっき君が食べてたやつが残ってるね」 ;SE:軽めに右奥歯を磨く音 【真知子】 「うん、簡単に取れた」 【真知子】 「じゃあこんな感じで、どんどん歯についた汚れを取っていくわね」 ;SE:左右の奥歯を磨いていく音 【真知子】 「(二分ほど息遣い)」 【真知子】 「よし、綺麗に磨けたわね」 【真知子】 「さて……問題は歯の裏側だけど……」 【真知子】 「悪いけどちょっと近づいて磨いていくわね」 ;SE:体勢を変える音 【真知子】 「暗いし、息の当たる距離じゃないとよく見えないのよ」 【真知子】 「早めに終わらせるから我慢してね」 ;SE:左右の奥歯の裏側を磨いていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「これで大丈夫そうね」 【真知子】 「最後は仕上げに……前歯の裏側を……」 ;SE:前歯の裏側を磨いていく音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「これで……終わりっ!」 【真知子】 「はい、これコップね」 【真知子】 「口をリフレッシュしたら、椅子に座りながらゆっくりお話しようね」 【真知子】 「さて、私も歯を磨かないとなー」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック10:『ベンチ、睡眠、ハミング』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【真知子】 「あ、戻ってきた?」 【真知子】 「ほら、こっち座って座って」 ;SE:ベンチに腰掛ける音 ;ボイス位置:7 【真知子】 「はー、月が綺麗ねぇ」 【真知子】 「……あ、好きって意味じゃないわよ? 念のため」 【真知子】 「まったく……不便よねぇ。月が綺麗って感想くらい、素直に言わせてほしいものだわ」 【真知子】 「そういえば、星が綺麗って言葉も、違う意味を持ったりしているらしいわね」 【真知子】 「調べた時はサイトによって意味が違ったから、もう全然覚えてないけど」 【真知子】 「まあ私の言う言葉は、額面通りに受け取ってくれると助かるわ」 【真知子】 「そういえば……さっきの願い事の中身、君に伝えてなかったわね」 【真知子】 「なんか、改めて言うとちょっと恥ずかしいけど……」 【真知子】 「聞いてくれる?」 【真知子】 「あのね……私は……」 【真知子】 「『光り輝く星になりたい』」 【真知子】 「あのさ……君さえよかったら……」 【真知子】 「私の手伝いをしてくれないかな」 【真知子】 「君と会えたから、昔の気持ちを思い出せたし、流れ星も見れた」 【真知子】 「今日で何かが変わる気がするのよ」 【真知子】 「君が、一緒なら」 【真知子】 「だから、私のマネージャーになってほしいの」 【真知子】 「今の私は半分フリーランスみたいなものでね。マネジメントも自分でやってるのよ」 【真知子】 「君は今よりも大変になるかもしれないし、未来は真夜中よりも真っ暗かもしれない」 【真知子】 「でも、君がついてきてくれるなら、私、ずっと輝き続けるって約束するわ」 【真知子】 「まあ、実力が分からなかったら背中も預けられないわよね」 【真知子】 「よかったら今度、私の出るライブに来てよ。招待するから」 【真知子】 「連絡先も交換しましょ? はい、これを読み込んで」 【真知子】 「ふふ。久しぶりに友達が追加されたわ」 【真知子】 「これから友達としてよろしくね」 【真知子】 「ん、これから毎日スタンプ送っちゃお」 ;ボイス位置:7 早口で 【真知子】 「ああっ、ごめんなさい冗談ですブロックしないで!」 【真知子】 「ここしばらくは、仕事の連絡でしか使ってなかったからね? 友達が出来るのは久しぶりなのよ」 【真知子】 「君さえ良ければ、これからも絡んでくれると嬉しいわ」 【真知子】 「さて、と。あとは……朝日が昇るまでゆっくりしましょうか」 【真知子】 「眠くなったらいつでも寝て良いし、私も眠くなったらすぐに寝ちゃうから」 【真知子】 「まあ、そういう感じで……」 ;SE:肩に寄りかかってくる音 【真知子】 「肩にガツンガツンって頭をぶつけあうよりは、最初から一緒に肩をくっつけながら過ごす方が、効率的だと思わない?」 【真知子】 「ね? こういうのも悪くないでしょ?」 【真知子】 「私はすごく落ち着くわ……」 【真知子】 「ふんふんふんふふーん、ふんふんふーふふー」 【真知子】 「あ、ハミングしても大丈夫?」 【真知子】 「まあその内眠りこけると思うから、まどろみながら聞いてくれると嬉しいわ」 【真知子】 「ふんふふー、ふんふふー、ふんふふふー」 【真知子】 「(三分ほどハミング)」 【真知子】 「ふわぁ……そろそろ眠っちゃうかも……」 【真知子】 「先に言っておくわ……おやすみ。これからよろしくね」 【真知子】 「(三分ほどハミング)」 【真知子】 「(だんだんハミングを寝息に)」 【真知子】 「(一分ほど寝息)」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック11:『おまけ。後日談、耳かき、左耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【真知子】 「ふぅ……今日もお疲れ様」 【真知子】 「君が私のマネージャーになってくれて助かったわ」 【真知子】 「二人三脚で走り始めて……本当に人生が変わるなんてね」 【真知子】 「いやぁ……あの時は、未来がこんな風になるなんて思ってなかった」 【真知子】 「もう、ほぼほぼ燃え尽きかけていたからさ」 【真知子】 「人生って、本当にどうなるか分からないものね」 【真知子】 「たった一夜の出会いで、ここまで変わってしまうんですもの」 【真知子】 「そりゃあ、この世の人々が運命とか奇跡とか言ったりするのが良く分かるわ」 【真知子】 「シンデレラコンプレックスにはすがらないようにしてたけど、まるでシンデレラよね」 【真知子】 「そうすると君は……魔法使い、なのかな」 【真知子】 「私にとっては、王子様と言っちゃってもいいけど」 【真知子】 「ガラスの靴をもう一度履くのは、まだ先にした方が良いよね」 【真知子】 「さて、魔法使いさん」 【真知子】 「久しぶりに"お礼"をさせてくれるかしら?」 【真知子】 「よい、しょ」 ;SE:座布団に座る音 【真知子】 「はい、どうぞ」 ;SE:頭を乗せる音 ;ボイス位置:7 【真知子】 「君の横顔、なんだか変わったわね」 【真知子】 「前よりカッコよくなった、かな?」 ;ボイス位置:7 小声 【真知子】 「他の子に引き抜かれないように気をつけなくちゃ……」 ;ボイス位置:7 通常 【真知子】 「お互いにもっともっと頑張れるように、癒しの時間は大事よね」 【真知子】 「じゃ、耳かきを始めるわ」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「あの真夜中が懐かしいわね」 【真知子】 「まだそんなに経ってないのに、遠い昔のように思えるわ」 【真知子】 「あれから本当に忙しい日々が始まったものね」 【真知子】 「事務所の社長の説得から、新しい企画の発案、各イベントの取り仕切り……そこから新しいチャンスに繋がっていって……」 【真知子】 「燃え尽きちゃうんじゃないかってくらい燃え続けた」 【真知子】 「まあ、私のパフォーマンスでお客さんが喜んでくれる顔をみるだけで、もっともっと燃えていけるんだけどね」 【真知子】 「今度は何をしましょうか、君となら何でも出来る気がするわ」 【真知子】 「おっと……次だけじゃなくて、今も一つ一つ大事にしないとね」 【真知子】 「話し込んじゃったお詫びに、君の好きな所を重点的にぞりぞりするわね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「ふふ……。アイドルとしては言っちゃいけないかもしれないけど」 【真知子】 「私、君の喜ぶ顔が一番好きよ」 【真知子】 「君が喜ぶ為に頑張るのは、耳かきの時だけだけどね」 【真知子】 「ちゃんと公私は分けるわ」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「今は……プライベートだから」 【真知子】 「君も、私に沢山気持ちよさそうな顔を見せてくれると嬉しいな」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「もう少し奥の方をかいていきましょうか」 【真知子】 「いくわね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「さて……ちょっと耳垢を飛ばしましょう」 【真知子】 「ふううううううっ、ふううううううっ」 【真知子】 「うんうん、いい感じね」 【真知子】 「ん……んー?」 【真知子】 「耳の中で固まっちゃってる耳垢があるみたいね」 【真知子】 「ちょおっと強めに耳かきしてみましょうか」 【真知子】 「痛かったら言ってね」 ;SE:耳かきの音 強め 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「んっ、んんっ、んんんっ!」 【真知子】 「よーしっ! 取れたわ!」 【真知子】 「ふぅ……達成感があるわね……」 【真知子】 「でも、固まっちゃうくらい耳垢を放置するのは良くないわ」 【真知子】 「まあ、耳かきが出来なくなるくらい忙しくさせちゃったのは私なんだけどね」 【真知子】 「これからはちょくちょく君の耳かきをしていくから、スケジュールに書いておいてね」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「私は、毎日でも良いわよ」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「じゃ、仕上げにもうひとかきしておきましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「はい、こっちはオッケーね」 【真知子】 「じゃ、反対側もやっていくわよー」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック12:『おまけ。後日談、耳かき、右耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:3 【真知子】 「ごろん……ってね」 【真知子】 「よーし。早速こっち側も耳かきしていきましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「んっ、さっきよりもかきやすい感じがするわね」 【真知子】 「お耳をカリカリ〜」 【真知子】 「うん、やっぱりそうね……耳垢が柔らかくなってるわ」 【真知子】 「さっきよりは少し弱めにやった方が良さそうね」 【真知子】 「じゃ、続けるわ」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「もうちょっと奥まで伸ばしていきましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「そうね……新しいやり方、試してみる?」 【真知子】 「こうやって……円を描くように……くるくる〜」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「ふふ。気に入ってくれたかしら?」 【真知子】 「今度からやる時は、ちょくちょく回してみるわね」 【真知子】 「じゃ……こちら側も……すぅぅ……」 【真知子】 「ふーーっ! ふっふっ!」 【真知子】 「うん、順調に……あれ残ってる……」 【真知子】 「あー、そっかそういうわけね」 【真知子】 「耳が蒸れてかきやすくなった分、息で飛びにくくなったみたい」 【真知子】 「じゃあ、綿棒でもうちょっと取りましょうか」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「よしよし……耳の中がすっごく綺麗になったわね」 【真知子】 「でも、あなたもまだ満足していないわよね?」 ;ボイス位置:3 囁き 【真知子】 「だから、気持ちよくなるためだけの耳かき、しましょ?」 【真知子】 「ゆっくりと、カリカリぞりぞりしましょうね」 ;SE:耳かきの音 【真知子】 「(一分ほど息遣い)」 【真知子】 「はい、今日の耳かきはこれでおしまい」 【真知子】 「これからは、やってほしい時にスケジュールに書き込んでね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック13:『おまけ。後日談、耳吹き、右耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【真知子】 「さて、久しぶりに肺活量を鍛えるトレーニングもしましょうか」 【真知子】 「ふふ……覚えてる?」 【真知子】 「こ・た・え・は〜」 【真知子】 「ふうううううううううううううううっ!」 【真知子】 「お耳のふーふーでした」 【真知子】 「君がマネージャーになってから結局真面目なトレーニングに打ち込んでいたからね」 【真知子】 「でも、あれよ。前までの私とは肺活量のインナーマッスルも違うわ」 【真知子】 「それでは……いざ」 【真知子】 「ふううううううっ、ふううううううううっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふっふっ! ふっふっ! ふううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふうううううううううっ! ふううううううううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「まだまだいくわよ!」 【真知子】 「ふううううううっ、ふっふっ! ふうううううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ラストスパート!」 【真知子】 「ふうううううううううううううううううっ!!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふうっ……ふぅ……」 【真知子】 「一気にやってみたけど、どうかしら? 結構成長したでしょ?」 【真知子】 「でもあれね、さすがに疲れたわ……」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック14:『おまけ。後日談、耳吹き、左耳』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:7 【真知子】 「よいしょっと」 【真知子】 「こっち側はまったりやりましょうか」 【真知子】 「い、いや……別に私としてはー、まだまだやれるわよ?」 【真知子】 「でも君もゆっくりしたいかなーって思って、ね?」 【真知子】 「と、歳とかじゃないから、本当よ?」 【真知子】 「ほらほら、次に取り掛かるわよ」 【真知子】 「ふーーーっ、ふーーーっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふぅ。のほほんと耳をふーふーする時間も悪くないわね」 【真知子】 「君はどうかしら?」 【真知子】 「まあ、しばらくはまったりとなんて出来ないけど」 【真知子】 「いつかはもっと上に行って、二人で優雅に食事でもしたいわね」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「またあの公園で、メロンソーダを片手に、ね?」 ;ボイス位置:7 普通の声 【真知子】 「それじゃ、またふーふーしましょうか」 【真知子】 「ふうううううっ、ふううううっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「君って本当に耳をふーふーされるのが好きよね」 【真知子】 「私は君の耳をふーふーするのが好きだから、ウィンウィンってやつね、なんて」 【真知子】 「じゃあ、ちょっと強めにしていきましょう」 【真知子】 「ふううううううっ! ふうううううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「やっぱり君は強めの方が好きなのね」 【真知子】 「さっきは連続して吹くのに夢中で、反応を全然見れなかったからすごく損した気分だわ……」 【真知子】 「特訓でも反応を見れるくらいにならなきゃ」 【真知子】 「私もまだまだ伸びしろがあるってわけね!」 【真知子】 「さ、続けましょうか」 【真知子】 「ふううううううううううううううううううっ!」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「ふぅ……そろそろ最後にして一緒に帰りましょう」 【真知子】 「最後はー……そうね、スタンダードにやっていくわ」 【真知子】 「ふーーーっ、ふーーーっ」 【真知子】 「(一分ほど耳吹き)」 【真知子】 「はい、お疲れ様」 【真知子】 「どうだったかしら、ご満足いただけた?」 【真知子】 「君が私の隣にいてくれる限りは、ずっと耳かきもふーふーもするわ」 【真知子】 「だから……」 ;ボイス位置:7 囁き 【真知子】 「ずっと、私の専属でいてね? マネージャーさん」