そうだよ。今日は全部あたしの奢り!  好きな物、何でも食べていいからさ。  うんうん。ごめん。あたしが悪かった。  まだあっついよね。ほら、鼻かみな。  謝んなくていいから。ほら、好きなだけ泣きな。  んっ。んー。  そうだ久我ちゃん。なーちゃん、今日は学校来てたんでしょ?  こんな時に申し訳ないけど、どんな感じだったか聞いてもいいかな。  いやいやいや。久我ちゃんはなーんにも悪くないから。  ていうか、あたしも今のあの子の事、ぜーんぜんわかんないから。  ん?  そう。そうなのよ。昨日、バイトは来てたのさ。  だから、当然学校も行ってると思うじゃない?  だからあんたらの話聞いて、あたしも驚いてるっつーか。  あたしも久我ちゃんと同じでさぁ。昨日は全然話せなかったんだ。  帰りも、いつも通り送ったけど。  なーちゃん、あたしの前だとめっちゃ普通だから……。  土曜の事も、聞く隙もなかったというか……。  そうだよ!  仮に。仮にだよ? これが『他に好きな奴ができた』とかだったら。  なーちゃんならそう言うと思うんだ?  でも『やっぱ違う』なんて、随分ボヤっとした振り方してるし。  やっぱりこれってさぁ……。    ん?  えっと。お知り合い?  あの、恐れ入ります。  私達、実は全員七緒さんの友人なんです。  でも、お母様の手術の件は初耳で。  よかったらその時の事、詳しく教えていただけませんか。  いえ……とんでもないです。教えていただけて、本当にありがたいです。  はい! ありがとうございました!  ……ねぇ。  おっす。ただいま送迎任務完了しました。間に合ってよかったぁ。  うん。久我ちゃんナビうまいからすぐ着いたわ。  噂には聞いてたけど、あの子ん家すごいね!  豪邸でビビったし。  後。あんたによろしくってさ。  『ずっとメッセ待ってる』って。  で。話を総合するとさぁ。  なーちゃんのお母さんは先月から体調崩してて。  あんたが泊まりに行った日には、もう検査入院してた。  だけどなーちゃんはあたしとか久我ちゃんを心配させたくなくて『秘密にしてほしい』って頼んだ。  だから、あんただけがこの事を知ってた。  ここまではあってる?  そか。けどなーちゃんは、あんたにも手術の事は秘密にしてて……。  月曜、立ち会いの為に学校休んだ。  そしたら、病院でさっきのおばあちゃんに会って。  それから何食わぬ顔で、バイトに来た。  って事だよね。  ははは。あの子ってほんと秘密主義っつーか、甘え下手だよね。  そんなん、言ってくれりゃいくらでも助けたのにさ。  まぁ、なーちゃんらしいけどね。  よし、じゃあ、ここまではわかった。  そしたら、最後に一つ確認。  あんたってさぁ。なーちゃんの事ほんとに好き?  いや、好きな事は知ってんだ。  でも、あんたいい子じゃん。  困ってる人見たら助けちゃうし。  『頼む』って言われたら『いいよ』って言っちゃうでしょ。  あのおばあちゃんともさ。それで知り合ったし。  あたしのお願いも引き受けちゃった。  あたしはあんたのそういうとこ、いいなーって思うし。  なーちゃんも久我ちゃんも。そういうあんたが好きで……あんたと居るんだと思う。  ……でもね。  いつも誰かの為に生きる事はないんだよ。  あんたはなーちゃんの家族でも恋人でもない。  あの子ん家が大変だってわかったからって。  自分から離れてったあの子を、追っかける義理はないんだよ。  だから、もしあんたが……。  おっと時間切れだ。  じゃあ、今の話の答えは、なーちゃんと話しながら考えて。  ……来たよ。  そいじゃあたしは、一階のコーヒー屋に居るから。  どうぞごゆっくり。  ごめん。なーちゃん。勝手な事ばっかして。  でも、聞いてくれるかな。  遊園地の件は、全部あたしが悪いんだ。  もし何か誤解してるなら、それはあの子じゃなくて、あたしのせいなんだよ。  だから……なーちゃんが今でもあの子の事、友達としてでも大事なら。  お願い。話ししてあげて、くれないかな。  ありがと。じゃあ、また後で。   うお! マジじゃん!  おーい! 二人ともこっちー!