;//////// ;Track0 タイトルコールとこの音源の楽しみ方 ;//////// ;ナレーション(タイトルコール) ///;環境音 川のせせらぎの音 + 蝉の声 ;9 「あやかし郷愁譚(きょうしゅうたん)。 コロポックル パロポロ 〜初夏〜」 「へへっ、また会えたね! コロポックルのパロポロだよ。 この音源を聞いてもらえて、なまらうれしいべさ。ありがとーね」 「今聞いてもらってるコレ。この音源の、トラックゼロ。 一番最初のトラックは、『この音源の聞き方』の解説さ。 したっけ、『もうわかってるよー』って人には、飛ばしてもらっても大丈夫なんだけど……」 「ん……(呼吸音)……」 「へへっ! 飛ばさないでいてくれると思った! やっぱりお客さん、 ピリカ・オッカイ――いい人間だね!!」 「したっけパロポロも張り切って解説するね! まずね、この音源は、バイノーラルの耳かき・安眠音声。 バイノーラルっていうのは、立体音響っていう意味さ」 「いま、ヘッドホンかイヤホンでパロポロの声聞いてくれてる? もしスピーカーで聞いてるなら、ヘッドホンかイヤホン、つけてくれると嬉しいな」 「……(呼吸音)……どう、オッケー? オッケー! ならね、立体、いっくよー」 ;3 「み・ぎ・み・み」 ;5 「でもってうしろにまわりこんで〜」 ;3 「もっかい右耳! えへへへっ、フェイント」 ;7 *(ふーっ)から接近ささやき 「でもって――(ふーっ) ひだりみみ」 ;9 「えっへへー、驚いたでしょや? すごいべさ! これが立体音響――まるでその場にいるみたいに、 声と音とが奏でだす物語を楽しむための仕組みだよ」 ;1 「うん。そうだよ! 物語。 これからオッカイとパロポロは、ポン・ポン・ユカラ―― 小さな小さな物語の世界にはいりこんでく」 「物語の舞台は茂伸(ものべの)。 四国の山の深くに佇んでいる、 人間とあやかしとが、お互いを尊重しあいながら共存している、隠れ里」 「季節は……(沈黙)……さっきから、聞こえてるでしょ? 蝉の声――ニイニイゼミが、ジーーージーーーって」 「したっけ、7月。初夏のお話。 コロポックルは暑さにとっても弱いから、 正直、かなりしんどい季節さ」 「けど、ちゃあんと涼しく過ごせる工夫はしてあるし。 それにさ――へへへっ、オッカイと一緒に過ごす夏なら、 暑くったって、きっととっても気持ちいいべさ!」 「あっと、そろそろ時間だね。 パロポロ、先に戻って支度してまってっからさ。 絶対絶対遊びにきてね!」 「したっけ、えへへへっ! またあとで!」 ;環境音FO ;//////// ;Track1:いやしどころひやしや(イントロダクション) ;//////// :環境音 FI 川のせせらぎ :SE 鳥の声 :SE 砂利道を歩く足音、男一人 ;SE 足音止まる ;SE 木のドアノッカーを鳴らす ;SE ドアの向こう。小さな足音、駆け足で近づいてくる。 ;9 (ドア越し、低いとこ) 「その足音! オッカイ! ピリカオッカイだよね!? まってて、開ける! すぐに開けるさ」 ;SE ドア開け ;9 (低いとこ) 「よかった! また来てくれるの、ずっと待ってた。 久しぶりだね〜、えへへへへっ」 「あ、オッカイちょべっと痩せた? ね? だっこしてお顔見せて」 ;SE しゃがむ ;SE 立ち上がる ;1 (同じ高さ) 「えへへっ、すごーい! 高い高い! きもちいー!」 ;1 マイクと横向きになって 「ふわぁ…… オッカイ、いっつもこんな遠くが見えてるんだね〜。」 じゃなくてじゃなくて――お顔! 見せて?」 ;1通常 「ん……(マイクに小指の先かなにかでかるぅく触れる)……オッカイ、やっぱり少し痩せた――よね?」 「大変だったの? 忙しかった? 顔、少し疲れてるみたい――ああっ!」 「っていうか、それでだ。 それでオッカイ、パロポロのところ―― “ひやしどころ いやしや”に来てくれたんだべさ」 「……うん……うん……(呼吸音)……うん」 「……そりゃあ疲れて当然でないかい。 オッカイも、いろいろたいへんなんだねぇ」 「したらさ、ちょうど―― えへへっ、ちょうど、オッカイに抱っこもしてもらってるしさ?」 ;1から3方向に顔寄せてささやき 「今日は、前とは少しちがった、いやしとひやしで骨休めしてみないかい?」 ;1 「えへへっ、あのね? ここから、人間の足でなら少し歩いたところにね? パロポロの、ひみつの場所があるの」 「……そこでなら、いまのオッカイにぴったりのひやしといやしを、パロポロ、きっと届けてあげられる気がするんだけど……(呼吸音)」 「わ! いいのっ!? オッケー!? えへへっ! やったー! うれしいべさー!」 「したっけ、ここままつれてって? えへへ――だっこのままで…… パロポロ、案内するからさ!」 「いい? いいの? やったー! なら、いこ? すぐいこ!」 「まずは、バス駅。 大土地(おおとち)の駅をめざすべさ」 ;SE 足音(アスファルト) 「えへへ〜 高いね〜 気持ちいいね〜 空気がさ、この高さだと、いつもよりだいぶんひやっこいねー」 「ん? なにが『なるほど』なの? うん……うん……うん――あ、そー! 硬い地面! アスファルト!」 ;1 下を向いて 「アスファルト、暑い日にはものすごーく暑くなるしょ。 あれ、パロポロみたいなコロポックルには厳しいのさー」 ;1通常 「したっけ、遠回りでも土のあるとこ選んでいかねば、 おおげさでなくて、干からびて死んじゃうの。 だけど――えへへ〜」 「オッカイがだっこしてくれるから、 今日はアスファルトの上もへっちゃらだべさ。 らくちんらくちん、きもちいー」 「あ、もう、バス駅? すごーい、はやーい! えへへへ、オッカイのだっこは、特急だねぇ。 エル特急・スーパーオッカイ1号だべさ」 「したっけ、このまま北に向かって? そこの親水公園抜けて、北側の水辺まで」 ;SE 足音(土・草) 「え? ――(呼吸音)―― へへへっ、そりゃ特急くらい知ってるべさ。 汽車さ、コロポックルだって乗せてもらうもの」 「コロポックル、この大きさでしょお。 人間の乗り物にこっそり乗せてもらわねば、 遠くまでなんてでかけられないしょ」 「……北海道にいた頃にはね? パロポロ、アショロって土地の、ラワンブキの森にすんでたの」 「え? ああ、ラワンブキはね、おーっきな蕗(ふき)。 あのね、なまらおっきくてね、オッカイの背丈よりももっとおっきくなるんだよー」 「そうだよー? パロポロの、コロポックルの背丈じゃなくて、オッカイの、人間の背丈よりもっとおっきく。 二メートルとか、そんくらいにまで育つのさー」 「なのにね? とっても柔らかでおいしいからさ、ラワンブキの森――たんぼから出荷されてくの。 そのトラックに、遠出のときはパロポロこっそり乗っかるのさー」 「アショロにも汽車の駅――アショロ駅が十年くらいまえまではあってね。 そっから汽車にもぐりこんで、北見までいったもんさ」 「したっけ、北見から特急にのればさ―― 網走にだって札駅(さつえき)にだっていけるしょ」 「ん? なにしにって―― そりゃ、コロポックルのいとこにあいにいくのさ。 パロポロ世代のコロポックルも、まだちょべちょべとは、道内のあちこちにいるからさー」 「十年とかそこらに一回くらいね? クンネレカムイ――ふくろうが招待状をもって飛んでくるの」 「生誕200年――大人になったお祝いの招待状とか、 最近はもうすっかりないけど、イオマンテ―― カムイを送り返すお祭りがあるとかさ、そういうときに」 「なまら遠くてもさ、およばれされて出かけないのは失礼だからねー。 人間の乗り物にのせてもらって、えっちらおっちら、大冒険さー」 「もちろん、おっきなオンネイ――オジロワシとかを送ってもらえたときには、その背中にのってびゅーんって――あ!」 「あれあれ! ギッタンバッコンいうの。 あれいいよねー、面白そー」 「ん? 『シーソー」へぇえ、そんな名前なんだ。 沖縄のあやかしみたいな名前なんだねぇ」 「そのシーソーさ。 パロポロ、してみたくって、がんばってがんばってよじのぼってみたの。 茂伸にこしてきてすぐのころに」 「がんばってがんばって、あせだくになってよじのぼって―― したっけ、パロポロ軽すぎたべさ。 シーソー、ちっとも下りてくれなくて、ぎったんばっこんできなくて――あ!」 「すごいべさ! オッカイの目の高さだと、もう見えてくるんだねー。あの水辺――見えてるおっきな湖が、パロポロたちの目的地、 『奥茂伸湖(おくものべのこ)』」 「このまま湖沿いにもーちょっといくとね……(呼吸音)―― うん! あれあれ、あそこの東屋(あずまや)! あの東屋までいったら、えへへ――」 ;1 顔寄せ 「パロポロ、オッカイのこと、たくさんたくさん、 いやして、ひやしてあげるべさ!」 ;環境音 F.O ;//////// ;Track2:グルーミングと水遊び ;//////// ;SE 水音 ;1 「わっ!?」 ;FI 環境音 湖畔 「今のみた? オッカイ。チェプ――魚! すっごく高く跳ねたねー。 えへへっ。きっとオッカイとパロポロのこと、大歓迎してくれてるのさ」 「っと。ここまでくればもう大丈夫! オッカイ、ありがと! おろしておろして」 ;1 (低いところ) 「したっけさ、前とおんなじに、目をつむって立って? ――うん、いい感じ。 じゃ、そのままちょべっと待っててね?」 「(深く息を吸い込む)」 ;ダミーヘッドマイクまわりぐるりまわりこみながら ;1→8でだんだん高さ、セリフの速度を上げていく。 ;8で、通常の高さ ;1 「ぽんぽん」 ;2 「ぽんぽん」 ;3 「ぽんぽん」 ;4 「ぽんぽん」 ;5 「ぽんぽん」 ;6 「ぽんぽん」 ;7 「ぽんぽん〜〜っ」 ;8 「ポンポンアイヌっ!」 ;SE? 魔法エフェクト系? ;1 (通常の高さ) 「(呼吸音)」 「うんうん! しったけ、目を開けて?」 「わっ!!? って、オッカイがなまら驚くから、 パロポロまでまたびっくりしちゃったでしょー」 「パロポロの術でちっちゃくなるの、オッカイ、はじめてじゃないのにさー―― え? 『カエルがデカくて正直怖い』――って?」 ;SE カエルの鳴き声(大音量) 「うわわっ!? 確かにこれはびっくりするべさ。 だめしょ、ケロこ! いまおともだち来てっから、今度遊んでやるからさー」 ;SE カエルの鳴き声 ;SE カエルが水に飛び込む音 「びっくりさせてごめんねぇ。 だよねぇ。驚くよねぇ。 オッカイの普段の背丈だったら、 ケロこなんて、きっと手のひらにのっかるくらいのおっきさだもんね」 「え? 『おともだち』って―― へへへっ、いまのテレケプ―― ケロこはなんか、パロポロになついてるんさ」 「テレケプたちの言ってることがまぁまぁだいたいわかるから、なつかれるとやっぱかわいくて、ケロこって名前つけて――え?」 「『そうじゃなくて』? ……うん――(呼吸音)――うん」 「あぁ――『おともだち』って…… うん、いま、思わずパロポロ、オッカイのこと……うん。いったねぇ」 「したっけオッカイ、もうお客さんって感じしないんだもんさー。 もちろん、あれだよ? もしオッカイがいやだったら、ちゃあんとお客さんとして」 「え? 『ぜんゼんイヤじゃない』、べさ? 『むしろ嬉しかった』……って―― へへっ――えへへへっ! えへへへへへへ〜!!」 「なーんだ、そんならよかったべさー! したっけね? したっけパロポロ―― あ! そーだ! えへへへへっ」 ;1 接近ささやき 「お友達なら、ふつうはできない冷やし方もできちゃうねぇ」 ;1 通常 「えへへへっ、ちょっとだけ待っててね。 いますぐしたくしてくっからさー」 「あ! メコ――ええと、にゃんこ! ネコとか来るとおっかないから、 ここから……こうして――ね? そのおっきなフキの葉にのっかっといて、待っててくれる?」 「『おっこちそうでおっかない?』 へへっ、オッカイあんがいこわがりなとこあるんだね」 「けどね? 平気さ。 フキって、浮草じゃないから。 湖の底に、しっかり根付いてるから、平気だよー」 「したっけ、なーんもおっこちんから。 だから、乗ろ? パロポロうしろから押したげるからさー」 ;SE 小走り足音(まわりこむ) ;5 「いーい? 押すよー? ん――ふっ――(呼吸音)―― オッカイ、もっと足、体重乗せて大丈夫だから」 「うん! その感じ! したっけもう片足も―― うんとこよいしょ、どっこいしょ!」 ;SE 葉っぱの上に乗る ;5 「やったー! 乗ったー!! オッカイ、ちゃあんと乗れたねぇ」 ;1 「へへへっ、ね? 乗っちゃったらもうガッチリ安定してるでしょー。 とんでも跳ねてもねっころがっても大丈夫だから。 そこでちょべっと、待っとってねー!」 ;SE 小走りの足音→ F.O. ;環境音。水辺 + ニイニイゼミの鳴き声 ;SE ぽちゃん、魚の跳ねる音 ;SE ばさばさばさっ、水鳥の羽音→着水 ;SE 水鳥の鳴き声(8) 「グワグワ」 ;SE 蕗の上をそろそろ歩く足音 ;SE 羽毛布団に飛び込む(ばさっ) ;SE ご機嫌な水鳥の鳴き声(マイク直下から)「ぐわ♪」 ;12  「おまたせ――んん? あれ? オッカイ? どこ?」 ;4 「って! なにしてるべさ!! すぐっ! すぐにそのヤヤン・コペチャから降りるべさ! 早く! 早くっっ!!」 ;SE 蓮の葉の上にぼふっと下りる ;1 マイクと逆向き 「だめだべさー! オッカイにちょっかいかかけたら、いけんべさ!!!」 ;SE 水鳥の鳴き声(ぐわわっ!) ;SE 水鳥の羽音、遠ざかっていく ;1 「あああ、もう。オッカイ、なにしてるべさー! え?」 「『天然の羽毛布団がすり寄ってきたからついつい』」 って―― ……(ため息)……さっきのヤヤン・コペチャ―― マガモはそりゃもう、天然モノの天然モノさぁ」 「今のこね? いままで一度もこの湖でみたことがないから、きっとレプンチカプ――海の向こうからの渡り鳥だと思うの」 「したっけ、正真正銘の天然物。 つまり、どこからやってたのかも、どんな虫とか連れてるかも、どんな病気持ってるかもわかんない――わわっ」 「大丈夫大丈夫。パロポロ、コロポックルだもの。 虫も病気もいますぐにならおいはらえるもの。 したっけね? オッカイ、落ち着いてすわって?」 ;1 高いところから 「そうそう。そのまま落ち着いて―― パロポロと一緒に、深呼吸しよう」 「すってー――(すーーーーっ) はいてー(はーーーっ)」 「もういっかいすってー――(すーーーーっ) はいてーー(はーーーーーっ)」 「ん。いい感じだねー。 したっけ、パロポロ、おまじないかけながら、毛づくろいしたげるからさー。 そのままちょべっと、いいこにしててね?」 ;5 「まずは頭。なでながら綺麗にしてくねー。 ん……<頭撫で>……ん……(呼吸音) ふ……<頭撫で>……ん……(呼吸音)」 「オッカイの頭、手触りいいね〜―― んふふっ――<頭撫で>―― パロポロの手も、くすぐったくって……(呼吸音)―― 気持ちいいべさ」 「ん……<頭撫で>――っ――<頭撫で>――」 ;6 「耳の後ろも……(マイク軽く触る)――ん……<頭撫>――あ――よさそう。 全然……<頭撫で>――うん、虫とかいない…… 大丈夫そう……(呼吸音)……だねー」 ;8 「けど、念の為。 ん――(呼吸音)おでこの方もじゅんぐり見るね? よいしょ……<頭撫で>――ん……<頭撫で>――」 ;2 「ん……(呼吸音)――あー、ほんと……<頭撫で>―― うん、よかったー<頭撫で>。 えへへっ、悪いもん、ちょべっともついてないべさ……<頭撫で>――でも、念の為、念の為」 ;4 「次、お耳、さわるよー? (マイク軽く触る)―― (呼吸音)―― うん、こっちも――<頭撫で>―― 大丈夫、虫も病気もなんにもうつってきてないねー―― <頭撫で> 「えへへ、したっけ―― あとは体の方を確かめなくちゃねー」 ;5 (やや低いとこ) 「背中、さわるよー……ん――(呼吸音)―― んーー……<体さわさわ>――わ……オッカイ、見た目よりがっちりしてるねー――<さわさわ>――ん…… うん……(呼吸音)」 ;7 (やや低い) 「今度は横腹……<さわさわ>――んー……(呼吸音)――これ……<さわさわ>ここまでなーんも悪いもんくっつかなかった――(呼吸音)――なら、さー……」 :1 (やや低い) 「さっきの鳥――<さわさわ>、ヤヤン・コペチャ――渡り鳥でなくって――<さわさわ>誰かのペットか……(呼吸音)――でなかったらさ――<さわさわ>――わひゃっ!? ――オッカイいきなり――って、あ、ここ?――<さわさわ>」 「へへへっ、そっか。オッカイ、おへそ――<さわさわ>――あははっ、くすぐったいトコなのかー。 ごめんごめん。したっけ、もう触らないようにするねー ……ん――(呼吸音)」 ;3(やや低い) 「え? あ――うん……<さわさわ>…… 誰かのペットか――そうでなかったら……<さわさわ> ――あやかしかなぁ、って」 「うん。たくさんいるよ。鳥とか獣の姿のあやかし――<さわさわ>……茂伸だとね、ちまっていうメコ――ネコのあやかしが一番めだつかなー……<さわさわ>」 「しっぽが二本あってね、白猫で、白い髪の毛の人間の女の子にばけるんさー――<さわさわ>―― ばけた姿も、なまらべっぴんさんで――ん?」 「……べっぴんさんっていったら、オッカイいま 『おっ』ってなったー」 「べっぴんさんだからって猫妖(ねこよう)なんかにのこのこ近づいてったら、危ないよー。 すーぐつかまって、お手玉にみたいにおもちゃにされて、きっとひどいめにあわされちゃうべさ」 「なんせ猫どもときたら、最初はよくても興奮すると我を忘れてツメだしてくるからねー。 普段だっったらオッカイは平気かもだけど。 いまの、コロポックルのおっきさのときは――あ!」 「そうだったそうだった。 パロポロ、オッカイにいいものもってきたんだった―― んしょっ」 :1 「えへへへへっ。あのね、これ――スズメノテッポウ! これ、茎の中身がすぽって抜けて筒になるのさ。 めんこいしょ」 「でね? これを――<草を齧る音>――ん…… こう――して――えへへっ、ちょべっと待ってね?」 ;9 マイクと逆向き、低いとこ 「ん――(呼吸音)――<水音:ちゃぷ>―― ん……(呼吸音)――へへっ――できたー」 ;9 マイク向き 「こうするとね? ほらっ!」 ;SE 水鉄砲発射音、ぴゅー ;SE 水鉄砲着弾音、ぱちゃーっ 「水鉄砲みたいに水をぴゅーって飛ばせるからさ。 猫妖をおっぱらう役にたつよー。 どんなに格をあげたところで、性(しょう)は性。 猫は水には弱いからね〜――あれ?」 ;1 「どうしたの? オッカイ。 なんかいずそうな顔してるけど――ん?」 「あ、‘いずい”っていうのは、ん……(呼吸音)―― むずがゆい? とか、違和感がある、ゴロゴロする、みたいな感じのことさ。 オッカイいま、耳を気にしていずそうに――え」 「あー、ごめん。ごめんねぇ、悪いことしたねぇ。 おっかいのお耳に、水がはいっちゃったんだ――あ!」 「ならさ、ならね? パロポロ、またオッカイのお耳を掃除してあげるべさ。 あれからね、本とか読んで、ちょべっとだけど、勉強したんだぁ。 だから……ね?」 ;1 接近ささやき 「オッカイの耳掃除してもいーい?」 ;1 「えへへっ! やったぁ! したっけね? パロポロ、すぐ支度するからっ」 ;環境音 FO ;//////// ;Track3:右耳のお掃除 ;//////// ;環境音 湖畔 FI ;9 *「ほらオッカイ」、以降低いとこ。 「したっけ――うん、しょ。 ほらオッカイ<ぽんぽんと自分の膝たたく>――ひざまくらひざまくら」 ;1 通常 「ん……んふふっ! ね? オッカイ。お水のはいっちゃったのどっち? 右耳? そっか。 したっけ、右耳を上に向けて、ごろーんして?」 ;3 接近ささやき 「(ふーーーーーーっっ)……ん―― お水、はいってるの見えないや」 :3 「したっけ今さ、ちりがみをこよりにして耳の奥までいれるから、ちょべっとだけ待っとってね」 「ん……(呼吸音)――しょっ――」 ;SE ちり紙をこよりにする 「ん。できた。えへへ〜。 そしたらオッカイのお耳の奥まで―― そーっと、そ〜〜っと、いれてくからねー」 「ん……(呼吸音)……ふっ――<こより耳入>…… ん、あれ?――<こより耳入>―― こよりって、ぐにゃぐにゃして――ん……<耳入れ>―― なかなか、これ……うまく、はいって……(呼吸音)――ん――」 「んしょ――<耳入れ>――あ、うん――<耳入れ>―― よしよし……奥に……<耳入れ>――ん……(呼吸音)――どうかな、オッカイ?」 「これ、お水にあたってる? 水、吸い取ってる? え――うん?」 「わかった、ぐるぐる動かしてみるね? ん……<こより動かす>――ん……<動かす>―― よい、しょ――<動かす>……(呼吸音)――どう?」 「あれぇ、やっぱり吸い取れてない? したっけ、うーん……(呼吸音)――どうしたら―― え?」 「ああ、えへへっ。オッカイ、やっぱりあったまいい。 だよね、ちりがみだもんね、まるまるもんね」 「したらね、んしょ――<こより丸める>……ん――<丸める>――こう……<丸める>――ん! ――<耳の中で丸めたこよりを指で押す>」 ;耳栓ごしのようなエフェクト? 少し音がくぐもる? 「どう? まぁるく丸めて耳栓みたくして押し込んだらさ――あ、お水吸ってる? えへへっ、ならよかったべさー」 「『けど、ちょっと聞こえづらい』あー。 なら、うん」 ;3 以降、指示あるまで顔寄せ継続 「――このくらい、耳元にお口よせてしゃべったら、 こよりつめてても聞こえる? かなぁ―― どう? オッカイ」 「えへへっ。きこえるんなら、よかったさぁ。 したっけ、お水。 ぜぇんぶ残らずすいとるように、すこぉし、時間を置こうねぇ――ん……(呼吸音)――」 「(呼吸音)……え? 『その後』って?  ……(呼吸音)――あ――オッカイ、覚えててくれたんだ」 「パロポロが、ミチとハポ…… お父さんとお母さんさがして、茂伸にやってきたこと」 「えへへっ、覚えててくれてうれしいさ。 それに、なんだか……なんでかな、お胸のあたりがあったかくって――(呼吸音)――ん…… あったかいのに、こそばゆいみたいな感じもする、かも」 「したっけね、オッカイ。ミチもハポも、まだ見つかってないんさ。手がかりもぜーんぜんみつからないから、たぶん、茂伸にはいないような気がする……かなぁ」 「けどね? 狸仲間の中で落ち着いた居場所ができたみたいでさ。 すなまきだぬきは前よりちょこちょこ遊びにきてくれるようになったんだよ」 「それに、おとなりのユキさんはやっぱり親切だし…… それにそれい――えへへへっ。 オッカイもまた遊びに来てくれたでしょー」 「したっけパロポロ、ちょべっともさみしくないんだよ。 茂伸にきて、なまらよかったなぁって、思うの――あ」 「そろそろいいよね? それじゃ、こより、はずすよ〜」 ;SE 丸めたこより、全部抜く ;聞こえづらさエフェクト解除 「(ふーーーーーっっ) どーお? オッカイ」 ;3 顔寄せ解除 「えへへっ! 水が取れて、すっきりしたならよかったさー。 したっけ、竹の耳かきでお耳のよごれもぜぇんぶとって、もっとすっきりしちゃおうね〜」 「ん……っと、それじゃ、いくね? あのね、コツ。本で読んだの。 みみ、ちょべっとさわるね? ――<耳に触れる>」 「で……あのね、痛かったらいってね? こうして、そうっと――<耳を軽く引っ張る>――耳、引っ張ると……」 「あ、ほら。とっても見やすくなったべさ―― これなら……ん――<耳かき音>―― ゆっくり、ゆっくり、そーっと、そーっと――<耳かき音>」 「でね? 耳かきって――<耳かき音>――こーやって、 そーっとそーっと、耳かき棒で――<耳かき音>―― 耳の壁にさわってあげると――<耳かき音>―― えへへ、オッカイ、気持ちいいでしょ?」 「こういうふうに……ん――<耳かき音>――気持ちいいのが、一番の効果なんだって……<耳かき音>―― 無理に耳かき……しなく、ても――<耳かき音>」 「ん……ふつうは、耳あかって……ん――<耳かき音> ――自然と、奥から外側に……<耳かき音>―― 押し出されてくる……もの、なんだって――っと」 ;SE とれた耳垢をティッシュに 「だから……夢中になって――ん――<耳かき音>―― 奥にあるの、むりやりとろう――<耳かき音>――とかすると……ん……」 「んーー(呼吸音)――かえって、奥に……押し込んじゃったり……<耳かき音>――耳の皮膚……きずつけたり――し、て――<耳かき音>」 「……よく、なくて――ん……<耳かき音>―― だから、こういう……耳かき棒での、みみかき、は―― <耳かき音>――ひとつきに、一度くらいが―― ちょうどいいん……<耳かき音>――だ、って――ん」 「……(呼吸音)――ん――」 ;3接近 「(ふーーーーーっ)」 ;3 「うん。えへへっ。綺麗にできたぁ。 どーお? パロポロ、やさしく上手にみみかきしたでしょ。 えへへへへー」 「したっけ、ね? 反対側にごろーんってして? 今度は左耳、パロポロ耳掃除してあげるから」 ;//////// ;Track4:左耳のお掃除 ;//////// ;7 「えへへっ、それじゃあ、 左のお耳も、ちょこーっとだけ引っ張るねー? ん……<耳に触れる>」 「このくらいなら、平気……かな? ん――<耳を引っ張る>――どう? オッカイ」 「へへへっ、平気ならよかったさー。 したっけ、左耳、耳かきするね〜。 ん……<耳かき音>」 「あれ? こっちの方がよごれてるねー――<耳かき音>――なんで、かな? <耳かき音>――ん……」 「あ、そっか。さっきお耳のお水とるため――<耳かき音>――こより丸めて、お耳の中にいれたもんねぇ――<耳かき音>」 「したっけあれも……ん……<耳かき音>―― 結構効果、あるんだねぇ――<耳かき音>――え? 『自分ひとりで耳掃除するときは、いいかも――』って……(呼吸音)」 「むぅ〜オッカイの耳掃除は、パロポロがしてあげるさぁ。 ひとつきに一度でいいんだもの。一回自分で耳掃除したら、また会えるの、もう一月さきになっちゃうし…… もったいないべさ」 「え? あ……ん―――<耳かき音>―― どう、かな……<耳かき音>―― さっきも、ちょべっといったけど……(呼吸音)―― パロポロ、さみしくないんだよ?」 「すなまきだぬきと……<耳かき音>――ユキさんの他にも……<耳かき音>――お紺さんっていう、洗濯狐(せんたくきつね)のお友達もできたし――<耳かき音>」 「あ。洗濯狐っていうのは――<<耳かき音>>――ん。 その名の通りのあやかし……<耳かき音>だよぉ。 川でじゃぶじゃぶお洗濯する、野狐(やこ)……(呼吸音)――ん――バケギツネの、一種」 「もちろんお洗濯大得意だから……<耳かき音>―― お洗濯屋さん……<耳かき音>――してるの、さー。 パロポロのチカルカルペとかアットゥシとかもね――(呼吸音)――ん……こーんなにちっさいのに、綺麗にお洗濯……<耳かき音>――してくれて……」 「あと、ね? ほかにもね? ん――<耳かき音> えみちゃんっていう、半妖――<耳かき音>――人間と妖怪の間に産まれた、かわいいかわいいことも、おともだちになったから――<耳かき音>」 「したっけ、さみしいことなんて――<耳かき音>―― 、全然……(呼吸音)――うん。 ぜんぜん、ないの。 茂伸、とってもとっても、いいところだから」 「だけど――<耳かき音>――さみしくなくたって―― <耳かき音>――オッカイとはまた…… またすぐにだって、会いたいなぁって思うんだぁ…… それが――ん――(呼吸音)――」 「それが、どうしてか、パロポロにもよく…… わかんないけど……(呼吸音)―― したっけ、今日もさ――今日も――さぁ<耳かき音>」 「……耳かき……終わって――<耳かき音>―― 日が暮れたら、さ――オッカイ、また…… どっかにいっちゃうんだって……ふっと、思って――(呼吸音)――」 「したっけさぁ、胸がぎゅーって、いたいみたいに、苦しいみたいになっちゃって……(呼吸音)―― さみしくないのに、ないはずなのに……ん……(呼吸音)――さみしい、みたいに……なっちゃって――」 「したっけ……パロポロ――(呼吸音)―― オッカイの耳かき――あ……っと――<耳かき音>―― ちょっとまって――<耳かき音>―― ん……<耳かき音>――」 「<耳かき音>……(呼吸音)――<耳かき音>――(呼吸音)――<耳かき音>――ん……っと、さ……(呼吸音)」 「えと……<耳かき音>オッカイの……耳かき……(呼吸音)―― 来月も――その次の月も――その次も――<耳かき音> パロポロがしてあげたいなぁって……(呼吸音)――思う、べさ」 「って、あぅ……あの……ごめんねぇ、なんだか急に、変な話とかしちゃってさ―― ん――<耳かき音>―― ふ……<耳かき音>―― んっ――<耳かき音>――あ」 ;7 顔寄せ、つぶやき 「(ふーーーーっ!) ん……うん―― お耳、綺麗に…… なっちゃった――」 ;7 「おまたせ、オッカイ。 耳かき、こっちもおわったさー。 したっけ、えっと……えっと――ええっと―― なんか――ほかの――(呼吸音)――いやしとか―― 冷やし――ひゃっ!?」 ;1 密着 「ど、どしたの? オッカイ。 急に、パロポロのこと……その――えと―― ぎゅーって、して――さ」 「え? ――オッカイも? ――わ…… オッカイも、もっとパロポロに、あいたいの?」 「毎月どころか――毎週だって、毎日だって? わ……わわ――うれしい――あ、けど―― けどね、オッカイ。そんなにたくさん耳かきしたら―― え?」 「耳かきも冷やしも関係なしに? ただ――会いたいから――会いたい―― あ……(呼吸音)」 「……うん。んと、ね? パロポロも、なの。 オッカイとね? パロポロ――(呼吸音)―― 耳かきも、冷やしも、なんにも――(呼吸音) 用事がなくても……話すことがもしもなくても……(呼吸音)――会いたい、の」 「……うん。……うん。――うん。 えへへっ、んだね。オッカイとパロポロ、お客さんとお店の人でなく、お友達どうしだもんねぇ―― お友達同士なら、用事がなくても話がなくても、えへへへ――だよね、毎日だって、会うよねぇ」 「んふふふふ〜、パロポロ、なまらうれしいべさー。 うれしくてうれしくて……あうっ――あの……(呼吸音) あの、ね? オッカイ」 「その――ええと――ぎゅーって、されるの――気持ちよくって、しあわせだけど……そのええと……なんだか、どんどん、ポーってしてきて……顔が、暑くて――(呼吸音)」 ;1 (密着解除) 「あ……ぎゅーって……はなれ、ちゃった――(呼吸音) すごくすずしい……けど――さみしい、なぁ―― ん……(呼吸音)」 「あの……ね? おっかい。 パロポロ、あつくて――(呼吸音)――だから、ね? もし、オッカイがいやじゃなければ……(呼吸音)」 「パロポロ、さ。東屋んとこに、夏掛けしまってあるからさ…… ん……(呼吸音)――オッカイが――もしも、イヤでなければ――」 「あ――うん。うん。 えへへへ〜――うれしい。ありがと、オッカイ」 「したっけ、ね? お昼をすぎたら蓮のお花がしぼんでつぼみにもどるから、それを枕に―― 涼しいところで、お昼寝、しよう?」 ;環境音 FO ;//////// ;Track5 夏掛け、添い寝 ;//////// ;FI 環境音 湖畔、夕方、虫の声 ;3 「ん……(呼吸音)」 ;SE うちわパタパタ 「……すずし、きもちい。 オッカイ、うちわ、ありがとねぇ。 蓮の葉っぱのうちわはさ、匂いもよくて、しあわせだねぇ」 ;パタパタ 「あ……そうだオッカイ。喉かわいてない? 夏掛けとってくるときにねぇ。 えへへっ、パロポロ――じゃーん」 「いいでしょう。スイカズラの花。 オッカイも、蜜のむ? のむんだったら、パロポロより先にのんでいいよ?」 「のみかた、わかる? うん――そこの細い部分から、ちゅーって」 「そうそう、蜜、あまーいから、安心して? ふふっ――(呼吸音)――どう? ね? だよねぇ。あまーいよねぇ」 「それにさ、へへへっ。きっと普段のオッカイだったら、ものたりないって思うだろうけど―― このおっきさだと、コロポックルの体のサイズにちちんでるとさ、なかなか、吸いごたえあるでしょー」 「え? もういいの? したっけ、パロポロ、残りのむねー」 「ん……(ちゅうっ、ちゅう、ちゅうううっ――こくっ)……ん……ふぁ――おいし――あっ」 ;↓間接キスに気づいた 「え!? ううん――な、なんでもないべさ…… なーんも……(呼吸音)――うん…… パロポロ、なーんも……気にして、ないさ…… (自分の唇を指先でそっと撫でる)」 「だた……ね? へへっ―― 今日の蜜――いっつもよりも――甘いなぁ、って―― はぅ……(呼吸音)」 「って、なんでオッカイも赤くなるべさ―― え? 『なんでもない』? よね――うん。 なんでもない、なんでも――(呼吸音)――」 「なんでもないのに、ふぁぁ、なんだか、顔、暑いねぇ。 夕方の風も、水音も、こんなに涼しいのに――あっ」 「ふふふふっ――マレウレウ……ちょうちょ、クロアゲハ。 いいとこで、羽をやすめてくれたねぇ」 「くらぁくなって……うふふふふっ……アゲハの羽がゆっくりゆっくりぱたぱたすると――ん……(呼吸音)―― ゆっくりゆっくり、涼しい風にくすぐられるねぇ」 「ん……ふぁ……ん。 ね? おっかい――涼しくなったぶんだけさ―― もうちょこっとだけ――寄ってもいぃい?」 「えへへっ。ありがと。したっけ――(呼吸音)」 ;7 密着 「あ――オッカイのにおいがするねぇ、いい匂い」 「おひさまの匂いと、汗の匂いと……オッカイの―― シャンプー、せっけん? の、まじったにおい」 「なんだかおちつく――(呼吸音)――オッカイに―― つつまれてるみたいな感じする……」 「えへへへへっ――(呼吸音)―― クンネレカムイ、ふくろうの羽にうずもれて、眠るときより――もーっと安心で、あったかだべさ……え?」 「あ、うん――たまぁに、ね? 台風ビュービューだったり、雷ごろごろだったりで、 ひとりぼっちじゃ怖い夜は、さ」 「クンネレカムイは、いつでもコロポックルの味方だから。 茂伸のクンネレカムイもおんなじだから…… 怖い夜には、パロポロのおうちにきてもらって―― 羽にうずもれて、眠ったり……ときどき」 「え? 『うらやましい』って―― えへへっ、ちょべっともうらやましがることなんてないさー。 オッカイだって、クンネレカミムイの羽をおふとんにしてねむれるんだから」 「うん、そう。クンネレカムイ、アイヌ―― んと、人間のことも好きだから。 パロポロから頼んだら、オッカイのこと絶対に、羽につつんで眠らせてくれる……あ」 「したっけ、ね? 夜になったら、一緒に背中にのせてもらおう? えへへへへっ、オッカイとパロポロふたりでさ、夜の森の上、月と星の下――すべるみたいにとんでもらうの、きっととっても――しあわせだべさ」 「え? 『それも誰でも頼めるの』って…… うん、頼めるさ。 さっきもいったとおりに、ええと……クンネレカムイ―― 人間のこと……大好き、だから」 「ええと――でも、あの―― オッカイ……ね? その――誰か、他に…… パロポロとじゃなく――一緒に、乗りたい、誰かが……いる――え? 『そうじゃない?』」 「そうじゃなくって? ……うん……うん……うん―― ふぁ」 「え? あ――アイヌって、人間って―― ただ、乗せてもらって飛ぶだけでももう、うれしいの? それが――新しいいやしになるの?」 「だからオッカイも、さっきそこらのヤヤン・コペチャ――マガモの背中にのっかってあんなにはしゃいでたの?」 「へぇえ、そうなんだー。 パロポロそんなの、夢にも思ってなかったさー」 「あ、じゃあさ、そしたらさ。 ケロこの背中にのっかって、水をすーいすいわたってもらうのとかも―― あ、そうなんだ。そんなのも、あたらしい癒やし体験になるんだ」 「うん……うん……フィールドアスレチック? って―― ああ――お外で遊ぶ遊園地」 「え? ぎったんばっこんも簡単につくれる? あ、そうだよね。オッカイ、普段は人間なんだもんね。 あのおっきな手なら、コロポックルの大きさの遊び場なんて、いくらでもかんたんにつくれるよねぇ」 「したっけ――したっけ――したっけ、オッカイ。 オッカイが、もし、イヤでなければ―― あ――」 「オッカイの方から、いってくれるの? うん……うん――(呼吸音)――うん―― えへへへへっ」 「オッカイがいろんな遊びどころをつくって、 パロポロがポンポンアイヌの術をつかって、 人間のお客さんをちっちゃくして」 「それで遊んでもらったり、いろんなカムイとかコペチャの背中にのってもらって、冒険したり」 「うん、それ、たのしそう。 たのしそうだし――いまよりもっと、素敵ないやしを、お客さんにとどけてあげられそう」 「それに……えへへ」 ;7 密着ささやき 「……そうできたらさ。 毎日ずうっと――おっかいとパロポロ、ずっと、一緒にいれるべさ」 ;7 密着 「えへへへへっ――ん――あ――(あくび)――あぅっ」 「汗かいて、あたまつかって、甘い蜜すって、うれしくて、安心して、暗くて、涼しくて…… ん――パロポロ……なんだか、ちょべっとねむたくなってきちゃった――」 ;SE うちわパタパタ 「あ……ありがと。けどね? パロポロ、もう十分に涼しいから――さ」 ;SE 手をにぎる 「うちわじゃなくって、パロポロの手…… つかまえててくれたほうが、うれしいべさ」 「ん……(呼吸音)――オッカイの手、あったかいねぇ――安心するねぇ――(呼吸音)――」 「したっけ、いまは、ね? いっしょにねむろ? 寝て起きたら、また――フィールドアスレチック? のこと、たくさんたくさん、たーくさんはなそ?」 「ん……えへへへへっ―― おやすみなさい。ピリカ・オッカイ。 おんなじゆめを、きっとみようね? ――(あくび)」 「ん……ふっ――ん――(呼吸音)――」 「ん……(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 「(寝息)……(寝息)……(寝息)」 ;環境音。F.O. ;無音 ;おしまい