【前日譚 レイス】 失礼します。 フレイク王国 従軍騎士レイス・プリレベールです。 明日の出征を前に、フレイク王へご挨拶に参りました。 このレイスも、いち将軍として私を慕う三千の仲間と共に戦地へ赴きます。 先代の王が亡くなられ 間もなくして始まったこの戦争。 敵国アーク帝国は、我が王国の結束が緩まった今が勝機と考え、 進軍をしてきたのでしょう。 王として即位してまだ半年、気苦労が多いかと思いますが、 このレイス・プリレベールがいる限りは、どうかご安心を。 侵攻を繰り返すアーク帝国。 ここひと月は、帝国に圧されているのが正直なところ…。 しかし、私達が戦線に着いた次の日には、形勢が逆転している事でしょう。 そして、勝利をもたらし、王国の平和を取り戻してみせます。 ええ、 前線の多くの兵が、私の到着を待っていると聞いております。 先の戦争では、多くの武功を上げたのは事実。 私を英雄として思って下さっているのでしょう。 戦争では、兵士の士気が勝敗を左右します。 私が征くことで、彼らの士気が上がるのであれば、 喜んで戦地へ参じましょう。 何より私は、王に仕える誉ある騎士。 私の敗北は、国の存命に関わることと認識しております。 命に替えてでも、帝国に勝利をするとお約束します。 ええ♪ 無事に帰ってきた暁には、 フレイクの美味しい料理を食べさせて下さい。 //「そろそろお主も結婚をせんとな」 え? け、結婚ですかっ。 い、いえ、相手はおりませんが…。 わ、私は、国に忠を尽くしております。 生涯、結婚をする気はございません。 まぁ…戦争が無事終結し、平和な世の中となり 国の民の中で、良い男性がいれば、考えさせて頂きます…// んんっ! 今夜はもう遅いですので、この辺りで失礼させて頂きます。 遅い時間にも関わらず、お会い下さりありがとうございました。 それでは失礼致します。 戦地へ行って参ります。 【前日譚 ツムギ】 //「失礼します」 お前か、入れ。 明日の出征を前に、来てくれたのか。 今夜は戦に赴く最後の夜、こうしてお前の顔を見れてよかった。 さ、もっと近くに。 ふふ、お前は相変わらず可愛い顔をしているな。 運がいいのか悪いのか、私は剣の腕が立つ故、戦へ赴く。 あぁ、剣士として、いち武将として…。 お前やこの国を護れるのは誇らしい事だ。 何,気にする事ではない。 人は生まれながらに向き不向き、神から与えられた命がある。 お前に剣の腕がなかったのは、それはそれで一つの才なのだ。 忌まわしきアーク帝国。 我がヒモト国への領土へ足を踏み入れ、略奪を繰り替えす国。 何より、諸悪の根源は、あのアーク王。 必ずや、私の剣でヤツの首を取り、平和を取り戻してみせよう。 //「無事に帰って来て」 あぁ…分かっている。この身体あっての私。 この戦に勝利をし、 無事に国へ帰った暁には、お前と祝言を挙げよう。 思えば幼い頃からの許婚。 許婚の意味も分からぬ頃から、私達は一緒にいたな。 お前は、私にとっての弟分という感じではあったが…、 十五を過ぎた辺りから、許嫁…婚約者としてお互いをしっかりと 意識し始めた。 親同士の決めた婚約者。 許嫁は 多くの場合、本人の意思など関係ない事も多いが… 私達は、幸運にも互いに想う関係での許婚となれた。 これも神の導きかも知れないな。ふ。 戦を終え、この国、この郷に帰ってきた最初の夜は… 今日のように、夜を共にし…、 その時は…お前に私の初めてを…捧げよう。 ふふ、さぁ…だいぶ話し込んでしまった。 明日、日の出と共に出征だ。 私の無事を祈っていてくれ。 お休み。私の愛する人よ。