おーい。あっさだぞ~……♪  って起きてる。早いねぇ。  まだ病み上がりなのに。我が妹は相変わらず真面目だな~♪    ん~?    そうそう。  本日、亜人ちゃん達は午前中病院で検査。  ルミナ姉さんは本部で叱られ、ガラテア姉さんは今回の件の後処理でてんてこ舞いだよ~。  いやぁ、ルミナ姉さんやばいよね~。  元々あんた絡みの事にゃあブレーキ利かないけどさぁ。  まさか、一人でイザベラの闇ルートぶっ潰すとか思わないじゃん……。  イザベラはもちろん、亜人売買関連の組織ごと締め上げたってね。  最初に聞いた時のガラテア姉さんの顔、すごかったよ。  喜んでいいのか怒っていいのか完全にわかんなくなってて、白目むいてたもん!      そうだねぇ。  今日は姉さん達二人とも、一日中本部から出らんないと思う。  ま、その時になりゃ会いたくなくても会えるから。  今は待ってよ?    んでもって非番のあたしは可愛い妹に会いに来た訳だが。  もしかして出かける気ぃ?  大丈夫なの? その身体で。      まぁ、話は聞いてるけどね。  メルヤちゃんがいて本当に良かったよねぇ。  何か、イザベラんとこに連れて来られる前は、なんちゃらって領主様のお城で、薬関係の仕事してたんだって?    あ、そうそう、ハールス。  ハールスがやらかして失脚して行方不明になって。  そこで『こりゃチャンス』って思ったイザベラが、城で雇われてた亜人ちゃん達を誘拐して。  うちの街から連れ去った亜人ちゃん達と一緒に、屋敷の地下牢に閉じ込めてたんでしょ。  でも、イザベラもミスったよね。  『どうせ何もできないだろう』って一か所に閉じ込めたせいで、結束強くさせちゃったんだもん。    それにガラテア姉さんが言ってたけど、ハールスの城出身の子達って、何かすごい統率のとれたいい子達なんでしょ?  ハールスはクズ領主で有名だったらしいけど、使用人の教育はちゃんとしてたって事なのかねぇ。  ……そうだね。あの子達だったら、今後うちの街で全然やって行けると思う。  帰る家がある子は別だけど。  城出身の子みたいに、家も職もなくしてる子は、この街の仕事か、学校を紹介しようって方向でまとまってるよ。      ……で、その。  あんたの事、なんだけどさぁ。  ねぇ……ほんとにやめちゃうの? 騎士団。  確かにあんたのした事は、任務放棄かもしれないよ。  でも、結果的にはうまく行ったし。  酷い事させられそうになってたメルヤちゃんを助ける為の行動だったって、亜人ちゃん達も証言してくれてる。  本部も、きっと悪いようにはしないと思うし。  だから、あんたさえ続ける意思があるなら……。    ……っ。    そっ、か……。    おわっ!  ごめん。壊しちゃった……!  えっこれ、どうしよう……。  え?    あ、こう?  こうかぁ……?    あっ。嵌まった。  直った~!  あ~よかった、すぐ直ってぇ。  ありがと、教えてくれて!  何気に教えんのうまいよね。あんた。  ……そうだよね。  あんただったら、騎士やめたって、向いてる仕事沢山あると思う。  何の心配もなかったね。    うんっ。  お姉ちゃんはどうなったって、あんたを応援してるぜ~?      という事で。  これ、お姉ちゃんからプレゼント~。      そ~お。  家が狩りの時とかに使ってる、隠れ家的なあの家の鍵で~す❤  こっち戻ってきてからさ、まだメルヤちゃんと二人っきりになれてないっしょ。  しばらく貸すから、二人でゆっくりしといで~♪      いーのいーの。あたしが使うって事にしてあるから。  ごめんね。あんたにだけあんなしんどい思いさせて。  あんたが倒れたって聞いた時。  一人で行かせた事、めちゃくちゃ後悔したよ。  何か。  『あたしはガラテア姉さんみたいに決定権もないし、ルミナ姉さんみたいに戦闘力ぶっ壊れとかでもないから』とか思って。  『おかしい』『こんなの一人でやる仕事じゃない』って思った事、おかしいままにしといた事、本当に後悔した。  だから! こん位、さしてよ~♪  そしたらは~い! 行っておいで~!  あっでも、検査が終わるのは十二時過ぎだったかな……?  あっ。買い物してくのね?  うん。それがいいと思う。  よし。いってらっしゃい!    メルヤちゃんによろしくね!