身を切るような寒さと、息をする度に白い煙が昇る正月。  地面に薄っすらと霜が張っている神社に、一組の男女の姿があった。 「うー、寒い寒い寒い。早くお参りして帰ろ」  白いふわふわとした防寒着に身を包んでいる女の身体は、特徴の無い男と異なり、シルエットだけでも分かるほど女性の象徴部分の自己主張が激しい。肩上にあるボリュームの多いダークブラウンの髪の毛は、陽の光を浴びて髪色を更に明るく見せている。  賽銭箱の前に移動した二人が揃って五円玉を投げ込むと、閑散とした神社には不釣り合いなチャリンという音が響いた。  しっかりと手を合わせた後、来た道を足早に戻ろうとする女を呼び止めて話し込む。 「えー、ボク寒いから嫌だよー。帰ろうよー。こんな日に買い物なんて行かなくても別にいいじゃんかー」  女は可愛らしい声と平均より少し小さい身長が合わさって、どことなく幼く見える。   「もうちょっと暖かい日でいいじゃん。コタツでぬくぬくしようよー」  ここで帰ると互いの家に正月休みの家族が居るので、二人きりになれない。  どうやって連れて行こうかと考えていると、どこかで見たことあるような男がこちらに近付いてきた。 「やあ、あけましておめでとう。君達も初詣かな?」 「あけおめー。そうだよー。こんな寒い日にわざわざ来なくてもいいのにねぇ」 「違いない。こういう日はコタツの中に居るに限るよ」 「ホントホント。それなのにコイツが買い物して帰ろうなんて言い出してさー」  女が可愛らしい手袋をした人差し指をこっちに向けてくる。 「へー……そうなんだ。もしかしてデートかい?」  キザな雰囲気を漂わせたイケメンはチラッと視線をこちらに向けた後、胡散臭い笑顔を女に向けながら質問した。 「ナイナイ。コイツはただの幼馴染だってば。ボク達、昔からいっつもこうだから自然に一緒に居るんだよねー」 「ふーん……。それなら彼に遠慮しなくてもいのかな」 「どうぞどうぞ。あ、そういえば課題で聞きたかったことが────」  『付き合ってなくても毎日のように性欲処理して貰ってるけどな!』とは口が裂けても言い出せない男は、目の前で女とイケメンが仲良さ気に話をする光景に何とも言えない薄暗い感情を抱いていた。 ◇◇ 「それじゃあ」と言ってイケメンが爽やかに去っていく姿を、女がパタパタと手を振って見送っている。  最後まで半ばそこに居ないかのように扱われた男は、去っていくイケメンの背中を睨め付けながら尋ねた。 「さっきの人?去年のボクのクラスメイトだよ。キミも話したことなかったっけ?」  頭の片隅に残っていた記憶とようやく結び付く。 「キミはもうちょっとボク以外との交友関係を広げた方が良いんじゃない?」  幾人かの名前を挙げて反論してみせたが、あまり女には効果がないらしい。 「ふ~ん。でもボクは女友達もっといっぱい居るもんねー」  女が得意気に両手を腰に当てて胸を張ると、メロン並みに大きい膨らみがボヨンと音が聞こえそうなほど上下した。思わず鷲掴みにしてやろうかと手を伸ばしかけたところで、女の冷ややかな視線に気付く。 「今何しようとしてたのかな~?まさかエッチなことしようとか考えてないよねぇ?」  女は言葉に詰まった男を見て、わざとらしくため息を吐きながら幼い子に言い聞かせるかのように言葉を紡ぐ。 「はー……お正月ぐらいゆっくりするの。……帰るよ」  女が呆れたような視線を向けて歩き出そうとしたところで、思わず腕を掴んだ。 「もう……ホントに怒るよ」  不機嫌さを隠すことのない女の気を引こうと矢継ぎ早に言葉を述べていると、何かが女の琴線に触れたらしい。 「奢ってくれるの?……それならまぁ……ちょっとだけ付き合ってあげてもいいかな?」  その言葉を聞いた男は、堂々と拳を握り締めてガッツポーズをしたかと思うと、流れるような動きでパーの形に開いた手を女の胸に伸ばす。あと数センチで女丘に届く所で、パンという音と共に腕が叩き落とされた。 「…………高いやつ奢りね?」  満面の笑みを浮かべているはずなのに目だけ笑っていない女に対して、痛む腕を撫でながら神妙な顔をして頷いたのだった。 ◇◇ 「美味し~」  テーブルの反対側で、今にも頬が落ちそうな表情をした女が、色とりどりのケーキをパクついている。  正月だろうと平常運転の大型スーパー。そこそこ有名な洋菓子店に一目散に乗り込むと、男が止めに入るまで高いデザートを注文し続けた女はご満悦だ。   「これは全部ボクのですー。キミにはあげませ~ん」  女の腹回りを心配して少し分けてもらおうとしたが、全部食べるらしい。 「それにボク、栄養は全部こっちに入っちゃうもん♡えへへー♡」  女は笑いながら自身の胸を下から優しく持ち上げた。ブラをしているはずなのに、服の上でゆっくりと形を変えるそれから目が離せない。  そんな男を見ながら、女は少し周りを気にした様子で声のトーンを落とした。 「あー……またエッチなこと考えてるでしょ。言っておくけど、お店の中で変なことしたら一週間エッチなこと禁止だからね」  一週間ぐらいなら……と思案したところで、思春期の男には一日でも耐えられないだろう。  ここで我慢して、帰り道の間にどこかで一発……最悪手でも口でも何でもいい。いや、お年玉を注ぎ込んだからにはこのままラブホに連れ込んで満足するまで……。 「ご馳走様でした!美味しかった~」  今後のプランを考えている間に、机の上からケーキが消え去っていた。  ポンポンと音が聞こえてきそうな姿でお腹を擦る女にこれからの予定を告げる。 「えー……今日ラブホ行くのはちょっとなぁ……。いつもみたいにその辺で口で抜いてあげるからさ、それで我慢してよ」  それなりの額を奢ったことを告げると、女は子供みたいに唇を尖らせた。 「今日はボク、下着あんまり可愛くないの。だからヤダ」  見た目も大事だが重要なのは下着の中身なので、正直な所どうでもいい。 「あのね……キミがこの前パンツで手コキしてほしいとか言い出したせいで、今可愛い下着が無いんですけど?」  女は折れる気配がない男に盛大な溜息を吐くと、嫌そうな顔で条件を出してきた。 「じゃあ……キミが新しい下着買ってくれるんだったら、ホテル行ってもいいよ。じゃなきゃ手で終わりね」  その言葉を聞いた男は、スッと女の前にあった盆を取りながら立ち上がった。 「え?ホントに買うの?言っておくけど、ラブホ代も全額キミ持ちだからね?」  女の発言を聞いても一切動作を止めることなく盆を返却コーナーに置くと、足早に食事コーナーを後にした。そんな後ろ姿を見ながら、ちょこちょこと女が追いかけていく。  二人並んでエスカレーターに乗り、男は二階の開けた場所にあるベンチに着くと腰を下ろした。  ガサガサと財布から万札を取り出して、女に向かって差し出す。  流石に下着売り場に男が付いて行くのはハードルが高い。 「はいはい、ゴチになりまーす……」  諭吉に手を伸ばしかけた女は、何を思ったのか手を止めてニヤニヤしながら話しかけてきた。 「どうせだったらさ、キミが下着選んでよ。それ付けたままラブホ行ってあげるから♡」  どうせ付いてこないと高を括っているのだろうが、お年玉を大量投入した元は取らないと気がすまない。普段絶対に着ないようなエロいやつを着せてやろう。 「え?付いてくるの?」  女は少し困惑したような表情を浮かべて、何故か周りを気にしている。 「言っちゃったからにはキミの好きなやつでいいけどさぁ……親に見付かったら何か言われそうなやつは止めてよ?」  二人並んでカラフルなスケスケの布が大量に飾られている一角に到着する。数人の女性客と定員が居るだけで中に男性の姿は見えない。 「あんまりキョロキョロしないでよ。キミと一緒にこんな所居るの誰かに見られたらヤバイんだからさ」  エロい下着を着けさせることしか考えていなかったので、そこまで頭が回っていなかった。気配を落として下着売り場の中を進んで行く。  店内の隅、一際露出度の高そうな下着が集まっている場所で足を止めた。 「だからこういうのはヤバイんだってば……もぅ」  女と下着に交互に視線を向けた後、一対の下着を手に取った。黒い布の大半が透けており、一部に花柄があしらわれている。実際に着ければ肌色と黒のコントラストに目を奪われるだろう。  女に向かって無言でセクシーな下着一式を突きつける。 「はぁ……こんなの家で見付かったらシャレになんないよ……」  渋々男から下着を受け取った女は、ショーツの形状を確認すると更に肩を落とした。 「うわー……これ紐パンじゃん……ボクがこんなの持ってたらどうやっても言い訳できないってば……。これもうキミに持って帰ってもらおうかなぁ」  むしろこの下着を着けさせたい時に自分で持っておけば、いつでも着させられるのではないだろうか。  コクコクと頷く男を見て、女のテンションが更に落ちる。 「本気で言ってるの?……キミってばホントーにエッチなことしか考えてないんだから……」  女は大きな溜息と共に派手な下着を受け取ると、側にある試着室へと入っていく。 「絶対に覗いたりとかしないでよ?ここお店なんだから通報されても知らないからね?」  念入りに忠告を入れ、綺麗に揃えられた靴だけ残してカーテンの中へ消えていく。  一人でその場に取り残されると、女性向け下着売り場というアウェー感がいきなり襲い掛かってきた。壁を向いてできるだけ店内の女性を見ないようにと気を付けるが、目の前にはセクシーな下着の山。  いっそのこと別のエロい下着でも探してやろうかとした思った時、試着室からパサッという軽い何かが落ちる音が聞こえてきた。  意識を音がする方に集中させる。 「ブラのサイズちゃんと合ってるんだけど……何で知ってんのもー……」  独り言を聞く限り、どうやら落ちたのはブラらしい。 「しかもこれフロントホックじゃん……アイツ絶対鼻の下伸ばしながら外すよぉ……。どうせだったら全力でからかってやろうかな……」  外した瞬間乳首にむしゃぶりつく、そう決めた。ピンク色の乳首を吸いながらチンコ扱かせてやる。  衣擦れ音に聞き耳を立て、妄想を膨らませている所で自分を呼ぶ声に唐突に我に返った。 「おーい、ちょっとこっち来て」  カーテンの隙間から顔を少しだけ出した女の前に移動する。すると女は周りを少しだけ窺った後、悪戯っ子のような笑みを浮かべて舌をチョロっと出しながら、見せ付けるようにゆっくりとカーテンを開いていく。  妄想した肌色と黒のコントラスト、ボーイッシュな容姿に似つかわしくない女性らしいカラダ。男の視線が吸い寄せられる魔性の乳。引っ張れば簡単に女性器を露出させる紐。いつも少し子供っぽい、青や白の下着を見に着けているのを知っているからこそのギャップに興奮が倍増していく。 「ふふーん♡どう?ボクだってこういうの着ければセクシーでしょ?」  女は胸の谷間を強調するように腕を寄せ、軽く身を乗り出して挑発するようにポーズを決めた。所謂グラビアポーズである。  その瞬間、男の中で何かが弾けた。 「……は?え?ちょっとダメだってば」  慌てる女を試着室の中に押し込み、一緒に土足で上がり込む。そのまま後ろ手にカーテンを閉じて、逃げ場の無くなった女を壁に押し付けた。 「ホントにダメだってば。ホテルで好きなだけさせてあげるから…………あ♡」  赤ちゃんにキスをするように優しく女の首筋に口付ける。 「もー……止めないと一週間エッチ禁止だからね?」  耳元で囁くような声で脅されても迫力など無い。しかし内容は性欲旺盛な思春期の男の動きを止めるのに十分だった。 「はぁ……これ、こんなに大きくしちゃってさー。早く小っちゃくして出て行ってよね」  女は言葉に合わせて無造作に男の股間に手を這わせた。ズボンの膨らみの上で手慣れた様子で三本の指だけ軽く動かし、陰茎の硬さを確かめる。女にとって、この行為に性的な意味は無かっただろう。それこそ小さい子供の鼻をつまんで叱るぐらいの感覚に違いない。  そんな弱い刺激でも、ギリギリの所で踏み止まっていた男の理性を再度破壊するのには十分だった。  もう一度女を壁に押し付け、首筋に顔を近づけると躊躇することなく舌を這わせる。 「あ♡やっちゃった……あ♡……ゴメン、今のはボクが悪かったから止まって?……あぁ♡……お願いだってば……ホテルでだったら何でもしてあげるからさぁ♡」  もうその程度の言葉では止まれない。  左手で重量感のある膨らみを下から握るように持ち上げる。いつもと変わらない肉厚な重量感、触り慣れないブラの感触。  下着が普段と違うだけ。それだけのはずなのに、興奮は只管に増していく。 「あん♡オッパイはダメだって……あっ♡」  ブラの上から触っていた手をするりと中に入れ、掌で透き通る肌と蕩けるような柔らかさを愉しむ。力を入れる度に形を変えるそれは、女性にしかない男を興奮させるだけの肉塊で。  ゆっくりと数回、魅惑の質感を堪能した後、親指と人差し指で膨らみの先端部分にある突起を挟み込む。コリコリとしたそれを指の腹で優しく愛撫した。 「ん!ちょっとバカ♡乳首は本当に……♡」  耳元で聞こえる快感を必死に抑え込んだ喘ぎ声、舌を這わせる肌の味、髪から漂う甘いシャンプーの香り、掌に乗るふんわりとした乳房と指先の突端にある硬い感触、見慣れない黒のセクシーな下着。    五感で感じる女の全てが欲情を煽り続ける。    股間への直接的な刺激が欲しくなり、両手を女の腰に回して動かないようにホールドする。軽く腰を落とした状態で、細い紐で支えられた布の中心部へ狙いを定めた。  女の秘部へと腰を突き上げると、女は咄嗟に手を口にやって声を抑えた。 「声出ちゃうからダメだってば!……あんっ♡」  身に着けた布を挟んだ状態でも、秘肉の感触がはっきりと男根を通じて伝わってくる。待ちに待ったその刺激をもっと味わいたくて、入るわけがないのに少しでも女の奥へ挿し込もうとグリグリ押し付ける。  女は爪先に力を込めて秘部への快感を必死に押し殺し、少しでも愛撫から逃れようとするが、逃がす気など無い。女の腰に回した手に力を込めて、抵抗するなという意思を暗に伝える。  首を振って拒絶を示されても知ったことではない。    お仕置きと言わんばかりに女のクリトリスに狙いを変え、竿の裏側でそれを擦る。女に触れている手からビクっと身体を震わせる感覚が伝わってきた。  女性器と陰核へ交互に肉棒で刺激を与えていると、遂に女は我慢の限界が近いらしく音が出ないように『もう止めろ』と肩を叩き始めた。  肩を叩かれながらも数度擦り付けた後、女の身体から身を離す。  下着姿の女が安堵した表情で試着室の壁にもたれ掛かった。艶めかしく肩で息をしている目の前でズボンのファスナーを下ろし、雄々しく反り立ち汁が垂れつつある逸物を、もう一度派手なショーツの中心へと近づける。 「それは絶対ダメ!これ売り物なんだから!」  周りに聞こえないギリギリの声量で叱る女と、理性と性欲の狭間で踏み止まった男。  興奮で荒い鼻息を漏らす男を見て眉間に皺を寄せた女は、硬度を保ったままのペニスへと手を伸ばした。 「もー……どうせ|射精《だ》さなきゃ治まんないんでしょ」  透き通るような手が何のためらいもなくペニスを包み、荒い吐息が快感を伴うものへと移り行く。幾度となく触られていても、与えられる気持ち良さは衰えない。 「すぐに射精してよ?」  血液が集まり熱を燃やすそれとは対照的なひんやりとした手が、何の遠慮もなく雑な動きで肉棒を扱き始めた。  ギュッと竿を握り締めた手が上下に動く度、親指と人差し指で作った輪っかが、エラを張ったカリ首を下から刺激する。  女の言葉通り、射精させるための荒い手コキ。  甘い吐息を漏らしながら女を見下ろす形で両手を壁に付いて、自身の身体を必死に支える。    女の手から股間に与えられる気持ち良さに身を任せていると、ふとした瞬間に目の前にある女と視線が交差した。  表情を変えずに口を開く女。その中で滑り気を帯びたピンク色の自在に形を変える物体を、自然と目が追いかける。絶対に己を気持ち良くしてくれる舌が、何かを舐め上げるようにチロチロと動いた。  吸い込まれるように顔を近づけ、躊躇なく互いの口を重ね、ザラザラとした舌とドロっとした唾液をソースのように絡め合う。  女はベロキスをしながらでも当たり前のように肉棒を扱き上げ、少しでも早く白濁液を吐き出させようと必死だ。  快感が少し高まってきたところで、激しい接吻と興奮で乱れた息を整えるために口を離す。 「ぷはっ♡……はぁ♡……はぁ♡もー……まだ|射精《で》ないの?」  眼前にある女の口端からツーっと唾液が垂れ落ちて右胸を汚す。追いかける視線の先、魅惑の肌色に更に興奮を煽られる。  もう一度女の口に自身の舌を突っ込み、余すことなく舐り上げる。  その間メロンのように瑞々しいデカパイを好き放題こねくり回し、無意識の内に女へと陰茎を近づけた。すると、亀頭が温かさを含んだ柔らかい何かに当たり、ビクビクと震えてカウパーを撒き散らして汚していく。女の掌が形を変えて一番敏感な部分を包み込んだ時に、腰が勝手に女に向かって動いていた。  亀頭に当たる手の中心部と、反対の手で竿を締め付ける親指と人差し指のリング。女の両手が動く腰に合わせて器用に形を変え、疑似的に淫靡な女性器を作り出す。 「ん♡|射精《だ》す時は言ってよ?汚したらヤバいんだから……お口の中にね?」  素早く首を縦に振って同意を示し、より強い快感を求めて股間を女に押し付け、口内を嬲り、胸を揉みしだく。  口の中で性欲を煽るために這い回る、この舌の上に最大限膨張したペニスを乗せる。何回経験していても、それを想像するだけでまた味わいたいと陰茎は硬度を増していく。   「はぁ♡……舌出して♡」  女に向けてあっかんべぇの要領で舌を向けると、ゆっくりと近付いてきた唇に突き出した舌を挟まれて、性器を刺激するようにちゅぽちゅぽと擦られた。  鼻先で顔を前後させる舌への愛撫。普段は股間で行われるそれが目の前にある奉仕感。  鼻の下を伸ばし、鼻孔を膨らませるほどの荒い息を吐きながらのご奉仕に身を委ねる。腰の動きが止まったお陰でペニスを扱きやすくなった女が、手の動きを速めて快感を加速させてくる。  女は亀頭を指や掌で不規則に扱き、回転させ、もう片方の手で猛烈な勢いで竿を扱き続けた。ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が、試着室の中でスーパーの陽気なテーマソングに溶けて消えていく。    ゆっくりと着実に込み上げてくる射精感。何かきっかけがあれば引き金に手が掛かるに違いない。  緩々と積み上がる欲求を待っていると、舌が何か引っ張られるような気がした。 「ちゅる♡ちゅるるるるるる♡」  強烈な吸引に我に返る。  目の前には早く射精しろと言わんばかりに舌を吸い込む幼馴染。  女の手でゴシゴシと擦られている男根を、この刺激の中で解き放ちたい。そう思った時には「頭の中は|射精《だ》したい」という感情しか残っていなかった。  首の裏にゾクゾクとしたものを感じながら、唇のサンドイッチから舌を引き抜く。久しぶりに互いの顔を大きく離すと、下着姿の豊満な肉体が視界に入り、より一層射精欲を高めてきた。  女は男が無言で肩を押さえつけるより早く、何も言わずに大きく股を開いてしゃがみ込む。男が立っていなければ、ヤンキー座りで下品に開いた股にあるセクシーなショーツが見えて、逸物が更に膨張しただろう。  グロテスクに猛る腫れ上がった亀頭が当然のように口の中に含まれていき、一瞬陰茎から手が離れたせいで落ち着きかけた射精欲に再度火が灯る。 「ちゅぽ♡レロレロレロレロレロレロ♡」  カリをひょっとこ顔で優しく締め付けられ、舌先で裏筋を突かれ、一番飛び出ているカリ首を舌でローリングして擦られる。  敏感な部分の舌責めに耐えられず、壁に両手を付けて身を支える。反射的に腰を引くと『逃げるな』と言わんばかりに、女がペニスを咥えたまま前のめりに逸物を追いかけて顔を埋めた。 「じゅぽ♡……じゅぽ♡……じゅぽ♡」  女は逃げられない男の陰茎に向かって、可愛らしい顔を鼻の下を伸ばし台無しにしながら、ゆっくりと前後に動かしていく。竿を七割程咥えて折り返し、唇がカリ首に当たる直前でまた折り返す。  ねっとりとした奉仕に気付けば口が半開きで、目の焦点も定まらずに試着室の壁を血走った目で眺めていた。  もうイケる。と思った時、絶妙なタイミングで肉棒への刺激が変化した。 「じゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽ♡」  亀頭だけに素早いリズムで口のピストン運動。空いた竿はタイミングを合わせて両手で扱かれる。  一切歯が当たらない口内の肉だけを使った口奉仕と、精液を吐き出させるための手コキ。    全てを知り尽くした、幼馴染だけが与えてくれる最高の快楽。    全身に溢れるマグマのような射精感が尿道を通り抜け、鈴口から放出されていく。 「んぶっ!んっ♡んっ♡んっ♡んっ♡」」 精液を口で受け止める女に対する征服欲で頭を軽く押さえつけると、快感に打ち震えながら射精し続けている間、女は嫌な顔一つせずに興奮した表情で受け止め続けた。    一滴残らず精巣の中身を出し切り、興奮が収まりつつある射精直後のペニスを女の口から引き抜こうとした時だった。  遠くからハイヒール特有の甲高い足音が一直線にこちらに向けて進んできている。  チンコを咥えられたままの、見ようによっては滑稽な状態で、顔を見合わせて二人の動きが固まった。  試着室の目の前で止まった足音はその場で一分近く留まり、何かの商品を触る衣擦れ音が聞こえた後に去っていく。  安堵の息を漏らした男がペニスを仕舞い、今のうちに外に出ようとすると服の裾が引っ張られた。  側頭部に顔を寄せてきた女は、どうやら精液を全て飲み込んだらしい。 「一週間エッチ禁止って言ったけど……|今《・》|日《・》|は《・》|し《・》|て《・》|も《・》|い《・》|い《・》|か《・》|ら《・》|ね《・》」  耳に当たる熱を帯びた吐息に、ゴクリと喉が鳴った。 「……ホテル、行くよね?」 ◇◇◇ 「ああっ♡だめだめだめ♡ボクイッちゃう♡イッちゃうから♡」  下半身だけ下着姿の女が壁に手を付いて尻を媚びるように高々と上げ、後ろから男の肉棒で好き放題犯されている。 「無理無理無理♡これすっごい♡もっと♡もっとして♡もっと激しいのして♡」  パンパンと肉を打ち付ける音が激しさを増し、比例するように女の喘ぎ声が煩くなっていく。 「ああああああ♡ボクイクね♡イクからね♡」  女をイカせるためにGスポットを目掛け遮二無二腰を振る。 「すっごいのクる!イク♡イク♡イク♡イク!!!!」  背筋をピンと伸ばし爪先立ちでオーガズムを受け止めた女は、ブルブルと体を震わせた後、力が抜けた手で体を支えられずに、ズルズルと上半身を床に下ろし四つん這いになった。  男は荒い息を吐く女を気遣う様子もなく女の上で中腰になり、ケツだけ高く上げた女のマンコにペニスを突き立てる。 「バカ!無理!イッたばっかりだから無理!」  犬が腰を振るかのように女に覆い被さり、獣のように肉槍を打ち付ける。 「ボク無理だってば!無理無理!嫌ぁ!もうヤダ無理!おぉぉぉぉぉ!!!」  女の下品な喘ぎ声と肉同士がぶつかる音が部屋中に木霊する。  喚く女に興奮した男は、一週間分の射精をしようと腰を振り続けた。 Fin.