勇者よ、耳かきをしてやるから余のものにならぬかシリーズ第一弾       〜漆黒にして植物の魔王ベール・ゼ・ブル〜 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック1:お望みの耳かきだとも(右) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:9 正面から 【ベール】 「勇者よ、よくぞここまで来た」 ;SE:カツカツと石の上をハイヒールで歩き近づいてくる音 【ベール】 「待ちわびたぞ。とても、とても」 【ベール】 「ああ。小さき村から始まったお主の冒険も、ここで終わる」 【ベール】 「もう頑張らなくていいのだ、勇者よ。余とお主で人間と魔族の争いを終わらせよう」 【ベール】 「正直に言おう。余、ベール・ゼ・ブルは、勇者、お主が欲しい」 【ベール】 「お主は、自然や動物を大事にしてきた」 【ベール】 「道を塞ぐ植物を切り捨てることなく、飢えそうな獣を見れば食べ物を施し、自ら魔物を襲うことはしなかった」 【ベール】 「強く、優しい。他の人間とは、違う」 【ベール】 「そう気付いてからは、待っている間、この植物の身体は燃えていないのに焦げそうなくらい熱かった」 【ベール】 「だから……」 ;ボイス位置:3 囁き声で ;タイトルコール ;SE:頭を撫でる音 ;ボイス位置:3 【ベール】 「そうして、お主は。……余のものとなった」 【ベール】 「本当に嬉しかった。温かい涙が出るくらいに」 【ベール】 「さあ、今日も始めるとしよう」 【ベール】 「まずはもちろん、お望みの耳かきだとも」 【ベール】 「目を閉じて、体を楽にするが良い」 【ベール】 「では、ゆくぞ」 ;SE:耳かきの音 【ベール】 「お主は本当に気持ちよさそうな顔をしてくれるな」 【ベール】 「耳かきはあくまで比喩であったが、それで正解であったかもしれぬ」 ;ボイス位置:11 恥ずかしそうに小声で 【ベール】 「あれは、お主が余のものになるのと同時に、余もまた、お主のとっ、特別になるという意味であるからな」 ;ボイス位置:3 【ベール】 「いや、なんでもないぞ。それよりも、より深くを掃除してやろう」 【ベール】 「いくぞ?」 【ベール】 「どうだ、気持ちがいいだろう? 余も練習した甲斐があるというもの」 【ベール】 「せっかくお主が余のものになっても、持て成せなければこの関係は続かなかっただろうからな」 【ベール】 「いつまでも、いつまでも、余のものであって欲しいのだ」 【ベール】 「お主も、この世界も」 【ベール】 「欲深く思うか? 強欲だとも。そうでなければ魔王などしておらぬよ」 【ベール】 「いや、今はもう魔王ではなく、この世界の指導者か」 【ベール】 「お主が傍にいてくれるおかげで何とか各国の長達が言う事を聞き、世界を新しい方向へ歩ませる事が出来ている」 【ベール】 「長く続いた争いの傷を、引きずりながらではあるがな」 【ベール】 「その傷が塞がって、走りだせるようになるまでは、地道な積み重ねを続けていくしかあるまいよ」 【ベール】 「人間と魔族の、よりよい発展と共生を願っているからな」 【ベール】 「余とお主のように」 【ベール】 「その為にも、余とお主はより仲を深めよう」 【ベール】 「政(まつりごと)に、お主の世話に、と無理をしているように映るかもしれぬが、案ずるな」 【ベール】 「お主を愛でているこの時間こそが、余にとって最も癒される時間なのだ」 【ベール】 「だからこそお主に愛想を尽かされぬように余も頑張る」 【ベール】 「お主は変わる事無くそのままでいてくれよ」 【ベール】 「そのままのお主が好きになったのだからな」 【ベール】 「少し堅苦しい話になってしまったな。本題に戻るとしよう」 【ベール】 「本題? くくっ。……これ(耳かき)の事だよ」 【ベール】 「まあ話をしながらしっかりと耳の中を綺麗にさせて頂いてはいるがな」 【ベール】 「その辺りは抜かりないとも」 【ベール】 「ただ、話すことに口を使っておったからな、塵は飛ばせなんだ」 【ベール】 「少し、塵を飛ばすとしようか」 【ベール】 「ゆくぞ?」 【ベール】 「すぅぅぅぅ……ふーーーっ」 【ベール】 「くくっ。くすぐったいか?」 【ベール】 「だが、こんなもので身じろぎしていては身体がもたぬぞ?」 【ベール】 「この程度ではお主の耳に溜まっている耳垢は吹き飛ばぬからな」 【ベール】 「覚悟するがよい……存分に、余の熱い吐息を浴びせてやろう」 ;SE:右耳に息を吹きかける音 【ベール】 「くすぐったいか? それとも、喜びに打ち震えておるのか?」 【ベール】 「もしそうなら、余は嬉しい! 身体の奥底から疼いてくるほどに!」 【ベール】 「ただの息でさえもお主を喜ばせることが出来るのであれば、生まれ、生きてきた喜びを感じる」 【ベール】 「ああ、自分の内から湧き上がってくる熱で少しクラっとする……。お主は余を恋の炎で燃やそうと考えてはおらぬか?」 【ベール】 「余は植物の魔王故な……燃えやすいのだ。一度火がつけばどこまでもどこまでも燃えあがってしまう」 【ベール】 「もしも画策していたのであれば重罪だぞ……。罪には罰……お主をもっと悶絶させてやろう」 【ベール】 「方法は、もちろん。くくっ」 【ベール】 「ふぅっ……この耳を熱くさせることだ」 ;SE:右耳に息を吹きかける音 【ベール】 「こうしていると、火種に息を吹きかけて燃え上がらせようとするかのようだな」 【ベール】 「ああ、人間の原初の火の起こし方は知っておるぞ。あれな、すごく痛いらしい」 【ベール】 「余には植物の声が聞こえるからな」 【ベール】 「まあ、ある程度は仕方がない。生きる為、というのもわかる」 【ベール】 「余も最低限生きる為の行為は容認している。それはどの生物とて同じこと」 【ベール】 「だが、他を絶滅させてしまう事は受け入れられない」 【ベール】 「それは人間に対しても同じ。案ずるな。余に全て任せよ」 【ベール】 「植物も、動物も、人も、お主も全て余のものとなったのだ」 【ベール】 「余のものは一つたりとも無駄に散らせたりは、させぬ。このベール・ゼ・ブルの名のもとにな」 【ベール】 「そして、その中の一番はお主だ。お主は余の特別なのだ」 【ベール】 「こうして膝の上に乗せるのも、耳かきをするのも、耳をふーふーするのも。お主だけだ」 【ベール】 「特別であると感じながら、余の愛を、全身で浴びてくれ」 ;SE:右耳に息を吹きかける音 【ベール】 「うむ。綺麗になってきたな」 【ベール】 「だがこれで終わりではないぞ? 奥の奥まで掃除してやるのだからな」 【ベール】 「あまり動くでないぞ? 怪我をしてしまうからな」 【ベール】 「余に身を預けるのだ」 【ベール】 「ぞり、ぞり……うむむ……かなり溜まってきているな……」 【ベール】 「公務は大事だが、お主との時間がもっと増やせるように色々頑張らねば」 【ベール】 「思えば、この耳かきも久しぶりの事だ。掃除という意図だけではなく、お主にはただただ気持ちよくなってもらわねばな」 【ベール】 「その前に、まずは垢を全て取り除くとしよう。少し集中するぞ」 【ベール】 「よし、こんなものか。では、あとはお楽しみ……」 【ベール】 「余の身体に実った綿で耳を掃除してやろう」 【ベール】 「案ずるな、毒性はない。この世界でお主しか味わう事の出来ない感覚だ。存分に楽しむが良い」 ;SE:梵天耳かき 【ベール】 「ほれほれ。どうだ? こそばゆいか?」 【ベール】 「じきに良くなる。この感触を楽しむが良い」 【ベール】 「余の身体の一部をお主の身体に入れてると考えると、さらに、疼いてしまうな」 【ベール】 「なんだか余までこそばゆくなってきてしまったぞ」 【ベール】 「初めて主への気持ちに気づいた時以来だ、こんなにむずむずするのは」 【ベール】 「だが……ちゃんと、続けるぞ」 【ベール】 「よしよし……頃合いだな」 【ベール】 「む。少しだけ綿が耳に付着してしまったらしい。改良が必要だな」 【ベール】 「また、耳を吹くぞ。少し長めにな」 ;SE:右耳に息を吹きかける音 【ベール】 「ふっ。こんなものだろう」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック2:耳かきを続けよう(左) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【ベール】 「では、反対側に取り掛かるとしようか」 【ベール】 「余の上を転がるがいい」 ;SE:身じろぎする音 ;ボイス位置:7 【ベール】 「よーしいい子だ」 【ベール】 「聞き分けが悪かったことなどただの一度もないがな」 【ベール】 「ずっと見てきたぞ。ありとあらゆる情報は全て植物を伝って余のもとにやって来るからな」 【ベール】 「今も各国の動きは把握している。だが、このことは他の誰にも秘密だ」 【ベール】 「余と、お主だけの秘密」 【ベール】 「この力を知られては、植物という植物が焼かれてもおかしくはないからな」 【ベール】 「まあそういう訳で、お主が村を出る決意をしてからはずっと見てきたわけだ」 【ベール】 「ずっとずぅっと、大変であっただろう。勇者というものは」 【ベール】 「人々の願いを聞き届け、それを断ることはできず、いかな無理難題であっても成し遂げなければならない」 【ベール】 「疲れたであろう。苦しかったであろう」 【ベール】 「もう、頑張らなくてよいのだ」 【ベール】 「これからは余が主を癒す。主は癒される。それだけでいい」 ;SE:耳かきの音 【ベール】 「このようにな」 【ベール】 「こちら側もじっくりと愛でてやろう」 【ベール】 「どうだ? 上手く、できているか?」 【ベール】 「練習したとは言え、やはり実際にやらなければわからぬこともこの世界には多い」 【ベール】 「耳かき、というものは魔族には無かったからな」 【ベール】 「余が魔に手を伸ばす前の種族の時もなかった」 【ベール】 「ああ、そういえば言っておらんかったな」 【ベール】 「余は元々、精霊でな。この世界の一部の植物を管理しておったのよ」 【ベール】 「枯れた地に草花を芽吹かせ、育ちすぎた植物は整備した」 【ベール】 「育ちすぎると他の植物が育たなくなり、種類によっては自然発火する事などもあるからな」 【ベール】 「こういったことをしていたのもあって、一部地域で人間に豊穣の女神と崇められた時代もあった」 【ベール】 「だが、人々は自然とは袂を分かち、やがて余の事も忘れていった」 【ベール】 「より発展する為にな」 【ベール】 「まあそれから色々あって、魔族になり、魔王になったというわけだ」 【ベール】 「あまり面白い話ではなかったな」 【ベール】 「だがしかし、今は充実しているよ。お主とめぐり会えたからな」 【ベール】 「これからは良い毎日を共に過ごそう」 【ベール】 「病める時も、健やかなる時も」 【ベール】 「余が傍にいる限り、お主はずっと健やかなままで在り続けるがな!」 【ベール】 「病なぞにお主をくれてやるものか」 【ベール】 「だから、ずっと一緒だ」 ;SE:頭を撫でる音 【ベール】 「余の膝の上で眠ってしまっても構わぬぞ」 【ベール】 「むしろその方が余としてはたまらなく嬉しいのだ」 【ベール】 「お主がどこよりも安心できる場所がここであるという事だからな」 【ベール】 「夢の中でもいい夢を見られるように、余がずっと語り続けてやろう」 【ベール】 「いつまでも、いつまでも」 【ベール】 「さて、そろそろこちら側も奥の方を掃除するとしよう」 【ベール】 「どっこいしょ」 【ベール】 「おっと。少し年寄りくさい事を言ってしまった」 【ベール】 「いや違うのだ、余は年寄りではない。年寄りではないぞ」 【ベール】 「長く生きてはいるが年を取ることはないからな」 【ベール】 「ただ、長く椅子に座って仕事をしていると流石に腰にダメージが蓄積されていってだな……」 【ベール】 「いいか? 今のは忘れてくれよ?」 【ベール】 「いや、余が忘れさせよう。この耳かきでな」 【ベール】 「手加減はせぬぞ?」 【ベール】 「ほれほれ。こんなのはどうだ? 円をなぞるように、くーるくる、くーるくると」 【ベール】 「耳には心地よくなる部分が多いと東の島国の書物で目にした」 【ベール】 「本来、耳をかくという行為をしなくとも人は生きていけるらしいが、この快楽を知ってしまっては逃れられぬというもの」 【ベール】 「耳かきに堕ちるが良い……」 【ベール】 「回転だけではないぞ?」 ;SE:左耳に息を吹きかける音 【ベール】 「油断していただろう?」 【ベール】 「くくっ、こんな悪戯もたまにはするとも」 【ベール】 「許してくれたまえよ、お主が驚く顔も好きなのだ」 【ベール】 「これからも色々な顔を見せて欲しい」 【ベール】 「余も、いろいろな顔をお主に見せるだろうからな」 【ベール】 「もう少し吹くぞ、耳かきをすれば耳にすくいきれなかった塵が溜まるものだからな」 ;SE:左耳に息を吹きかける音 【ベール】 「余がお主にいろいろな顔を見せるのは、余も、お主の一番になりたいからだ」 【ベール】 「お主は余の一番で、余のものになった」 【ベール】 「だが、お主の全てが余のものになったとは思っておらぬ」 ;SE:膝枕しながら覆いかぶさりトサッと地面の絨毯のような植物に手をつく音 ;ボイス位置:7(耳元でささやく) 【ベール】 「率直に言う。心までも、余のものにしたい」 ;ボイス位置:7(少し離れ) 【ベール】 「いや、してみせよう」 【ベール】 「これからも余がもっともっとお主を楽しませ、癒し、愛するから、楽しみにしておくが良い」 【ベール】 「そして今から、じっくりと聞いていて欲しい」 【ベール】 「すぅぅう……ふーーーーーーっ」 【ベール】 「余がお主に愛を語るように吹きかける、息の音を」 ;SE:左耳に息を吹きかける音 【ベール】 「さてさて……耳掃除もそろそろ大詰め」 【ベール】 「最後はゆっくりと耳かきをしようではないか」 ;SE:左から呼吸音 ;SE:耳かきの音(流しながら) 【ベール】 「二人だけで静かに過ごしていると、木々が揺れ、草木の葉が擦れあう音にただただゆったりとした時の流れを感じるな」 【ベール】 「余はいつまでもこんな時間を過ごしたいと思っているが、お主もそうであると嬉しい」 【ベール】 「まるで輝きのような木漏れ日の中、キラキラとした時間を過ごしたい」 【ベール】 「一分一秒が宝物で、全てを切り取って宝箱の中に仕舞っておきたい」 【ベール】 「そして、いつか思い出すのだ。宝箱から取り出して、こんな穏やかな日々があったと」 【ベール】 「人生で一番輝いていた時間を」 【ベール】 「草木も、花も、いつかは枯れる」 【ベール】 「それは、自然な事だ。この世界にはそれを悲しむ生き物もいる」 【ベール】 「余もお主も、いつか枯れて散っていくこともあるだろう」 【ベール】 「悲しい事ではあるが、仕方のない事だ」 【ベール】 「だが、お主が長い眠りに就く時は、余も一緒だ」 【ベール】 「子守歌でも歌いながら共に眠ってやる」 【ベール】 「鼻歌でも、どんな歌でもいいぞ。今からリクエストしてくれるのなら、来るべき時までに覚えておいてやろう」 【ベール】 「余とお主で互いに抱きしめ合いながら、余がお主の為に歌って。  これまでと、これからつくる様々な……眩しいくらいに輝かしい思い出と共に、長い長い眠りに就く」 【ベール】 「その時は、お主も余を優しく、愛おしく撫で続けてくれると嬉しい」 【ベール】 「お主が良ければ、約束だ」 【ベール】 「指切りげんまん、嘘ついたら……針千本ではつまらぬな」 【ベール】 「嘘ついたら、生まれ変わってもまた一緒に過ごしてもらうぞ」 【ベール】 「仲睦まじく、な」 ;SE:左から呼吸音 【ベール】 「ふむ……耳かきはこんなところかな?」 【ベール】 「先ほどは綿で仕上げをしたが、此度は息のみで、お主を癒してしんぜよう」 ;SE:左耳に息を吹きかける音 【ベール】 「ふぅ……綺麗な耳になったな」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック3:やはり水は良いものだな ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 【ベール】 「よおし次は体を清めるとしよう」 【ベール】 「このままお姫様抱っこというもので運ぼうか?」 【ベール】 「くくっ。冗談だ。では、手を繋いで歩くぞ」 ;SE:起き上がる音 ;ボイス位置:3 【ベール】 「もちろん、恋人繋ぎでな」 ;SE:川の流れる音 【ベール】 「流れゆく水の音を聞いているだけでなんだか癒されるな」 【ベール】 「人間も水の音を聞くと癒されると聞く。ここは魔族も精霊も人間も同じところかもしれぬ」 【ベール】 「さて、背中を流してやろう。上着を脱ぐが良い」 ;SE:服を脱ぐ音 ;ボイス位置:5 背後から 【ベール】 「お主は衰えぬなぁ。やはりいい身体をしておる」 【ベール】 「余がこの楽園を留守にしている間も自己研鑽をしておるみたいだな」 【ベール】 「自己研鑽に飽きたら余に言うが良い。公務で都に出た際に書物などを土産にしよう」 【ベール】 「何がよい? コメディでもミステリーでも恋愛ものでも」 【ベール】 「いやはや、人の描く恋愛物語は実に興味深い」 【ベール】 「魔族や動物には口で代々語り継ぐ寓話のような物語があるが、人は受け継ぐ形を紙に変えて、より詳細に伝えられるようになってきた」 【ベール】 「そうなったことでより奥深い話や、寓話ではない娯楽の物語がさらに広がったというのは人間の素晴らしいところだと思う」 【ベール】 「その中でも、生き物と生き物の間に生まれる愛を描くことは、時に切なく、時に心を熱くしてくれる」 【ベール】 「余も思わずハマってしまったほどだ。余のおすすめならこの楽園の宝箱にしまってあるのでな、読みたくなったら言うがいい」 【ベール】 「しかし、恋愛ものを読むのはいいが、余以外の者と恋に落ちてくれるなよ」 【ベール】 「お主はそっ、その……余のもの、なのだからなっ」 【ベール】 「お主が恋愛ものを読んで試してみたい事があれば、なんでも余が付き合うからな」 【ベール】 「全てお忍びになるが、町でのデートも、一緒に流行りの菓子を食べに行くことも、この雄大な世界のどこかへ旅に出ることも」 【ベール】 「ああ、膝枕も恋物語の定番であったな」 【ベール】 「粘土などを貰ってきて、二人で何かを作るのもよいかもしれぬ」 【ベール】 「なんでもいいぞ、食器でも家でも教会でも余とお主の像でも」 【ベール】 「まあ、炎の魔法は苦手ゆえ、その辺りの工程はお主に任せることになってしまうがな」 【ベール】 「だが、余一人では出来ぬこともお主がいれば出来ると考えれば夢がどこまでも広がっていくな」 【ベール】 「お主は何がしたい? 色々考えておいてくれ」 【ベール】 「余の夢とお主の夢、ゆっくりと一つ一つ実現していくぞ」 【ベール】 「今は身体を綺麗にするとしよう」 ;SE:泉に入っていく音 【ベール】 「そうそう、以前まで使っていたブラシがくたびれておったので新しいブラシを作ってみたのだがどうだろうか? 毛の部分をな、動物ではなく植物のものにしてみたのだ」 【ベール】 「分かっていると思うが、むしり取った訳ではないぞ? 自然と落ちたものを拝借したのだ」 【ベール】 「さて、使い心地は如何かな。早速使ってみよう」 ;SE:ブラシと水を使って体を洗う音 【ベール】 「痛かったり痒かったりはせぬか?」 【ベール】 「植物と人間には相性があるからな、身に異変を感じたらすぐに言うのだぞ」 【ベール】 「くすぐったいか? くくっ。すまぬ、わざとくすぐったくなるようにした」 【ベール】 「すまぬすまぬて、くくっ、真面目にご奉仕させていただくとしよう」 【ベール】 「魔王からご奉仕される人間なんてこの世界に一人だけであろうな」 ;ボイス位置:3 背中にもたれかかりながら 【ベール】 「悪戯もな? 余はお主に構って欲しいのだ。お仕置きをしてくれても構わぬぞ?」 ;ボイス位置:7 反対側からなまめかしく 【ベール】 「でも、優しくしておくれよ? くくっ」 【ベール】 「余も優しく優しーくお主の身体を洗ってやるからな」 ;ボイス位置:5 背後から 【ベール】 「少し目を閉じよ。頭から身体の穢れを流すぞ」 ;SE:頭上から水を流す音 【ベール】 「ふう、さっぱりしたな」 【ベール】 「しばらくは共に泉に浮かんで漂おうか」 ;SE:泉に身を預ける音 ;ボイス位置:7 隣から 【ベール】 「ふぅぅぅぅ……やはり水は良いものだな」 【ベール】 「こうして浮かんでいるだけで身体がみるみるうちに回復していくようだ」 【ベール】 「まあ余は植物由来の存在であるからな。実際に回復しておるのだろうな」 【ベール】 「そして隣にはお主がおる。回復力は二倍だ」 【ベール】 「いや、十倍くらいにはなっているかもしれんな。くくっ」 【ベール】 「お主がもっといたら……いや、お主は一人で良いな」 【ベール】 「もしたくさんいれば、ときめきすぎて胸が破裂してしまうだろう」 【ベール】 「まあ、世界が落ち着けば子を為して、ゆっくりとお主のような格好良くて優しい子に育てるのも一つであろう」 【ベール】 「早くそんな生活にできるように頑張るからな」 【ベール】 「その時は、お主ではなく、旦那様と呼ばなければな。くくっ。今から楽しみだ」 ;SE:水から起き上がる音 【ベール】 「さーて、そろそろあがるとするか」 【ベール】 「腹も減ったであろう? 朝食にしよう」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック4:自然の恵みをいただくとしよう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 隣の席から 【ベール】 「ふふー。今日も自然が様々な恵みをもたらしてくれた」 【ベール】 「ありがたい事だ」 【ベール】 「全ての自然に感謝を捧げるとしよう」 ;SE:手を合わせる音 【ベール】 「いただきます」 【ベール】 「そういえば前にお主がリクエストした、しょっぱい果実を余の魔法で調理したものも用意したぞ」 【ベール】 「お主に手作りの料理を振る舞うのは、こ、これが初めてだな……」 【ベール】 「ほれ、口を開けるが良い」 【ベール】 「はい、あーん」 【ベール】 「ど、どうだ……? まずくなってはいないか? お主の口に合うか?」 【ベール】 「お主の顔を見る限り……まずくはない……といったところだろうか」 【ベール】 「もっと研鑽しなければな……」 【ベール】 「長く生きてきたが、余はこれまで食事の必要が無かった故、料理もしてこなかったのだ……」 【ベール】 「水を浴び、日光を浴び、大気に溢れる魔力を浴びれば、それで充分であったからな」 【ベール】 「だが、これからは違う」 【ベール】 「そ、その……はっ、花嫁修業中だからな」 【ベール】 「はっ……! そういえば各国の代表への挨拶回りはしたというのに、お主のご両親にご挨拶をしていなかった……!!」 【ベール】 「たっ大変だ勇者よ! どどどどうしよう!」 【ベール】 「はわわわわわわわわ……」 【ベール】 「そっそうだ! 明日伺おう! いかん! 明日は大事な会談だったぁ!」 【ベール】 「そ、それでも早いうちにご挨拶に向かわねばな……」 【ベール】 「身に纏う服はどれにしよう……純白が良いか、お気に入りの漆黒が良いか……?」 【ベール】 「色々準備せねば……」 【ベール】 「ってああっ! すまない、お主の食事中であったな……」 【ベール】 「すまぬ、少し深呼吸をさせてくれ」 ;SE:長い深呼吸 【ベール】 「よし。何の話だったか……そうだ、料理をもっと頑張ろう、という内容の話であったな」 【ベール】 「楽しみにしておいてくれ。お主の好みの味があればまたゆっくりと教えて欲しい」 【ベール】 「ではあとはいつものように、そのままで食べられる木の実を食むとしよう」 【ベール】 「はい、あーーーん」 ;SE:クルミやカシューナッツなどの木の実を食べる音 【ベール】 「くくっ。お主は本当に美味しそうに木の実を食べてくれるなぁ」 【ベール】 「余の料理より美味しそうな表情をするのは少し複雑だが、正直なのは良い事だ」 【ベール】 「もっといい顔をさせてやるからな、覚悟をしておけよ! 勇者!」 【ベール】 「さてさて、デザートも用意してあるぞ」 【ベール】 「今日授かったのは、竜の卵のような果実だ」 【ベール】 「外側はピンクと派手な見た目をしているが、果肉は白くシャキシャキで、種は黒くプチプチとしておるらしい」 【ベール】 「これをよく食べている南の砂漠の民に聞いたので、実際にお主の口に合うかはわからないがな」 【ベール】 「しかしまぁ……本当に竜の卵に似ているな、卵の方はこの数倍大きいが」 【ベール】 「西の山のドラゴンが生まれる時は大変であった……殻を破るのに難儀していたが、手を出してはいけないのだ。生まれる事自体が大きな試練であるからな」 【ベール】 「だから無事に生まれた時、余は少し涙してしまったぞ」 【ベール】 「まあそれからは、あまりにやんちゃに育ちすぎてお主に懲らしめられていたがな」 【ベール】 「そうそうあのドラゴンだ、あのドラゴン」 【ベール】 「あやつはこういう見た目の卵から生まれてきたという訳だ」 【ベール】 「案ずるな、ちゃんと今回のは果実だからな」 ;SE:ドラゴンフルーツを割って開く音 【ベール】 「ほらな? 中身はそのままで食べることができるぞ」 【ベール】 「口を大きく開けるが良い」 【ベール】 「ほれ、あーん」 ;SE:ドラゴンフルーツを食べる音 【ベール】 「どうやら口に合ったようだな。うむうむ。南の砂漠地帯に視察に行く際には、また貰ってこよう」 【ベール】 「まだまだあるぞ。あーん」 【ベール】 「こうして食べさせていると雛鳥に食べさせているようであるな。くくっ、ういやつめ」 【ベール】 「これを食べ終わったら食後のティータイムにしような」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック5:食後のティータイムだ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【ベール】 「食後のティータイムとしゃれこもうではないか」 【ベール】 「今日は紅茶であるからな、いろいろと準備をしておいた」 【ベール】 「あとは炒って乾燥させるだけでよい」 【ベール】 「やはり紅茶も作り立てが薫り高く美味であるからな、少し待っておれ」 【ベール】 「隣で見ていても良いぞ。火傷せぬように気を付けてな」 【ベール】 「はっ!」 ;SE:指を鳴らす音 【ベール】 「人間は時折余を驚かせる。こうして植物由来の余でさえも炎を扱いやすくする道具を作ってしまうのだからな」 【ベール】 「ホットプレートだったか、今は魔力が動力として必要だが、いずれは魔力さえも必要のないものを開発してしまうかもな」 ;SE:鼻歌 ;SE:茶葉を炒る音 【ベール】 「茶葉の良い香りが広がってきたな」 【ベール】 「んん〜。これだけで胸がいっぱいになる」 【ベール】 「さて、このくらいになれば後は乾燥させれば良いだろう」 【ベール】 「ふっ」 ;SE:指を鳴らす音 【ベール】 「乾燥させる魔法くらいなら余にもできるぞ」 【ベール】 「雨が続くと根腐れを起こしてしまう事もあるからな。その為の魔法よ」 【ベール】 「天の恵みが多すぎても花は枯れてしまうものなのだ」 【ベール】 「さて、では早速紅茶を淹れるとしよう」 ;SE:抽出用ポットに茶葉を入れる音 ;SE:抽出用ポットにお湯を注ぎ込む音 【ベール】 「んー! 茶葉が開いていく良い香りだ」 【ベール】 「そろそろ頃合いかな」 ;SE:紅茶を注ぐ音二人分 【ベール】 「お主の分はこのくらいでよいか?」 【ベール】 「では頂くとしよう」 ;SE:紅茶をすする音(海外版では無し) 【ベール】 「うむ。美味である」 【ベール】 「いつもは献上された出来合いのものを淹れていたが、自分で作るのも良いな」 【ベール】 「お主も今度淹れてみるか? 楽しみにしておるぞ」 ;SE:風で木々や草花が揺れる音 ;SE:呼吸音 【ベール】 「ふぅ……よい時間であった……」 【ベール】 「またやろうな」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック6:爪が伸びてきているな。どれ、余が手入れしてやろう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 【ベール】 「む。そういえばお主、爪が伸びてきているな」 【ベール】 「どれ、余が手入れしてやろう」 ;SE:両ひざをぽんぽん叩く音 【ベール】 「余に背中を預けるがよい」 ;SE:背中を預ける音 ;SE:頭を撫でる音 ;ボイス位置:5 【ベール】 「よーしよしよし。よくぞここまで来た、勇者よ」 【ベール】 「くくっ、初めて会った時の台詞だ。覚えていたかな?」 【ベール】 「さて、手を見せてみよ」 ;SE:ぺたぺたと右手を触る音 【ベール】 「ふむ……ごつごつとしたカッコイイ手だな……」 【ベール】 「修練で剣を振り続けたマメもある」 【ベール】 「研鑽するのは良い事だ」 【ベール】 「だが、無理をしすぎるなよ、もう戦う必要は無いように余が頑張る。ゆっくりと強さを追い求めるが良い」 【ベール】 「だが、もしもの時は……」 ;SE:右手の甲にキス 【ベール】 「この手で余を守ってくれ」 【ベール】 「くくっ。頼んだぞ」 【ベール】 「ではお主の大事な大事な手を手入れさせて頂くとしよう」 【ベール】 「まずは樹液のハンドクリームだ」 ;SE:ハンドクリームを塗る音 【ベール】 「これはマメにも効くからな、寝床に置いておくが、できるだけ余に塗らせてくれよ」 【ベール】 「お主は余のものだからな。大事な大事な宝物」 【ベール】 「いつまでも触れていたいのだ」 【ベール】 「反対側の手も、優しく丁寧に」 【ベール】 「こちらの手も、よく鍛えられているな」 【ベール】 「ああ、愛おしい……」 【ベール】 「よし、ハンドケアはこのくらいで良さそうだな」 【ベール】 「では爪を磨いていくとしよう。この研草でな」 ;SE:研草で左手の爪を磨く音 ;ボイス位置:7 【ベール】 「一本一本丁寧にやっていくぞ」 【ベール】 「まずは長さを整えていこう。爪切りと違って少し時間はかかるがまあ許してくれよ」 ;SE:呼吸音 【ベール】 「長さはこのくらいで良いかな? では表面も磨いていくとしよう」 【ベール】 「お主の爪、ここに来てからかなり綺麗になったな」 【ベール】 「戦いに明け暮れる日々であれば、荒れるのもやむなしか」 【ベール】 「本来のお主の爪が戻ってきたという訳さな」 【ベール】 「村の農作業を手伝っていた頃よりもピカピカかもしれぬな」 【ベール】 「もしもお主が望むなら、この楽園に畑を設けようか?」 【ベール】 「土にまみれているくらいの手が余としては一番好みだ」 【ベール】 「まあ、気が向いたらまた申してくれ」 ;ボイス位置:3 【ベール】 「よし。では右手も爪を磨いていくか」 ;SE:研草で右手の爪を磨く音 【ベール】 「む。こちらの爪の方が少し硬いな」 【ベール】 「剣を握り続けてきた影響だろうか」 【ベール】 「魔法を放った影響もあるかもしれぬな」 【ベール】 「少し力を入れて研ぐぞ」 ;SE:呼吸音 【ベール】 「ふぅ、先ほどよりも少し時間がかかってしまったな」 【ベール】 「まあ今日はまだまだ時間がある。ゆっくりとしよう」 【ベール】 「こちらも表面を磨いていくぞ」 【ベール】 「研草は人間もよく愛用していると聞く、道具を作るのに使用しているらしいではないか」 【ベール】 「ふふん。これも東の書物で読んだぞ」 【ベール】 「しかし、お主が住んでいた地域ではあまり生えておらぬようだな」 【ベール】 「もしや見たことが無かったか?」 【ベール】 「研草は便利な草じゃ。よく覚えておくが良い」 【ベール】 「むやみやたらと引き抜いたりするのは関心せんがな」 【ベール】 「と、話をしている間にこちらも磨き終えたようだ」 【ベール】 「うむ。綺麗になったな。木漏れ日を反射して輝いておるぞ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック7:共に植物園の整備を手伝ってはくれぬか ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:5 後ろから 【ベール】 「なあ勇者よ、そろそろ植物園を整備しようと考えているのだがな、共に植物園の整備を手伝ってはくれぬか」 【ベール】 「さっきも話したように、生やしっぱなしではよくないことが起こるのよ」 【ベール】 「だからな、枝を切ったり、自然の恵みを少し頂いたりするのだ」 【ベール】 「一人でもなんとかできるがな、お主と一緒にいたいのだ」 【ベール】 「良いかな? では行くとしよう」 ;SE:木の葉を踏んで歩いていく音 ;ボイス位置:7 隣を歩きながら 【ベール】 「この楽園はな、全てが終わったらここで過ごそうと思って用意していたのだ」 【ベール】 「本当は一人きりで、長い長い眠りに就くつもりだった」 【ベール】 「ここを作った当時は、今のような生活になるとは予想もしておらなんだ」 【ベール】 「お主がおったからだ、全てが変わったのは」 【ベール】 「ここはもっと暗い場所になっていたはずだ、ここだけではない、世界も」 【ベール】 「人間と魔族、どっちが勝っていてもな」 ;ボイス位置:7 立ち止まって振り向く 【ベール】 「だが、世界は明るくなっていく。まるで夜明けのように」 【ベール】 「だから、この楽園も変えていきたいのだ。明るい楽園に」 ;ボイス位置:1 正面に回り込んで手を差し伸べる 【ベール】 「お主と一緒に」 【ベール】 「手始めに小枝を切っていくとしよう。木漏れ日がたくさん当たるようにな」 【ベール】 「この道具を使ってくれ、高枝切りバサミというらしい」 【ベール】 「こういった整備の道具を開発してしまうのが人間の恐ろしいところよな」 【ベール】 「魔族や精霊も道具を使う事がなくは無いが、大体は魔法や身体能力などでカバーができるからな」 【ベール】 「便利な道具を作るのは、人間ならでは、と言っても差し支えないだろう」 【ベール】 「お主の地域には無かったと思うが、使い方はわかるか?」 ;SE:ハサミを鳴らす音 【ベール】 「ふむ、大丈夫そうだな」 【ベール】 「小枝を一つ一つ切っていってくれるとありがたい、判断し難いものがあれば聞いてくれ」 【ベール】 「では、始めるとしようか」 ;SE:ハサミで剪定していく音 ;SE:鼻歌 【ベール】 「ふむ、だいぶ明るくなってきたな」 【ベール】 「いくつか小枝を切っただけでこれほどの効果が出るとは」 【ベール】 「楽園作りは奥が深いな」 【ベール】 「もう少し調整するとしようか」 【ベール】 「ふー。木漏れ日が暖かいな」 【ベール】 「少し汗をかいてしまったかもしれぬ。水浴びよりも先にこっちをしておけば良かったかもしれぬな」 【ベール】 「まあ、また夜に一緒に入るとしよう。ゆっくりとな」 【ベール】 「んんーっ! 剪定はこのくらいで良いだろう!」 【ベール】 「よし! では今日と明日頂く木の実を拾うとするか」 【ベール】 「好きな木の実を取るが良い」 ;SE:木の実を拾っていく音 【ベール】 「今日も、よりどりみどり様々な木の実が集まったな」 【ベール】 「竜の卵のようなものはないがな」 【ベール】 「ふーむ、世界各国の植物を全て育てるのも悪くはないかもしれぬな」 【ベール】 「くくっ。お主も何か作ってみたいものがあればすぐに言うのだぞ」 【ベール】 「ここを余とお主の理想郷にしようではないか」 【ベール】 「な、勇者」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック8:散らばった木の葉を掃除しよう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 正面 【ベール】 「さーて。切ったままではおいておけぬからな、散らばった木の葉を掃除しよう」 【ベール】 「掃除せずともやがて土に還るが、土がどんどん増えていってやがてここが埋まってしまうからな」 【ベール】 「何事もバランスが大事であるという事だな」 【ベール】 「では始めよう。それっ、箒だ」 ;SE:箒を触手で渡す音 【ベール】 「くくっ。ナイスキャッチだ」 【ベール】 「お主はあっちを掃除してくれ、余はお主の隣を掃除する」 【ベール】 「くくっ。離れて作業だと思ったであろう?」 【ベール】 「効率を考えるなら離れる方が良いのだがな、近くにいたいのだ」 【ベール】 「というわけでよろしくな」 ;SE:箒で木の葉をかき集める音 【ベール】 「木の葉はここに集めてくれ。集め終われば余が色々しておくからな」 【ベール】 「それにしても、この箒という道具は長生きであるな」 【ベール】 「この形状のものは、余がまだ精霊であった時からずっと同じものが流通しておる」 【ベール】 「わずかながらに変化や進化を受け入れてきたとはいえ、これは相当すごい事であるぞ」 【ベール】 「他の道具はどんどんと進化していったからな」 【ベール】 「だが箒は、この形が結論に近いのかもしれぬ」 【ベール】 「もしかすると、遠い未来でまったく違う道具がこうやって木の葉を掃除しているかもしれぬがな」 【ベール】 「まあ、どうなっていくかは後々の楽しみにとっておこう」 ;SE:鼻歌 【ベール】 「こんなところか。ふむ、結構大きな山となったな」 【ベール】 「あとは余に任せるがよい」 【ベール】 「これで今日やることはもうほとんど終わったか」 【ベール】 「大義である」 【ベール】 「あとはごろごろして食事をして寝るだけだな」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック9:昼寝の前に歯を綺麗にしようではないか ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 正面 【ベール】 「太陽は……まだ頂点まで登ってはいないようだな」 【ベール】 「朝食を先ほど食べたし、昼食にはまだ早い……」 【ベール】 「ここから導き出される答えは……昼寝だな!」 【ベール】 「よし、そうと決まれば昼寝の前に歯を綺麗にしようではないか」 【ベール】 「歯木(しぼく)を持って泉へ行くぞ」 ;SE:川の流れる音 【ベール】 「余の膝の上に頭を預けるがよい」 【ベール】 「自分で出来ることであろうが、お主の世話は余がしたいのだ」 ;SE:膝を叩く音 【ベール】 「ほらっ、早く早くっ」 ;SE:膝に頭を預ける音 【ベール】 「よーしよし、余の元へ来てくれたな! ん〜〜〜っ!」 ;SE:頭を抱きしめる 【ベール】 「おっと、違う違う、今はお主を愛でる時間ではない」 【ベール】 「今はお主の歯を磨く時間だ」 ;SE:泉で歯木をゆすぐ音 【ベール】 「では、磨いていくぞ。口を開けよ」 ;SE:歯木で歯を磨いていく音 【ベール】 「まずは下だな。簡単なところからやっていこう」 【ベール】 「次は上側……もう少し余に顔を寄せよ」 【ベール】 「やはり歯木で人の歯を磨くのは少し難しいな」 【ベール】 「もう少し歯を磨きやすくする道具を何か作れないか人間の技術者に相談してみようか」 【ベール】 「よし、今度は表側を磨くとしよう」 【ベール】 「表はだいぶ楽に磨けるな。しかし問題は奥だ……」 【ベール】 「細めの歯木を作るか……少し待っておれ……」 ;SE:枝を噛む音 ;SE:歯木をゆすぐ音 【ベール】 「よし、こんなものだろう」 【ベール】 「今作り立てだからな、少し痛いかもしれぬ」 ;SE:歯木で表の奥歯を磨く音 【ベール】 「ふう、こんなものか」 【ベール】 「では最後……裏側、だな」 【ベール】 「短めの歯木を使うから少し口の中に手を入れさせてもらうぞ」 【ベール】 「痛くはないか? 口を大きく開ける必要があるからな、痛かったり疲れたりしたら言うのだぞ」 【ベール】 「すぐに終わらせてやるからな」 【ベール】 「よし、終わりだ。口をゆすぐが良い」 【ベール】 「これで寝ることが出来るな!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック10:眠ろう。木漏れ日の中で ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:木々の揺れる音 ;ボイス位置:7 横で寝ころびながら 【ベール】 「ふぅぅぅぅぅぅぅ……今日も有意義な一日であった」 【ベール】 「まあ昼寝して目覚めても同じ日であるだろうがな」 【ベール】 「むしろ目覚めて明日ならば余はきっと絶望するであろう……」 【ベール】 「二度寝は、二、三時間で起きるからこそ心地よいのだ」 【ベール】 「お主との優雅なディナーもしたいところだしな」 【ベール】 「ふぅ……風が心地よいのう……木漏れ日も温かい」 【ベール】 「いつまでもこんな時間が続けば良いのにな。ここだけではなく、世界中で」 【ベール】 「まあ、こういう世界に出来るように余は頑張ろう」 【ベール】 「誰もが木漏れ日の中で昼寝をする世界……余の夢だ」 【ベール】 「夢が叶った時も、一緒に昼寝しような」 【ベール】 「では、そろそろ余は眠りに就くとしよう」 【ベール】 「おやすみ。余の大事な、大事な勇者」 ;SE:寝息 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック11:おまけ。添い寝とは良きものだ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;SE:寝息 ;ボイス位置:7 【ベール】 「ん……んん……」 【ベール】 「んー。よく寝た」 【ベール】 「お主も今、目覚めたところか」 【ベール】 「といってもまだ本調子ではなさそうだな」 【ベール】 「今日は久々の休日だ。ゆっくりと過ごすとしよう」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック12:おまけ。お主が望むならいつでも撫でてやるとも ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【ベール】 「本調子になるまでは余の膝の上で休むが良い。余が撫で続けてやろう」 【ベール】 「ほら、遠慮せずに来るのだ」 ;SE:膝に頭を預ける音 【ベール】 「くくっ。ようこそ余の膝へ」 【ベール】 「余はお主を歓迎しよう。ひたすら頭を撫でてやるからな」 ;SE:頭を撫でる音 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック13:おまけ。寝起きにハンドケアは如何かな? ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【ベール】 「よし、こんなところか」 【ベール】 「では、寝起きにハンドケアは如何かな?」 【ベール】 「また爪をじっくりと磨いてやろう。世界の誰の爪よりもぴっかぴかにしてやるぞ」 【ベール】 「磨く前にまずはマッサージからだな」 ;SE:手をハンドクリームでマッサージする音 【ベール】 「よし。では好きな方の爪を出すがいい」 ;SE:爪を磨く音 【ベール】 「よし、これで完成だ」 【ベール】 「この世の何よりも光輝く爪になったな!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック14:お主は本当に耳かきが好きだな ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:1 【ベール】 「耳も綺麗にするとしようか。くくっ、流石に耳が光輝くようなことはないがな」 【ベール】 「好きな方の耳を上にするがよい」 ;SE:頭を動かす音 ;ボイス位置:3 【ベール】 「こちらの耳か。よぉし。余に任せよ」 ;SE:耳かきの音 【ベール】 「相変わらず本当に心地よさそうな顔をする」 【ベール】 「お主は本当に耳かきが好きだな」 【ベール】 「耳垢はもうほとんど掃除し尽くしたが、もう少しだけ耳をかくとしようか」 【ベール】 「よし。耳も光輝くようになったぞ」 【ベール】 「くくっ、冗談だ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック15:おまけ。お主の反対側の耳も綺麗にしてやろう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:3 囁き声 【ベール】 「さて、では反対側も……掃除しようか」 ;SE:身じろぎをする音 ;ボイス位置:7 【ベール】 「こちらの耳も光輝かせてやろう」 【ベール】 「くくっ。この楽園のどこにいてもわかるようになるな」 【ベール】 「もういっそ全身を輝かせてやってもよいな」 【ベール】 「まあ、冗談だ。余に身を任せよ」 ;SE:耳かきの音 【ベール】 「前にも言ったかもしれぬが、余はこの時間が好きだぞ」 【ベール】 「余の膝の上にお主が無防備に横たわっているこの時間が」 【ベール】 「膝の重さに、心がぽかぽかとするような安心感を覚えるのだ」 【ベール】 「日光浴をしている時よりも心地よいと言っても過言ではないな」 【ベール】 「うむ。こんなところか」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー トラック16:おまけ。お主の耳垢でさえも余は愛そう ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ;ボイス位置:7 囁き声 【ベール】 「さて、では“仕上げ”をするとしよう」 【ベール】 「今、何か裏を感じたか? 案ずるな。余がお主を害することはない」 【ベール】 「ただ、普通の耳掃除よりも、気持ちよくなってしまうだけだ」 【ベール】 「だから、余に身を預けるが良い。ささ、近こう寄れ」 ;SE:身じろぎをする音 ;ボイス位置:7 【ベール】 「くくっ、よくぞ決意した」 【ベール】 「なぁに、悪いようにはせぬ……」 ;SE:耳舐め 浅め 【ベール】 「くくっ、こういうのはどうだ?」 【ベール】 「今、何をされたか理解できなかったかな?」 【ベール】 「では、もう一度……れろぉ……」 【ベール】 「深く考えなくてよい。獣たちの毛づくろいのようなものだ。グルーミング、とも言ったかな」 【ベール】 「もっと深くを舐めていくぞ……」 ;SE:耳舐め 深く 【ベール】 「くくっ。癖になろう? 人間の書物だけではなく獣や魔物にも教えを請うたのだ」 【ベール】 「曰く、親交を深めるならこれが良いと」 【ベール】 「こういうのもあるぞ」 ;SE:耳吸い 深く 【ベール】 「ふう。美味であったぞ」 【ベール】 「そうだ、こういうのはどうだ?」 ;SE:耳にキス 連続 【ベール】 「お主を愛するのなら、キスも外せないな。こればっかりは耳を掃除できないが。だがキスを繰り返すごとに胸の高鳴りと幸せを感じるのだ」 【ベール】 「お主はどれがお好みかな? それとも選べぬか?」 【ベール】 「余も選べぬぅ〜〜……」 【ベール】 「ようし。全部やるとするか」 【ベール】 「時間はまだまだたっぷりあるからな」 ;SE:耳舐め 浅めと深めを繰り返す 【ベール】 「ふう……グルーミングは良いものだな。癖になってしまいそうだ」 【ベール】 「毎日寝る前にやっても良いかもしれぬな。くくっ」 【ベール】 「おっと、これで終わりではないぞ?」 【ベール】 「反対側の耳も愛しつくしてやろう」 ;SE:身じろぎする音 ;ボイス位置:3 【ベール】 「さぁて、では頂くとしよう」 ;SE:耳舐め 浅め 【ベール】 「表面だけでもとても美味だ。素晴らしいぞ勇者よ」 【ベール】 「まるで樹液のようだ。まあお主の耳は余だけで独占するがな」 ;SE:耳舐め 深く 【ベール】 「ああ。じんじんと身体の奥が熱くなってくるな」 【ベール】 「お主はいつでも余を夢中にさせてくれる」 【ベール】 「そういえば人間にも愛するものを吸うという文化があるそうだな」 【ベール】 「くくっ。では堪能させてもらうとしよう」 ;SE:耳吸い 深く 【ベール】 「ああ、肺の全てがお主で満たされる……なんと素晴らしき事だろうか」 【ベール】 「吸いすぎたから空気を入れてやらないとな。くくっ」 ;SE:耳吹き 【ベール】 「先ほどと同じ順序でキスだと思ったか? くくっ。油断するなよ」 【ベール】 「案ずるな、後でキスもじっくりとしてやる」 【ベール】 「だがその前に、じっくりとお主を味わわせてもらう」 ;SE:耳舐め 浅めと深めを繰り返す 【ベール】 「ふう。ごちそうさま、だな!」 【ベール】 「ああ、いや。デザートがまだであったな」 【ベール】 「くくっ。余に任せよ。最後はとっておきの技で楽しませてくれる」 【ベール】 「覚悟はよいか?」 ;SE:キスと耳吸い 【ベール】 「ああ……幸せで胸がいっぱいだ」 【ベール】 「いつまででも続けていたくなるな」 【ベール】 「世界が落ち着いたら、ずっと愛し合う一年、なんてものを設けてもよいかもしれぬな」 【ベール】 「くくっ。その時は、よろしく頼むぞ。旦那様」