●男子生徒の台詞は「だいたいこんな感じのことを言っているんだな」と解釈してください。ヒロイン側の台詞とぴったり噛み合っていないこともあります。 (美術準備室。狭く薄暗い。自画像を描くために使う、大きな鏡が置かれている。ヒロインと男子生徒の二人しかいない) へぇ、美術準備室なんて、初めて入ったよ。 うちの学校にこんな部屋あったんだね。 私、芸術の授業は音楽だからさ。まったく知らなかった。 そういえば、奴隷3号くんて美術部なんだっけ? 言われてみれば、いかにもそんな感じだねー。 部屋に閉じこもって、ずっとペンタブとか触ってそう。 んで、用事って何? 奴隷3号くん。 お気楽に生きてるあんたたちと違ってさ、私は色々あるの。 学年で五番以内に入り続けろー、約束だぞー、って親がうるさいし。 今日も帰って課題やらなきゃ。 (男子生徒、スマホを取り出し、画面を見せる) 何? あんたのスマホの型なんかに興味ないんだけど。 え? 何を見ろっていうの? どうせ下らないエロ画像とかなんでしょ…… って、そのヘッダー! 「ドリーマーになろう」? どうして? どうしてあんたがそのサイトを知ってるの? ……あっ。 (男子生徒:思った通りだ。ヒロインさん、やっぱりこのサイトに小説を投稿してたんだね) (小さめの声で) し、しまった。カマをかけたのか。 (どうにか虚勢を張る) 知らない、聞いたことないね、そんなサイトは。 だいたい、「ドリーマーになろう」って何? 何する場所なのか、さっぱり分からないじゃん。 夢小説でも投稿し合うサイトなわけ? (モノローグ) あ、あれ? なんで私、自分で答えを言っちゃってるんだ。 くそっ。まさか冷静さを失ってるっていうのか、この私が。 動揺させられてるっていうのか。奴隷3号ごときに、この私が。 (男子生徒:そうそう。夢小説とかティーンズラブ小説の投稿サイトみたいでね。色んな作品があるんだけど、その中に一つ気になるのがあってさ) ふーん、あっそ。気になる小説を見つけた? その変なサイトの中に? そっかそっか、それはよかったね。 あんたにとっては凄く大事なことなんだろうね。 でも、私にとってはどうでもいいよ。 じゃ、私は帰るね。夢小説とかティーンズラブとか、興味ないから。 (男子生徒:まあまあ。そう言わないで、もう少し聞いてよ。この小説の作者ってさ、ヒロインさんなんじゃないの) ええ!? 何を言ってるの、そんなことがあるわけないでしょ。 私が「ドリーマーになろう」に小説を投稿してるなんて。 ほら、さっきも言ったじゃん。うちの親、勉強しろってうるさくてさ。 文字書きやってる暇なんてないんだよ、私。 (男子生徒:本当? 本当にこの小説の作者はヒロインさんじゃないの? 内容を見ると、そうとしか思えないけどなぁ。女子生徒と男性教師の恋愛ものなんだけど、ヒロインさんと尾崎先生にそっくりなんだよね) ぐっ……。 (モノローグ) どうやら、ごまかせそうにないか。 はいはい、そうだよ。その小説を書いたユミってやつは、私のこと。 スーパーダーリンの江崎さんていうのは、尾崎先生がモデル。 認めます。 だから何? 何だっていうの? その小説を見て、私の何が分かったっていうの? そんなの、ただの落書きだよ。 課題の合間にサッサッと適当に書いただけ。 いま流行ってるのはこういう話だろうなー、って、 深く考えずにキーボード叩いただけ。 別に願望投影とか自己投影とかしてないから。 だいたい、ユミが私だってこと、あんたがどうやって証明するの? 私の言葉以外に、物的な証拠は何もないじゃない。 みんなにバラしたいなら、バラせば? 誰も信じないと思うけどね。私がそんな頭悪そうな小説書いてるってこと。 (モノローグ) とは言ったものの、まずいな……。 知り合いがあの小説を読んだら、 私が書いたものだって一発で分かっちゃうはず。 ヒロインとダーリンのキャラがそのまんますぎるもんな。 物語の舞台も、この街のまんまだし……。 (男子生徒:ふーん。じゃあ尾崎先生に聞いてみようかな。こんな小説を書いてる生徒がいるんだけど、どう思います? って) ええ? 尾崎先生に言う? 待って。それはまた話が別だよ。 クラスのみんなに言うのはいいけど、尾崎先生だけはやめて。 あー、もう。分かった、分かった。 何が望みなの? 言ってみなよ。 いやいや、察しが悪いふりをしなくてもいいって。 取引しようっていうんでしょ? あんた、私が書いた小説のことを黙ってる代わりに、 私に何かをさせようっていうんでしょ? (男子生徒:さすがヒロインさん。理解が早い) そりゃ、分かるよ。あんたの考えてることくらい。 いままでは私が他人の弱みを握る側だったんだしさ。 ほら、どうしてほしいのか、さっさと言いなよ。 (男子生徒:それじゃ、まずはスカートをめくり上げてくれるかな。もちろん、パンツが丸見えになる高さまでね) は? ば、バカじゃないの? そんなことしたらどうなると思うの? 私は誰に言われたって、尾崎先生に言われたってそんなことしないし、 ましてや奴隷に言われてするわけがない。 バカな3号くんには、その程度のことも分からないか。 (男子生徒:そっか。別にいいよ。ヒロインさんがそういう態度なら。ヒロインさんが書いた小説のこと、尾崎先生に教えてもいいんだね?) だ、だから、尾崎先生に言うのだけはやめろって。 卑怯だぞ、それをちらつかせるのは。  ……ちっ、分かったよ。スカートめくればいいんでしょ? (効果音。スカートをめくる衣擦れの音) (恥ずかしさをこらえながら) ほら、スカートめくってあげたよ。 パンツ、ちゃんと見えてるでしょ? これで満足した? もういい? いいなら私、帰るよ。 (ヒロイン、その場から去ろうとする。男子生徒、ヒロインの腕を掴んで引き止める) ちょっ、いきなり腕掴むなよ。 気安くご主人様に触るな、奴隷のくせに。 何? まだなんかあるの? (男子生徒:スカート下ろしていいって誰が言った? 取引はまだ終わってないし、俺はまだ満足してない) 取引はまだ終わってない? まだ満足できない? ふざけるな。調子に乗るなよ、こっちが下手に出てれば…… (モノローグ) 待て待て。落ち着け。耐えろ、私。 この場は奴隷3号の言うことを聞いておいて、早く解放してもらったほうが得策だ。 やり返すのは後からでいい。明日から早速、こいつの新しい弱みを探すんだ。 分かったよ。何すればいいわけ? さっさと言って。 (男子生徒:そこに、自画像用の鏡があるよね) ああ、鏡がそこにあるね。 美術部で自画像かく時に使うやつなんだ。それで? (男子生徒:その鏡の前に立って、もう一回スカートめくってくれるかな?) はあぁ? 鏡の前に立って、もう一回スカートめくれ? (男子生徒:嫌がるの? いま、ここでぼくの言う通りにしてくれたら、ヒロインさんの過去の罪をすべて許してあげようと思ったんだけどな) 何だよ、偉そうに。言う通りにしたら過去の罪を許してやるって、どういう意味だよ。 どの立場からもの言ってんだ。神にでもなったつもりか、奴隷の分際で。 (男子生徒:本当はさ、ヒロインさんって、もっともっとひどい仕返しを受けても文句は言えないんだよ。自分が男子にどれだけ恨まれてるか知ってる?) ちっ……くそっ…… (効果音。スカートをめくる衣擦れの音) はい。これでいい? 鏡の前でスカートめくらせたいなんて、あんたもなかなか変態だね。 私が奴隷の言いなりになった姿を、私自身の目にも見せてやろうってわけ? で、私はいつまでスカート持ち上げてればいいの? もういい? 満足した? (男子生徒:まだまだ。ここからが本番。じゃあ、いまからぼくが言うことを復唱して) ま、まだ何かあるの? これから言うことを復唱しろ? なっ……バカバカしい! そんなこと口にできるわけ…… (男子生徒:ヒロインさんが夢小説書いてたことだけじゃなくて、ぼくらを奴隷にしてやりたい放題してたことまで、ぜーんぶ尾崎先生に言っちゃおうかなー) 分かった。分かったって。分かったからそのニヤケ面をこっちに向けるな。 ほら、さっさと済ませるぞ。 (復唱させられている) 私はこれまで、何人もの男子たちを奴隷にしてこき使っていましたが、 いまはその奴隷から逆に命令されて、鏡の前でスカートをめくり上げて、 お、おパンツを丸出しにしています。 完全に自分より下だと思っていた存在に、言うことを聞かされてしまっています。 鏡にはおパンツの様子が丸映りで、とってもよく見えます。 今日の私は、水色の縞パンを穿いてきました。 ぷっくりとした恥丘の膨らみが、縞パンの生地を内側から押し上げています。 伸ばされた布地の下に、ザラザラしたマン毛が透けて見えちゃってます。 ちゃんと指示通りにしゃべったよ。これで終わりでいいでしょ? 終わりにしてよ。 あんたが私を恨む気持ちは、よーく理解した。 悪いことをしたとも思ってる。謝ってほしいっていうなら、ちゃんと謝るから。 だから、あんたも冷静になってよ。   確かに私は、あんたがチエコに告白してフラれるところを、 物陰からズーッと撮ってたけどさ。 それをクラス中にばら撒いたりもしたけどさ。 あと、お昼代を貸す時に一日十割の利息を付けて、バイトして返させたりもしたけどさ。 もう過ぎたことじゃん。済んだことより未来に目を向けようよ。 過去は水に流してよ、ね? 私だって誠心誠意、心を込めて謝るからさ。 ごめんね。 ほら、謝ったからもういいでしょ。 私はあんたに色んなことしてきたけど、 あんただって、いま私に色んなことさせたじゃん。 これだけやったら気が済んだでしょ。 もう許してよ。許せよ。なぁ。 まだダメ? まだ満足できない? ちっ、勝手にしろ! どうせなら、とことんまでつき合ってやるよ。 次は何なんだよ。これ以上どうしてほしいんだ? (男子生徒:じゃあ、パンツ脱いで) し、下着を脱げ? さすがにそんな頼みは聞けない。聞いてたまるか。 私が夢小説書いてたことでも何でも、言いたきゃ尾崎先生に言えばいいよ。 じゃあね、バイバイ。 (男子生徒:本当にいいの?) ああ、本当にいいよ、先生に言いたいなら、好きにしなよ。 (男子生徒:夢小説はともかくとしてさ、ヒロインさんがぼくらにやってたことを、本当に尾崎先生に教えていいの?) な、何だって? (男子生徒:先生って凄く正義感が強い人だから、ヒロインさんが裏であんなことやこんなことしてたと知ったら、悲しむんじゃないかなぁ) ぐぐ…… (モノローグ) 確かにこいつの言う通りだ。 夢小説なんかのことはともかく、私の裏の顔まで尾崎先生に知られるのはまずい。 裏で男子どもを奴隷にしてたなんて知ったら、先生は失望するに違いない。 いや、私を憎むに違いない。 とっても、とっても正義感の強い人だから。 ああ、もし先生に嫌われてしまったら、私は…… 分かった、言う通りにする。 でも、本当にこれが最後だからね。 それ以上の要求は絶対にしないって約束して。 もし約束を破ったら、どんな方法を使っても、 一生をかけてでも、あんたに復讐するから。復讐し続けるから。 (男子生徒:念のために言っとくと、「パンツ脱いで」っていうのは「マンコ見せて」っていうのと同じ意味だよ。ただパンツ脱ぐだけで終わりじゃない。ノーパンになった後、さっきみたいにスカートをたくし上げてね) はいはい、言われなくても分かってるよ。 下着を脱ぐだけで終わりじゃないってことは。 見たいんだろ? 私の下着の中身を。 先に下着だけ脱いでから、さっきみたいにスカートめくってほしいんだろ? (効果音。パンツを脱ぐ衣擦れの音) (モノローグ) もう何も考えるな、私。 あいつは奴隷3号なんかじゃない、道端の石ころだ。焼却炉の煙に含まれるチリだ。 石ころやチリの前で下半身を露出したところで、 恥ずかしがる必要はまったくないじゃないか。 いくぞ。一回しかやらないから、よく見とけよ。 こっそり撮影してるとか、誰かに撮影させてるとかは無しだぞ。 (効果音。スカートをめくる衣擦れの音) はい、ちゃんとノーパンでスカートめくった。 パンツの中身、見せてやったぞ。 もういいよな。今度こそ私は帰るから。 足りない? よく見えなかったからもう一回めくれ? ふざけんなよ、一回だけって言ったぞ、私。 聞いてなかったのか? 三秒前のことは忘れる鳥頭かよ。 うう……あと一回だけだぞ……次は絶対ないからな…… って、おい! (男子生徒、ヒロインの股間に顔を近づける) 近いよ、近い近い、近いって! そんなに間近で見たいもんか? もう、見るって距離じゃないだろ、それ! ていうか、ヤバすぎだろその鼻息。鼻息で風力発電でもする気かよ。 ……ま、まさか、匂い嗅いでるのか? (男子生徒、ヒロインの股間に口をつける) (効果音。水音) 嘘!? いま何したんだよ、お前、おい。 あっ、ちょっとやめろって。舐めたのか? 舐めてるのかお前? (以下、水音はずっと続く) こんなのって、こんなのって……許されない! こんなの人間のすることじゃないよ。 なんで? クンニリングスってほんとにあるの? そりゃ、ティーンズラブによく出てくるけどさ、私もさんざん書いたけどさ。 あんなの絶対フィクションなんだと思ってた。リアルでこんなことする人いるの? 信じらんない! 妄想だからいいんだよ、ガチで舐めるとかキモすぎでしょ! 不潔! 馬鹿! 変態! 変質者! 犯罪者予備軍! あんたなんかまともな人間じゃないよ、出来損ない! 人間未満! ゴミ、カス、社会のクズ! あー、もう! ウソウソ、嘘だよ、嘘に決まってる、きっとこれは夢! こんなのってない。あり得ない。あるわけがない。こんな行為、この世にないって! (モノローグ) あ、あれ? 何か変…… ちょっと、これ、おかしい。 いつも尾崎先生のことを想ってキーボード叩く時の、あの感じに似てる。 背筋の奥とか、お腹の下のほうが熱くなって……。 気持ちいいのか? ううん、そんなわけない。断じて違う。 いま感じているものが、あの感覚と同じであるはずがない。 こんなクソザコ虫けら無個性空気野郎に舐められて、 気持ちよくなるなんてこと、あるもんか……。 (媚びるような口調で) ねぇ、奴隷3号くん。もうやめて。もう許してよ。 もう十分仕返ししたじゃない。 私の悔しそうな顔も、取り乱した顔も、いっぱい見たでしょ? 私の慌てた声も、泣きそうな声も、いっぱい聞いたでしょ? 私は十分惨めな思いをしたよ。 まだ足りないっていうの? いったい何が足りないの? (哀願するような口調で) ねえ、お願いだからやめて。ちゃんと私の言葉を聞いて。 ひどい。ひどいよ。どうしてこんなにひどいことするの? 許してよ……許してったら…… 許してください、お願いします…… 今までのことは全部わたしが悪かったって認めますから、 もうクラスメイトを奴隷にしたりしませんから、許してください…… 何なら、土下座して謝りますから、そこをどいてください、私から離れてください…… お願いです。土下座させてください。土下座するにもスペースが必要なんです。だからちょっとの間だけ離れてください。お願いですから…… (快感をこらえているので、言葉が途切れがち) うっ…… これ以上されたら、私、変になります。おかしくなります…… 背筋が、ゾクゾクするんです。腰が、カッと、熱くなるんです……あっ。 何か、恐ろしいものが、来ちゃうんです。 んんっ…… 何なのかは分からないけど……んっ……とにかく、凄いものが来ちゃうんです。 それが来たら、私が私だと思ってたものが……やっ……壊れちゃうかも、しれないんです…… 私が、私に、戻れなくなっちゃうかもしれないんです。 だから、どうか、どうか……あっ。 舐めるのを、やめてください…… そんな場所を、舐めるのは……んっ…… なんで、やめてって言ってるのに。 どうして許してくれないの? どうして……? 来ちゃう、来ちゃうのに…… あっ……! (それでも水音が響き続ける)